新車試乗レポート
更新日:2018.10.19 / 掲載日:2011.08.18
フォード エクスプローラー 試乗レポート(2011年08月)

北米SUVのベストセラー全面改良で魅力をアップ
エクスプローラーがフルモデルチェンジされた
北米では圧倒的な人気を誇るモデルだけに日本でも注目度は高い。ボディのモノコック化がトピックだが、その実力のほどは・・・?
エクスプローラーがかっこよくなった。写真を見ればわかるようにFBIの護衛車風だ。要人のリムジンの前後を囲むアレである。これまでシボレーばかり使われてきたが、これからはひょっとしてこいつの出番もあるかも知れない。
そんな風に見える要因は厳つい顔と真っ黒なボディだが、実際にサイズアップしたことも関係する。これまでギリギリ5mに満たないところで進化してきたが、今回はそれを破った。スリーサイズは全長5020×全幅2000×全高1805mm。本国ではミッドサイズSUVとなるエクスプローラーだが、日本の感覚だとフルサイズに値する。
ただ、不思議なことに実寸とは違って車高だけは落ちたように見える。全体的な比率が変わったのだが、デザイン的な視覚効果のせいだ。ボディサイドのショルダーラインが高まったことで車体が薄く見える。結果、これまでのワイルドなオフロード4WD車テイストは薄まりアーバンSUV的となった。
そして、それはハードウエアからも感じ取れることができる。なんと今回は既存のものをすべて拭い去り、乗用車ベースとして生まれ変わった。ラダーフレームのボディはモノコックとなり、エンジン縦置きのRWDベースから横置きのFWDベースとなる。また、サスペンションもすでに四輪独立懸架ではあったが、このクルマではリヤサスをマルチリンクにしている。つまり、まんま乗用車的乗り心地と機動力を再現したのだ。

目的はオンロード走行での快適性や操作性の向上。つまり、日常使いにおいて、より扱いやすいものとしてステップアップした。もちろん、その背景には、ここ数年アメリカの地で台頭するヨーロピアンSUVの存在がある。モノコックや4輪独立懸架サスを標準と考える彼らと対等に勝負するには、それに見合った武器が必要だ。ただ、ここで間違えてはならないのはエクスプローラーが残してきた功績。ヨーロッパ各社がこれからSUVを開発するとき、ベンチマークとしたのはエクスプローラーだったのだから・・・。なんたってこいつはアメリカにおいて大の人気者。90年代は年間40万台以上売れていたビッグセラーであった。
新型エクスプローラーのトピックスはエンジンルームにもある。なんと従来型4.6L V8エンジンがカタログから消え、3.5L V6ツインカムがメインとなったのだ。これはリンカーンMKXに積まれる309馬力の3.7Lを294馬力にディチューンしたものだろう。要するにマスタングとも兄弟ユニット。吸排気それぞれに可変バルブタイミングを持つことで、排気量以上にパワーを生み出すフォードグループイチ押しのエンジンだ。
ちなみに、このあと遅れてもうひとつ別のエンジンが追加されることも決まっている。それはなんと2L直4ターボの“エコブースト”と呼ばれるもの。この車体をどれだけ快適に走らすのか興味は募る。
では、V6搭載のモノコックボディを実際に走らせた印象だが、これが思いのほか軽快。直線からのブレーキング、そしてコーナー出口での加速感になんら不足は感じられない。ただ、カラダの大きさはそれなりなので、多少のコントロールは必要。ロールは比較的抑えられるが、ステアリング操作でしっかり荷重移動しないと揺り返しが起きる。とはいえ、本来そんな走りをするクルマじゃなく、高速移動が得意分野。その意味じゃ大きなシートに包まれての走りは快適そのもの。気分はアメリカ横断ロングドライブである。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合せ フォードお客様相談室 TEL:0120-125-175
Detail Check
全長5mオーバーの堂々としたサイズ。それでもボッテリしたところはなくスタイリッシュに見える。ボディカラーは全部で3色。

コックピット
コックピット
まったく別物に生まれ変わったインパネまわり。8インチのタッチパネルやコントロールキーもすべて新世代のものとなる。ステアリング上のスイッチ、アナログメーター左右の液晶などもこれまでとは異なる装備。
インテリア
インテリア
シートは前から2対3対2の7名乗車。セカンドシートは60対40の分割可倒式で、跳ね上げることでサードシートへのアクセスを容易にする。サードシートにもカップホルダーや小物入れが備わるのがミニバン風。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
すべて畳むと広大なスペースが生まれる。ボディの拡大でかなり広くなった。サードシートは50対50の分割可倒式。上級モデルは電動でそれを動かせる。
エンジン
エンジン
3.5L V6 DOHCがメインとなり、これまでアメリカンSUVの代名詞だったV8エンジンは生産を終了した。高効率化の波はここまできている。
主要諸元:フォード エクスプローラー リミテッド(6速AT)
全長×全幅×全高 | 5020×2000×1805mm |
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ホイールベース | 2860mm |
トレッド前/後 | 1710/1720mm |
車両重量 | 2170kg |
エンジン | V6DOHC |
総排気量 | 3495cc |
最高出力 | 294ps/6500rpm |
最大トルク | 35.2kgm/4000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/マルチリンク |
ブレーキ前後 | ディスク |
タイヤサイズ前後 | 245/60R18 |
全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2011年5月)
エクスプローラー XLT(6速AT) | 440万円 |
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エクスプローラー リミテッド(6速AT) | 530万円 |
Body Color
□ホワイトプラチナム ■タキシードブラック ■スターリンググレイ |
モノコック化への大決断でドライブフィールは大幅アップ!
ピックアップトラックベースで開発されてきたエクスプローラーは長年ラダーフレームを骨格としてきた。が、今回はシリーズ初となるモノコックボディ。騒音や振動を抑え車内を快適な空間にするのが目的で乗り心地もよくなっている。しかもボディの一部にマグネシウムも使うなど、軽量化にも成功している。