パーツ取付・交換
更新日:2025.09.26 / 掲載日:2018.08.29
テンパータイヤとは?寿命や交換方法、スペアタイヤとの違いまでを解説

車に積まれている「テンパータイヤ」は、パンクやバーストなど緊急時に使用する応急用タイヤです。通常のタイヤとは構造や性能が異なり、あくまで一時的な走行を目的として装備されています。
しかし、「スペアタイヤとの違いがわからない」「使い方や交換方法に不安がある」と感じている人は多いのではないでしょうか。近年では、テンパータイヤが搭載されず、代わりにパンク修理キットが標準装備されている車種も増えてきました。
この記事では、テンパータイヤの基礎知識をはじめ、スペアタイヤとの違いや使用時の注意点、交換方法、サイズの選び方や購入先までわかりやすく解説します。万一のトラブルに備えて、正しく理解しておきましょう。
1. テンパータイヤとは

テンパータイヤは応急用タイヤとして搭載される装備ですが、その役割やスペアタイヤとの違いを正しく理解している人は意外と少ないものです。
ここでは、テンパータイヤの特徴や役割をあらためて確認しつつ、現行車での搭載状況までくわしく解説します。
(1) テンパータイヤとは
テンパータイヤとは、パンクなどのトラブルの際、一時的に走行する際に使用する「応急用タイヤ」のことです。英語では「テンポラリータイヤ(Temporary Tire)」と呼ばれています。
一般的には、トランクや車体下に格納されており、タイヤ幅が狭く軽量で、通常のタイヤとは明らかに形状が異なります。
(2) スペアタイヤとの違い
スペアタイヤと聞くと、「パンク時に使う予備タイヤ」というイメージを持つ人が多いかもしれません。
実際には、標準タイヤと同じサイズ・構造で、そのまま通常走行できるものを「スペアタイヤ」、一回り小さく軽量で幅が狭い応急用を「テンパータイヤ」と呼びます。
スペアタイヤは通常のタイヤと同様に使用できるため、トラックや一部のSUVに採用されています。一方、テンパータイヤは緊急時の一時的な走行に限定されており、走行距離や速度に制限があるのです。
また、テンパータイヤは軽量・コンパクトという特徴から、コンパクトカーやセダンでは燃費や荷室スペースを確保する目的で採用されるケースが増えています。
ホイールにラインが入っていたり、標準タイヤやスペアタイヤとは異なるデザインが採用されていたりする点も特徴です。
(3) テンパータイヤの搭載義務はない
テンパータイヤの搭載は、法律で義務づけられているわけではありません。そのため、新型車ではテンパータイヤを装備せず、代わりに「パンク修理キット」を搭載しているケースも増えています。
パンク修理キットは、軽度のパンクをした際に、小型のエアコンプレッサーやシーラント材を使い、タイヤ内部から空気漏れを一時的に補修します。軽量かつ省スペースで済むことから、多くのメーカーで採用が進んでいます。
ただし、修理キットは対応できるトラブルに限りがあります。たとえば、タイヤ側面に穴が開いたり、バーストしたりした場合は使用できません。
もしパンク修理キットしか積まれていない車に乗っている場合は、万が一のトラブルに備えてテンパータイヤを別途準備するか、ロードサービスに加入しておくと安心です。
2. テンパータイヤの使用条件
テンパータイヤは、パンクなど緊急時に一時的な走行を可能にする応急用タイヤです。通常のタイヤに比べてサイズが小さく軽量で、硬めのゴムが使われているため、最低限の性能を保ちながら走行できます。
ただし、使用には最高速度80km/h以下、走行距離は100km以内といった制限があります。そのため、高速道路や長距離移動には向いておらず、あくまで整備工場やタイヤ交換店まで安全にたどり着くための応急手段として使う必要があります。
この制限を超えて走行すると、バーストやグリップ不足により重大なトラブルにつながる恐れがあります。テンパータイヤを装着した際は、できるだけ早く通常タイヤへ交換しましょう。
3. テンパータイヤの寿命と点検のポイント
テンパータイヤはふだん使う機会が少ないからこそ、劣化や空気圧の低下に気づきにくい装備です。
いざというときに安心して使えるよう、寿命や点検のポイントをおさえておきましょう。
(1) テンパータイヤの寿命は7〜10年程度
テンパータイヤの寿命は、一般的に製造から7〜10年程度とされています。普段から使うことが少ないため通常のタイヤよりも長持ちしますが、ゴム製品である以上、経年劣化は避けられません。
たとえ見た目に問題がなくても、製造から10年を超えたものは交換を検討すべきです。とくに、5年以上経過している場合は、整備工場やタイヤ専門店で点検を受けると安心です。
(2) 使用していなくても劣化する
テンパータイヤは未使用でも劣化します。ゴムの柔軟性は時間とともに低下し、空気圧も自然に減っていってしまうのです。とくに車体外部に装着されているタイプは、紫外線や雨風の影響で劣化しやすくなります。
表面にひび割れがある、ゴムが硬くなっているといった症状が見られる場合は、安全のため交換を検討しましょう。
(3) 点検時に見るべきポイント
テンパータイヤは、空気圧と外観状態を定期的にチェックすることが重要です。テンパータイヤの空気圧は、通常タイヤよりも高めに設定されており、4.2kgf/cm²が一般的な目安です。空気圧が不足しているとバーストの危険性が高まるため、放置せず定期的に確認しましょう。
あわせて、ゴムの劣化によるひび割れや、損傷もチェックしましょう。日常的に確認するのが難しい場合でも、車検やオイル交換時のタイミングで整備工場に点検してもらうと安心です。
4. テンパータイヤの交換方法

