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更新日:2022.04.01 / 掲載日:2021.11.25

【スバル 新型WRX S4】STIスポーツRの出来栄えをサーキットでチェック!

文●大音安弘 写真●スバル

 スバルは、2021年11月25日、スポーツセダン「スバルWRX S4」を発表した。従来型WRX S4は、2021年1月後半をもって受注を終了しており、今年9月10日、グローバルモデルとなる新生「WRX」シリーズの北米仕様がお披露目されていた。新型車は、その日本仕様となり、日本での新WRXシリーズの幕開けを意味するものだ。日本でも多くのクルマ好きから愛されたスポーツセダン「WRX S4」の進化の特徴をお伝えしよう。

スバルが目指す「The Fun to Drive with AWDパフォーマンス」の頂点

新型WRX S4

 新型WRX S4は、スバルの新生代プラットフォーム「SGP(スバルグローバルプラットフォーム)×フルインナーフレーム構造」を取り入れた新生代モデル初のスポーツセダンだ。その素性の良さは、既に新プラットフォームを取り入れた新型レヴォーグで、プロだけでなく、ユーザーからも大きな評価を受けており、初代同様に人気車の位置を守り続けている。その高剛性かつしなやかな走りを実現するボディ構造をセダン化することで、更なるシャシー性能の向上が図られているのが、新S4のポイントといえる。またボディを鍛えたことで、より足回りにしっかりと仕事をさせることも可能となり、サスペンションのロングストローク化など、乗り心地の向上に力を入れている。そして、時代のニーズに応えるべく、スバルの先進安全運転支援機能「アイサイト」の最新仕様の全車標準化に加え、高度運転支援機能となる「アイサイトX」搭載車も用意する。つまり、快適性と高性能を両立した大人のスポーツセダンへと鍛え上げられているのだ。

 かなりアグレッシブとなった新スタイルだが、その基本となるのが、スバルの新世代デザインコンセプト「BOLDER」だ。その魅力は、セダンよりもオーソドックスなセダン風味が弱まり、力強くスポーティなデザインに仕上げられたことにある。新世代デザインは、レヴォーグを始め、他のスバル車にも取り入れられているが、特筆すべきは、スポーツセダンでありながら、SUVなどで多用される無塗装の樹脂製フェンダーモールを装備していること。これがブリスターフェンダーを強調するアイテムとして活用されており、ラリーやレースで活躍するWRXとモータースポーツの結びつきを感じさせる要素にもなっている。このデザインのコンセプトは、2017年の東京モーターショーに出展された「VIZIVパフォーマンスコンセプト」を商品化したものだが、その雰囲気を良く実車に反映されており、当時から次世代WRXの姿や方向性がしっかりと固められていたことを伺わせる。デザインの特徴としては、ロアグリルやフェンダーモール、サイドスカート、ディフューザー一体型リヤスカートなどの下回りの部分を無塗装の黒仕上げとすることで安定感を強調。さらに水平対向エンジンの存在を訴える低いノーズとインタークーラー用のエアインテーク、大径タイヤを収めるブリスターフェンダー、クーペライクなリヤガラスエリアなど、スバル独自のスポーツモデルであることを一目で意識させる要素が随所に盛り込まれている。またブラック仕上げの樹脂部は、空力テクスチャーを取り入れた操安性を高める機能パーツでもあるのもスバルの拘りだ。

 ボディサイズは、全長4670mm×全幅1825mm×全高1465mmと、従来型と比べ、一回りほどサイズアップ。具体的には、全長が+75mm、全幅が+30mmとなり、全高のみ10mm抑えられており、その結果、よりワイド&ローなスタイリングの実現に繋がっている。さらにホイールベースも、従来比+25mmとなる2675mmとなった。もちろん、サイズアップの恩恵は、キャビンにも反映されており、前後席距離が+25mm、リヤシート長が+18mmとすることで、後席でも大人二人がゆったりとくつろげるスペースを確保。また空間の広さを感じさせるショルダールームも前席で+30mm、後席で+40mmがそれぞれ拡大されており、セダンとしての機能性も高められている。トランクルームについては、従来型同等サイズを維持している。

