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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

マツダの新型デミオ7月5日見参 山椒は小粒でピリリと辛くてウマい!!

デザイン重視の流麗なボディ

【本記事は2007年8月にベストカーに掲載された記事となります。】今年2月のジュネーブショーで欧州仕様が姿を現わし、先代、先々代の機能重視なスタイリングとはうってかわってデザイン重視の流麗なボディで業界を沸かせた3代目デミオが、ついに登場した。「この新型デミオによって、私たちは世界のコンパクトカーセグメントに新たな風を吹き込む」と井巻マツダ社長が語るとおり、その斬新なデザインは業界関係者のみならず、次期デミオを待ち望む多くの潜在ユーザーに非常に大きなインパクトを与えた。

美しいデザインはこれからのマツダの真骨頂

新型デミオのフロントマスク、デザインモチーフは「子犬がワンと吠えた時の顔」だそう。精悍な顔だと思っていたが、狙いは別にあったのね

新型デミオのフロントマスク、デザインモチーフは「子犬がワンと吠えた時の顔」だそう。精悍な顔だと思っていたが、狙いは別にあったのね

■美しいデザインはこれからのマツダの真骨頂この斬新なスタイルのデザインテーマは「動きの連携」。軽快で「前進感」の強いプロポーションを持っており、フロントフェンダーからボディショルダーにかけて流れるようなキャラクターラインを持っている。またフロントフェンダーの盛り上がりはコンパクトカーらしからぬ迫力を持ち、これはRX-8から継承されたデザインテイストで、今後のマツダ車に広く適用されていくとのこと。またこのウェッジシェイプで前進感を持つデザインの雰囲気は、今後登場するマツダ車全体が踏襲していくことになる。さらにすでに本誌で何度か報じたとおり、この新型デミオのフロントマスク、デザインのテーマは「子犬」。それも「子犬がワンと吠えた時の口の形になるよう気を配った」のである。大型化されたサイドミラーは垂れ下がった耳をイメージしており、これまた子犬のテイストだという。うむむむ、新型デミオの女性向け問題は次ページコラムにて詳細に考えるとして、左下の真正面の写真、読者諸兄は子犬に見えるだろうか? 言われてみるとそんな気がしてきて、凛凛しさばかりを感じていた担当は愛嬌まで見てとれるようになってしまった。デザイン重視でスタイリッシュなフォルムを持ちながらも、使い勝手の面でいっさい妥協していないところも開発者の思い入れが見て取れる。具体的にはクラストップレベルの視認性だ。フロントウィンドウを大きくとることで前方視界は18.9度、ベルトライン(サイドウィンドウの下端)を先代から40mm下げたことで、開放感と視認性の向上に大きく貢献している。

ダウンサイジングの苦労

横幅1000mm×縦674mmのラゲッジはシートを倒せば縦1313mmまで伸びる。6:4の分割可倒式シートだ

横幅1000mm×縦674mmのラゲッジはシートを倒せば縦1313mmまで伸びる。6:4の分割可倒式シートだ

■ダウンサイジングの苦労新型デミオのサイズは全長3885×全幅1695×全高1475mm。これは全長で40mm短く、全高で55mm低い数値となる。全幅は15mm拡幅したが、タイヤの切れ角変更などで最小回転半径は4.7m(14インチタイヤ装着車。15~16インチ装着車は4.9m)。これは先代モデルより0.2m小数値となる。ただし先代より小型化したといっても全長3885mmはフィットやヴィッツ、マーチと比べても長く、全幅も若干広い。具体的にはフィットをひと回り長く(+40mm)、幅広く(+20mm)して、全高を50mmほど低くしたスタイルを持つ。しかし室内長はフィットより20mm短く、ここらへんはデザイン優先のため犠牲にせざるを得ないポイントだったか(室内幅はフィットより40mm広いが室内高は60mm低い)。このダウンサイジングと各パーツの見直し、最適化により、先代比で約100kgの軽量化に成功している。ロードスター開発時の「グラム作戦」に匹敵する細かい手が入れられている。ボンネットで0.69kg、吸気系と冷却系で1.91kg、トーションビームで6.95kg、電装系で2.86kg……そうした積み重ねをしつつ衝突安全性能はむしろ向上している。この軽量化にはやはりマツダ主導によるプラットフォーム新設が大きい、とは開発者談。先代までのようなフォード主導の開発ではここまでの軽量化は難しかった、とのこと。この新設プラットフォームはこの先、フォードブランドのBセグメントの主流となっていくそうだ。大幅な軽量化により、e-4WDとSPORTのCVTを除き、全車1000kg以下となる。これにより先代モデルや1000kgをわずかに超えるライバルと比べて、重量税が(購入時)5万5700円から3万7800円に下がるのも、サイフを握る奥様方には大きな利点だ。このクラスで(特に数キロの差で)1万7900円は大きいゾ!

