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故障・修理
更新日:2023.12.28 / 掲載日:2023.12.28

ブレーキパッドの適正温度とは?高熱化した場合の現象や注意点を紹介

ブレーキパッドには適正温度が設定されており、設定された温度を超えて運転を続けた場合、ブレーキが利きづらくなるなどのトラブルが発生します。

この記事では、ブレーキパッドの適正温度や超えたときの現象、処置方法を解説しています。

ブレーキパッドを自分で交換する方法や注意点、業者に依頼する相場なども紹介していますので、ブレーキパッドについて詳しく知りたい人は参考にしてください。

1. ブレーキパッドの適正温度とは

ブレーキパッドの適正温度は、その材質や種類、用途によって異なります。たとえば、サーキット用のブレーキパッドを街乗り用の車に取り付けるなど、適正温度が異なる用途で使った場合、適切なブレーキ性能が発揮されません。

ブレーキパッドはタイヤと一緒に回転するディスクローターを挟み込み、運動エネルギーを熱エネルギーに変えることでタイヤの回転を制御し、車を減速・停止させます。そのため、ブレーキをかけるたびに、ブレーキパッドとディスクローターに摩擦熱が発生します。

しかし、連続してブレーキをかけた場合など、ブレーキパッドの温度が上昇し、適正温度を超えると、ブレーキが利きづらくなる現象が生じることがあるのです。

また、適正温度に達していない状態でブレーキをかけると、ブレーキ鳴きやダストの発生、さらにブレーキ性能が正常に発揮しなくなる恐れがあります。

ブレーキパッドの適正温度は商品によって定められていますが、用途別の一般的な適正温度は以下のとおりです。

用途適正温度
街乗り用0〜100℃
ワインディング用200℃~500℃
サーキット用300℃~800℃

市街地での走行は走行速度も低く、ブレーキの回数も比較的少ないため、ブレーキパッドの温度はあまり上がりません。一方、サーキットやレースなど高速走行中のブレーキ回数が多い場合、ブレーキパッドは高温となります。

2. 高熱化した場合の現象と処置方法

ブレーキパッドが高熱化することで、「フェード現象」や「ベーパーロック現象」が発生する可能性があります。それぞれ、処置方法とあわせてご紹介します。

(1) フェード現象

フェード現象とは、下り坂などでフッドブレーキを連続して使用したときに、ブレーキが利きづらくなる現象です。

フッドブレーキを使い過ぎることで、ブレーキパッドに使われている摩擦材が高温になります。高温になると、ブレーキパッドに使われている樹脂などの素材が、耐熱温度を超えてガスが発生します。

発生したガスが、ディスクローターとブレーキパッドの間に入り込むことで摩擦力が低下し、ブレーキの利きが悪くなるのです。

フェード現象が発生し始める温度を「フェードポイント」と言い、一般的なフェードポイントの目安は以下のとおりです。

ブレーキパッドの用途フェードポイントの目安適正温度
街乗り用300〜350℃0〜100℃
ワインディング用500〜700℃200℃~500℃
サーキット用800℃以上300℃~800℃

なお、フェード現象が発生したら、ゆっくり走行しながら風をあてて、ブレーキを冷やします。そのときは、エンジンブレーキを使いながら減速するとよいでしょう。

アクセルを離すことでエンジンへの燃料供給がカットされ、エンジンに回転抵抗が生まれます。エンジンブレーキは、この回転抵抗を利用し、車を減速させる方法です。また、ギヤをシフトダウンすることで、その減速力はより強くなります。

その後、路肩やパーキングエリアなどで30分程度休ませると温度が下がるため、元のようにブレーキを使えるでしょう。

(2) ベーパーロック現象

ベーパーロック現象とは、ブレーキフルード(ブレーキオイル)の沸騰によって発生した気泡が原因でブレーキが利きづらくなる現象です。

ブレーキパッドはディスクローターを挟み込んだときに摩擦熱を発生させ、その摩擦熱がブレーキキャリパー内に充填されているブレーキフルードに伝わります。すると、ブレーキフルードが沸騰し、気泡が発生することがあります。

