新車値引き情報
更新日:2023.12.26 / 掲載日:2023.12.26

X氏の値引き大作戦 新型アルファードは値引きゼロに受注停止!? 逆転の実質20万円引き超!

買い替え断念の危機、迫る。最後の1台消失まで30分。高取り競争を煽って起死回生

【プロローグ】 自他ともに認めるクルマ好き。もちろん月刊自家用車を愛読しています。なかでもX氏シリーズの大ファンで、これまで「私もX氏」に2回掲載(妻のN-BOXと次女のN-WGN)されています。さらに、5年ほど前にヴェルファイア(48.8万円引き)を購入したときは「値引き特報」に掲載されて採点5をいただきました。

 そのヴェルファイア(Z・4WD・8人乗り)の車検があと2か月で切れます。

 今回、車検を通すと、税金・自賠責・整備費用で12万円ほどかかりますが、これだけではすみません。6年目に入るので、夏タイヤ10万円+冬タイヤ10万円+バッテリー3万円も必要です。締めて35万円ほどの出費となるわけです。

 とはいっても、ヴェルファイアは休日専用として使用してきたため走行距離は2万kmほどで、すこぶる快調です。大きさ的にも我が家に最適。車中泊にも使い勝手がいいので車検を通そうと思っていました。

 そんな折、月刊自家用車やインターネットなどで「アル/ヴェル30型の中古車が異常な高値で取引されている」との情報が流れてきました。となると、我が家のヴェルファイアの価値も知りたくなります。

 参考までに近所の買い取り専門店で査定してもらうと、「とても丁寧に乗られていますね。ぜひ売ってください! 300万円で買い取ります」。

 え~、約400万円で購入したクルマが5年経っても300万円って、めちゃ高い! 電卓を叩いてみましょう。値落ちは5年間で100万円なので、1か月の償却は……たったの1万6700円。まさに驚異のリセールです。

 しかし、新型アルファード/ヴェルファイアが発売となったので、今後は30型からの買い替えが進んで中古車が増えるのは必至……となると、値下がりするおそれがあります。

 つまり今が売り時! 間違いありません(笑)。

 一気に買い替えに気持ちが動きました。妻に“売り時”を説明して「クルマ、買い替えていい?」と相談すると「えっ、300万円!そんなに高いの!? だったらOK!」(笑)。

 ともあれ、ヴェルファイアは新車ディーラーにも査定してもらって、買い取り専門店と比較することにします。

 我が家には妻のN-BOXがあるので買い物など“日々の足”には困りません。“通勤の足”は社用車があります。したがって「ヴェルファイアは車検切れ直前に引き渡してしまおう」と思っています。

 さて、クルマ選びですが、子どもたちが社会人になったので、「ミニバン系はもういらないかな」と思いつつ、妻と車中泊に出かけたときに使い勝手がいいので、やはりアルファード/ヴェルファイアを本命に選ぶことにしました。ただし、ランクル300とプラドにも大きな魅力を感じます。また“快速ワゴン”も大好きなので、レヴォーグも加えました。さらに、近々、発売されるというクラウンエステートも気になります。

【交渉1日目(土)】 スバル店A営業所にてレヴォーグに試乗しました。思い通りに加速し、思い通りに止まる。車中泊には少し狭い感じがしますが、走行性能は素晴らしい!

 ショールームにて商談開始。必要最小限のメーカーオプションだけを付けて見積もりを出してもらいました。ディーラーオプション(付属品)はいっさい付けないで買うのが私のやり方です。フロアマットなどはネットで購入します。もちろん「クルマは取りに来ます」といって納車費用はカット。

セ「お値引きは10万円です。Xさんの場合、付属品が何もないので、これ以上はできません」

「下取りはいくらですか?」

「一応、260万円とさせていただきますが、納車予定が6か月後なので、はっきりした額は提示できません。うちに下取りに出すより買い取り専門店に売ったほうがいいと思います」

「10万円引きでは我が家の財務大臣を納得させられません。この見積もりを見せたら買い替えが白紙に戻ってしまうかもしれませんよ」

「白紙になったら困りますよね。上司と相談してきます」

 結局、車両本体とメーカーオプションから20万円引きとなったが「これが限界」とのこと。

 スバル好きの私としてはどうも納得がいきません。そこで、同じスバル店のB営業所に出向いてみました。ここは24年前にレガシィを購入した店舗ですが、当時の担当者はいません。女性の営業さんと商談開始。

「以前レガシィBH5型に乗っていましたが、長く乗っても飽きのこないクルマでしたね」

「BH5はいいクルマでしたね! 私も乗ってました♪」

 しばらくレガシィ談義に花が咲く。いい感じになったので30万円台の値引きを期待したのですが25万円引きでストップ。下取りは270万円。納期はA営業所と同じ6か月でした。