内装も激変。シフトはフロアタイプからセンターパネル式に

シルバーとブラックを基調にしてまとめられたインパネ回りのデザイン。メーターは中心に大きなタコメーターを置いたポップテイストだが、全体としてはビシッと締まっている

シルバーとブラックを基調にしてまとめられたインパネ回りのデザイン。メーターは中心に大きなタコメーターを置いたポップテイストだが、全体としてはビシッと締まっている

■内装も激変。シフトはフロアタイプからセンターパネル式にインテリアの各パーツはこれまでの「ポップ路線」からクールな雰囲気に仕上がっているのが特徴。ブラックとシルバーを効果的に使い、シャープでスポーティな印象を持っている。先代からの目立った変更点といえばシフトノブがフロアタイプから、センターパネル式に変更された(サイドブレーキは変わらず床下タイプ)。人間工学に基づき、操作感覚は大幅にアップ。助手席との距離、移動も近くなり、ここらへんはファミリー層を意識した作りになっている。また、シート地にはコーヒーやジュースなどの液体をこぼしても染みになりにくい「クリーナブルシート」を採用(ベースグレードの13Fを除き全車標準装備)している。気になるのは先代と比べて全長で40mm短くなったことによる室内長の影響だ。後席に実際に座ってみると、若干狭く感じられるものの、先代とほぼ同等のスペースを確保している。6対4の分割式シートバックは先代から踏襲されており、長尺物の収納も可能。定員乗車時のラゲッジスペースは幅1000mm×前後長674mmで、こちらは先代と比べて若干手狭になっているものの必要十分なスペースは確保している。さらにはボタンを軽く押すだけで解錠できる電磁式リアゲートオープナーを採用しているのもポイントのひとつ。

話題の中心はやはりミラーサイクル+CVT?

試乗チェックが楽しみなミラーサイクルエンジン 1.3Lで90ps/12.2kgmを発生しつつ、燃費をクラストップレベルの23.0km/Lに抑えたミラーサイクルエンジンが新型デミオのセールスポイント。このほか1.5L(113ps/14.3kgm)と1.3Lのレシプロエンジン(91ps/12.6kgm)もSVT(シーケンシャル・バルブタイミング)を採用し、エンジン回転全域にわたってゆとりのあるトルクを提供。燃費と走りをさらに向上させている

試乗チェックが楽しみなミラーサイクルエンジン 1.3Lで90ps/12.2kgmを発生しつつ、燃費をクラストップレベルの23.0km/Lに抑えたミラーサイクルエンジンが新型デミオのセールスポイント。このほか1.5L(113ps/14.3kgm)と1.3Lのレシプロエンジン(91ps/12.6kgm)もSVT(シーケンシャル・バルブタイミング)を採用し、エンジン回転全域にわたってゆとりのあるトルクを提供。燃費と走りをさらに向上させている

■話題の中心はやはりミラーサイクル+CVT?新型デミオの目玉といえば、新開発の1.3L、ミラーサイクルエンジン(圧縮比を抑えたまま膨張比を大きくできるので、熱効率がいい)とそれに組み合わされる(マツダとして初の)CVTの採用だ。これにより10・15モード燃費はクラストップレベルの23.0kg/Lを達成している。グレード内におけるミラーサイクルの購買比率は5%程度だとマツダは予想しているそうだが、しかし話題性は充分だ。CVTについてはミラーサイクルエンジンの特性として、4ATでは低速トルクが若干不足している感じを受け、CVT採用に踏み切ったと開発陣は語る。ならば全車標準にすれば、とも思うが、コストの問題で1.3Lのオットーサイクルエンジン搭載車には4ATが採用された。スムーズかつ省燃費、さらにドライバビリティも向上しているデミオ。小型化と軽量化がこれらに相まって、走行性能にさらに磨きがかかっていることは疑いようもない。

