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更新日:2020.04.23 / 掲載日:2018.02.28
セレナに待望のeパワーが登場。ワンペダル、マナーモード搭載でハイブリッドを超えるバリューを

文と写真●ユニット・コンパス
ノートで好評を博した日産の電動化技術「eパワー」がついにセレナに搭載された! ライバルがフルハイブリッド車を投入しているなかセレナはこれまでマイルドハイブリッドで対抗していたが、今回の「eパワー」追加によって電動化性能は大幅に強化された。セレナはここしばらく販売台数で競合車と抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じていたが、eパワーの追加によって確固たるセグメントリーダーの座を目指すという。
開発にあたっては、セレナが歴代モデルでコンセプトとしてきた「BIG」、「EASY」、「FUN」を意識し、eパワーによって「EASY」と「FUN」の領域にさらなる価値を付け加えた。 まずは「EASY」。ノートeパワーで注目されたワンペダルドライブ、アームレスト付きのキャプテンシート、そして移動物検知付きに進化したインテリジェントアラウンドビューモニターの採用がトピック。家族みんなが楽しめる「FUN」の要素としては、スムーズな出足による気持ちのいい走り、ひとクラス上の静粛性、そして26.2km/L(JC08モード)というクラスナンバー1の燃費性能を実現しているという。そのほか、ハイビームアシストや標識検知、踏み間違い衝突防止アシスト、ふらつき警報など、競合モデルを上まわる充実した運転支援装備も自慢だ。
モーター走行の距離を最大化する「マナーモード」を搭載

メカニズムはノートeパワーをベースにしながらもセレナに搭載するにあたって大幅に改良。モーター出力は25%アップの320Nm/100kWで、バッテリー容量も1.8kWhへと20%拡大し、高負荷に対応するべくエンジン出力も7%改善させ、オイルクーラーも追加されている。
エンジンは発電に専念し、モーターだけの力で走るセレナeパワー。ミニバンの運転しやすさに直結するレスポンスに優れるのが特徴で、そのレスポンスはセレナSハイブリッドに比べてもさらに磨き上げたという。
また、モーターによる力強くスムーズな走りを強調するべく、「S」、「ECO」、「Normal」といった3つのドライブモードを用意。
「S」というとスポーツを連想しがちだが、この「S」は「smart」の意味で、ワンペダルドライブの減速力と加速力がもっとも強く設定されるモード。低燃費と加速のよさを両立させた、日産オススメのドライブモードになるという。続く「ECO」モードは、加速力を若干抑えながら、アクセルオフによる減速力は「S」モードと同等とする燃費重視の走行モード。最後の「Normal」は、加速力は「S」モードと同等ながら、ワンペダルドライブの制御が解除され、アクセルオフのときの減速力はガソリン使用のエンジンブレーキと同等に設定されている。
なお、バッテリー残量によらず、できるだけモーターのみで走行する「マナーモード」やバッテリーをほぼ満タン(約90%)まで積極的に充電する「チャージモード」は、この「S」と「ECO」でのみ選択可能となっている。
「マナーモード」は、発電用エンジンを動かさず、バッテリー内に貯めた電力だけでの走行を可能にするもの。バッテリー走行の距離が約2.7kmまで拡大されることで、深夜や早朝の市街地といった騒音が気になるシチュエーションでの使い勝手に貢献する。逆に「チャージモード」をONにすることで、バッテリーはほぼ満タン(約90%)まで積極的に充電される。例えば、幹線道路を走っている際に「チャージモード」でバッテリーに充電し、自宅に近づいたら「マナーモード」をONに。または、前日に「チャージモード」で充電しておいて、早朝出かける際にモーター走行でスマートに出かけるという使い方が想定されている。電動化車両であることを実感できる機能だ。
内外装にはeパワーを示すブルーの差し色が加えられた

エクステリアにもeパワーならではの特別なアイテムが投入された。ブルーカラーのアクセントが備わるグリル、LEDテールランプ、ピアノ調黒艶塗装仕上げのリヤサイドスポイラー、そして空力的なデザインが施された15インチのアルミホイールだ。さらにインテリアにも、コンソールトレイのライティングやパワーシフトノブおよびスタータースイッチ、メーターパネルにブルーがあしらわれている。また、遮音仕様についてもグレードアップが行われた。その数は4層構造のセンターカーペットや遮音フィルム入りフロントガラスなど25アイテムにものぼるという。
一方で変わらないところもある。それがシートアレンジなどの使い勝手。バッテリーを前席の床下に組み込んだことにより、2列目のスライドも標準車と同等で、荷室床下の物入れもちゃんと備わっている。また、この設計によって福祉車両のLVシリーズにもeパワーをラインアップすることが可能となった。リヤゲートから車いすのままで乗車できる「チェアキャブ スロープタイプ」のようなモデルにも電動化車両が選択可能になったというのは、乗降などで長時間駐車することの多い福祉車両には嬉しいこと。セレナeパワーの「マナーモード」を利用すれば、エンジンを停止しながらでも車内の空調をオンにできる。
ミニバンに適したセッティングが施されたワンペダルドライブ

発表に先立ち、クローズドコースにて短時間試乗することができた。とくにワンペダルドライブとミニバンの相性に注目したが、アクセルをオフにした際にもなめらかに減速Gが立ち上がるため、前につんのめるようなことはなく、すぐに慣れることができた。また、ノートeパワーに比べて最大減速Gが大きく設定されているという説明のとおり、よりフットブレーキに近い感覚で運転できるのも好印象。今回のコースでは高速域での振る舞いなどをチェックすることはできなかったが、ワンペダルのセッティングにも着実な進化を感じた。
セレナeパワーの価格は、296万8920円から340万4160円。電動化によって得られる新たなる価値を考えれば、その価格設定には強い説得力がある。いまや、ミニバンはファミリーだけのものではなく、その優れたユーティリティ性能から多くのユーザーに愛用されている。セレナeパワーの登場は、子育て世代はもちろんのこと、そうしたユーザーに対しても強いインパクトを与えるに違いない。
日産 セレナeパワー XV(CVT)
全長×全幅×全高 4690×1695×1865mm
ホイールベース 2860mm
トレッド前/後 1485/1485mm
車両重量 1750kg
エンジン 直列3気筒DOHC+モーター
総排気量 1198cc
最高出力 84ps/6000rpm
最大トルク 10.5kgm/3200-5200rpm
JC08モード燃費 26.2km/L
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 195/65R15
販売価格 296万8920円~340万4160円(eパワーのみ)