 次はトヨタA店へ。応対してくれたのは年配の営業さん。

「ランクル300のオーダー、そろそろ再開しませんか? 半導体の供給不足も改善されてきたって聞きますけど……」

「すみません、まだ受注停止が続いています。納車まで何年かかるかわからないので、見積もりは出せないんです」

「プラドはどうですか?」

「これもオーダーストップです。近々、発売が予定されている後継車のランクル250をお待ちいただいています」

「クラウンエステートの発売はいつですか? そろそろ先行販売とか始まりませんか?」

「これもまだわかりません」

 候補にあげた3モデルはあえなく脱落してしまいました。


新型“値引きゼロ”の暴挙! 早くも受注停止に絶体絶命!?

【交渉2日目(土)】 再びトヨタA店に行きました。

 狙いは新型アルファードのガソリン車Zグレード。これにメーカーオプションのアドバンストパークとヘッドアップディスプレイを付けることにしました。リセール価値を優先するなら、ムーンルーフを付けたほうがいいかもしれませんが、過去の経験から「サンルーフって実際はほとんど使わない」ってことを知っています。それに「屋根に穴を開けて重量物のガラスを装着するっていうのが、車体の強度を弱めるようで気にいらない」ので、パスすることにしました。

「すみません、新型アルファードは発売とともに、お得意様から『買いたい!』という、ご希望がたくさん入っています。店舗によって割り当て台数が決まっているので、枠が取れるかどうかわかりません」

「それって『買えないかもしれない』ってことですか?」

「はい、そうです」

「う~ん……ともかく見積もりを出してみてください」

「わかりました」

 提示してきた見積もりには値引きの記載がありません。

「これって『値引きなし』ってことですか?」

「はい、新型はまったく値引きできません」

 月刊自家用車最新号の値引き情報には「新型は値引きゼロの暴挙?に出てくる」と書いてありましたが「いかに新型でも、そりゃないよね」と、たかをくくっていました。しかし暴挙っておきるもんなんですね。

 しかも「枠が取れるかどうか?」とのこと。かんぐりかもしれませんか、営業さんの口ぶりからは「既存客を優先して、私のような新規の客は冷遇する」みたいな印象も受けました。

 なお、ヴェルファイアの下取り額は「査定本では280万円ですが、丁寧に乗られているので290万円にします」とのこと。たった10万円の上乗せでは完全に予算オーバーです。

 続いて経営の異なるトヨタB店へ。ここでもやはり「値引きはできません」とのこと。下取り額は295万円。

 営業さんもノリがいいので、上乗せを狙って交渉に熱を入れようと思ったら、奥に引っ込んでなにやらゴショゴショやっています。戻ってきて、

「Xさん、すみません、たったいま初期生産分の枠がなくなりました。新型は受注停止です。現時点では再開はいつになるか、まったくわかりません」
 これまで何台も新車を買ってきていますが、こんなこと初めてです。「時代は変わった」と実感しました。

【交渉3日目(日)】 新型アルファードはあきらめて、レヴォーグに気持ちが傾いてきました。

 そこで、妻を連れてスバルへ。実は、妻もスバル車が大好きなので、とんとん拍子で話が進むと思いきや……レヴォーグの実車を見せたら、

「車中泊には向いてないみたい。狭すぎてやだな」

 隣に展示してあったレガシィアウトバックを見て「これなら良さそうだけど……」というが、日本では2.4Lターボ仕様が発売されていないため“速さ”を求める私がNG。

 結局、スバルは圏外に……。

 新型アルファードしか選択肢がなくなってしまいましたが、インターネットで調べると「あっという間に枠がなくなった」とか「抽選販売になった」といった情報が流れています。値引き交渉どころか、購入できるかどうかも、わからない状況です。せっかく財務大臣が了承してくれた買い替えなのに、あえなく断念となるかも……。

【交渉4日目(土)】 ついに切り札を出します。下取り車を購入したトヨタC店に乗り込みました。この店からはこれまでヴェルファイア20型と30型の2台を買っています。担当の営業さんに買い替えを申し出ると、

「ほかならぬXさんなんで、なんとか1台用意します。うちの営業所に残っていた最後の枠ですよ」

 おおっ、買えそうだ。
 例のごとく、付属品なし/納車費用カットで、見積もりをお願いしました。

「新型は値引きがまったくできないんですよ」

「では、下取り額を頑張ってもらいましょう。買い取り専門店では300万円が出ています。310万円くらい付けられませんか?」

「う~ん……そこまでは難しいですね。買い取り専門店に売ったほうがいいと思います」

「では、市販のナビTVキャンセラーとドライブレコーダーを持ち込んだら工賃無料で取り付けてくれますか?」

「なんとかします」

 我が家に戻って、妻に「なんとか枠が確保できた」と報告していると、トヨタC店の営業さんから電話が入りました。

「Xさんが帰ったあと、上司に報告したら『これまで2台も買っていただいている、お客様の下取り車に高値を付けないなんて失礼だ。ましてや『買い取り専門店に売ってくれ』なんていってはいかん』って怒られてしまいました」

