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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.12.02
レクサスCT200hプロトタイプ試乗 いきなり3本勝負で丸裸!
ジャストサイズなCT200h

薄めのヘッドライトにはLEDが埋め込まれていて、前後バンパーは起伏に富んだデザインを採用
【本記事は2010年11月にベストカーに掲載された記事となります。】レクサス初のハッチバックとなるCT200hは、プリウスのハイブリッドシステムを搭載してプレミアムCセグメントとしての新たな魅力をアピール。エクステリアデザインは、前後の造形が特徴的で、真横から見ると、RXの全高を低くした感じ。ただスタイリッシュとはいえないところが残念。ボディサイズは全長4320×全幅1765×全高1460mmと、クルマが大きく豪華になっている昨今としてはジャストサイズともいえる。全長に対し長い2600mmのホイールベースは室内スペースの余裕を実現。グレード体系は、標準グレード、バージョンC、バージョンL、Fスポーツの4種類で、キャラクターわけされている。
ハンパではないインテリアへのこだわりは

最上級のバージョンLのインテリア。写真はアルカンターラのシートだが、本革も選べる。プレミアムコンパクトと謳うだけあって、デザイン、素材ともレクサスらしいこだわりを見せる
心臓部のハイブリッドシステムは、1.8L(99ps/14.5kgm)+モーター(82ps/21.1kgm)で、注目の10・15モード燃費は、装備が簡略化されたベースグレードで33.0km/L、そのほかのグレードで31.0km/Lという好燃費をマーク。レクサス車全般にいえることだが、インテリアへのこだわりはハンパではなく、デザイン、素材でライバルを大きく凌駕するのはCT200hの魅力。今回試乗したのはプロトタイプだが、ほぼこのまま市販されることになる。開発者もサスペンションの出来にはかなり自身を持っていて、ヤマハ製のパフォーマンスダンパーを装着。そのほかレクサスのハイブリッドとして初のパドルシフトの設定、ドライブモードセレクトスイッチによりインパネも変化するというあたりは興味深い。価格については、HS250hよりも安いレクサスのボトムラインとなるということから、標準グレードで340万円前後と予想。デビューは来年1月というのが有力だ。
対決1 同じシステムのハイブリッド対決

レクサスCT200h:340万~460万円(予想) 価格はベーシックの標準グレードが340万円前後と予想。
プリウスのハイブリッドシステムを使うCT200hながら、詳細をチェックしていくと予想以上に違うスペックになっていたりして。むしろ車体関係はHS250hに近い感じ。例えばシャシー。HS250hの足回りを見ると、フロントについちゃプリウスと同じだと考えていい。けれどリアを専用設計にしています(サスペンション形式まで違う)。車重などを考えればプリウスと同じリアサスを使ってもいいと思うのだけれど……。この点だけ見てもCT200hに対する気合いを感じる。ショックアブソーバーもKYBを使うプリウスに対し、HS250hと同じショーワ。開発担当者に聞いてみたら「乗り心地とハンドリングのバランスという点で圧倒的に有利です」。併せてサスペンションの取り付け部分の剛性アップや、シャシーの補強などを加えているため、乗り心地の質感はプリウスを相手にしない。ず~っとプリウスの乗り心地に不満を感じている私など、CT200hに乗った瞬間「この足をプリウスに付けられないモノか?」と聞いたほど。「残念ながらリアサスが違うので不可能です」だって。インテリアまでHS250h風。ナビの画面がスイッチオンでポップアップするのもHS250hと同じ。なんでもポップアップ式を好んでいる役員の好みらしく、開発チームは「採用したくない」と主張したのに蹴られたそうな。トシ取るとセンス悪くなります。ハイブリッドシステムそのものはプリウスと同じだと考えていい。ただしスポーツモードと標準モード、ECOモードの味付けを大きく変えている。スポーツモード選ぶとモーターのアシストをMAXにしているそうで、なるほどレスポンス強烈。
対決2 同門ハッチバック対決

