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更新日:2022.07.08 / 掲載日:2022.07.07

CX60正式発表【4】メカニズム&装備/結論

マツダの“次”を占う新世代SUV「CX-60」。
その国内仕様車の全貌が明らかになった。
予想以上の性能と魅力十分な価格設定、
相当な人気を集めるのは間違いなさそうだ。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

MAZDA CX-60『メカニズム&装備』

走りの魅力を向上させる
マツダ初の新技術も充実
 サスペンションは前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンク式を採用。ロードスターと同形式であり、マツダとしては手慣れた組み合わせだ。また、コーナリング中に後内輪に軽制動を加えてリヤリフトの減少やロール安定を向上させるKPCも全車標準採用される。
 ディーゼルのMハイブリッドとガソリンPHEVはともに2クラッチ型のパラレル式を採用。モーター/ミッション間のクラッチを大容量化してトルコンレスとし、伝達効率と小気味よい変速感の向上を図っている。なお、ミッションは全車とも新開発の8速ATを採用している。
 CX-5/8に対して排気量1.1ℓ増でしかも6気筒というディーゼルターボの燃費が気になるところだが、ピストントップの形状変更による燃焼の均一化等の改良により、燃費面でも従来の2.2ℓ4気筒に勝る。WLTC総合モード燃費では同等車重のCX-8を2.9㎞/ℓ、200㎏近く軽量なCX-5比でも1.7㎞/ℓ上回る18.3㎞/ℓを達成。WLTC高速モード燃費は20.4㎞/ℓであり、長距離派には魅力的だろう。
 4WDシステムには多板クラッチ式電子制御型を採用するが、FRなので主駆動輪は後輪。スポーツ性能でポテンシャルの高いFRだが、4WDによる悪路対応力向上にもかなり有利なシステムだ。
 安全機能では人事不省に陥った時の自動制御による停車とSOSコール、周辺死角障害物をドライバー視線でモニターに映し出すシースルービューなどを採用しているが、中でも興味深いのは自動ドライビングポジションガイド。顔認識および顔位置、身長によりクルマ側が最適ドラポジを提案(シートセット)。筆者の場合は多少の修正が必要だったが、個体差レベルで収まっていた。適切な運転には最適な姿勢とドラポジにこだわるマツダらしい機能だ。

パワートレーン

e-SKYACTIV PHEV

2.5ℓ直4ガソリンNA+モーター、バッテリーで構成されるPHEVシステム。トランスミッションは8速ATとの組み合わせ。大容量バッテリーを搭載し、走行時の回生充電に加えて、外部充電機能(普通/急速)にも対応。家電機器への給電機能も備える。一般道路はモーター駆動が主体となるが、バッテリー充電が一定以下になった場合とモータートルクを超える加速が求められた場合は、エンジン駆動も積極的に用いる制御が与えられている。

e-SKYACTIV D

3.3ℓ直6ディーゼルターボ+モーター、バッテリーで構成される48Vマイルドハイブリッド。バッテリー容量はPHEVには及ばないが、回生充電を積極的に行うことで、電動走行領域の拡大が図られている。アイドリングから低速域の軽負荷領域でモーターアシストを多用する制御を採用したことで、燃費&環境性能の向上も期待できる。

SKYACTIV D 3.3

既存の2.2ℓディーゼルターボに対して排気量を拡大。余剰空気を燃焼改善に用いることで、加速レスポンスを向上。さらにリーン燃焼領域を拡大することで熱効率向上に伴う、燃費性能も強化している。エンジン構造を簡素化することで、エンジン重量を従来の4気筒エンジン相当に軽量化していることも特徴。

8速オートマチックトランスミッション

全モデルに搭載される新開発8速ATを採用。多段化&ワイドレンジ構造に加え、トルクコンバーター制御をクラッチ制御に置き換えることで、エンジン&モーターのトルクをダイレクトに伝達し、MT車のような駆動伝達とリズミカルな変速を実現している。

i-ACTIV AWD

CX-60から導入が始まった、マツダ初となる縦置きプラットフォームに対応する電気制御多板クラッチ式AWD。後輪駆動の優れた走行特性の魅力はそのままに、雪路や泥路での走行安定性を手に入れている。

プラットフォーム&ボディ

FRプラットフォーム

エンジン/モーター/トランスミッションを同軸上に搭載できるメリットを持つ新開発FRプラットフォームを採用。エンジンは縦置きに配置される。走行性能の向上に加えて汎用性の高い設計が可能になることも美点。画像はPHEVモデルだが、フロア下のスペースにバッテリーを格納することで、低重心化も実現している。

高剛性ボディ

各部のボディ剛性を見直すことで、ドライバーの操作に対するクルマの動きを実感できるボディを実現。フロントサスはダブルウィッシュボーン式、リヤサスはマルチリンク式。より安定した旋回姿勢を実現するキネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)など、マツダ最新の車両制御技術ももちろん全投入されている。

ドライビング・パーソナライゼーション・システム

エレキシフト

電子制御化(バイワイヤ化)したシフトシステム。前進はレバーを後方に、後退はレバーを前方、走行→停止はレバー左右に動かして操作を行う。「MiDrive」には新たにEVモードとトーイングモードも追加。

ドライバー異常時対応システム

ドライバーモニタリングによりドライバーの状況を監視し、異常時には迅速に減速・停止を自動で行う。その後の緊急通報にも対応している。

オーディオシステム

マツダコネクト

●新型CX-60主要装備比較/ボディーカラー/シートマテリアル

結論/CX-60ベストバイのグレードは?

ベーシックグレードの価格はリーズナブル。今年後半の台風の目になるかも
 予想外だったのは価格。CX-8中堅グレード以上と横並びくらいで最廉価仕様が1モデルとはいえ300万円を切るとは思わなかった。装備ベースで比較してもCX-8よりも安価。プラットフォームやミッションを新規開発しているにも関わらずの価格設定だ。人事不省対応の安全機能や顔認証などはFF系への展開で元を取ることもできるだろうが、シャシーとパワートレーン関連は相当数売らないと厳しいのでは、と心配してしまうほどだ。
 FRと新規開発ハードウェアの実効性がどれほどのものかにもよるが、FRならではのしなやかなリヤサス使いによる乗り味やトルク変動の緩衝、6気筒の精度感や滑らかさなどが額面通りに活かされているとすれば走りのプレミアム性を求めるユーザーには相当なコスパをもたらすと予想される。ファントゥドライブに振りすぎてプレミアム感を損なう可能性も否定できないが、カタログを見ても大人のプレミアム押し。期待大の新人である。

おすすめグレードは?

XD Lパッケージ(4WD)

パワートレーン別の価格差が大きく、求める性能次第だが、装備基準で考えるなら25S系、性能のゆとりをコスパで量ればXD系だ。25Sに比べると約60万円高だが、その価値は十分。グレードはLパッケージ。バランスがいい。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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