日本市場初となる2.4L水平対向4気筒ターボエンジンを採用

WRX S4 STIスポーツR

 パワーユニットは、このタイミングが日本市場初となる2.4L水平対向4気筒ターボエンジンを採用。従来エンジンよりも排気量を400㏄アップしたことによる低回転からの力強いトルクが持ち味だ。新エンジンの性能は、最高出力275ps/5600rpm、最大トルク375Nm/2000~4800rpmを発揮。従来型よりもスペック自体は落ちてしまっているが、レスポンスを向上させるなど、体感性能を維持しながらも、燃費消費率などの環境性能にも力を入れている。アイドリングストップの採用をするなどの対策も行われ、約8%の燃費向上となる10.8km/L(WLTCモード)を実現した。組み合わされるトランスミッションは、全車CVTとなるが、「スバルパフォーマンストランスミッション」と名付けた改良型を採用。MTに匹敵する操る楽しみを目指したCVTで、素早いシフトチェンジやコーナリング中の低いギアのホールド、積極的なダウンシフトなどの制御面でも作り込みを図っているのが特徴だ。従来同様マニュアルモード時やスポーツ変速制御となる「SIドライブ」の「S」や「S#」モードでは8段変速となる機能も受け継がれるので、CVTの滑らかな走りと、多段ギアによるメリハリのある走りの両方が楽しめる。またスバル伝統のAWDシステムは、全車に制御に改良を加えた電子制御式「VTD-AWD」を搭載。前後のトルク配分も、45:55と後輪側が強められているので、後輪をしっかりと使った走りが楽しめる点は従来同様だ。

高い実用性に加えて乗り心地と静粛性も追及

 インテリアは、レヴォーグと基本を共有した水平基調の視認性と安定感の良さを高めたもの。ステッチがレッドとなる点は、S4専用のアクセントだ。シートは、レヴォーグにも採用されるホールド性の高さと快適性を両立したものを標準とする。コクピット周りの仕様は、アイサイト車とアイサイトX搭載車で異なり、アイサイト搭載車は、メーターパネルが、アナログ2眼式となり、中央に4.2インチのインフォメーションディスプレイが備わる。またダッシュボード中央には、エアコンや車両設定などの表示や操作を行う7インチセンターインフォメーションディスプレイが装着され、ユーザーは好みに合わせてディーラーオプションのナビシステムを選択できる。一方、アイサイトX装着車は、レヴォーグ同様に、12.3インチのフル液晶メーターパネルと縦型11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイが備わる。このシステムには、オーディオシステムやナビゲーションシステムが標準となるのも多機能なシステムとなる。アイサイトXの高度運転支援機能とナビやオーディオシステムが標準となることから、アイサイトXが標準となるEXグレードが、S4でも主力となりそうだ。

 スバル車の特徴のひとつとなった先進の安全運転支援機能であるアイサイトについては、レヴォーグ同様の最新世代のものを搭載。新世代アイサイトと呼ぶ新システムは、ステレオカメラを中心としたセンシング機能のアップデートに加え、ソフトも進化させることで、基本性能を向上。新機能の追加や対応できる状況の拡大も図っている。アイサイトXについては、高速道路などの自動車専用道路に置いて、アイサイトの一歩先を行く高度運転支援を実現させることで、より安心安全で疲れないクルマに磨き上げている。

グレード構成は「GT-H」と上位グレードの「STIスポーツR」の2タイプ

WRX S4 GT-H

 グレード構成は、ベースとなる「GT-H」と上位グレードの「STIスポーツR」の2種類。それぞれにアイサイトXを搭載した「EX」グレードを設定しており、全部で4タイプとなる。エンジンスペックやトランスミッションなどの基本仕様と性能は共通となる。グレードの違いを簡単に説明すると、意匠の違いとSTIスポーツR専用装備となる。

