カーライフ
更新日:2020.12.10 / 掲載日:2020.12.10
【グー連載コラム】永福ランプのマニアック車パトロール隊 (2020年12月)
【今回のマニアック車】 マツダ プレマシー

東名高速の渋滞中に目撃したカーシェアの3代目プレマシー(初心者マーク付き)。国産車の最高峰といえるほど足まわりがいいのに、誰もそれに気づいていないことが涙を誘う。
取締り理由「足まわりが猛烈にイイから!」
このところ私のココロの中で、2年前に絶版になったマツダのミニバン、3代目プレマシーの評価がグングン上がっている。
プレマシーは、いわゆる背の低いタイプのミニバン。初代オデッセイが大ヒットしたことで一時代を築いたジャンルだが、今や絶滅寸前だ。プレマシーも世の流れには逆らえず、2年前に生産終了した。
3代目プレマシーが発売されたのは、10年前のことだった。背が低いぶん、当然室内の広さ感は控えめ。エンジンだってフツーだし、走りにも多くは望めない。当時、私は微塵も期待を抱かずに試乗した。
ところが、乗って心底ビックリした。
「なななな、なんなんだこの走りのよさはぁ!?」
乗り心地は実にしなやかだ。しかもタイヤが路面にピッタリ張り付いて離れない。フツーに街中を流すだけで伝わってくるこの凄まじい「いいもの感」!
近年のマツダ車は、足まわりをよりスポーティに固めて、プレミアム感もねらっているが、それがいまひとつしっくりこない。たとえばマツダ3。足まわりが固すぎて、路面の凹凸で跳ねてしまう。私は最近のマツダのニューモデルに乗るたびに、「3代目プレマシーはよかった……」と回想している。3代目プレマシーこそ、“地味に走りがいいマツダ車”の最高峰だったのである。
3代目プレマシーは販売不振に苦しんだが、それでも約8年間売られていたから、今でも街中でちょいちょい見かける。私はそのたびに、密かに尊敬の念を送っているが、おそらくオーナーさんは、自分の愛車が最高峰であることなど、カケラも意識していないだろう。
グーネットで検索すると、3代目プレマシーのタマ数は豊富。全国に350台ほど流通している。相場は5万円から180万円ほどと幅広いが、100万円も出せば、マツダの、いや国産車の最高峰の乗り味が堪能できるはずである。
経歴
2010年 フルモデルチェンジ
スタイリッシュさに磨きをかけて3代目モデルへと進化した7人乗りのコンパクトミニバン。両側スライドドアも備え、グローバルでも販売された。
2010年 4WD追加設定
なぜか1ヶ月遅れで追加された、期待の4WDモデル。駆動力配分を自動変更するシステムを採用し、切り替えスイッチによってFFとの選択もできた。
2012年 新エコカー減税に対応
一部改良で、当時の新エコカー減税に適合した。さらに安全装備の充実化も図られ、本革巻きステアリングやシフトノブといった装備も見直された。
2013年 マイナーチェンジ
マツダの真骨頂となる「SKYACTIV」技術を主力グレードに搭載し、ミニバンとしてはトップクラスとなる燃費16.2km/L(JC08モード)を記録した。
2018年 生産終了
2013年末に上質感を高めた特別仕様車が追加されたのを最後に、商品力向上されることもなく生産終了となる。初代モデルから約19年間販売された。
マニアック指数 98点

グーネット掲載車価格帯 5万から180万円
「多くの人が知らないけれど、じつはサスペンションセッティングが猛烈に素晴らしい!」という点が、ものすごくマニアック。徹頭徹尾、知る人ぞ知る名車である。それ以外の部分には、特筆すべき点はない。カッコもイマイチだし(笑)。
ピピーッ! 取り締まります
ピピーッ! 取り締まります
自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2021年1月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2020年11月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。