【トヨタ クラウン】現行型が200万円から購入可能。グレード別の相場はどうなってる？

　グーネットの人気中古車ランキングで、いつも上位にきているのがトヨタ クラウン。SUVやミニバン人気の昨今、日本におけるセダンの市場規模は相対的に縮小傾向にあるが、クラウンだけは別。1952年の初代登場以来、国産高級車の代名詞として、多くのユーザーに愛され続けており、一過性のブームに左右されることなく堅実に売れてきたクルマだ。自販連が発表したデータによると、2017年の販売台数は、およそ2万9000台。軽自動車を除けば28位となっており、モデル末期のセダンと考えると、今でも根強く売れているのがわかる。

　クラウンの魅力は、なんと言っても使いやすさ。操作系のスイッチ、文字などが大きく表記され、年齢問わず使いやすいインターフェースとなっている。前後席とも十分な広さが確保され、トランクルームも広大。さらに快適装備、安全装備が充実していながら、新車価格が300万円台後半のグレードから選べるなど、現実的なゾーンにあるのも大きな魅力だ。妥協のない品質ながら、頑張れば手が届くというキャラクターは、今も昔も変わらない。

　そんなクラウンだが、今年（2018年）にフルモデルチェンジすると噂されている。すでに昨年の東京モーターショーで、ほぼ市販モデル同然のコンセプトカーが発表されており、新型登場は秒読み段階。すると気になるのは現行型の中古車動向だろう。中古車市場ではつねに人気の上位にランキングされ、最近まで高値安定が続いていた。しかしモデルチェンジを控えたいま、現行型の相場がやや落ち着きを見せている。今回は、中古車相場を年式やグレード別に掘り下げ、詳しく調査してみた。

　クラウンは日本市場にターゲットを絞って開発された国内専売モデルであり、他メーカーの高級セダンと比較検討するひとは少ないはず。しかし日産 フーガ、ホンダ レジェンドなどは車格がほぼ同じでライバル関係にある。そのほか同じトヨタ系のレクサス GS、輸入車ではメルセデス EクラスやBMW 5シリーズなども同カテゴリーと言えそうだ。ここではこれらライバル車とクラウンの中古車平均価格を比較してみたい。なお、Eクラスと5シリーズはフルモデルチェンジして間もないため、先代モデルに注目してみる。

　上級セダンのなかで、もっとも相場が高いのはホンダ レジェンドである。デビューは2015年1月だから、現行型クラウンよりも丸2年ほど遅く、物件が新しいものが揃う。新車価格は700万円前後で、安価なグレードがないことが高値の要因となっている。それに対し、2009年11月に登場した現行型の日産フーガは、低年式の物件が多く、中古車平均価格は205万円と手頃。2012年12月に登場した現行型クラウンは、両者のちょうど中間くらいの相場に収まっている。

　一方プレミアムブランドはどうだろうか。現行型レクサスGSは、クラウンよりも約1年早いデビューだが、相場はクラウンと同程度に留まる。しかし、新車時の価格はクラウンよりも高いから、こちらは値落ち幅が非常に大きい状況だ。先代Eクラス（2009年5月登場）や先代5シリーズ（2010年3月登場）は、登場から時間が経過していることもあり、クラウンよりも相場が低め。物件数が充実しており、どちらもお買い得感はかなり高いと言えよう。

　現行型クラウンのヒストリーを簡単におさらいしておこう。デビューは2012年12月で、先代同様に高級感を押し出したロイヤルシリーズとスポーティなアスリートシリーズの二本立てで発売された。2013年9月には、最上級仕様のマジェスタが登場。先代までは専用ボディを採用していたが、今回からロイヤルシリーズのロングホイールベース版といった仕様となっている。独立車種から、クラウンシリーズの1グレードに組み込まれた形だ。2014年7月には、ハイブリッドのフルタイム4WDが登場。そして2015年10月、マイナーチェンジが実施される。アスリート、ロイヤルともにフロントデザインが変更されたほか、アスリートに2.0L直噴ターボエンジンが選べるようになった。さらにボディ剛性の強化、ITSコネクトなど先進の装備が搭載されている。それらを踏まえ、年式別の中古車平均価格を見ていこう。なお、ここでは物件数が豊富なクラウンハイブリッドのデータのみを記す。

　2016年以降は相場が上がっているが、これはマイナーチェンジによるもの。後期型の平均価格は400万円オーバーで、モデル末期とはいえ高値をキープしている。一方、前期型はそれよりも100万円ほど低いので、割安感が出てきた。物件数に注目すると、2013年式が全体の半数近くを占めており、ここがねらい目のゾーン。中古車平均価格は300万円を割り込み、探せば100万円台後半の物件もちらほら散見される。

　以前と比べて買いやすくなった現行型クラウンだが、走行距離が伸びた車両も多い。とくに200万円前後の物件は、修復歴有り、多走行という場合も多い。価格だけに惑わされず、コンディションをしっかり確認しておこう。

　クラウンは、大きく分けるとロイヤル、アスリート、マジェスタの3シリーズで展開されている。2.5L V6のハイブリッド仕様は全タイプに設定。2.5L V6はロイヤルとアスリート、ハイパフォーマンスな3.5L V6はスポーツ仕様のアスリートのみ。さらに、マイナーチェンジのタイミングで2.0L 直4ターボがアスリートに設定されている。

　まずは、タイプ別の中古車平均価格を見てみよう。

　中古車市場で人気があるのは、やっぱりアスリート系だ。ほかの2タイプに比べて物件数が圧倒的に多く、全体のおよそ7割を占めている。こちらは人気モデルゆえ、ロイヤルよりも相場は50万円ほど高い。それに対してマジェスタは、全体の1割未満と非常に少なく相場も高めなので、やや探しにくい状態。次に、エンジン別の中古車平均価格を見てみよう。

　もっとも価格が安いのは2.5L V6だが、中古車の大半はハイブリッドとなっている。相場の差は両者のあいだで50万円近くもあるから、購入時の迷いどころとなりそうだ。JC08モード燃費で比較すると、2.5L V6が最大13.4km/Lなのに対し、ハイブリッドは最大23.2km/Lと、かなりの差が出てくる。燃費重視なら、選ぶべきはハイブリッド一択だろう。ちなみに3.5Lや後期型で追加された2.0Lターボは物件が少なく、買いにくい状況である。

　もうすぐ新型が登場するものの、200万円台半ばの予算で買えることから、現段階で購入するのもアリ。もちろん、モデルチェンジ後に相場が動く可能性は高いから、少しでも安く…という考えならば待つという手もある。しかし、中古車市場の人気が極めて高く、過去の例を見ても大きく相場が下がるのはしばらく先だろう。いずれにしても確実に買いやすくなった現行型は、注目したい1台である。