新車試乗レポート
更新日:2021.01.14 / 掲載日:2021.01.14
【試乗レポート レクサス IS】この走りはもはやクーペ級! マイナーチェンジの効果は絶大

レクサス IS
文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
SUV全盛のこの時期にレクサスから興味深いモデルがリリースされた。マイナーチェンジした新型ISである。ISは1999年に誕生し、累計約110万台グローバルで販売されてきたFRスポーツセダン。これまでもV8エンジンを搭載したISFなど話題を振りまいてきたモデルである。
そんな流れの中で、新型はさらにスポーティさが増すカタチで登場した。ご覧いただきたい。このワイド&ローのボディ。チーフエンジニアは、SUVブームだからこそあえて低く構えたシルエットに設計したという。それは当然見た目もそうだし、SUVにはできない走りをするためでもある。
まるでクーペのように生まれ変わったエクステリア

エクステリアを大幅に刷新し、よりワイド&ローのスタイルに
実際にこのクルマを目の当たりにするとその意図がよくわかる。張り出したリアのオーバーフェンダー、迫力のフロントバンパー、ワイドに見せる一本線のリアコンビネーションランプなどがスポーツセダンとしての個性を発揮している。いまにも走り出しそうなスタイリングはもはやセダンの領域を超え、クーペと見間違えてしまいそうだ。なかなか大胆なデザインである。ボディカラーと太陽の光の加減によっては、このリアの膨らみは相当強調されるであろう。
タッチ式ディスプレイや先進安全装備をアップデート

10.3インチのタッチ式ディスプレイを新たに採用した
インテリアは新たにタッチ式ディスプレイを採用し、アプリを充実するなどして使いやすさを高めている。その辺のアップデートは日進月歩だけに、このタイミングで進化したのはありがたい。カスタマー目線で言えば、ここが明らかにライバルに遅れていれば新車購入に二の足を踏まざるをえなくなる。ただ、ダッシュボードの造形やエアコン吹き出し口のデザインに目新しさは感じない。メーターまわりもそうだ。個人的にはもう少しここは大胆な変更を行っても良かったと思う。バージョンLで高級感を出せばレクサスらしさは表現されるが、スタンダードの状態だと少し平凡に感じてしまう。
IS フロントシート
IS リアシート
IS ラゲッジルーム
エンジンは3バリエーション。ハイブリッドにはAWDも用意

エンジンは3.5L V6と2.5L 直4+モーターのハイブリッド、それと2L 直4ターボの3種類。写真は「300h」
そんなISの心臓は、3.5L V6(「350」)と2.5L 直4+モーターのハイブリッド(300h)、それと2L 直4ターボ(「300」)の3つが用意される。どれもRWD(後輪駆動)をラインナップするがハイブリッドモデルのみAWD(全輪駆動)があるのが特徴だ。タイヤは標準で18インチとオプションで19インチが装着される。
新設した下山テストコースで鍛え上げた走りは、セダンであることを忘れるレベル

磨き上げられたフットワークにより、より安全にスポーティな走りを楽しめるようになった
では実際に走らせるとどうか。今回は2LターボエンジンのIS300 Fスポーツで箱根のワインディングを走らせたのだが、これがおもしろいように向きを変えて走ってくれた。ステアリングに対するレスポンスは素早く、クセがないのが好印象だ。連続するコーナーでは、とにかく臆することなくステアリングを切ればクルッとまわってくれる。微妙なアクセルコントロールをすればなおさら思いどおりに動いてくれるが、そうでなくてもこのステアリング特性は武器になるのは間違いない。
また、その時のリアサスペンションの粘りが運転をより楽しくする。接地感もあってクルマを安定させるのがいい。このリアサスとステアリングの連動でコーナーを気持ちよく曲がるといったところだ。ここでもまたセダンであることを忘れてしまう。
こうした走りの裏付けは、新設した下山のテストコースが関係する。トヨタ・テクニカル・センター下山と称するそこは、過酷なコース設定がウリ。全長5.3kmのコースには約75mの高低差と多数のコーナーが待ち受けている。長年ニュルブルクリンクを走ってきた経験を具現化したシロモノだ。
スポーツセダンとしての純度を磨き上げたマイナーチェンジ

今回の改良で先進安全装備「レクサスセーフティシステムプラス」の内容をさらに充実させた
この他では「レクサスセーフティシステムプラス」に代表される安全装備や数々の運転支援システムが搭載されるのがトピックス。ヘッドライトのハイとローを自動調整する「オートマチックハイビーム」や道路標識をメーターに表示する「ロードサインアシスト」なんかも役に立つ。
というのが今回の概要。個人的にはガソリンエンジン車に用意される特別限定車「Fスポーツモードブラック」に目が行く。これこそ新型ISの進化を象徴するクルマに仕上がっている気がする。
レクサス IS 300h Fスポーツ
■全長×全幅×全高:4710×1840×1435mm
■ホイールベース:2800mm
■トレッド前/後:1580/1570mm
■車両重量:1690kg
■エンジン:直4DOHC+モーター
■総排気量:2493cc
■エンジン最高出力:178ps/6000rpm
■エンジン最大トルク:22.5kgm/4200-4800rpm
■モーター最高出力:143ps
■モーター最大トルク:30.6kgm
■サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
■ブレーキ前/後:Vディスク
■タイヤ前/後:235/40R19・265/35R19