車の最新技術
更新日:2026.04.20 / 掲載日:2026.04.20
CR-Vに搭載された最新技術がもたらす価値【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●ホンダ
2022年に北米で登場しながら、日本導入は4年後の2026年となったホンダCR-V。日本ではボディサイズの大きさからZR-VをSUVのフラッグシップとしていたが、トヨタRAV4やスバル・フォレスターの人気を背景に改めて導入に踏み切った格好だ。

パワートレーンはお馴染みのハイブリッドシステムである「e:HEV」だが、今回のCR-Vには新しいメカニズムが盛り込まれている。まず従来は同軸配置だった走行用モーターと発電用モーターを平行軸配置とし、レイアウト自由度の拡大と、モーター性能の強化を実現。
さらに、両方のモーターで1つのギアを共有していた従来に対し、それぞれに最適なギアレシオを設定することが可能になり、動力性能と燃費性能の両立を図っている。
すでにアコードで採用されていた平行軸配置だが、CR-Vで初採用となったのが“ロックアップロー(低速直結クラッチ)”だ。これもレイアウトの自由度拡大によって可能になっている。
そもそもe:HEVはエンジンが発電し、モーターで駆動するシリーズ・ハイブリッドを基本としているが、クラッチの切り替えによってエンジンが直接駆動するエンジンドライブモードを持つのが特徴。高速域ではモーターよりもエンジンのほうがエネルギー効率に優れるため、約70km/h以上の巡航時に作動して燃費性能を向上させていた。

CR-Vは、牽引性能が重視される北米向けに低速用を追加して直結領域を拡大。それが“ロックアップロー”と呼ばれるものだ。牽引性能だけではなく、市街地や郊外路でも活用することで走行性能や燃費を高める効果があるという。
負荷の少ない平地や下りではこれまで通り電動主体だが、登坂など高負荷の場面で“ロックアップロー”で走行することが多いという。ちなみに“ロックアップロー”は3速相当、従来からある“ロックアップハイ”は5速相当のギア比であるという。
エネルギーフローのメーターを見ながら走らせてみると約40km/hでエンジンドライブモードに入ることが確認できる。約70km/h以上でも従来通りにエンジンドライブモードに入り、幅広い速度域で活用されているのがわかる。
決まった速度や負荷で必ずしも入るわけではなく、バッテリー残量などを考慮しながら、モーターのみでのEV走行、モーターとエンジンが同時に稼働するハイブリッド走行、エンジンが直接駆動する走行と切り替えている。頻繁にモードは切り替わっているが、エンジンの停止・再始動以外は乗員がそれを意識することはない。システムは人知れず最高効率を追い続けているのだ。

エンジン音にしてもかなり静かなので、停止・再始動が耳障りではないのもCR-Vの特徴。音や振動を減衰させるノイズリデューシングホイール、エンジンマウントのジオメトリー変更による振動低減、さらにスピーカーを活用したアクティブ・ノイズ・コントロールなどが採用され、ハイレベルな静粛性を実現しているからだ。
日常的な走行ではモーター駆動ならではの静粛性高さで洗練された雰囲気ながら、アクセルを踏み込んでいくとエンジンが存在を主張するのも面白い。
一定以上の負荷がかかった加速時には、有段ギア車のように速度とエンジン回転がリニアに伸びていき、シフトチェンジしていく“リニアシフトコントロール”によって、スポーティなフィーリングが味わえる。エンジン回転が一定のほうが燃費効率は良さそうなものだが、幅広い回転域で高効率なエンジンだから燃費をほとんど落とすことなく、フィーリング向上が可能になっているのだという。
シャシーは快適性と操縦安定性を高い次元で両立している。2022年登場のモデルだからといって古さを感じさせるどころか、じっくりと熟成された良さがあるのがCR-Vなのだ。