新車値引き情報
更新日:2024.07.26 / 掲載日:2024.07.26

X氏の値引き大作戦 ハリアーから40.7万円引き!

茨城のレジェンド!?が降臨! トヨタの大激戦区で大暴れ!! 歴代ベスト10の話術が炸裂!!!

【プロローグ】 小さい頃から自他ともに認める、大の“クルマ好き”です。趣味は新車のカタログ集め。長年の愛読書はもちろん月刊自家用車。とくに“黄色いページ”の大ファンで、これまで「私もX氏」には3回投稿して、3回とも満点の評価をいただいています。
 だから、値引き交渉には自信あり! 過去10台の新車を購入し、さらに家族や知り合いの代行商談も多数こなしていますが、すべてウルトラCクラスの値引きを獲得できたと自負しています。伝え聞くところによれば、茨城県の新車販売業界では“レジェンド”といわれているとかいないとか……(自慢しすぎだろ、喝!)。
 現在のトヨタSAIはもうすぐ10年が経過。調子は良好ですが、次の車検時にはタイヤとバッテリーの交換を含めて30万円ほどの出費は必至。それなら車検切れ前に買い替えたほうが得策と思って妻に打診すると、
「まだ乗れるのにもったいないわ。年金生活だし、物価高なんだから節約しないと!」
「あと何年生きられるかわからないし、ボケちゃったら運転できなくなるし……今のうちに買い替えないと……」
「いまだってボケ気味でしょ、免許、更新できないかもよ」
「お互いさまだよ」(時として芸能人やスポーツ選手の名前が出てきません)
 結局「自分のお金を使う」「商談はボケ防止になる」「クルマ大好きの孫が喜ぶ」などを力説して、なんとかOKとなりました。
 ジイジは頑張るぞ!

【交渉1日目】 私の住んでいる地域には経営資本の異なるトヨタの正規ディーラーが5社も存在し、営業所は10か所もオープン。当然ながら、片っ端から商談して同士討ちを仕掛ける作戦でいくことにする。
 まずはトヨタA店へ。いまでこそクラウンは全系列で取り扱っているが、以前はこの店の専売だったので「売り込みにも気合を入れてくるはずだ。いきなり好条件を出してくる確率が高い」と踏んで乗り込む。ところが予想外の対応だった。
「クラウンスポーツは発売したばかりなので値引きゼロ、クロスオーバーは5万円です」
 思ったより強気だ。どうやら(クラウンは黙っていても売れる)と思っているらしい。ちなみに、この時点ではクラウンが本命だったため、ハリアーの見積もりは取らなかった。
 日産にてエクストレイルをチェック。スタイルもサイズもいいが、1.5Lのエンジンではパワー不足なのではと感じた。大幅な値引きが取れそうだが、突っ込んだ話はしなかった。

【2日目】 下取り車のSAIを購入したトヨタB店へ。担当してくれたセールスさんは誠実でとても感じがいい。
「クラウンはほとんど値引きを出していません。でも、お付き合いのあるXさんなので駆け引きなしでいきます」
 提示してきた値引き条件はスポーツ=5万円、クロスオーバー=15万円。“駆け引きなし”にしては低調だ。SAIの下取り査定額は50万円。こちらも思ったより低い。

【3日目】 レクサス店へ。狙いはIS。クラウンとの競合を伝えるが、値引きの話はまったくしてこない……案の定、鉄壁のガードだが、セールスさんは紳士的な対応で好感が持てる。もしも「特別に10万円引きにします!」なんていわれたら、気持ちがグッと動きそうだ。

【4日目】 トヨタC店へ。ここでもクラウンの強気な姿勢は変わらない。
「スポーツもクロスオーバーも車両本体からの値引きはできません。そのかわりボディコーティング(12~13万円相当)をプレゼントします」

【5日目】 営業所を変えてみたが、スポーツは値引きゼロ、クロスオーバーは5万円引き。ここまで渋いと、クラウンへの気持ちが急激に萎えてくる。

【6日目】 トヨタC店と2回目の商談。相変わらず「ボディコーティングの無料サービス」のみだが、下取りに59万円の査定額を付けてきた。ただし、この程度ではまったく買う気にならない。
 続いてトヨタB店と2回目の商談。値引きは前回と同様だが、下取り額は68万3000円にアップ。ただし「これ以上は無理」とのこと。セールスさんの印象は悪くない。

