新型車比較・ライバル車対決
更新日:2024.03.01 / 掲載日:2023.11.30

【コンパクトSUV】人気&実力派ベスト4徹底比較!

今が買い時! 選び時! 人気&実力派コンパクトSUVベスト4

◦カローラ クロス/◦ヴェゼル/◦CX-30/◦クロストレック

「今買うなら、このクルマで間違いなし!」そんなモデルを一挙紹介。今回はコンパクトSUVの注目モデルの魅力と買い得グレードをお教えしよう。

●解説:川島 茂夫

※カローラ クロスの写真は一部改良前のものを含む

《コンパクトSUV》注目4モデル

TOYOTA カローラ クロス

実用車「カローラ」のSUV
最新改良でさらに魅力アップ!

車名のとおりカローラのバリエーションであり、開発ではカローラ系統として納得できるこなれた価格も選ぶ理由のひとつになっている。特徴としてはSUVパッケージングを利したキャビンユーティリティにあり、高い全高を活かした開放的な室内や、荷室積載性の向上が図られている。4WD車はHEV仕様のみの設定で、後輪駆動系には誘導モーターを用いたE-Fourを採用するが、出力が小さいため性能的には生活四駆プラスαレベルになる。

HONDA ヴェゼル

多彩なシートアレンジを採用
全方位に優れる万能SUV

フィットと共通した基本ハードウェアから開発されたモデルで、センタータンクレイアウトなどスペース効率とキャビン実用性に優れた設計も見所になっている。全長はタウンユースにも手頃な4.3m強であり、低床の荷室と2ウェイの格納が可能な後席のおかげで生活用途とレジャー用途を巧みにこなす実用性を持つことも強みだ。4WDシステムはHEVもガソリン車も、電子制御カップリングを用いた機械式を採用している点も特徴だ。

MAZDA CX-30

使い勝手も考慮した設計を採用
ファミリーもメインターゲット

CX-3の上位モデルとしてマツダ3をベースに開発されたSUV。ファミリー層に向けてCX-3のウイークポイントだった居住性や荷室スペースの改善だけでなく、マツダの提唱する魂動デザインや人馬一体の走りの魅力を、さらに色濃く反映したモデルでもある。マイナーチェンジ以前はスカイアクティブX車もラインナップしていたが、現在はマイルドHVの2ℓガソリン仕様と1.8ℓディーゼルターボの構成。4WD車は電子制御カップリング式を採用し、主要グレードでFF/4WDの選択が可能だ。

SUBARU クロストレック

乗用パッケージのSUVながら
ラフロード適性は、クラスNo.1

車名を変更しているが、先代XVと同様にインプレッサと骨格を含む基本成型を共用したSUV。従ってキャビンや荷室は上級コンパクトクラスのままであり、200㎜の最低地上高を確保しながらアンテナを含まない全高は1550㎜となっている。パワートレーンはパラレル式ハイブリッドのみの設定だが、他社のマイルドハイブリッドに近い性能設定になる。FF/4WDが設定され、4WD車には悪路対応制御のXモードも設定。ラフロード適性の高さもセールスポイントだ。

チェック《走行性能》

アシの硬さは気になるが
CX-30はトップ級の実力

 オンロードに於けるファントゥドライブの魅力の訴求という点ではCX-30が一歩リードしているが、ベースとなったマツダ3がそうであるように、硬い乗り心地は少し気になってしまう。ただ、これもスポーティな味わいのひとつであり、ハンドリング性能、操る手応え感を重視するならば悪くない。

 他の3モデルのフットワークは、操縦安定性と乗り心地のウェルバランスを狙ったタイプ。同乗する家族や友人にも好まれる味付けだ。

 走りの質感や居心地の良さという面では、クロストレックが勝っている。操縦感覚にも、乗り心地にも適度な穏やかさがあり、路面からの細かな振動もよく抑えられている。さらにアイポイントが低めのため、車両挙動もSUVとしては少なく、これも落ち着きのある乗り味を求める向きには、好感が持てる要素になっている。

 車格的にはクロストレックと横並びとなるカローラクロスは、リヤサス形式が異なることもあって、FF車と4WD車で多少印象が異なる。しなやかさや、車軸周りの揺動感などは4WD車のほうが雑味が少なくしっとりとした味わい。ただ、クロストレックほど重みの効いた味わいではない。

 ヴェゼルは走りの質感の相対評価では、僅差ながら一番低くなってしまったが、他の3車と比較して車体サイズだけでなく車重も軽く、標準排気量も1.5ℓ級。つまり、車格的に1クラス下に位置する。重量の重みも効いてくる乗り心地や静粛性で、少し不利になるのは当然といえば当然だ。特に振動騒音は、音量というよりも、音質の差を感じる。操縦安定性と乗り心地のバランスは高レベルで、街乗りでは優しい乗り味、高速や山岳路で信頼感の高いハンドリング性能が際立つ。汎用性の高いことも美点のひとつだ。

