中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.25 / 掲載日:2009.03.20
マツダ RX-7 中古車購入チェックポイント
マツダ RX-7 中古車購入チェックポイント
■全体のチェックポイント
マツダのスポーツモデルはすでに新世代のRX-8へと進化しているが、いまだに高い人気を保っているRX-7。スポーツカーの常でユーザーはクルマ好きが多く、中古車は過激に走行した車両がかなりある。改造車もそれに比例して多くなっており、標準仕様車を探すのが困難なほどだ。事故などでダメージを受けた車両は、基本チェックポイントを探ればわかるはずだが、加えてエンジンと駆動系もしっかりチェックしよう。事故車でなくても車体が疲労している場合があるので、とくに低年式車はサスペンションと車体との関連をチェックする必要がある。また、適度な改造は改良となりえるが、過度な改造は性能的なバランスが崩れていたり、ユーザー個人の走行条件に片寄ったセッティングになっていることがある。走行状態に関しては、扱い慣れている販売店スタッフや専門家にアドバイスしてもらうほうがいいだろう。
1.車体側面の映り込みを観察する
1.車体側面の映り込みを観察する
車両からやや離れて、車体に映る周囲の景色を見てみよう。歪みや凹み、あるいは波打っているのを見つけることもある。塗装表面が肌荒れ状態になっている場合も、事故を起こして板金塗装した修理跡かもしれない。正面、左右、上下から、見る角度を変えてみると異常を見つけやすい。
2.車体前部の修復を推測
2.車体前部の修復を推測
フェンダーを固定しているネジの頭の塗装に傷あるなど、工具を使ってネジを脱着した跡があれば、フェンダーを交換した可能性がある。フェンダーを交換していても事故車とはいわないが、車体の前部を広範囲に渡って理しているかもしれない。交換していなければ、大きな事故を起こしていないといえる。
3.ボンネットを交換した理由を探る
3.ボンネットを交換した理由を探る
事故などでボンネットにダメージを負うと、新しいボンネットと交換することも少なくない。ボンネットを支えている金具(ヒンジ)を固定しているネジを脱着した形跡があったら要注意。事故の修理でボンネットを交換した可能性が高い。まれにエンジンの修理などのためにボンネットを脱着することもあるが、その場合は整備記録簿に記録が残っているはずだ。
4.不自然な部分や新しい部品
4.不自然な部分や新しい部品
エンジンルーム内を観察して、各部の塗装の様子を見てみよう。車体と左右のフェンダー、ラジエターを支えているラジエターサポートなど、各部の色を見比べて、違いを見つけるのだ。一部だけ色合いが異なっていれば、そこは修理して後で再塗装した可能性がある。周囲と比べて不自然にきれいな部分があれば、修理した跡かもしれない。さらに、細部も観察して、ゴムホースやベルトの劣化などを点検しよう。オイルのにじみや汚れにも注意。周囲と比べて新しく見える部品は、交換している。整備手帳の記録を参考にすると、トラブルが発生した箇所や修理などの経緯がわかるはずだ。
5.側面のダメージを推測
5.側面のダメージを推測
車体側面のドア部分に損傷を受けると、ドア自体を交換してしまうことも多い。交換の際は、ドアを支えている金具(ヒンジ)を固定しているネジを脱着するので、ネジの状態をチェックしよう。左右ドアのボルトを見比べて、特定のドアだけネジの頭に傷が多ければ脱着したことが疑える。ただし、新車組み立て時やドアの立て付けを調整するためにネジを回すこともあるので、ネジを脱着しているように見えても、必ずしもドアを交換しているとはいえない。
6.色と隙間を見る
6.色と隙間を見る
事故などで前部に大きな衝撃を受けて車体が歪むと、外板パネルを修理することになるが、組み付ける際に誤差が出ることがある。それは、各パネル同士の隙間(チリと呼ぶ)を見ればわかりやすい。フロントフェンダーの後端とドア、さらにフロントフェンダーとピラー(フロントガラスを挟んだ左右の柱)、それぞれのチリが均一でなければ、前部の外板に手を加えた(修理した)可能性が高い。同じ場所の車体の左右を見比べるのもチェックのコツだ。また、再塗装した場合、色が微妙に違うことがある。隣り合う外板の色艶が合っているかもチェックしよう。
7.鉄板の合わせ目の周囲に不自然な様子がないか観察する
7.鉄板の合わせ目の周囲に不自然な様子がないか観察する
ドアを開けると開口部に鉄板の継ぎ目がある。リアフェンダー周辺の車体にダメージを受けると、修理のために接合部から鉄板を剥がすことがある。一度溶接した鉄板を剥がすと、元と同じ状態には戻らないので、溶接の状態を見れば修理したかどうかがわかる。車体の左右同じ場所を見比べればわかりやすい。
8.支え金具と周辺を観察する
8.支え金具と周辺を観察する
後部をぶつけると、リアゲートにダメージを受けることがある。ドアを支えている金具(ヒンジ)と周辺をチェックしよう。まずは、ゲートがしっかり閉まるかどうか確かめてみる。ずれているせいで、スムーズにロックできないこともある。そして、ヒンジを固定しているネジを脱着した形跡を探ってみる。ネジの脱着が修理や交換したかどうかの目安となる。また、ヒンジが接している周辺の鉄板が歪んでいる場合は、ダメージが大きかったと推測できる。
9.リアゲート開口部の溶接部を見る