【7日目】 トヨタB店はこれまで商談したなかでは条件が良く、セールスさんの印象も良い。3回目の商談を仕掛けた。
「思い切った条件を出してくれればクラウンの購入を本気で考えます」
「わかりました。相談させてください」
 奥に引っ込んで、しばらくして戻ってきた。
「すみません、もう本当に限界なんです。あとはナンバーフレーム(6710円)をサービスするくらいしかできません」
 交渉決裂……残念。
 レクサスと2回目の商談。「値引きはゼロでも下取り車を高取りしてくれるかもしれない」とひそかに期待したが、
「査定は45~50万円です。これ以上は無理ですね。うちはトヨタ系のディーラーとは違ってトヨタ車を高取りできません。買い取り専門店に持っていったほうが有利かもしれません」
「先日、知人の若い女性から『Xさんはレクサスがお似合い』なんていわれちゃってね、その気になっているんだけど……(笑)。値引きはどうなんだろう? やっぱりレクサスルールとかでゼロなんですか?」★セ「はい、申しわけありませんが、その通りです」
 やはり高値の花だった。


クラウン=取りつく島なし、レクサス=難攻不落の牙城

【8日目】 クラウンスポーツ&クロスオーバーはガードが堅すぎて、すっかり気持ちが冷めてしまった。かわりに浮上してきたのが、以前からひそかに憧れていたハリアーだ。こちらはクラウンとは打って変わって値引きが緩い。
 どこの店もいきなり20万円引きを提示してきて、さらに大幅な上乗せもききそうだ。しかも納期が3~4か月で、クラウン(半年待ち)よりかなり早い。
 そこで、本命をハリアーに絞ることにした。
 今回、初めて出向いたトヨタD店のセールスさんはとても誠実で「この人から買いたい!」と強く思わせてくれた。
 しかも売る気満々。最初の商談で、ハリアーの値引き40万円+下取り額60万円の合計100万円を提示。さらに「もう少し何とかしますので、ぜひお願いします!」と、ノリもいい。

【9日目】 トヨタE店へ。まずはSAIの査定を依頼する。
「下取り額は50万円です。ほかのトヨタはどれくらいの数字でしたか?」
「60万円という値を付けている店もありますよ。正直なところ、下取り+値引きの合計で100万円が最低ラインですね。これを超えないと脱落ということになります」
「なかなか厳しい数字ですね。でも、大丈夫でしょう。ただし、決めていただけるという前提がないと上司の許可がとれないので数字が出せません」
 とても感じのいいセールスさんだが、なかなか手ごわい。態度を保留して引き上げる。
 続いてトヨタB店へ。ハリアーに絞ったことを伝えて、トヨタ同士の競合を伝えると、
「わかりました。駆け引きはしません!」
 またまた出ました、“駆け引きしない”宣言(笑)。
 提示してきたハリアーの値引きは39万5000円。下取り査定額は67万円なので、合計は106万5000円。
「Xさん、これが精一杯の数字です。決めてください」
「申しわけないけど、もう少し検討させてください」
 ここでも態度を保留する。

【10日目】 トヨタA店へ。これまでの経過を伝えて、
「ハリアーに狙いを絞っています。他のトヨタでは値引き+下取りの合計が100万円を超えていますよ」
「そうですか……うちは合計60万円ですね」
 ありゃ!? 最後のチャンスを与えたつもりなのに、まったくのってこない。早々に退散。
 トヨタE店に乗り込む。この店は前回の商談で「合計100万円超は大丈夫」といっていたので、無理を承知で、
「合計120万円になるなら決めてもいいですよ」
「そこまではムリです。でも、110なら検討できますよ」
「検討できるってOKってことですか?」
「いやいや、この場で決めていただけるという前提がないと、上司に掛け合うことができないんですよ」
 う~ん……手ごわい。
 続いてトヨタD店へ。誠実度ピカイチのセールスさんが出迎えてくれた。前回の条件は合計100万円。
「先日の商談ではまだ上乗せができるみたいなこといっていましたよね。実は、別のトヨタも頑張ってくれていて、こちらか、それともあちらか? どちらかで決めようというところまできています」
「なるほど、わかりました」
「お得な条件を出してくれた店で契約しようと思っていますが、クルマ選びは数字だけでは決められませんよね。正直、セールスさんの印象ではこちらが勝っています」
「ありがとうございます! 頑張ります!」
 その場でノートパソコンをたたいて見積もりを作る。
 提示してきた条件は値引き約40万8000円、下取り65万円で合計額は105万8000円となった。
「別のトヨタと比べると、若干高いですね」
「わかりました。もう少しなんとかするように頑張るので、ぜひお願いします!」
「では、また来ます」
 トヨタB店とD店の一騎討ちとなりそうだ。

【11日目】 トヨタB店へ。前回提示してきた下取り+値引きの合計は106万5000円。
「ほかのトヨタでも同レベルの条件が出ましたよ」
「同じくらいなら、ぜひ当店で買ってください!」
「別の店ではまだ頑張るっていっています」
「うちはもう限界なんです」
「少しでも安くなるようなら他店で買います」
「すみません……本当に限界なので……」
「とにかく、他店の条件が出たら連絡します」
 馴染みの店なので、いざとなったら頑張ってくれると思っていたがギブアップのようだ。
 期待ハズレ、ガッカリ。