気泡が発生するとキャリパーピストンに適切な圧力をかけられず、ブレーキペダルを踏んでもブレーキが利かなくなるのです。

ベーパーロック現象も過度なブレーキ操作によって発生しやすく、とくに下り坂などブレーキを頻繁に使う走行では注意が必要です。

なお、ベーパーロック現象を解消するには、気泡が入ったブレーキフルードを交換する必要があります。発生したらエンジンブレーキを使いながら減速し、路肩やパーキングエリアに停車させましょう。

ブレーキフルードをその場で交換するには知識や道具が必要になるため、専門業者に連絡してください。

3. ブレーキパッド 高熱化の予防法

ブレーキパッドの高熱化を予防する方法を3つご紹介します。

1.エンジンブレーキを活用する
2.用途に合ったブレーキパッドを選ぶ
3.定期的に点検する

(1) エンジンブレーキを活用する

ブレーキパッドの高熱化を予防するために、長い下り坂などでスピードを落としたいときはエンジンブレーキを活用しましょう。

アクセルから足を離し、速度にあわせてギヤを下げることで、エンジンの回転抵抗が大きくなり減速します。AT車は、シフトレンジを「D」から「3」「2」「L」(CVT車では、「D」から「S」にシフトダウンし、さらに強くかけたい場合は「B」)へ下げてください。MT車も同様に、ギヤを段階的に落とすことでエンジンブレーキがかかります。

ただし、速度が速い段階でギヤを落としすぎると、急激にエンジンの回転数が高くなり、エンジンにダメージを与える可能性があります。速度に合わせてギヤを落とし、減速が足りなければ必要に応じてフットブレーキを活用しましょう。

また、エンジンブレーキを使用している間は、エンジンへの燃料供給をカットするので、燃費向上にもつながります。

(2) 用途に合ったブレーキパッドを選ぶ

ブレーキパッドの適正温度を守るために、用途に合ったブレーキパッドを選びましょう。

ブレーキパッドは種類によって特性が異なり、用途が定められています。一般的な4種類の用途やメリット・デメリットは以下のとおりです。

種類用途メリットデメリット
ノンアスベスト街乗り用・ブレーキ鳴きやダストの発生が少ない
・耐摩耗性が高い
・ブレーキローターへの攻撃性が低い
・パッドの表面温度が低くても制動力が発揮できる
・耐熱性が低い
・高速域での制動力が低い
セミメタリック・街乗り用
・ワインディング用
・サーキット用
・耐熱性が高い(ノンアスベストに比べて)
・高速域の制動力が高い(ノンアスベストに比べて)
ブレーキ鳴きやダストの発生が多い(ノンアスベストに比べて)
メタリックサーキット用・高速域での制動力が高い
・耐熱性が高い
・ブレーキ鳴きやダストの発生が多い
・パッドの表面温度が低いと制動力を発揮できない
・ディスクローターへの攻撃性が高い  
カーボンメタリックサーキット用・高速域での制動力が高い
・耐熱性が高い
・ディスクローターへの攻撃性が高い
・ブレーキ鳴きやダストの発生が多い
・パッドの表面温度が低いと制動力を発揮できない

たとえば、「ノンアスベスト」は市街地など街乗り用のため、ブレーキパッドの表面が低い状態からでも制動力を発揮できます。しかし、耐熱性が低くサーキットなど高速走行からのブレーキを使った運転には適していません。サーキットなど高速走行する車は、耐熱性があり高速域での制動力が高いメタリック系のブレーキパッドを使いましょう。

(3) 定期的に点検する

ブレーキパッドの高熱化を防ぐために、定期的にブレーキパッドやブレーキフルードを点検しましょう。

①ブレーキパッドを点検

 ブレーキパッドは摩擦によってブレーキをかけるため、使い続けることで擦り減り、厚みが薄くなります。そのまま使い続けると摩擦材の土台となる金属部分が露出し、ディスクローターにダメージを与えることや、適切にブレーキが利かない可能性があります。

新品のブレーキパッドの厚みは約10mmあり、3mm以下になったら交換のタイミングです。なお、ブレーキパッドは約10,000km走行するごとに1mmずつ薄くなります。ただし、種類や使い方によって擦り減るスピードは異なるため、ブレーキパッドの正確な残量はタイヤを外し、ブレーキキャリパーの点検窓から確認しましょう。