もちろんお買い得価格で登場

■もちろんお買い得価格で登場詳細なベストグレード選びと(ライバルに対する)買い得感の研究は次ページに譲るが、新型デミオは112万5000~158万円。先代モデルが112万8750~161万1750円だったことを考えると、ほぼ据え置きと言っていい挑戦的な価格となる。装備が近い先代のカジュアルエアロアクティブ(AT)が136.5万円なのに対し、新型の13S(AT)は136万円と、値下げとも言える価格だ。すべての面で先代から大きく進化した新型デミオのデビューは7月5日。本誌が発売される頃は、そろそろ新型車の一般向けフェアが始まるタイミングだ(旧型オーナーである本企画担当のところには、7月1日の時点で最寄りのマツダディーラーから事前内覧会の案内がきた)。関東マツダに調査したところ、すでに商談がスタートしているディーラーは多々あり、発売前にもかかわらず成約までいったケースも多いとのこと(ミラーサイクルモデルに関心が集まっているそう)。現在値引きは5万円引きのワンプライスだが、担当もさっそくディーラーに行ってじっくり商談してみたい。

新型デミオベストグレード選び&ライバル買い得対決!!

新型デミオで一番「お得」なグレードは意外や一見割高に思えるミラーサイクルエンジン搭載モデル。装備は充実して走りもいい、燃費もいいとなれば、これを狙うしかあるまい。思わず担当も欲しくなってしまいました

新型デミオで一番「お得」なグレードは意外や一見割高に思えるミラーサイクルエンジン搭載モデル。装備は充実して走りもいい、燃費もいいとなれば、これを狙うしかあるまい。思わず担当も欲しくなってしまいました

