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更新日:2022.07.12 / 掲載日:2022.07.08
CX60正式発表【5】マツダSUV選びの新基準
予想以上に戦略的な価格に設定されたCX-60。
他のマツダSUVとの価格差もかなり小さく、
選ぶグレードによっては競合関係が成立するケースも十分にありそうなのだ。
●文:川島茂夫
CX-60の登場でマツダSUV選びはどう変わる?
価格もキャラもかなり近い
CX-5がライバル筆頭
別項でも述べているように魂動デザインと人馬一体の求めているものの実現に最適なプラットフォームはFRであり、どちらかといえばFFで展開するほうがアンバランス。そういった点でFR系こそ魂動デザインと人馬一体の本流になると思われる。もっとも、コンパクトな車体にFRではスペース効率面では二重苦になってしまうので、コンパクト系はFFで稼いだゆとりを使って魂動デザインを展開することになるのだろう。
FF系とFR系のオーバーラップクラスになるのがCX-5とCX-60。CX-60はFRによりリデザインされたCX-5と言い換えてもいい。しかも、2.5ℓ/4WDのLパッケージ同士の価格差は約21万円。ATが8速化されていることもあって燃費でもFRのハンデなし。ディーゼル車になるとエンジン気筒数と排気量の違いもあって価格差は50万円弱になってしまうが、車格や動力性能や燃費を考えると納得できる価格差だ。165㎜長い全長が気にならなければ、CX-5と代替に十分な内容だ。
一方、CX-8のガソリン2.5ℓ同グレードとの価格差は約60万円安。全長もCX-8が一回り大きく、ロングキャビン設計による3列シートの採用により1クラス上のキャビン実用性を備えている。実用要件から3列シートのCX-8を求めるユーザーにとってはCX-60は代替とならないが、ゆったりとしたワゴンプロポーションが醸し出す上級感はプレミアム性を求めるユーザーには悩ましい部分。CX-60と並べても格上の印象を受ける。ただ、走行ハード面では一世代古いのは否めず、スペックを比較しても性能や走りの質感比較になった場合は下克上となる可能性も高い。
48VのMハイブリッドやPHEVシステムについては縦置FR用ミッションとのセットとなるため同様システムのFF車への展開は読み辛く、当分の間はFR系専用となる可能性が高い。CX-60のラインナップでも標準ディーゼルに対してMハイブリッドが約60万円高、PHEVは標準ガソリン車の約200万円高。標準系はCX-5とCX-8の中間、ハイブリッド系はCX-8の上位設定と考えれば理解しやすい。
FFとFRの2系統になっても魂動デザインと人馬一体を柱にするかぎり、例えばFF系をスペース効率優先にシフトするような大きな変化はないと思われる。FRプラットフォームの導入は魂動デザインと人馬一体の純度向上あるいはステップアップ。CX-60はその象徴的な存在と言えよう。
CX-5
サイズも価格もかなり近い存在
2021年11月にアウトドアイメージを取り入れた「スポーツアピアランス」「フィールドジャーニー」を追加し商品力を強化。ボディサイズと価格に加えて、パワーユニット(2.5ℓガソリンNA)設定も近い。最も大きな影響を受けるモデルになりそうだ。
CX-8
3列シート車が選べるのはCX-8だけ
将来的にはCX-60の3列シート車(CX-80)が投入されるのは確実だが、現時点で3列シートが選べるのはCX-8だけ。CX-60が登場するまではマツダSUVのフラッグシップを担っていたが、今後はその座を譲ることになるだろう。
CX-30
走り重視ならば選ぶ価値はある
マツダ3をベースに開発されたコンパクトSUV。車格的にはCX-60の1つ下のモデルになるが、上級パワートレーンのスカイアクティブX車ならばCX-60とも十分戦える実力がある。ただ、価格の設定が高めなのが難点だ。
MX-30
個性の強さは圧倒的にナンバー1
シャシーやパワーユニットはCX-30をベースとするが、マツダ初のBEVの設定や観音開き型ドアを採用した独特な4ドアボディ、天然コルク材を用いたインテリアなど独自の工夫が光る。個性派揃いのマツダSUVの中でも異色のモデルだ。
CX-3
マツダSUVの末っ子モデル
マツダ2のプラットフォームをベースに開発したコンパクトSUV。マツダSUVの入門モデルになる。パワートレーンは1.5ℓガソリンと1.8ℓディーゼルターボだが、操る楽しさやファントゥドライブの魅力は、上位SUVに負けていない。