 走りのもう一方の柱となる動力性能は、力感と燃費を両立していることで、カローラクロスのHEVモデルとCX-30のディーゼルターボが一歩リードする。

 カローラクロスはコントロール性を主眼とした穏やかなパワーフィールで幅広い速度域や走行状況で扱いやすいパワーと優れた省燃費性能を示す。トヨタのHEVらしい実践力重視の特性だ。

 CX-30のディーゼルターボ車は豊かなトルクを活かした巡航ギヤ維持力が高く、幅広い速度域で悠々とした力感を示す。ディーゼルとしては高回転の伸びが良く、ゆとりと操る手応えをうまくバランスさせている。

 ヴェゼルのe:HEV車はスペック以上に瞬発力の効いたドライブフィールを示すため電動の力を実感できるが、高速や山岳登坂では前記した2モデルほどの余力はない。また、クロストレックのe-BOXER車は、ペダル追従など洗練されたコントロール性は高く評価できるが、余力感や加速性能は2ℓNA車と大差ない。ライバルモデルのガソリン車との比較で優位に立てるくらいといえる。

カローラ クロス

リヤサスが異なるため4WD車のほうが洗練された乗り味だが、操縦安定性と乗り心地のウェルバランスは共通。ガソリン車もHEVも、ことさらスポーティではなく走りに刺激を求める向きには物足りないが、穏やかな走りは万人向けだ。

主要諸元(ハイブリッドZ FF)●全長×全幅×全高(㎜):4490×1825×1620 ●ホイールベース(㎜):2640 ●車両重量(㎏):1410 ●パワーユニット:1797㏄直4DOHC(98PS/14.5㎏・m)+モーター(70kW/185Nm) ●トランスミッション:電気式無段変速 ●WLTCモード総合燃費:26.4㎞/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●タイヤ:225/50R18

ヴェゼル

標準排気量は1.5ℓ。コンパクトSUVの中では軽量だが、ガソリン車は高速長距離では余力がない。e:HEV車は高速域でもガソリン車以上にパワフル。走りの質感は1.5ℓクラス相応だが、乗り心地と操縦安定性の両立する場所がかなり高い。

主要諸元(e:HEV Z FF)●全長×全幅×全高(㎜):4330×1790×1590 ●ホイールベース(㎜):2610 ●車両重量(㎏):1380 ●パワーユニット:1496㏄直4DOHC(106PS/13.0㎏・m)+モーター(96kW/253Nm) ●トランスミッション:電気式無段変速 ●WLTCモード総合燃費:24.8㎞/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソン式(F)車軸式(R) ●タイヤ:225/50R18

CX-30

オンロードにおけるファントゥドライブを求めたせいか、ライバルモデルと比べるとスポーツグレードのような乗り味。高速長距離適性に優れたディーゼルターボの魅力もあるが、硬めの乗り心地を許容できるかが、判断の分かれ目になる。

主要諸元(XD プロアクティブ FF)●全長×全幅×全高(㎜):4395×1795×1540 ●ホイールベース(㎜):2655 ●車両重量(㎏):1460 ●パワーユニット:1756㏄直4DOHCディーゼルターボ(130PS/27.5㎏・m) ●トランスミッション:6速AT ●WLTCモード総合燃費:19.5㎞/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●タイヤ:215/55R18

クロストレック

上位モデルのフォレスターに迫る悪路踏破性を実現しながら、オンロードでの安心感の高い操縦性や、刺激的な振動を抑えた乗り心地も備えている。HEVながら加速性能の上乗せが少ないことは泣き所だが、高レベルな走りの質感は魅力だ。

主要諸元(リミテッド AWD)●全長×全幅×全高(㎜):4480×1800×1575 ●ホイールベース(㎜):2670 ●車両重量(㎏):1580 ●パワーユニット:1995㏄水4DOHC(145PS/19.2㎏・m)+モーター(10kW/65Nm) ●トランスミッション:リニアトロニック ●WLTCモード総合燃費:15.8㎞/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:225/55R18

チェック《ユーティリティ&キャビン性能》

使い勝手はヴェゼルがリード
CX-30は少し分が悪い

 SUVで見逃せない魅力となるのがキャビンスペースだ。高い全高が当たり前のジャンルという前提で室内高を高く採っているモデルが多い。さらにレジャー用具の積載を意識したキャビン後端デザインなど、実用性向上のパッケージングとなるモデルが多い。言い方を換えるならSUVはパッケージング面としてはハイト系ワゴンでもあるのだ。