②ブレーキの引きずりを点検

ブレーキキャリパー内のサビが原因で、ブレーキを踏んでいないのにブレーキが常にかかっている状態になることがあります。これを「ブレーキの引きずり」と言い、この状態のまま走行すると異常発熱し「フェード現象」や「ベーパーロック現象」を引き起こす可能性があります。

これらのサビは部品の劣化などが原因のため、ブレーキパッドを点検するときは、同時にブレーキに引きずりがないか点検しましょう。

点検方法は車をジャッキアップさせ、ギヤをニュートラルにした状態でタイヤを手で回します(ジャッキアップしていないタイヤは必ず輪止めをかける)。問題なければタイヤは軽い力で回りますが、力を入れても回らない場合はブレーキが引きずっているかもしれません。また、以下の現象が起きた場合も、ブレーキの引きずりが起きている可能性があります。

・ホイールの汚れや走行直後のホイールの温度が左右で違う
・異常発熱によって焦げ臭いにおいがする
・スピードを出しても加速しづらい

「ブレーキの引きずり」があった場合、基本的に部品の交換が必要になるため、すぐにディーラーやカー用品店などの専門業者に相談してください。

③ブレーキフルードを点検

ブレーキフルードは湿気を吸収しやすいため、年月が経つにつれて空気中の水分が含まれていきます。水分を含んだブレーキフルードは沸点が低くなるため、ブレーキをかけたときに沸騰しやすくなります。その結果、気泡が発生し、ベーパーロック現象が起きる可能性が高くなるのです。

新品のブレーキフルードは透明か淡い薄黄色ですが、劣化したら茶色や黒色に変化するため、定期的に点検・交換しましょう。少なくとも2年毎(車検時)には交換が必要です。

4. ブレーキパッドの交換方法

ブレーキパッドを交換するときは、「自分で交換する場合」と「専門業者に依頼する場合」の2パターンがあります。自分で交換する方法と専門業者に依頼する場合の相場をご紹介します。

(1) 自分で交換する方法

ブレーキパッドを交換する方法を概説します。なお、ハイブリッド車や輸入車などは、方法が異なる場合や専用の機器が必要となる場合があります。

1.安全確保

安全な場所に車を駐車させ、シフトレバーをPレンジに入れてエンジンを停止させ、パーキングブレーキをかける。レンチを使いホイールナットを緩めたあと(軽く緩める程度で外さない)車をジャッキアップする。
ジャッキスタンドで車体を支え、安全に作業できる状態にする。前輪だけジャッキアップする場合は、後輪に輪止めを必ずかける(逆の場合も同様)

2.ホイールの取り外し

あらかじめ緩めていたホイールナットを外し、ホイールを取り外す

3.キャリパーの取り外し

キャリパーの下側のボルトをレンチやスパナで外し、キャリパーを下から上に取り外す。ブレーキキャリパーツールを使い、ピストンをゆっくりとキャリパーの奥まで押し込む。ピストンを押し込んだあとにブレーキフルードのタンクを確認し、足りない場合は補充する

4.ブレーキパッドの交換

キャリパーのブラケットから古いブレーキパッドを取り外し(パッドの取り付け位置によって、スプリングクリップやピンを外す必要がある)、新しいブレーキパッドとキャリパーの摺動(しゅうどう)部分にブレーキグリスを塗布する

5.キャリパーの取り付けと組み付け

新しいブレーキパッドを取り付けたあと、キャリパーを元の位置に取り付ける。最後にホイールを取り付け、ホイールナットをレンチで軽く締め付ける。ジャッキダウン後に本締めするため、最後まで締め付けない

6.ジャッキダウンとブレーキ復帰

ジャッキダウンし、ホイールナットをレンチで本締めする(トルクレンチが望ましい)。
エンジンを掛けずに10〜30回ほどブレーキペダルを踏み、ピストンが新しいブレーキパッドを確実に押せる状態にする。最後にもう一度ブレーキフルードの液量をMAXの位置に調整する

