ディーゼル対決マツダCX-5vs日産X-トレイル　竹平素信

【本記事は2012年5月にベストカーに掲載された記事となります。】CX-5ディーゼルのライバルはなんといってもX-トレイルディーゼル。クリーンディーゼルSUVで、車格ともに共通し、しかもX-トレイルはこれまでこのクラス一番の人気モデルだっただけに気になるのは当然のこと。ただし、キャラクターには若干の差がある。X-トレイルはオン、オフを両立しており、4WDモデルのみの設定で、システムもフルタイムでない電制とはいえ、オートやロックモードを装備し、オフロードの走破性は一枚上手だ。室内やラゲッジの使い勝手にしてもアウトドア向け。この点、オン重視の乗用タイプSUVであるCX-5とはハッキリと異なる。

では、注目のディーゼルはどうか？ 2.2Lで175ps、42.8kgmを発生するCX-5に対し、2Lで175ps、36.7kgmのX-トレイル。200cc大きいとはいえ、CX-5はトルクの強さが目立ち、X-トレイルは馬力でがんばっている感じだ。しかし、走ってみればCX-5のよさが際立つ。低速でのタイムラグの少なさ、パワーのリニアな盛り上がりもそうだが、高回転の伸びが一段といい。より力強く、かつスムーズで回りっぷりもいいのだから、さすがのX-トレイルも負けました、である。アイドリング時のNVの少なさもCX-5が勝り、技術の新しさをハッキリと感じさせる。

動力性能もCX-5がいい。エンジンそのもののパワーも勝るが、車重もAT同士なら70～80kgはCX-5が軽い。その差も大きい。X-トレイルに乗ればすばらしくパワフル、と感じるものの、CX-5の一段と強力なパワー感には格の違いを感じさせるほどだ。走りの差もさることながら、燃費もCX-5のよさが目立つ。10.15モードで14.2km／LのX-トレイルに対し、CX-5は19.0km／L！！ これは大差でないか。200ccの排気量増しもなんのその。CX-5のクリーンディーゼル、恐るべしの高性能ぶりである。クリーンディーゼルの対決ということでエンジン比較は一番の注目点だが、それ以上の走りの部分にむしろ大きな差を感じる。オフロード、特に走破性に関してはX-トレイルだが、オンロードにかけてはCX-5が格段にいい。この部分はCX-5の開発者も強調しており、ボディ、シャシーを徹底的に作り込んで初代ロードスターでアピールした人馬一体感をさらに進化させた、としている。確かに、納得の出来ばえだ。リニアで手応えもしっかりしたステアリングフィール、ナチュラルで一体感も高いアーチソングフォーム、路面追従性がいいしなやかなサスなど、走りは気持ちいいし、安心して飛ばせる。乗り心地もハッキリとCX-5がいい。これでも高いボディ剛性としなやかなサスは威力発揮だし、X-トレイル以上のロングホイールベース、ワイドトレッドもメリットをもたらしている。この比較、オフロード性能とアウトドア重視の使い分けを除けばCX-5のアドバンテージは文句なし。さらに走り以外でも燃費の差は大きいし、価格もCX-5のほうがはるかにリーズナブル、というオマケがつく。

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