リアゲートを開くと、開口部は左右両側共に鉄板が横から回り込んで、溶接で固定されているのが見える。追突をはじめ、リアフェンダーにダメージを受けて修理した車両は、溶接部分が均一に揃っていないし、車体の左右で違っている。また、板金塗装をしていれば、周囲と色の雰囲気が違って見えることもある。さらに確かめるには、鉄板の継ぎ目に盛って隙間を埋めているシール材を爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(爪で押すと「プチッ」と表面だけ割れる)ようなら、修理の際に新しいシールを盛ったということがわかる。
10.車体後部の意外なチェックポイント
10.車体後部の意外なチェックポイント
フューエルリッド(給油口の蓋)は、リアフェンダーを板金修理するために外すことがある。ネジを脱着した形跡がないか点検してみよう。フューエルリッドを交換していれば、塗装表面の艶が周囲と違って見えることがある。いずれにしても、リアフェンダー周辺を修理していることが疑える。また、フューエルリッドの色を参考にして塗料を調合するために外すこともある。取り外した形跡があれば、再塗装するなど、他の部分を修理したり補修していることも考えられる。
11.床下のダメージをチェック
11.床下のダメージをチェック
日頃あまり見ることがない、車体の床下もチェックしよう。鉄板の歪みや部分的な変形、マフラーなどの床下の部品類に傷や凹み、交換した形跡がないかどうかも探ってみよう。外観はきれいに修理しても、走行に影響がなく、見えない部分はそのままにしていることがあるので、大きなダメージを発見することもある。
マツダ RX-7のコンディションはここで見極める
リトラクタブルライトの作動点検
リトラクタブルライトの作動点検
RX-7はリトラクタブルライトも特徴的だが、ライトのスイッチをONにすると、瞬時にポップアップ(カバーが持ち上がる)してライトが点灯するか、作動がしっかりしているかどうかをチェック。左右の動きが不自然なことがあるが、それはトラブルの範疇ではない。フェンダーやバンパー、ボンネットとの隙間が均等な幅で空いているかもチェックしよう。
変速機は試走してチェック
変速機は試走してチェック
マニュアルトランスミッションは、まず、クラッチの切れ具合をチェック。スムーズに断続できるか試してみよう。扱いが悪いと1万kmに満たない走行距離で消耗し、滑っていることもある。また、できれば試走して、1速からシフトアップ&ダウンを繰り返し、スムーズにギヤチェンジできるかどうかをチェック。ギヤが切り替わる時のショックが激しい場合はミッションマウント(トランスミッションを支えている部品)のヘタリも考えられる。
タイヤの状態を観察して走り方を推測する
タイヤの状態を観察して走り方を推測する
走行距離とタイヤの減り具合を見てみよう。高年式車で走行距離が少ない場合、極端にタイヤの一部が減っている、いわゆる偏摩耗の状態に注意。アライメント(タイヤの取り付け角度)が狂っているだけなのか、あるいは事故で受けたダメージなどで車体が歪んでしまったのかを確かめる必要がある。また、タイヤの接地面だけでなく角や側面まですり減っていたら、激しい走り方をしていたと推測できる。その場合は、車体やエンジン、サスペンションなど各部に負担をかけていると判断できるし、走行に関わる部品などの消耗も進んでいるはずだ。
握り部をチェック
握り部をチェック
皮革製品は、長期間使用するうちに劣化してくる。ステアリングホイールやシフトレバー、パーキングブレーキレバーなど、頻繁に握る部分や手を添えている部分に艶が出てくるのが初期の兆候だ。さらに進むと部分的に色落ちしたように見える。走行距離が少ないのに極度に劣化しているようなら、前オーナーの運転(異常な癖がついている)か、走行距離の表示かおかしいと推測できる。
エンジントラブルを察知する
エンジントラブルを察知する
エンジンをかけてみよう。異音が聞こえり、大きな振動が出ているようなら、トラブルを抱えている可能性がある。キーを捻ると、モーターが勢いよく回って容易にエンジンが始動するかどうか。モーターの回転が弱かったり始動がもたつく場合は、バッテリーが弱っていたり、エンジンの調整が必要かもしれない。実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってから軽くアクセルを煽ってみて、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
改造部品が装着されている
改造部品が装着されている
RX-7は、改造部品を装着している車両がかなり多い。改造が容認できる範囲でも、車検に通ることが大前提だ。また、装着されている部品の機能と、その車両がどういった使われかたをしていたかを推測する必要がある。メーカー推奨以外の太いホイールとタイヤ、サスペンションを交換していたり車体が低い、エンジンルームに後から付け足したような部品が付いているなどといった改造車両(たいていは色が付いた目立つ部品が付いている)は、専門家に相談したほうがいいだろう。
■今回の車両のプロフィール
1997年10月~2002年8月に販売されたRX-7。ロータリーエンジン(13B型2ローター1308ccエンジン)を搭載し、全輪ダブルウィッシュボーンサスペンションにマツダ独自のトーコントロールシステムを加えることで高性能な走行を実現したスポーツカーだ。
クルマ好きの間では、型式呼称の「FD」という愛称で呼ばれている。当初は販売店系列の関係からアンフィニRX-7と呼ばれていたが、99年からマツダRX-7となった。仕様グレードのうちオートマチックトランスミッションはRBとツーリングXのみで、他はすべてマニュアル。98年モデルから国内最強パワーの280馬力を得ている。