「さすが、上司さん! わかってくれていますね」(笑)

「はい。上司の指示で、うちも高取り競争に参戦します。買い取り店の最終値がわかったら知らせてください。それより高くなるように極力頑張ります。ただし、枠を確保しておくのは限界があります。今日中に決めていただければ保証しますが、明日以降になると初期生産分が買えなくなってしまうかもしれません」

 よし、すぐに買い取り専門店をまわってみよう。いっぺんに業者を集めて入札をおこなう「オークション」を試してみたかったが、今回は時間がありません。トヨタC店の本日の営業終了時間は18時。タイムリミットは残り3時間半。


タイムリミットは3時間半! 実質値引き20万円の快挙!!

 まずは買い取り専門店Dに乗り込みました。駆け引きなしの限界値を引き出すために、最初から勝負をかけます。

「もうすぐ車検切れですが、車検を通すつもりはありません。びっくりするような買い取り額を出してくれたら、この場で引き渡してもいいですよ。書類も揃えてきました」

「査定本からすると280万円ですが、走行距離が少なく、状態もいいので、ぜひ引き取りたいです。具体的にいくらをご希望ですか?」

「無理を承知でいいますが、350万円なら、クルマをおいて歩いて帰りますよ」(笑)

「350は無理だと思いますが本部に聞いてみます」

 いったん奥に引っ込んで、しばらくして戻ってきました。

「いま出せるのは300万円です。でも、他店をまわって最後にもう一度来てください。それまでに本部に上乗せを掛け合っておきます」

 残り2時間半。
 次は買い取りE店です。

「うちでは305万円で買い取ります。でも、まだほかにも行くんですよね。最後にまた寄ってください。まだ頑張れれば頑張ります」

 残り1時間半。F店へ。

「こちらは我が家から一番遠い店なので一回しか来ません。もしも、納得のいく買い取り額を出してくれたら、ほかをまわるのはやめますよ」

「わかりました。一発勝負の金額を出します。ほら、これを見てください。オークションの相場は319万円となっていますが、うちでは320万円! これで売ってください!」

「約束通り他の買い取り専門店には行きません。ただし、この場から新車を購入する予定のトヨタに確認させてください」

 310万円で手を打とうと思っていたが、320万円が飛び出した。嬉しい誤算です。

 17時30分。トヨタC店の閉店まで残り30分。営業さんに電話を入れました。

「いま買い取り専門店にいます。320万円が出ました。これを超える額、出せますか?」

「320万ですか!? 凄いですね! 上司に確認するので少しだけお待ちください」

 10分後、折り返しの電話。

「許可をもらいました。車検切れ前に引き渡していただけるなら、同じ320万円にします」

「同じ金額で買い取り専門店さんを断るのはきついですよ」

「Xさん、下取りはなんとしてもうちに出してください! 上司は『下取りなしはありえない』っていっているんです」

「……う~ん……」

「では、1万円上乗せして、321万円にします!」

「わかりました」

【交渉5日目】 実印と印鑑証明を持参してトヨタC店へ。

「下取り、頑張ってくれましたね」

「実は、買い取り店には絶対に勝てないと思っていたんですが、上司から『負けるな!』との応援がもらえたので、頑張りました」

「トヨタの販売店はたくさんありますが、今回もあなたから買いたいと思っています」

「ありがとうございます」

「再確認ですが、ナビTVキャンセラーとドラレコをネット通販で買ってくるので無料で取り付けてくれますね」

「はい、まかせてください」

「ところで、納車はいつ頃になりますか?」

「すみません、はっきりした時期をお約束できないんです。ともかく来年7月までには必ず納車します」

「長い時間、待つことになるんで、その間ミニカーを眺めていたいですね。新型のミニカー、ほしいなあ~」

「わかりました。ミニカー、ご用意します」

 これにて終了です。

購入データ
TOYOTA アルファード
Z(4WD・7人・寒冷地仕様)
From北海道
トータル値引き 実質20万円以上
値引き採点 5
車両本体値引きはゼロだが、下取り車はまともに査定すると290~300万円くらいなので321万円は超・高取りだ。市販のナビTVキャンセラーとドラレコは無料で取り付けてもらえる。


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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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