新車値引き情報
更新日:2023.07.26 / 掲載日:2023.07.26

X氏の値引き大作戦 カローラツーリングを新型に買い替え! 破格の下取りで追い金ゼロに

絶対条件は“追い金ゼロ” X氏参戦で退路を断て! 復活作戦で奇跡を起こせ!!

【プロローグ】 それは1本の電話から始まった。

「隣の家が燃えてるの! どうしよう、どうしよう……」

 速攻で帰宅すると、ほぼほぼ鎮火していた。家族と愛猫の無事を確認し、ひと安心。被害は最小限ですんだ……と思いきや……。

 翌日、車庫で眠る愛車“カロツー”とご対面。凹みこそないが、明るいところで見ると、ボディに焼け染みや線傷多数、ガラス面やライト類の樹脂パーツにも影響が出ている。悲惨な状態にショックを受ける。

 幸い走行には支障がないので、早速、灰や煤を被ったまんまのカロツーをトヨタA店に持ち込んだ。事前に馴染みのサービスマン氏にTELしておいたので「Xさん、災難でしたね」と心配顔で出迎えてくれた。

「とりあえず洗車して灰や煤を吹き飛ばしてみてよ。ボディの焼け染みはしっかり磨けばきれいになりますよね」

「今までに経験がない事象です。高圧洗浄すると、かえって傷がつく可能性があります。一旦、クルマを預からせてください。保険会社に連絡して確認してもらいます」

 この日は代車で帰宅。
 なお、愛車は令和2年3月に購入したカローラツーリング・ハイブリッドW×B。月刊自家用車に交渉リポートを送ったところ、同年7月号の「値引き特報」に掲載された。獲得した値引き額は43.8万円(値引き率12.1%)で、採点は「5」をいただいている。

【交渉1日目】 数日後、トヨタA店から連絡が入ったので、説明を聞きに出向く。

「思ったよりダメージがありました。車両保険を使って修理すると約200万円かかります。保険会社によれば『もしも新車への買い替えをご希望なら50万円を代替費用として支払う』とのことです」

「え~、修理費用の200万円をそのまま買い替え費用として払ってもらえないの? たったの50万円じゃ買い替えなんてできないよ」

「修理費用の200万円は外装をほぼ新品状態まで修復した金額です。修理しないで下取りに出してもそれなりの査定額が付きます。Xさんが買い替えのために用意できる金額は保険会社からの50万円+下取り査定額ということになります」

「それにしても50万円は低すぎる気がするなあ」

「それについては保険会社と交渉すれば、もう少し上乗せできると思います」

 ともあれ、洗車済のカロツーを見せてもらう。灰や煤はきれいに落ちていたが、焼け染みや線傷などはしっかり残っている。想像以上のダメージだ。う~ん……どうしたものか……。

 ここで営業さんが登場。
「災難でしたね。今後のご相談をさせていただきます」

 “やり手”を絵に描いたような営業マンで、正直、ちょっと苦手なタイプだ。3年前、購入したときの営業さんは退社したため後任となった人で、どうやら買い替えの売り込みを仕掛けてくるようだ。しかし、この時点では修理して乗り続けようという気持ちが勝っていた。

「ここまでダメージを受けていると、200万円かけて完璧に修理しても事故車扱いとなるため、将来の下取り査定額は大幅ダウンとなってしまいます。修理するより保険金をもらって買い替えたほうがお得だと思います」

 さすが、やり手! 気持ちが大きく揺らいだ。
「わかりました。しばらく考えさせてください」

【交渉2日目】 年が明けたが、まだ迷っている状態で、初売りセールを実施中のトヨタA店に出向く。例のサービスマン氏が応対してくれた。

「修理しますか? それとも買い替えですか?」

「実は、自宅の修繕もあるので予算的に厳しいんですよね。でも、あれだけのダメージを受けたクルマに乗り続けるのも気が進みません。まだ悩んでいるんです。家のことが落ち着くまでもう少し時間をください」

「決まったらご連絡ください。修理させてもらえるなら、きれいに仕上げますよ」

 帰り際に初夢くじを引かせていただく。すると「大吉」を引き当てて、商品(大皿)をGET。挨拶に出てきていた担当の営業さんが嬉々として、
「Xさん、今年はいいことがありますよ!」

 大吉を引き当てたからというわけではないけれど、気分はもう買い替え(笑)。そこで、保険会社と再交渉する。

「代替え費用の保険金が50万円というのがちょっと納得いきません。低すぎるような気がしてなりません」

保「わかりました。もう一度、おクルマを見させてください。あのときは灰や煤を被ったままの状態でした。サラの状態で再査定してみます。結果は後日、お知らせします」


保険金が65万円もUP それでもゼロにはならん

【交渉3日目】 保険会社から連絡が入った。結果は代替の場合の保険金は115万円!