出たぁ! 秘密兵器デスノート 取った! 5万円+カニ+プラモ

【12日目】 いよいよ勝負の日だ。最終ラウンドのゴングが鳴る。判定勝ちではなく、鮮やかなKOで決めたい。
 トヨタD店へ乗り込む。
「今日は大安吉日ですね。期待して来ました」
「わかりました。もういちど見積もりを出してみます」
 提示してきた条件は値引き+下取りの合計額で108万7000円。付属品と諸費用を含めた支払い総額は425万円となっている。
「これでいかがでしょうか? 前回より3万円ほど上乗せしました。大安吉日の良き日です、決めてください!」
「……」
 ここで、私はこれまでの経過を記した雑記帳をおもむろに取り出して、数字をチェックしながら電卓をたたく。
「Xさん、本当にくわしく研究していらっしゃいますね。私よりわかっていることも多いようです」
「いやいや、数字の分析が好きなだけですよ……といっても学生時代、数学は苦手だったんですけど……」(笑)
「私も勉強になります」
「細かいことが気になるんですよね、『相棒』の杉下右京じゃないですけど……」(笑)
 しばらくして雑記帳とのニラメッコを終了。
「申しわけありませんが、ここでちょっと他店に連絡させてもらってもいいですか?」
「わかりました。どうぞ」
 商談のテーブルを離れて、トヨタB店の担当セールスさんに電話を入れた。
「大安吉日なのでハリアーに決めようと思っています。いま、別のトヨタで商談しているんですが、ちょっと中断して抜けてきました。B店さんの前回の条件は値引き+下取りで106万5000円でしたね」
「はい、そうです」
「この数字では決めることができません。このままではいま商談しているトヨタで契約することになってしまいます。でも、B店さんが上乗せしてくれれば、話は違ってきますよ」
「え~、あれが駆け引きなしの数字なんです。本当にもうムリ、もう限界なんです」
「じゃ、上乗せなしってことでいいですか?」
「はい、うちはあきらめます」
 あれ? 意外にあっさり降参してしまった。
 トヨタB店では下取り車のSAIだけでなく、妻のヴィッツも購入しているだけに、もうひと押しできると思っていたのだが……残念。
 商談の席に戻る。
「お待たせしました。では、ズバリといきます! いま、提示している支払い総額425万円を切りよく420万円にできませんか? OKなら大安吉日だし、契約しましょう!」
「ん~420万円ですか……私の一存では決められないので上に相談させてください」
「ほら、この通り今日は印鑑を持ってきていますよ」(笑)
「ありがとうございます。でも、いまは契約時、印鑑は必要なくなったんです。タブレットにサインだけでOKです」
「そりゃそうだね。いまどきハンコをちらつかせて値引きの上乗せを迫るなんて古い手だよね、失礼しました」(笑)
 セールスさん、離席。
 5分経過、10分経過……なかなか戻ってこない。なんと30分経ってようやく戻ってきた。
「すみません、なかなか厳しい数字なんで、時間がかかってしまいました」
「で、どうなりました?」
「420万円にできました! 契約をお願いします!」
「わかりました。最後に納車のときはガソリン満タンでお願いします」
「すみません、もうムリです。ガソリン満タンの代わりといってはなんですが、今日契約していただいた方には1万5000円相当のズワイガニをプレゼントします」
「ん~、弱いところをついてきますね……カニが食べられるとなったら、決めないわけにはいきませんよね」(笑)
「Xさん、実は、こちらからも最後のお願いがあるんです。トヨタカードに加入していただけませんか? これを条件になんとか420万円の決裁を取りつけたんです」
「う~ん……いいでしょう、加入します。その代わりハリアーのプラモデルをプレゼントしてください。孫が私に似てクルマ好きなんです」(笑)
「わかりました! Xさんも弱いところをついてきますね……お孫さんを出されたのではプレゼントしないわけにはいきませんよね」(笑)
 これにて一件落着。契約までの所要時間は約2時間だった。
 なお、注文書には車両本体とメーカーオプション12万6500円から37万6835円引き、付属品13万5245円から3万円引きで、値引きの合計は40万6835円。下取り額は当初の60万円から12万円UPの72万円となっていた。

⚫️購入データ
TOYOTA ハリアー
ハイブリッドZレザーパッケージ
From 茨城県
トータル値引き 40.7万円
値引き採点 5
車両本体とメーカーオプション12万6500円から37万6835円引き、付属品13万5245円から3万円引きで合計40万6835円。下取りは当初60万円だったが、最終的に72万円までアップ。




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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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