新車試乗レポート
更新日:2018.10.28 / 掲載日:2018.02.27
新型ヴェルファイアで出かけた週末の1日

最初の目的地となった修善寺温泉は、道幅も狭くヴェルファイアには不向きな道だが、見切りの良さと良く切れるハンドリングもあり、特に苦労することなく立ち寄ることができた。
LTAの使い勝手は良好積極的に使いたくなる
予想を超える人気でトヨタ自身も驚いていると言うLクラスミニバン、アルファード/ヴェルファイア。その実力を確認するにはやはりロングドライブに出かけるのがいい。そこで今回はヴェルファイアで伊豆へショートトリップに出かけてきた。ちなみに筆者は伊豆の玄関口である三島市に住んでいるので庭のような場所だが、どうやら編集長がどうしても行きたい場所があるそうだ。 2月某日、スタート地点は筆者の自宅。連絡を受けて外に出ると「ハイブリッド エグゼクティブラウンジZ」が待っていた。「会社の役員は毎日こんな感じで迎えに来てもらって、颯爽とセカンドシートに乗って出かけるんだろうな」と思いながらスライドドアを開けると、2列目のエグゼクティブシートには編集長とカメラマンが寛いでシートに納まっている(笑)。開口一番、「シンヤさんは運転席ですよ」と。さっそく軽めのジャブをくらってしまった。「日本っぽい所で撮影しましょうよ」と言うカメラマンの一言で、修善寺温泉に向かうことになった。伊豆縦貫道では2世代目のトヨタセーフティセンスの機能であるACCとLTAと試す。ACCは以前とは雲泥の差で、「ドライバーだったらこうするよね」と言う自然な制御。LTAは白線認識率の高さや中央維持支援は積極的に使いたくなってしまうレベルである。 修善寺温泉に到着。温泉街の道幅は非常に狭くボディサイズは気になるものの、スクエアなボディによる見切りの良さとアイポイントの高さ、サイズの割には優秀な最小回転半径、そしてパノラミックビューモニターのおかげで取り回しに苦労することはなかった。
天城峠を抜けしばらく走ると有名な河津のループ橋にたどり着く。
それなりにカーブがキツいところだが、それをものともしないどっしり感には少々驚いた。巧みなチューンの賜物だろうか。
ワインディングは不向きかも?そんな心配はまったくの杞憂
第2の目的地は河津七滝方面、天城峠越えの道のりだ。ミニバンでワインディングは同乗者をいかに不快にさせないか……と言うドライビングが要求されるが、新型はそれが楽にできる。ステアフィールもクルマの動きもゆったり系ではあるが、以前のようにグラッと傾くのではなく、操作に対して素直に動く。また、足の動き(特にリヤ)もスムーズでストロークが増したような感覚で路面追従性もアップしている。これは構造用接着剤の使用箇所増によるボディ剛性アップと微低速域の動きにこだわった新バルブのショックアブソーバーの相乗効果だ。コントロール性が上がると、大柄なミニバンでも運転が楽しくなる。 河津七滝へ到着したのはお昼時、ここで「わさび園かどや」の名物「わさび丼」を食す。ここは人気ドラマ「孤独のグルメ」で有名になったお店だが、実は編集長の裏の目的地はここだったようなのだ(笑)。 わさびの刺激で目が覚めたところで、次の目的地は東海岸を南下して下田へ。ここで運転を代わってもらいエグゼクティブラウンジシートを試す。機能的にはMC前と変わっていないが、シートの剛性が高められており、振動やガタが減っているのが嬉しい。セカンドシート周りは若干フロア振動を感じるものの、オットマンを上げてしまえば気にならない。前後方向だけでなく上下方向も余裕があるので、解放感があるのも嬉しい。

半島南端の下田で記念撮影。当初はここで撮影終了を予定していたが、あまり良い絵が取れないということで延長戦が決定。西伊豆を目指すことになった。
ラバーバンドフィールは残るが高級車らしい味付けは強まった
下田で船をバックに撮影した後は、再びステアリングを握る。同行したカメラマンの「富士山バックで撮影したい」と言うリクエストで、西海岸から仁科峠を登ることに。仁科峠は道幅が狭い上に傾斜も厳しい。2・5L+モーターのハイブリッドはマイナー前と変更はないが、静粛性アップの効果によりエンジン音も抑えられ、高級車に見合ったフィーリングになっている。当然、マルチステージハイブリッドと比べるとラバーバンドフィールは残るが、キャラクターを考えればあまり気にならなかったのも事実だ。時間的に夕焼けのタイミングと重なり、富士山バックの素敵なカットを撮影して今回の旅は終了。 これまでヴェルファイアはセカンドシートが特等席と言われてきたが、今回の試乗で新型は運転席も特等席であることが分かった。形式的にはマイナーチェンジだが、個人的にはクルマの仕上がりと言う意味で言えば、高級ミニバンから大空間高級サルーンへと変わったくらいの変化を確認することができたのである。

絶景の富士山を求めて2時間ほど山道を彷徨った結果、ようやく満足できる場所にたどり着く。夕暮れの富士山をバックにメインカットを撮影し、往復約200km、6時間を超えるロングドライブはようやく終了。
提供元:月刊自家用車