新車試乗レポート
更新日:2018.11.11 / 掲載日:2016.07.21
アウディ A4 試乗レポート(2016.07.21)

アウディA4がフルモデルチェンジを受けた。今回の目玉は「MLB evo」と呼ばれる新世代シャシーの導入である。大幅な軽量化を果たし、さらに洗練の走りとダイナミズムを身につけた。
洗練度をさらに高めた新世代ミドルサルーン
今年2月に発表された新型アウディA4。その後アバントも追加され、アウディブランドの屋台骨ともいえるラインアップが充実した。このクルマが“屋台骨”であるのは明白で、アウディ80の時代から長きに渡り台数を稼いできた実績がある。累計1200万台以上というのは、一朝一夕に到達できる数字ではない。
そう考えると、アウディA4の強味は最先端のテクノロジーとデザインの美しさにほかならない。ミッドサイズセダンでありながら均整の取れた伸びやかなフォルムはライバルを圧倒する。その要因のひとつがサイズ。スリーサイズは4735×1840×1410mm。メルセデス・ベンツ Cクラスがおおよそ4690×1810×1435mmだから、まさにロー&ワイドかつロングノーズ。従来型もそうであったが、Cクラスよりも少し大きめという絶妙なサイズ設定はさすがだ。
そして、そのサイズでクラストップレベルの低い空気抵抗値0.23を達成しているのも見逃せない。昨今0.25~27あたりの数値を叩き出すサルーンは増えているが、この数値は珍しい。アウディ開発陣はアンダーボディとトランクリッドの造形にこだわった。トランクリッド最後部はリヤスポイラー機能を兼ね、ダウンフォースを稼いでいる。キュッと上がったヒップラインも個性的だ。
外観は一見して昨今のアウディファミリーといったもの。グリル形状はA6に近く、ヘッドライトはA8に近い。オプションのマトリックスLEDを装着すればまさにそんな雰囲気。ナイトドライブでヘッドライトのハイとロービームを繰り返し切り替えなくていいマトリックスLEDはまさに秀逸。見た目もそうだが、機能面でもあったらうれしいオプションのひとつである。

そして横から見るとボンネットが意外に長いのがわかる。これはエンジンを縦に置いているためのものだが、これによりスポーティさが際立っているのも間違いない。ちなみに、新型アウディA4のモジュラータイプのプラットフォームは“MLB evo”と呼ばれる。エンジン縦置きRWDを基調とするスポーツ系ミッドサイズモデルのためにつくられたシロモノだ。
エンジンは、すべて2L直4ターボ+7速Sトロニックという組み合わせ。ただ、これがFWDとクワトロでは異なるエンジンというのがなんとも興味深い。圧縮比を見れば一目瞭然だが、別モノなのだ。そこにどういう意味が隠されているのか定かではないが、アウディらしい凝った技術をそれぞれに用いている。
といった難しい話はここまでにして、乗った印象へ話を進めよう。試乗車は2.0TFSIクワトロスポーツだった。ちょうど雨だったのでクワトロの実力を発揮するのにいいシチュエーションと言えそうだ。まず感じたのは、クルマが軽いこと。サイズが大きくなったにも関わらず、スーッと軽快な出だしをドライバーに感じさせる。まさに大人2人分の減少。従来型も決して重いと感じるクルマではなかったのだから、その軽さは想像いただけるだろう。
それはハンドリングに直結し、リニアで手ごたえのある感触とともにスイスイと切り込むことができる。
クワトロシステムの印象は、4つのタイヤにトラクションが発生しているとは思えない自然さである。もちろん、精緻なトルク配分のコントロールがそうさせるのだろうが、この辺のサジ加減はアウディの専売特許かもしれない。1980年からクワトロシステムを育んできた彼らの英知が新型にも注入されている。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ アウディコミュニケーションセンター TEL:0120-598-106
Detail Check

パッと見大きな変更はないが、さらに洗練されたフォルムを持つ。写真はSラインパッケージ装着車。18インチの5スポークアルミホイールを履く。
コックピット
コックピット
スイッチ類を減らしたシンプルなダッシュボード。これは最近のトレンドだ。水平方向に伸びやかなラインを描くデザインが特徴。全グレード右ハンドルのみという設定。
シフトレバー
シフトレバー
7速Sトロニックのギヤボックスをコントロールするのがこのレバー。左手で握り小さく動かす。このグリップの形状に注目。
インテリア
インテリア
サイズアップされたキャビン。これまでより明らかに広くなった。新型ではシートの構造素材から見直された。高強度スチールとマグネシウムで従来型のシートよりも最大9kg軽くなっている。
エンジン
エンジン
同じ排気量ながらクワトロは252馬力、FWDは190馬力となる。後者は昨年発表された圧縮比の高い低燃費を実現したパワーユニットだ。
ラゲッジルーム
ラゲッジルーム
これまでどおりトランクスルーで大きなものまでしっかり積める。分割可倒式なので、3名乗車3バッグでゴルフ場へ行くのも悪くない。
外装(フロント)
外装(フロント)
特徴的なバンパーの形状を持つ新型A4。フロントには超音波センサー、レーダーセンサーなどが装備され、デザインと安全性を融合する。
主要諸元:アウディ A4 2.0 TFSIクワトロ スポーツ(7速AT・Sトロニック)
全長×全幅×全高 | 4735×1840×1410mm |
---|---|
ホイールベース | 2825mm |
トレッド前/後 | 1565/1550mm |
車両重量 | 1660kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1984cc |
最高出力 | 252ps/5000-6000rpm |
最大トルク | 37.7kg m/1600-4500rpm |
サスペンション前後 | ウィッシュボーン |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 225/50R17 |
全国メーカー希望小売価格(セダン)(発売 2016年2月)
A4 2.0 TFS(I 7速AT・Sトロニック) | 518万円 |
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A4 2.0 TFSI スポーツ(7速AT・Sトロニック) | 556万円 |
A4 2.0 TFSI クワトロ(7速AT・Sトロニック) | 597万円 |
A4 2.0 TFSI クワトロ スポーツ(7速AT・Sトロニック) | 624万円 |
Body Color
□アイビスホワイト ■ミトスブラックメタリック ■アーガスブラウンメタリック ■フロレットシルバーメタリック ■モンスーングレーメタリック ■タンゴレッドメタリック |
A4アバントも遅れてデビュー ワゴン好きにはぴったりの1台