新型車比較・ライバル車対決
更新日:2024.01.10 / 掲載日:2023.12.31

コンパクトSUVガチンコ比較! 有力6車のキャビン&ユーティリティ

コンパクトSUV見くらべカタログ

ヤリス クロス/カローラ クロス/キックス/ヴェゼル/CX-30/クロストレック

コンパクトSUVは、いま最も旬なモデルが揃っているカテゴリーのひとつ。どれを選んでもハイレベルな実力派が揃うのだが、どれがベストチョイスかはユーザー次第。そこで有力モデル6台を比べることで、ベストモデル選びをお助けしましょう。

●文:川島 茂夫

コンパクトSUV《キャビン&ユーティリティ》

サイズに制約があるだけに
各車の工夫に注目の価値あり

 レジャーに使うツールは、かさのある用具や荷物も少なくなく、箱物も多かったりする。それらを積載するに十分な容量まで求めると、コンパクトSUVでは少々荷が重い。クラス上のミドルSUVの方がレジャー適性は上だ。
 だが、あえてコンパクトSUVでそれを求めるならば、限られたスペースを上手に使い回すことが重要。ここがコンパクトSUV選びのキーポイントともいえる。
 使い回しの巧みさでは、ヴェゼルがトップクラスだ。センタータンクレイアウトによる荷室の低床化と、後席も座面のチップアップと前倒ダイブダウンの二通りの格納が可能。通常時の荷室容量もこのカテゴリーでは余裕がある。状況や積載荷物によって、いかようにも対応することが可能だ。
 なお、他の5モデルの後席格納はバックレスト前倒のシングルフォールディング式。ヴェゼルのように工夫を凝らしている方が少数派だ。
 クロストレックのキャビンは、トリムを除いてインプレッサと共通設計。キャビン後半部を絞ったショートワゴンスタイルは積載に関してはハンデになるが、荷室床面積はトップクラスの広さがある。丈のある荷物の積載は得意ではないが、床面の広さはかなりのゆとりがある。また、座面地上高はSUVとしては低めなので、セダン/2BOX系から乗り換えても乗降性や運転感覚の馴染みがいい。
 CX-30とクロストレックが多少分が悪いが、全体としては車体サイズとキャビン実用性が比例している。狙い所と要点が共通していれば当然だろう。
 インパネ周りの造形は6モデルとも乗用車的。これはSUV全体の傾向でもあり、コンパクトSUVに限ったことではないが、ここもまたベース車と同系統のデザインでまとめられている。ただ、日本デビューは2020年だが、海外では2016年に登場しているキックスは、他の5モデルに比べると少々古さを感じてしまう。現行ノートと比較すると世代違いは一目瞭然だ。
 インテリアの質感は車格設定に準じているが、プレミアムの演出ではCX-30がリードしている。CX-30は車体サイズの割りに居住性の余裕が少なめだが、ファンの心を捉える演出は上位モデルに通じるものがある。
 6モデルともACCは全車速型、LKAは走行ライン制御型を採用。もちろん、各社の車載ITにも対応している。最近採用車が多いパワーリヤゲートはクロストレックとキックスが非採用となっているが、装備設定はいずれもクラス最新と言っていいだろう。

TOYOTA ヤリス クロス

実用性向上の工夫はあるが後席&荷室の余裕はそれなり
 キャビン実用性でのヤリスからの主な改善点はふたつ。ひとつは後席ヘッドルームの拡大と閉鎖感の減少、もうひとつは荷室容量が増したことだ。座面高設定の違いもあって、後席のニースペースも若干拡がっているが、居住性は実用志向のスモール2BOX車相応だ。フル乗車で荷物が多い用途に使いたいならば、少し力不足な面があるのは否めない。

TOYOTA カローラ クロス

SUVボディを利したゆとりはあるがデザインは他のカローラ系と共通
 エクステリア以上にカローラ系へのこだわりを感じるのがインパネデザイン。上下方向に多少拡大されているが、基本デザインはカローラ系に共通するもの。室内長は他のカローラと大きく変わらないが、室内高は100㎜高く、上下方向のゆとりで居住性と開放感を向上させている。後席格納は6:4分割のシングルフォールディング式だ。

NISSAN キックス

インパネデザインが古めだが荷室の広さなど実用面に不足なし
 基本設計の古さを最も感じてしまうのがインパネデザインだ。ベース車の先代ノートからは意匠こそ大きく変えているが、埋め込み型のディスプレイや操作系は、一世代前の印象が否めない。後席格納は6:4分割のシングルフォールディングを採用。格納時の荷室との段差が大きいのは気になるが、容量自体は広く9インチサイズのゴルフバッグも積載可能だ。

HONDA ヴェゼル

フィット譲りの高ユーティリティ。実用基準ならば一番手といえる
 室内高はフィットよりも35㎜低いが、これはコンパクトSUVとしては平均的な違い。センタータンクレイアウトによる荷室の低床化や、2ウェイ後席格納などで、クラストップの多様な積載を可能としていることが大きなセールスポイント。インパネデザインは、最近のホンダ車のデザインの流れを汲んだもので、フィットとは趣が異なっている。

MAZDA CX-30

内装質感はクラストップ級だがアレンジ性能は平凡
車格やボディサイズを考えると、後席のレッグスペースにもう少し余裕が欲しくなるが、インテリアの質感は上級クラスにも負けないレベル。上級グレードともなると、インパネもシート周りもマツダ車に共通したテイストが与えられ、エレガントな趣が楽しめる。6:4分割のシングルフォールディング式格納など、実用面の機能はオーソドックスな設計だ。

SUBARU クロストレック

乗用車パッケージそのもの。背高な荷物には不向き
キャビンは基本デザインやレイアウト、寸法も含めてインプレッサと共通。室内高は比較6モデルの中で最も低い。SUVとしては座面高が低く、見晴らし感覚は乗用車的だが、それもあって200㎜の最低地上高にもかかわらず、乗降性に優れている。後席格納は6:4分割のシングルフォールディング式。平面寸法は十分だが、荷室高の余裕が少なめなのが難点だ。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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