中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.02
先代よりも広く快適な室内空間を実現最新の装備も魅力的な5シリーズだ……

全長4910×全幅1860×全高1475mm、ホイールベース2970mmと先代よりも大きくなったボディによって、エクステリアデザインの迫力は増しているが、BMWらしいシャープなスタイリングとなっている
【本記事は2010年4月にベストカーに掲載された記事となります。】BMW5シリーズが7年ぶりにフルモデルチェンジした。5シリーズといえばミドルクラスの3シリーズ、Lクラスの7シリーズの間に入るモデル。先代は’05年から’08年の4年連続でこのクラスのベストセラーになっている人気車だ。6代目になる新5シリーズは、全長4910×全幅1860×全高1475mmで、ホイールベースは2970mmとなる。先代よりも全長+55mm、全幅+15mm、全高+5mm、ホイールベース+80mmとひとまわり大きくなった。シャシーコンポーネンツは現行7シリーズを流用したことで、これまでよりも上級車志向が強まったといえる。
『走りのイメージ』を感じるプロポーション

535iのエンジンは、3L、直6ターボの306馬力。燃費性能は先代の530iよりも11%向上
先代に比べておとなしくなったスタイリングは、逆スラントのキドニーグリルとロングノーズのプロポーションによって、これまで以上に走りのイメージを感じさせた。新型に用意されたパワーユニットは3L自然吸気(258馬力)、3Lターボ(306馬力)と4.4Lツインターボ(407馬力)の3種類がある。ちなみに3L自然吸気は528i、3Lターボは535i、4.4Lは550iとよばれる。3Lは、BMWこだわりの直列6気筒の新開発エンジン、4.4LはV8になる。ミッションはいずれも8速ATで駆動方式はFRを採用している。
BMWの自信の表われが伺える試乗
試乗したのは3Lターボの535i。試乗はポルトガルの首都リスボン近郊と、F1も開かれたこともあるエストリルサーキット。BMWはこの2つのセクションを1台のクルマで試乗させた。一般公道を走り、そのままサーキットで全開走行を5周。それが終わると再び一般道を走るというパターン。特にサーキット走行用のクルマを用意するでもなく、すべてのセクションを1台のクルマで走らせたのはBMWの自信の表われ。試乗車は路面の凹凸や横加速度が大きくなった時の車体の不快な動きを抑制するダイナミック・ドライビング・コントロールや、後輪をステアする四輪操舵システムなどが装備されていた。この四輪操舵システムは60km/hを境に同位相と逆位相に作動する。日本の自動車メーカーがとっくに装着をやめてしまった4WSを新型5シリーズが採用した理由のひとつとして、長くなったホイールベースでの回転半径の小ささを保つこともあったようだ。高速域でハンドルを左右にふると後輪が動き、向きをすばやく変える感覚がわかる。
俊敏なアクセルレスポンス、スポーツセダンとしての楽しみ

今回試乗した535iのインテリアは、先代よりも質感が向上し、洗練されたデザインを採用
ハンドリングは、4WSや可変減衰力のショックアブソーバーなどの働きでとてもスポーティ。コンフォート/ノーマル/スポーツ/スポーツプラスの4モードを、センターコンソール上にあるiドライブのダイヤルで調節しながらの走行は楽しかった。同時に操安系の制御の有効性は、ウエットだったサーキットで頻繁に体感できた。これなら公道上で多少無茶をしてもクルマが助けてくれそうだ。直6、3Lターボエンジンは2000回転からアクセルレスポンスが俊敏になり、スポーツセダンとしての楽しみが味わえた。8速ATは手元のゲート式ATかパドルシフトを使ってマニュアル操作ができる。日本での走行を意識して100km/hで走行してみると、Dレンジで1600回転、7速でも2100回転にすぎず、静粛性と経済性は充分。音に関しては、4000回転からやや高まることが気になった。新型の特徴のひとつにリアシートの広さがある。ホイールベース80mmの延長はリアシートの居住性にあてられたといっても過言ではない。
同クラスのライバルと比べた時のアドバンテージは?

全幅が15mm、ホイールベースが80mm長くなったことで、室内はさらに広く快適になった。特に後席はレッグスペースにゆとりができて、とても居心地がいい。インパネの質感、シートの座り心地なども先代モデルより進化したポイント。長距離移動も快適にこなすことができるのはうれしいところだ
新5シリーズのライバルといえば、国産は日産フーガ、輸入車ではメルセデスベンツEクラス、アウディA6あたりになるが、ボディサイズは5シリーズが一番大きい。特にホイールベースが長いことで居住空間は有利だ。リアシートのゆったり感は5シリーズがトップ。フーガはコンセプトを含めて最も5シリーズに近い。特に3.7Lエンジンのモデルは、スポーティさではかなり肉薄している。エコ性能もアクセル制御などBMWとは異なる方向で独自性を感じさせる。Eクラスとの違いはエンジンの考え方。Eクラスは直4、1.8Lターボなど小排気量+ターボで、省エネだがトルクフルという方向性のバリエーションを打ち出してきた。いっぽう、BMWは小排気量化には現時点では積極的ではなく、直6、3Lシングルターボで、省エネドライブを実現しようとしている。ドイツの主流は小排気量+ターボだが、走りの楽しさを第一とするBMWはこの路線とは一線を画しているのだ。アウディA6は、クルマの作り込み、パーツ精度や質感の高さではライバルを上回る。だが、クワトロはやや重く、BMWと比べると操安性はやや劣る。新型5シリーズは、新型Eクラスと比べるとほぼ互角。新型フーガ、A6に対しては一歩リードとなっている。
導入ラインアップと各エンジンの環境性能

昨今のクルマにとって重要な環境性能だが、新528iは、先代525iより19%、530iより11%も燃費が向上している。新535iは、先代530iより13%、540iよりも40%も向上。新550iは先代550iより12%向上と10・15モード燃費は飛躍的に向上した。4月末よりデリバリーが開始される535iは燃費10.6km/Lと発表されているが、528i、550iは5月末以降導入の予定。燃費の認可も5月の予定なので、まだ燃費は発表されていない。しかし、528iはエコカー減税取得確実で、その場合、約43万円が優遇されるという。