新車試乗レポート
更新日:2021.01.12 / 掲載日:2020.12.08

MAZDA(マツダ) MX-30で行く房総旅

 マツダの新しいデザイン手法でまとめられた期待のニューカマー「MX-30」。流麗なクーペSUVフォルムと個性的なフリースタイルドアに注目が集まるが、リアルワールドでの実力はいかほどだろうか。日帰りロングドライブでその魅力をじっくり確かめてみた。

●今回走ったコースは「横浜~南房総ぐるっと約250km」
 横浜・みなとみらいを早朝出発。東京湾アクアラインを経由して館山自動車道、富津館山道路を使い南房総に向かう。道の駅ちくら潮風王国や野島崎灯台など海岸沿いの観光スポットを巡りながら、房総フラワーラインで洲崎方面に向かったのち帰路へ。途中、金谷港周辺で休憩をとり、再び富津館山道路~東京湾アクアラインを通って横浜に戻るルートをとった。取材当日の交通状態はスムーズで渋滞などはとくになかった。

【MAZDA MX-30】
●発売日:2020年10月8日 ●価格帯:242万~265万6500円(※特別仕様車除く) ●問い合わせ先:0120-386919(マツダコールセンター)

■取材車両詳細:MAZDA MX-30(4WD)
●車両本体価格:265万6500円 ●ボディカラー:ソウルレッドクリスタルメタリック(3トーン)※有料色11万円高 ●オプション合計価格:55万9880円(ベーシックパッケージ:7万7000円、セーフティパッケージ:12万1000円、ユーティリティパッケージ:8万8000円、インダストリアルクラシックパッケージ:11万円、360°セーフティパッケージ:8万6880円、ボーズサウンドシステム+12スピーカー:7万7000円)

■取材車両主要諸元:MX-30(4WD)
●全長×全幅×全高(mm): 4395×1795×1550 ●ホイールベース(mm):2655 ●車両重量(kg):1520 ●パワートレーン:1997cc直4DOHC直噴ガソリン(156PS/20.3kg・m)+モーター(5.1kW/49Nm) ●トランスミッション:6AT ●最小回転半径(m):5.3 ●燃料タンク(L):48<レギュラー> ●燃料消費率(WLTCモード:km/L):15.1 ●タイヤサイズ:215/55R18

「使える」クーペSUV!良質な走りも好印象だ

 RX-8に採用していたから容易という訳ではなかったそうだ。観音開きドアはロストテクノロジーとなっていて基礎から開発とのこと。安全性に厳しい時代のため、昔取った杵柄では済まないのだろう。ともあれ観音開きドアのSUV、MX-30は誕生したわけだ。
 観音開き4ドアは一般的な4ドアよりも不便。今回の旅では移動時常時3名乗車。乗り降り毎に後席への乗降の面倒を感じる。一番面倒なのは乗降順。降車は前席乗員が降りてから後席乗員。前席乗員によるリヤドア開閉補助も必要だ。ドアの開閉順も面倒。全開にしても後席へのアクセスは窮屈……と記せばいいことなしなのだが、これは比較対象が間違っている。
 観音開き4ドアは分割型2ドアであり、本来2ドア車と比較すべきなのだ。開閉手順はちょっと面倒でも後席への乗降性は2ドアよりも圧倒的。また、フロントドアの開口幅を狭くできるので、狭い場所で開閉しやすく、乗降時の脚捌きがいいのも長所なのだ。
 まとめると、MX-30は便利に使える2ドアクーペのSUVなのだ。乗降時に不平不満が出るもののキャビンは結構広い。もちろん、SUVクーペ基準だが、男性4名の乗車でも不足はない。キャビンスペースも荷室も開発のベースとなったCX-30とさほど変わらず、後席からの見晴らしも悪くはないので、会話を楽しみつつの長時間ドライブも悪くない。
 ハードウェア面ではCX-30の姉妹車になるが、運転支援も含めて走りは一世代進んだ印象。ベルト駆動ISGを用いたマイルドハイブリッドは速度変化が大きい高速も煩雑な市街地走行でも扱いやすい。神経質なコントロールを要求しないのに繊細なコントロールに素直に追従する。加速の切れ味はほどほどだが、良質なドライバビリティである。
 フットワークは路面当たりを和らげているのが印象的。従来のマツダ車が剛性感を強調しすぎなのだが、乗り心地にも操縦感覚にしっとりと馴染むような味わいが生まれた。そこに走行ライン制御型LKAや全車速ACCが加わってドライブでの今風実践力がランクアップ。非エコな稼働となる撮影も含めて今回の実燃費はWLTC総合モード15・1km/Lを少し超えた。自慢できるほどではないが、実用性も十分だ。
 新趣向の内外装もあり、これまでのマツダ車とは違った柔軟な感性と発想を感じさせてくれるのがMX-30。ファミリー&レジャー向けではないが、タウン&ツーリング向けの多用途パーソナルSUVとしてはとても魅力的である。

南国風景が楽しめるのは南房総ならでは。11月中旬だったが天気も良く暖かい一日だった。

金谷漁港で東京湾フェリーの「しらはま丸」を発見。全長79.1m、総トン数3351tだ

千倉周辺の海岸沿いは海を眺めながらドライブを楽しめる絶好のスポット。気持ちいい!

すっきりとした気品ある佇まい。マツダの新しいデザイン流儀だ

マツダのデザインテーマとなっている“魂動デザイン”を新たな方向に発展させたのがMX-30だ。流麗なクーペスタイルながら、親しみや温かみを感じさせるのがポイント。

水平基調のモダンなインテリアはカジュアルな中にも上質さが漂う。センスの良さが光る。

  • TFTカラー液晶の7インチマルチスピードメーターを中心にしたオーソドックスな配置だ。

  • 8.8インチディスプレイを備えスマホ連携アプリにも対応。ナビ機能拡張はディーラーOP。

これはインテリアパッケージを装着した車両。シート表皮がクロス+合成皮革になり、より洗練された印象に。

  • フローティングデザインが特徴的なシフト回り。コルクを特殊加工したトレイも個性的だ。

  • 2Lガソリンエンジンをマイルドハイブリッド化。ベルト式ISGのため、エンジン始動も滑らか。

観音開きの前後ドア「フリースタイルドア」が特徴的。開くときは前→後で、閉めるときは後→前の順。少し慣れが必要ではあるが、(2ドア)クーペとしての使い勝手を高めてくれる装備だ。

同門ライバル「CX-30」と「MX-30」の選び分けのPOINTは?

  • CX-30 ●価格帯:239万2500~371万3600円 (※特別仕様車除く)

  • CX-30

  • CX-30

 乗降時のハンデは如何ともし難く、後席を常用するファミリーユースならCX-30が圧倒的に有利。もっともCX-30は同クラスSUVではキャビンユーティリティは凡庸。一方、クーペ分類ならMX-30は実用性の優等生である。後席の使用頻度が低ければウェルバランス。NA2L車同士なら価格差も少なく、ドライバビリティやフットワークの洗練度や運転支援システムの充実を考えるなら後席乗降性を重視しない限りMX-30がコスパ高。

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之

提供元:月刊自家用車

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