 いってみるもんですね。なんと65万円も跳ね上がった。
 こうなると、カロツーの下取り額が気になる。

 インターネットを通じて一括査定を申し込んでみると、どこの買い取り専門店も「カロツーのW×Bは人気車なので、ぜひとも欲しい! 目一杯の数字を出します」とのこと。修理しない状態で210~238万円という買い取り額が付いた。

 となると、保険金+買い取り額で350万円近い資金が調達できることになる。ただし買い取り専門店は「すぐに引き渡し」が条件だ。代車は1か月間しか借りられないため、すぐ返さなければならない。カロツーを売却してしまったら、マイカーなしの生活を強いられることになってしまう。通勤には使っていないが、買い物などの足がなくなるとやはり不便だ。

 また、あとわずかでカロツーの車検が切れてしまう。これも大きな問題だ。

 さて、どうしようか……そうだ、こういうときは月刊自家用車の電話相談室だ! 前回の購入でも松本師匠(こう呼ばせていただいてます)から的確なるアドバイスをいただいた。

 ちょうど火曜日だったのでダイヤルしてみると一発で繋がった。早速、お知恵を拝借する。

松本「保険金の115万円はかなり有利な額だと思います。火災によるボディの状態を考えると、買い取り店が提示している値段も割高とみていいでしょう。これだけの好条件があれば買い替えをお勧めします。値引き交渉をしっかりやれば、もっと稼げますよ。問題は現有車の車検切れですが、ボディを修理しなくても車検は通せるはずです。できるだけ安い費用で通したらどうでしょうか? もちろん車検を通せばその分、査定額は上がります。最近は新車ディーラーの査定額が買い取り専門店を上回ることもあるので、しっかり交渉してみましょう。新車ディーラーの場合、下取り車を納車まで乗っていられるとメリットがあります」

 さらに松本さんから「こういうケースでの買い替えの経過は月刊自家用車の読者にとって、とても参考になります。X氏としてリポートしてみませんか?」との提案もいただいた。

 以前から「いつかはX氏!」と思っていたので引き受けさせていただくことにする。これで退路は断たれた?(笑)

 早速、トヨタA店にて買い替えの見積もりを取る。相手は例のやり手の営業さんだ。

 対象は現有車と同じカローラツーリング。昨年秋にマイナーチェンジを実施し、新型となっている。ほかにも乗ってみたいクルマはあるが、カロツーをたいへん気に入っており、今回も迷わず大本命とした。

「Xさんはとても大切に乗っていたので、なにもなければ割高な下取り額を付けることができたのですが、火災によるダメージをマイナスすると査定額は180万円になってしまいます。マイチェン後の新型の値引きは最大限で37万円です。オプションや諸費用を含めた追い金は138万円になります」

「え~、保険金は115万円なので20万円以上の持ち出しとなってしまいます。これでは嫁さんの決裁が下りません。修理して乗り続けることになってしまいますよ。実は、買い取り専門店では200万円を大きく上回る値が付いています」

「そうですか、では、買い取り店で処分しちゃいましょう」

「買い取り専門店の場合、すぐに引き渡さなければならないんです。カロツーは納車までどのくらいかかりますか?」

「ご希望のハイブリッドの納期は半年くらいです。下取り額の180万円は納車まで据え置きとしますよ」

「納車まで代車を出してもらえますか?」

「それは無理です」

「20万円以上の持ち出しがあって代車もなしとなると嫁さんの承認が下りません。このままでは買い替えは難しいですね」

「下取りも値引きもこれ以上の上乗せは厳しいんです」

 あっという間に暗礁に乗り上げてしまったが、いったん“買い替えモード”に入ったら、気持ちを切り替えるのは難しい。

 そこで、以前から気になっていたマツダ3ファストバックとインプレッサスポーツの見積もりを取ってみたが、下取り額は150~170万円と、話にならない。やはりカロツーしかない。そこで、経営資本の異なるトヨタの販売店もまわってみることにした。


実質40万円超+高取り! 車検切れでも儲かった!?

【交渉4日目】 まずターゲットになったのはトヨタB店。ここからは過去にエスティマ2台を購入している。担当の営業さんは元柔道オリンピック選手の野村選手似の男前で、年代も近くて話が合う。まるで学生時代の友人のような感じだ。

 ところが、営業所に電話を入れると、年初にまさかの人事異動! 「つい先日、別の営業所に移った」とのこと。そこで、営業さんの携帯に電話を入れる。これまでの経緯を伝えて、

「買い替えモードにはなったんですが、問題は支払い条件です。予算に合わなければ修理することにします。なんとか新型カロツーに乗れるように頑張ってもらえませんか?」

「声をかけていただいたのは大変嬉しいのですが、私が赴任した営業所はXさんのお宅からちょっと距離があります。やはりご自宅に近い営業所で買ったほうが何かと便利ですよ。後任の営業マンを紹介しましょう。ぜひ商談してみてください」

