新車試乗レポート
更新日:2023.03.06 / 掲載日:2023.03.06

【ランドローバー レンジローバー】新世代へと進化したブランドの最高峰

文●九島辰也 写真●澤田和久、内藤敬仁

 2021年10月にワールドプレミアされ、昨年1月に日本で発売を開始したレンジローバー。歴代モデルのDNAを引き継ぎながら最新テクノロジーが満載された。ブランド最高峰のモデルだけに手が込んでいるのは想像通りである。

新型レンジローバーのグレード構成

レンジローバー SV P530

 その最たるものは初採用のアーキテクチャー“MLA-Flex”だろう。電動化を視野に入れあらゆるパワートレインに対応できるよう設計された。その後登場したレンジローバースポーツも採用していることから、今後メインストリームになることは間違いない。かなりコストをかけてつくられているはずだ。

 パワーソースは、3リッター直6ターボディーゼルのマイルドハイブリッド、3リッター直6ターボのガソリンエンジンと高出力電気モーターを合わせたプラグインハイブリッド、それと4.4リッターV8ターボという設定。これまでの5リッターV8でないのがミソで、4.4リッターユニットはBMWから買い付けている。そしてさらに2024年にはランドローバー初となるBEVが追加される計画になっている。やはりブランド初はレンジローバーから始まるようだ。

 グレードを表すのはそれぞれのパワーとリンクしていて、300psのディーゼルはD300、440psと510psの2つの出力を持つプラグインハイブリッドはP440とP510、530psのV8はP530となる。そしてP440とP530にはショーファードリブンの3列シートを有するロングホイールベースが用意される。200mm長くしたロングホイールベースはホテルや空港送迎用としてグローバルで法人需要があるようだ。

デザインはシンプルで洗練され、空気抵抗も低減されている

レンジローバー SV P530

 そんな新型レンジローバーを目前にして思うのは堂々としたサイズと存在感。歴代モデルもそうであったが、それ以上に力強さを感じる。最近は5mを超えるSUVは少なくないが、サイズ以上の迫力だ。

 それでもデザインはとてもシンプルなのが新型の特徴。キャラクターラインは排除され、抑揚のある面構成で成り立っている。フロントヘッドライト、グリル、バンパーすべてそんなテイストで凹凸を感じさせない。この辺はデザインのトップ、ジェリー・マクガヴァン氏の真骨頂だろう。シンプルでミニマムな世界観だ。とても上品である。と同時に空気抵抗値0.30は素晴らしい。エアロダイナミクの向上もしっかり行われたわけだ。

ディーゼルエンジンの洗練度合いに驚いた

レンジローバー SV P530

 では実際に走らせた印象だが、D300とP530ロングホイールベースのステアリングを握ったところD300の仕上がりの良さに驚いた。よくガソリン車と比較されるディーゼル車だが、その違いが感じないのだ。つまり、振動、音の部分でディーゼルのネガティブポイントをうまく拭い去っている。ディーゼルエンジン特有のガラガラ音はまったく気にならない。

 それに貢献しているのが48Vのマイルドハイブリッドシステム。スタートや中間加速でモーターが絶妙にアシストすることでスムーズな走りを実現しているのだ。そしてスピードが上がってくるとディーゼルの力強さが顔を見せる。なるほど、この組み合わせは素晴らしい。アイドリングストップからのモーター始動、そしてディーゼルエンジンという流れが、騒音や振動のない上質なドライブを演出してくれる。

極上な乗り心地と新採用された後輪操舵による扱いやすさも魅力

レンジローバー SV P530

 乗り心地に関してはいまさら多くを語るまでもない。歴代モデル同等、いやそれ以上の快適さがある。エアサスペンションのセッティングは業界トップクラスであるのは間違いなし。ドライブモードをダイナミックにしてもゴツゴツ感はなく、それでいてしっかり路面を駆るフィーリングをドライバーに伝える。このさじ加減は秀逸だ。レンジローバーが快適でありながらドライバーズカーでもある証でもある。

 23インチというホイール&タイヤサイズもこのクルマの特徴となる。大径ホイールは見た目がカッコ良く、かつコーナリングスタビリティを高くすることができる。が、その反面乗り心地が悪くなるのが一般的だが、それをこのエアサスが見事に解消しているのだ。この仕上がりは本当にすごい。

 オールホイールステアリングの採用も付け加えよう。ステアリング操舵に対しリアタイヤも切れることで、この大きなボディがクルリと回転する。Uターンもそうだし、駐車場でも小回りが効くのだ。これは嬉しい装備である。

まとめ

 というのが新型の概要だ。すでにかなりの受注を受けているそうだから、納車まで長くかかるとか。なるほど今回も人気の高さはすごい。ただ、これだけではおさまらない。来年のBEVの追加やレンジローバースポーツの登場などこれからも話題は多いレンジローバーとそのファミリーである。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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