 そういったモノサシで量ると分が悪いのがクロストレックだ。インプレッサと共通骨格で室内高は比較モデルの中では最小となる。また、SUVとしてはキャビン後端の絞り込みも強めだ。

 逆に「寛ぎ」はあまり高く評価できないが、利便性が高いのがヴェゼル。居住性に影響する全長とホイールベースは4モデルで最小だが、センタータンクレイアウトによる荷室の低床化やチップアップとダイブダウンの二通りの格納が可能な後席のおかげで、日常用途から大物積載まで対応できる。ちなみに4モデルの中で後席格納時に床面が完全にフラットになるのはヴェゼルのみだ。

 カローラクロスは着座位置の高いカローラといった感じのキャビン。室内高も比較4モデルの中では最大になる。荷室は短いリヤオーバーハングによりワゴンのスポーツよりも奥行きが減少しているが、荷室高があるため、嵩のある荷物は積みやすい。

 キャビン実用性で最も分が悪いのはCX-30だ。キャビン実用性はCX-3に対するアピールポイントでもあるのだが、居住性や開放感は比較した4モデルの中では低い。魂動デザインを優先したためか、マツダ車は全般的にスペース効率が低めで、一回りとは言わないまでも狭く感じられる。また、荷室設計も要所は押さえているが、荷物の整理がしやすい形状とは言い難く、嵩のあるものは積みにくい。

 なお、装備面では安全&運転支援機能についてはドライバーモニタリングシステムなども用意するクロストレックがやや優位だが、どのモデルもちょっと贅沢な利便装備や、車載ITなどは一通り揃っている。いずれも申し分のない内容となっている。

カローラ クロス

カローラらしく派手な演出は控えめだが、キャビンも荷室も十分な広さで実用性もハイレベル。シートのアレンジ機能はヴェゼルには及ばないが、オールマイティに使いたおすことができる。

ヴェゼル

独自の低床構造がもたらす、余裕あるキャビン空間はヴェゼルの強みのひとつ。後席まわりは頭上も足元もゆとり十分で、ひとつ上のミドルSUVとも戦えるレベルだ。

CX-30

後席まわりのスペース拡大を狙った設計により、CX-3と比べるとゆとりは格段に上がっている。上級グレードの本革仕様は1ランク上のモデルとも戦えることも魅力だ。

クロストレック

荷室スペースはクラス平均だが、乗用車パッケージから発展したこともあって、比較4モデルの中では室内高は最も低い。前席の着座位置も低く、運転感覚はハッチバックに近い。

《結論》得意、不得意が分かりやすい4モデル。求めるニーズの見極めが重要

 コンパクトSUVと一括りにしたものの、キャラや得意な用途は四車四様。例えば悪路性能を基準にするならクロストレックが最有力候補だが、ファントゥドライブを優先したいとなればCX-30が魅力的だ。日常用途での取り回しや積載の多様性を求めればヴェゼルがリードするし、SUVらしいパッケージングやタウン&レジャーでのゆとりと燃費を重視するならカローラクロスがバランスがいい。得意技の異なる4モデルであり、ユーザー側の必要条件の優先順位が明確なら選び分けはそう難しくない。

 逆の言い方をするならSUVに求められる条件をバランスよく高水準でまとめたモデルが存在しないとも言える。それは今回の比較4モデルに限ったことではなく、コンパクトSUV全般に言えることだ。アウトドア志向で汎用性の高いモデルを求めるならミドルSUVにクラスアップしたほうが無難だ。

 ただ、適不適があるからコンパクトSUVは個性的で面白い。必要条件の優先順位を踏み外さなければコスパも良好。そういったコンパクトSUVの在り方の代表がこの4モデルといえるのだ。

《オススメグレード》

カローラ クロス

ハイブリッドS(FF) 298万円
4WD車を狙いたいが、悪路性能は生活四駆プラスα程度。ハイトワゴンとしてFF車を選ぶのが賢明。予算に余裕があるならば実用燃費にも優れたHEVを狙いたい。

ヴェゼル

e:HEV X(FF) 277万8600円
同じ1.5ℓでもe:HEVの動力性能はガソリン車の1ランク上。燃費だけでなく高速や山岳路での余裕を考えてもe:HEVが無難。タウン&レジャーならFFで十分だ。

CX-30

XDブラックトーンエディション(4WD) 350万2400円
ロングドライブが多いユーザーなら余力と燃費の面からディーゼルターボ。専用の内装仕様&安全装備も充実するため、価格は少し高くなるが、プレミアム感を優先したい。

クロストレック

ツーリング(4WD) 288万2000円
FF車も選べるようになったが悪路性能が売りであり、選ぶなら4WD車。プレミアム装備を重視するならリミテッドだが、実用優先ならツーリングにOPをプラスしていくのが良い。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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