「わかりました。では、今から営業所へ出向きます。橋渡し、よろしくお願いします」。

 早速、トヨタB店へ。商談スペースに案内され、お茶を飲んでいると、後任の営業さんが登場。温和で礼儀正しい。ただし、「眼鏡の奥の眼光は鋭い」ことに気がついた。相手のペースに巻き込まれないようにしなければ……初めましての挨拶もそこそこに、すぐさま商談開始。

「マイチェン後のカロツーの値引きは通常10万円です。出しても15万円くらいなんです」

「その程度だと、修理になってしまいますよ。私は買い替える気になっているのですが、妻から“持ち出し”禁止といわれているんです」
「Xさんには過去にエスティマを2台買っていただいた実績があるし、前任の担当者から『なんとしてもご購入していただくように!』との熱い申し送りもあるので特別な条件を出します。数日、お時間をください」

 さらに店長さんも登場して「ご納得いただける数字を出しますので、ぜひよろしくお願いします!」。期待しましょう。

【交渉6日目】 再びトヨタB店へ。提示してきた下取り額は215万円! A店に比べて35万円も高い。しかも「納車まで据え置きしてくれる」とのこと。値引きは38万円で、追い金は126万円とのこと。

「保険金は115万円なので11万円も上回ってしまいます。これがゼロにならないと、買い替えられません」

「4月になれば減税が正式に決まります。減税分を差し引けば追い金はご予算を確実に下回ることになります」

「なるほど。大筋では合意しますが、妻の決裁をもらってから決めることにします。次の土曜日が大安なので、この日、時間をあけておいてください」

「お待ちしています」

【交渉7日目】 翌日、トヨタA店に出向く。ひそかに大逆転を狙っていたのだが、

「前回の条件が限界です」

「あれ? 付属品を一品削ったのに負い金は下がりませんか? これだと逆に値上がりじゃないですか?」

「わかりました。付属品分は下げますが、もう目一杯出しているので上乗せはできません」
 結局、まったく進展なし。

【交渉8日目】 約束の土曜日、トヨタB店にて最終交渉。

「妻の了承が取れたので、今日は契約に来ました。スモークフィルム(3万円)とモデリスタドアハンドルガーニッシュ(1万7490円)を追加するので、値引きの上乗せをお願いします。前回の条件が38万円引きなので40万円オーバーを期待しています」

「う~ん……店長に相談させてください」

 しばらくして戻ってきた。
「Xさん、値引きの総額が40万円を超えると社内的に通らないんです。ドアハンドルガーニッシュを付けて値引きの合計は40万円以内に抑えさせてください。ただしフロントウインドウとアルミホイールのコーティングは無料サービスにします。スモークフィルムについては注文書には計上しませんが、納車直前に無料で施工します。これで追い金は124万円になりますが、減税の継続はほぼ間違いないので、確実に115万円を割りますよ」

「わかりました。ところで、ハイブリッドは納車まで半年くらいかかるそうですね。となると、待っている間に下取り車の車検が切れてしまいます」

「車検を通していただければ査定額に5万円プラスします。先日提示した下取り額は215万円なので、車検後は220万円となります。もちろん納車までお乗りいただいて結構です。ぶつけたり、傷を増やさなければ走行距離は不問ですよ」

「では、格安で車検を通して納車まで乗っています。納車直前に買い取り専門店と比較して下取り額より高い値が付いたら、売却もOKですよね」

「はい、かまいません」

 最後に店長さんが出てきて「本日はありがとうございます」と丁寧に挨拶される。

「ブランクはありましたが、また戻ってきました。今後ともよろしくお願いします」

 これにて終了。最終的な追い金は減税の適用と車検を通したことによって106万3220円となった。注文書に記載された値引き額は車両本体とメーカーオプション36万7400円から15万円、付属品(33万2420円)から24万8516円で値引き合計は39万8516円。下取り額は車検プラス分5万円とリサイクル預託金9440円を含めて220万9440円。なお、納車直前に複数の買い取り専門店に査定してもらったが、最高値で203万円しか付かなかった。つい最近、中古車バブルがはじけたため、相場はかなり下がったようだ。

 なお、車検はインターネットを経由して近所のガソリンスタンドで通した。かかった費用は税金/自賠責込みで4万9950円。楽天ポイント2500Pのオマケが付いた(笑)。

購入データ
TOYOTA カローラツーリング
ハイブリッドW×B
From埼玉県
トータル値引き 39.9万円
値引き採点 5
車両本体とメーカーオプション36万7400円から15万円引き、付属品33万2420円から24万8516円引きで値引きの合計は39万8516円(値引き率11.2%)。下取り額の221万円も破格だ。


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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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