新車試乗レポート
更新日:2019.05.22 / 掲載日:2018.12.17

【試乗レポート レクサス ES】ルックス、走り、装備よし。三拍子揃った大人の高級サルーン

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 レクサスには高級サルーンとしてブランドのイメージリーダーとなるLSや、近年のSUVブームでグーンと存在をアピールするRXなどがあるが、じつはそれ以外にもアメリカで根付いているモデルもある。それがこのES。1989年のブランド誕生からLSとともにレクサスを牽引してきた。よって今回のモデルチェンジで7世代目。ただレクサスを日本導入した2005年からこれまで、なぜか我が国のカタログには載ってこなかったことで、我々には目新しいモデルとなる。

グローバルで販売される実力派を日本にも導入

 そのESだが、齢四十路以上の方ならトヨタ・ウィンダムのバッジ違いだったといえば思い出す方も多いのではないだろうか。スタイリッシュな2世代目はそれなりに高い人気だった。ではなぜ、新型ESは日本でも発売されることになったのか。その答えは彼らの作り出したプラットフォーム戦略にある。将来のグルーバル展開を見据えた汎用性の高い高性能プラットフォームを構築し、それを採用したモデルを多くの国や地域で販売することを決めたのだ。ESにはFWD用GA-Kプラットフォームがあてがわれた。LSやLCなどRWDモデルはGA-Lプラットフォームとなる。

 特徴はスリーサイズで、それがこのクルマのポジションを言い当てている。全長4975×全幅1865×全高1445mmは、LSより小さく若干だがGSより大きい。LSが現行型からロングボディのみとなったことでちょうどうまく間に収まったといえよう。

世界初のデジタルアウターミラーは利便性に優れる

 もちろんサイズだけがこのクルマのキャラクターではない。前述したようにESはFWDを基本とする。つまり、スポーティな走りを前面に押し出したLSやGSとは違い、キャビンの広さや快適な乗り心地を訴求する。乗り込むとわかるが、雰囲気はまさに大人の高級サルーン。ダッシュボードも最低限のスイッチ類で、落ち着いたデザインに仕上がっている。アナログ時計もそのひとつだろう。
 ダッシュボードには最新のインターフェイスが備わっていることを忘れてはならない。センターの12.3インチワイドモニターやメーター位置のTFT液晶モニターがドライバーに必要な情報を表示してくれる。

 そのほかでは量販車で世界初となるデジタルアウターミラーが話題。そりゃそうだ。なんたってほとんどのドライバーは初めての体験となる。仕組みはシンプルでドアミラーの先端のカメラでとらえたリヤ方向の映像が左右のピラーの根元に備わるモニターに映し出される。製品化されたばかりなのでモニターは取ってつけた感が強いが、個人的にはよくやったと思う。製品化しないことには法規も変えられなければ進化もしないからだ。カメラのステーが短くなって、モニターもきれいにおさまるのは時間の問題だ。

 デジタルアウターミラーのメリットは多く、とくに安全性に貢献する。夜間も雨の中でも見え方は実際のミラーよりクリアになる。カメラ付近に熱線が入るので曇ることもないらしい。と同時に、大型ミラーの形状を小型化することで、エアロダイナミクスの向上や風切り音の削減にも役立っている。つまり、いいことだらけ。まぁ、実際には少々慣れが必要だから、今後いろいろな声が聞こえてくるのは免れないだろうが。

ハイブリッドのみのパワートレーンは優雅なキャラクターに似合う

 パワートレーンは2.5L 直4+モーターのハイブリッドシステム。すでに信頼を得ているのはいうまでもない。アメリカには3.5L V6もあり、現地でそれをテストドライブしたことがあるが、日本にはハイブリッドのみと割り切って正解だと思う。クルマの性格上ハイブリッドがマッチしているからだ。より走りに重きを置けばLSもGSもある。
 とはいうものの、じつはこのESの走りは相当いい。“いい”というのは、レクサスが説明する以上にハンドリングもよければ加速もよく、トータルでスポーティな走りを体感できる。単なる快適なサルーンではないのだ。開発陣もその辺は公言しなくとも自信を持っていて、それを証拠に歴代ESにはない“Fスポーツ”を用意した。リニアソレノイド式AVSダンパーを搭載することで、時としてハードなコーナリングを可能とする。
 実際にその辺の動きはお見事で、ステアリング操作に対する反応はよくキビキビ走る。トルクステアはなく、すべてにおいてスムーズといった印象だ。ただ、クルマの性格上そこまで走り込む必要もない気がしなくない。19インチの“Fスポーツ”よりも18インチを履いた“バージョンL”の方が気に入った。ES本来の滑らかな乗り味が表現されている。

美しいエクステリアがこのクルマの大きな魅力

 といったインプレッションだが、このクルマの美点はエクステリアデザインだと思う。立体的になったスピンドルグリルはLSよりもやりすぎ感がなく、存在感を醸し出している。それと伸びやかなボディラインもそう。ボンネットは長くエレガントさを醸し出す。もはやFWDもRWDも関係ない、といったうまい仕上がりである。

レクサス ES300h version L(CVT)


全長×全幅×全高 4975×1865×1445mm
ホイールベース 2870mm
エンジン 直4気筒DOHC
総排気量 2487cc
エンジン最高出力 178ps/5700rpm
エンジン最大トルク 22.5kgm/3600-5200rpm
モーター最高出力 120ps
サスペンション前/後 ストラット/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ前/後 Vディスク・ディスク
タイヤ前後 235/45R18

販売価格 580万円から698万円(全グレード)




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グーネットマガジン編集部

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