新型デミオベストグレード選び&ライバル買い得対決!!TEXT/渡辺陽一朗先代デミオも含めて1.3Lが主力のコンパクトカーでは、120万円前後に買い得グレードが集中しており、激しい競争を展開している。’01年登場のフィットがこの価格帯に位置する1.3Aを軸に大ブレイクしたから、ライバル車もそれに歩調を合わせたからだ。そこで新型デミオの価格を見ると、1.3Lの13Cが120万円ジャスト。まずはこの13Cの価格検証を行なってみよう。13Cとベーシックな13Fを比べると、13Cには電動ミラーの格納機能や運転席のリフター、分割可倒式リアシートなどが加わる。ほかの細かな装備の上級化も含め、価格換算した総額は11万円。13Cの13Fに対する価格アップは7.5万円に収まるから、13Cは3.5万円割安だ。次は1.5Lの15Fと13Fを比べたい。装備の違いは15Fにダークティンテッドガラスとタコメーターが加わるだけ。これらの装備の価格換算は、高く見積もっても3万円だ。ATがCVTになり、この換算額も3万円。そして車両本体価格は15Fが16万円高い。従って200ccの排気量差は、16万-3万円(装備の価格換算)-3万円(CVT)=10万円となる。一般的なレートでは、200ccの価格換算は5万~7万円程度。ヴィッツなどは1.0Fと1.3Fを比べると、1気筒+300ccを3.5万円程度に抑えている。つまりデミオの15Cは割高で、13Cが買い得だ。ところがデミオには大穴グレードがあり、それはミラーサイクルエンジンを積んだ13C-Vだ。13Cとの価格差は11万円だが、13C-Vになると装備も上級化してエアコンのオート機能&アレルバスター搭載フィルター、ダークティンテッドガラスが加わる。プラスされる装備の価格換算は合計して5万円。さらにATもCVTだから3万円。そうなると11万円の価格差が3万円まで縮まり、これがミラーサイクルの搭載に伴う純粋な価格アップだ。13C-Vは先に挙げたコンパクトカーの売れ筋価格帯を超えるからベストグレードには選べないが、ミラーサイクルのコストを考えれば買い得感が強い。ミラーサイクルを味わいたいなら、迷わず買うべきだ。また、ここまで価格を下げたことから考えて、マツダはミラーサイクルをコンパクトカーの主力エンジンに位置付ける戦略だろう。デミオの価格から、そんな今後の展開まで見えてくる。次はライバル比較。もともとデミオはコンパクトカーのなかでも割安感が強く、特に先代の1.3カジュアルは機能や装備のわりに価格を抑えていた。その特徴は新型にも受け継がれ、13Cは価格を120万円ジャストに抑えながらもCDオーディオ、電動格納式ドアミラー、キーレスエントリーシステムという「コンパクトカー三種の神器」を備える。装備でデミオ13Cに対抗できるのはヴィッツ1.3F。三種の神器に加え、バックレストを前に倒すと座面が連動して下がる機能まで加わるが、価格もデミオ13Cより1.8万円高い。ホイールベースが30mm長く、少し大きなボディサイズも考えれば(積載性などを考えると)デミオが割安ともいえる。フィット1.3Aは、デミオ13Cより1.4万円弱安い。ただし、CDオーディオと電動ミラーの格納機能は省かれる。ここだけ見ればデミオ13Cが割安だ。ただし、フィットにはセンタータンクレイアウトによる広い荷室と多彩なシートアレンジが備わる。この機能をどう換算するかで評価が変わるのだ。5万円以下と見積もればデミオが買い得だが、8万円の価値アリと考えるユーザーなら、フィットが買い得に思えるだろう。マーチは12Sが買い得。価格はデミオ13Cより1万円少々安いが、排気量も100cc下まわり、ATはCVTではない。電動ミラーの格納機能も付かない。加えてリアシートが狭い。こうなるとデミオ13Cの圧勝だ。以上のように、新型デミオは先代と同様、ライバルに負けない価格の買い得感を備えている。渡辺陽一郎氏の分析によれば買い得グレードは13C(か、13C-V)、ライバルとなるフィットやマーチと比べても買い得感は高いという。これにさらにマツダ自慢の値引きが加わることを考えれば(遠藤徹氏によればデビュー初期3カ月は値引きなしだが、その後10万~20万円に拡大していくだろう、とのこと)、デミオの買い得感はクラストップレベルとなる!

「デミオは女性向け」を考える

フロントマスクよりリアがいいね(編)

フロントマスクよりリアがいいね(編)

「デミオは女性向け」を考える今回デミオの紹介記事を作成するにあたり、開発陣に聞いてみたところやはりというか既報のとおりというか、「メインユーザーは独身女性」だとのこと。それは「子犬をモチーフにしたフロントマスク」にも、あるいは「CMは玉木宏、菊池凛子、冨永愛を起用」というところにも見て取れる。先代は一貫して伊東美咲がCMに起用されており、この時点ですでに「独身女性向け」だとの意見もあろうが担当はそうではない、と信じている。あれは「伊東美咲さんに“やあ! 僕も同じクルマに乗ってるんだよ!”と声をかけたい野郎ども」に向けたメッセージCMなのだ(そんなナンパな時点でちっとも男らしくない気もするが)。さておき開発陣は語る。「このクラスはやはり、女性ユーザーにウケないと台数ははけないんですよ」。わかる。その気持ちはよ~くわかる。独身男性なら「彼女ウケのいいクルマ」を望むだろうし、若夫婦ならばサイフを握るのは奥さんだ。可愛くてカッコいい女性が街でデミオに乗っている姿を見れば、男は勝手についてくるだろう、という計算もあるはず。それは確かにそのとおりなのだが、しかし、担当はまだ諦めてはいない。スタイリングは「女性向け」になったとしても、「走りにこだわる男らしさ」は依然デミオのアイデンティティとして受け継がれているはず。チーフエンジニアの水野氏に「走りはどうですか?」と聞いたところ、「もちろんそれは、同クラストップを自負しています」と語っていた。デミオは外観こそ女性向けだが、中身は違う。現代の羊の皮を被った狼なのである。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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