下記の記事では、ブレーキパッドの交換に必要な道具や方法をわかりやすく紹介しています。詳しくはこちらの記事もご覧ください。

ブレーキパッドが異常? ウェアインジケーターの役割や交換方法を紹介

(2) 業者に依頼する場合の相場

業者にブレーキパッドの交換を依頼する場合、事務的な手続きを含めて1時間程度かかります。ディスクローターなど、他のパーツの交換やメンテナンスを同時におこなうとさらに時間が必要になるでしょう。

一般的なブレーキパッドの交換は、8,000〜10,000円程度(ブレーキパッド本体代は別)の工賃がかかります。また、定期点検や車検での同時作業の場合、工賃が安く済むこともあります。ただし、車種や業者によって交換にかかる工賃が異なるため、時間的な余裕がある場合は複数の業者で見積もりを取りましょう。

依頼する業者を選ぶときは工賃だけでなく、対応の丁寧さや評判なども考慮に入れて業者を選ぶことをおすすめします。業者の評判などは、口コミサイトやレビューサイトなどで確認できます。

また、今回の交換だけでなく、車全体のメンテナンスを依頼できる業者であれば、一度で複数の作業を依頼できる点が便利です。

5.ブレーキパッド 交換時の注意点

ブレーキパッドを交換するときの注意点は以下の2つです。

1.交換できるのは車の使用者のみ
2.ディスクローターも点検する

順にご紹介します。

(1) 交換できるのは車の使用者のみ

ブレーキパッドの交換は、その車の使用者しかできません。

ブレーキパッドの交換は「道路運送車両法」の分解整備に該当するため、使用者もしくは委任を受けた認証工場や指定工場でおこなう必要があります。自動車整備士の資格を持っていても、認証工場や指定工場以外では他人の車のブレーキパッドの交換はできません。

家族の車や友人の車を自分で分解整備することや、家族や友人に自分の車を分解整備してもらうことは違法になるため注意してください。

(2) ディスクローターも点検する

ブレーキパッドの点検や交換時には、ディスクローターも点検しましょう。

ブレーキをかけるとき、ディスクローターはブレーキパッドに挟み込まれ、摩擦熱によって車を停止させます。そのため、ブレーキパッドが摩耗するように、ディスクローターも摩耗しているのです。

ディスクローターが劣化している場合、新品のブレーキパッドに交換してもブレーキの利きが悪かったり、ブレーキ鳴きの発生やブレーキパッドの早期摩耗につながったりする可能性があります。

ディスクローターの交換は、実際の部品の状態も見ながら、ブレーキパッド2〜3回の交換につき1回の交換が望ましいでしょう。ディスクローターを交換するときは、ブレーキパッドも同時に交換してください。見た目での交換の目安は、以下のとおりです。

・新品状態の厚みから2〜3mm減っている
・レコード盤のように線が入っている
・クラック(ひび・亀裂)が入っている
・ブレーキパッドとの当たり面にサビが発生している

ブレーキパッドだけでなく、ディスクローターもブレーキ性能に大きな影響を与えるため、定期的にメンテナンスしましょう。

6. ブレーキのことならグーネットピットにお任せください

ブレーキパッドの適正温度は、種類や用途などによって異なります。フッドブレーキの使い過ぎや誤った使い方で高熱化し、運転中にブレーキが利かないといったトラブルが発生する可能性があります。

もし、ブレーキが利かなくなった場合は、エンジンブレーキを使いながら減速し、安全な場所に駐車してください。駐車後、必要に応じてその現場に専門業者を呼び、点検してもらいましょう。

また、ブレーキパッド同様、ディスクローターも消耗品のため、定期的に交換する必要があります。しかし、自身でブレーキパッドとディスクローターを交換するには、作業時間や道具、専門知識が必要です。

ブレーキパッドやディスクローターは重要な部品のため、正しく交換できるか心配な人もいるでしょう。もし、交換を業者に依頼したい場合は、グーネットピットにお任せください。

グーネットピットには、車のメンテナンスに関する専門知識と十分な経験を持つスタッフが在籍しています。ブレーキに関することだけでなく、車全体のメンテナンスにも対応しますので、お気軽にご連絡ください。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

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車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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