 GT-Hのエクステリアは、フロントグリルやホイールなどがダークメタリック調になり、インテリアもブラックを基調に。スポーツシートは、ファブリック/トリコット仕様が基本だが、オプションでウルトラスエードが選べる。一方、STIスポーツRは、ホイールはブラック塗装品を切削加工したものとなり、シルバーのアクセントを追加。フロントグリルもダークグレーシリカ塗装のものにSTIエンブレムを追加。インテリアは、スバルを象徴する上級スポーツグレードとして高い人気を誇るSTIスポーツ系と共通のボルドー/ブラックの2トーン内装を採用する。しかもSTIスポーツRには、標準でレザー仕様となるだけでなく、オプションとしてレカロ製スポーツシート(ウルトラスエード仕様)が選べるのもトピックだ。さらにメカニズムでは、ドライブモードセレクトが追加されるのも特筆すべき点だ。ドライブモードセレクトは、ZF製電子制御ダンパーを活用したサスペンションの設定変更も可能なSIドライブを発展させたドライブモードシステム。エンジン、変速、アクセル制御の変化を中心としたSIドライブに加え、パワーステアリング、AWD、アイサイト、エアコン、ダンパーの制御を4つの基本モードを中心に選ぶことができ、個々のモードを自由に選択するカスタムモードも備える。

レヴォーグを超えた一体感のある走り

 今回、試作車のGT-HとSTIスポーツRにクローズドコースで試乗することが出来た。比較用に用意されたのは、従来型WRX S4の最高潮「STIスポーツ」である。従来型のSTIスポーツも、かなりスポーツセダンとしてはバランスが良く魅力的なモデルに感じられたが、新生S4は、その魅力を大きく超える進化を見せてくれた。誤解を恐れず言うならば、従来型STIスポーツが荒々しいクルマに感じるほど。これはボディの基本性能の向上によるしなやかな動きと静粛性の高さによるものだ。確かにエンジン出力では従来型の方が上なので、加速感は従来型の方が上に感じる。ただその勢いも今となっては、ボディよりもエンジンが勝ったじゃじゃ馬感に思えてしまう。エンジンパワーをしっかりと受け止めるように、ボディとサスペンションがしっかりと働くことが上質な走りへと繋がっている。S4に求められるのは、オールマイティな大人のスポーツセダンなのだから、その点は期待以上の出来だと思う。しかも一見、攻撃的なモデルにも映るSTIスポーツRには、キャラ変ダンパーと呼ばれるZF電子制御ダンパーが使われ、ソフトからハードまで自在にダンパー特性を可変制御することができる。路面の良いクローズドコースでも、その差はしっかりと感じられたのだから、一般道では驚くべき変化に繋がるはずだ。また内外装の質感も高まっており、アグレッシブなビジュアルも、実車だとスポーツセダンを所有している満足感に繋がるものであり、レヴォーグと共通性の高い内装も、機能面と作り込みの両面で進化が感じられ、こちらも満足度はアップしているといって良いだろう。

 注目の価格は、404万円~434万円の従来型と比べると、高くなったなというのも正直なところだ。ただ従来型のSTIスポーツと価格の近いGT-H EXならば、アイサイトXとナビがついていることを考量すれば、現実的な価格ともいえる。初見では、GT-Hでも満足度は高いと感じたので、ここから検討を始めるべきだろう。新たな頂点となるSTIスポーツRは、Rの名が追加されたことからも、より上を狙っていると考えなくてはならないのかもしれない。

スバル WRX S4 STIスポーツR EX(CVT)

  • ■全長×全幅×全高:4670×1825×1465mm
  • ■ホイールベース:2675mm
  • ■車両重量:1600kg
  • ■エンジン:水平対向4DOHC
  • ■総排気量:2387cc
  • ■最高出力:275ps/5600rpm
  • ■最大トルク:38.2kgm/2000-4800rpm
  • ■ブレーキ前後:Vディスク
  • ■タイヤ前後:245/40R18
  • ■新車価格:400万4000円-477万4000円(全グレード)
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大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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