最上級のバージョンLのインテリア。写真はアルカンターラのシートだが、本革も選べる。プレミアムコンパクトと謳うだけあって、デザイン、素材ともレクサスらしいこだわりを見せる
ユーザーから見ると、オーリス(ヨーロッパ仕様のカローラ)はプリウスと同じくらいの車格に感じる。いっぽう、3.5L、V6エンジンまでラインアップするブレイドについちゃ「高級バージョンとして位置づけましたね」。実際、オーリスとブレイドはインテリアの質感まで違う。内情を書いちゃうと、オーリスはサスペンションにお金をかけすぎたため、インテリアを質素にしなければならなかったのだ。そこでブレイドというモデルを作り、豪華な内装と組み合わせたのでございます。ということでプリウスより質素なインテリアのオーリスはCT200hと比べる意味なし。ブレイドならどうか? CT200hの開発チームはトヨタブランドに負けないよう、ゴージャスに仕立てようとしたんだろう。結果的に、やり過ぎちゃったように思う。そもそもCT200hの属する欧州Cセグメント(BMW1シリーズやアウディA3)は、トコトン豪華なインテリアを狙っていない。「分相応」こそヨーロッパの基本的な考え方である。CT200hの上級グレードのインテリアって、ギンギンですから。LS460のような「ウッドと革のコンビ」のステアリングなど、普通このクラスは使わないでしょう。私自身、ウッド調の樹脂だと思った次第。そしたら、「本物の木を使ってます」。若い女性が大きいダイアモンドを持っていても本物に見えないのと同じ。といったことなど考えると、CT200hはベーシックグレードのインテリアでちょうどいい感じ。自分でCT200hを買うなら、迷うことなくベーシックグレードを選ぶ。ブレイドのインテリアも3.5Lはやりすぎです。
対決3 BMW120i、アウディA3スポーツバックと真っ向勝負

アウディA3スポーツバック1.8TFSI:容量は880L(5名)/1025L(2名)。3車で一番の広さ、使い勝手を誇る
CT200hは国際基準のハッチバックといえるのかを検証CT200hのライバルとなるのが、ヨーロッパの『プレミアムC』と呼ばれるカテゴリーである。ちなみにプリウスやvw ゴルフ、プジョー307、シビックなどは、単なる『Cセグメント』に分類されます。プレミアムCの場合、Cセグメントより20%くらい高価。参考までに書いておくと、プレミアムブランドは『ベンツ』、『BMW』、『アウディ』の3メーカーで、その直後につけているのが『ボルボ』と『アルファ』。レクサスはドイツの3メーカーと並ぶべく奮闘中。ということで日本でもヨーロッパでもCT200hのライバルになるのはBMW1シリーズとアウディA3だと思う。CT200hの予想価格340万円程度に対し、BMW120iが364万円。A3の1.8TFSIで365万円。こらもうガチの勝負といってよかろう。どれを選ぶべきか? その前にクルマの比較をしてみたい。まず動力性能。120iの場合、パワフルな2LNA。1.8Lターボを搭載するA3は、2.5Lのノンターボエンジンとイーブンのパフォーマンスを持つといっていい。

レクサスCT200h:容量は375L(5名)/960L(2名)。唯一9.5インチのゴルフバックが横積み可能
片やCT200hは、車名のとおり2L級のパフォーマンス。でも試乗してみると、アクセルを踏んだ瞬間のレスポンスなど2.4L級エンジンに迫るイキオイを持つ。特に『スポーツ』モードを選べば元気いい。アウトバーンのような速度無制限の道を連続して走ったら負けちゃうけれど、制限速度のある国なら案外引き分けに持ち込めるんじゃなかろうか。少なくとも130km/h程度までの速度域ならCT200hだって速いです。個人的には「少し負け」くらいに評価しておく。足回りの総合性能はどうか? プリウスだと圧倒的に負けである。乗り心地が「典型的な日本車」ですから。しかしCT200hは違う。ショーワのショックアブソーバーを見事に使いこなしており、トヨタ製FF車のなかじゃダントツ! もちろんHS250hよりいい(HS250hも現在鋭意開発中らしい)。BMWの3シリーズやアウディA4のレベルにこそ届いていないものの、120iやA3なら充分勝負になる。相当ウルサイ人でも、乗り比べて「こらダメだ!」とはならない。 もちろんカンペキに並んだワケじゃないが、ヨコハマの16インチを履くグレードなんか静か&滑らか。「レクサスの味」を出せている。

17インチタイヤになると多少ゴツゴツがくるけれど、コーナリングはいい。そうそう。KYBのショックアブソーバーを使う『Fシリーズ』のみ「やんちゃな乗り心地」でありました。絶対的なコーナリング性能もいい勝負。楽しさで後輪駆動の120iが優勢ながら、CT200hとA3は互角でしょう。何度も書くけれどCT200hの足回りってプリウスとまったく違う。そろそろ結論を出したい。純粋に趣味性だけを考えるなら、120iやA3も依然としてアドバンテージを持つ。アクセル全開時の気持ちよさは、CT200hだとかなわない。でもECOという概念を持ち込むと、もはや圧倒的だ。少なくともプリウスを知っている私は、10.0km/Lの世界には戻れない。100歩譲って休日用のスポーツカーなら多少ガソリン喰っても納得できますけどね。でもCT200hのクラスだと環境にやさしいことがとても需要。これからはプレミアム=ECOだと思う。