テンパータイヤは、パンクなどのトラブル時に使用する応急用タイヤです。いざというときに慌てないためにも、交換の手順や注意点を事前に把握しておくことが大切です。
なお、自力での作業が難しい場合は、無理をせずJAFなどのロードサービスを呼びましょう。
(1) パンク時の初期対応と安全確保
走行中にパンクを感じたら、まずは落ち着いて、安全な場所に停車することが最優先です。後続車から見えやすい路肩や駐車帯など、平坦で安定した場所を選んでください。
停車後はハザードランプを点灯し、パーキングブレーキをかけます。オートマ車は「P」、マニュアル車は1速に入れておくと安全です。
次に、発炎筒や三角表示板を車両後方に設置し、後続車に注意を促します。さらに、交換するタイヤの対角線上には輪留めを置いて、車両の動きを防ぎましょう。
(2) テンパータイヤへの交換手順
テンパータイヤへ交換する際に必要な道具は以下のとおりです。
・ジャッキ
・ジャッキハンドル(操作棒)
・クロスレンチ(L字型または十字型)
・軍手や作業用手袋
・輪留め
・三角表示板や発炎筒
安全が確保できたら、以下の手順で作業を進めます。
① ホイールナットを少し緩める
ジャッキアップの前にナットを軽く緩めておくと、あとの作業がスムーズです。ただし、緩めすぎには注意しましょう。
② ジャッキで車体を持ち上げる
取扱説明書に記載されたジャッキポイントにジャッキを当て、タイヤが地面から浮くまで持ち上げます。
③ タイヤを取り外す
ナットをすべて外し、パンクしたタイヤを取り外します。安全のため、外したタイヤは一時的に車体の下に置いておくのがおすすめです。
④ テンパータイヤを取り付ける
テンパータイヤを取り付け、ナットを対角線の順に軽く締めていきます。
⑤ 車体を下ろしてナットを本締めする
ジャッキを下ろしてタイヤを接地させたら、ナットを対角順にしっかり締め直します。
なお、可能であればテンパータイヤは非駆動輪に装着するのが望ましいとされています。スペースと時間に余裕がある場合は、非駆動輪にテンパータイヤを取り付けることで安定して走行ができます。
(3) 応急走行後にやるべきこと
テンパータイヤは一時的な使用を前提とした装備です。スピードを抑え、長距離や高速道路での使用は避けましょう。できるだけ早く通常タイヤに戻すことが重要です。
交換後は、ほかのタイヤやホイール、足まわりに異常がないかを点検してもらいましょう。また、テンパータイヤを装着したままでは車検に通らないため、使用後は必ず通常タイヤに戻す必要があります。
応急処置に頼りすぎず、パンク後はプロによる整備を受けて、車の安全性を確保してください。
5. テンパータイヤの購入方法と価格
近年はテンパータイヤを標準装備しない車も増えており、万が一に備えて自分で用意しておくと安心です。ただ、いざ購入しようとしても販売されていないケースもあるため、事前に購入先や価格帯を把握しておきましょう。
ここでは、テンパータイヤはどこで買えるのか、新品価格の相場と購入先ごとの違いについて解説します。
(1) テンパータイヤはどこで買える?
テンパータイヤは、次のような場所で購入できます。
・カー用品店(例:オートバックス、イエローハットなど)
・ディーラーや整備工場
・ネット通販(Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなど)
・フリマアプリ(メルカリ、ヤフオクなど。ただし品質には注意)
どこで買えるかは状況によって変わります。すぐに必要な場合は、カー用品店やディーラーでの購入が確実です。スタッフに相談しながら、自分の車に合ったテンパータイヤを選べます。
価格を重視する場合や、特定のメーカー・サイズを探したいときは、ネット通販やフリマアプリも検討できます。ただし、信頼できる出品者から購入し、商品の状態は事前にしっかり確認しましょう。
(2) 新品価格の相場と購入先の比較
テンパータイヤの新品価格は、ホイール付きかどうかやサイズによって異なります。おおよその価格帯は以下のとおりです。
・テンパータイヤ単体(ホイールなし):5,000〜10,000円前後
・ホイール付きテンパータイヤ:10,000〜20,000円前後
なお、購入する際は送料や納期も含めて比較することが大切です。価格だけで選ばず、総合的に満足できる選択を心がけましょう。
6. テンパータイヤのサイズと適合性
テンパータイヤは、車種ごとに適したサイズを選ばなければ安全に使用できません。合わないタイヤを装着すると走行に支障をきたすため、事前にサイズの確認が必要です。
ここでは、テンパータイヤのサイズ表記の見方と選び方、間違ったサイズを使用した際のリスクについて解説します。
(1) サイズの見方と選び方
テンパータイヤのサイズは、タイヤ側面に記載された表記から確認できます。たとえば「T135/80D16」といった表記があり、それぞれ以下の意味を持ちます。
・T:テンパー(応急)タイヤを意味する記号
・135:タイヤの幅(mm)
・80:偏平率(タイヤの厚み/幅の割合)
・DまたはR:構造の種類(D=バイアス構造、R=ラジアル構造)
・16:ホイールのリム径(インチ)
テンパータイヤは通常タイヤよりも細く、軽量でコンパクトなつくりになっています。
車種によって適合するサイズが異なるため、車検証の記載や車体ラベル、ディーラーへの確認などで、自車に合うサイズを必ず確認しましょう。
(2) 間違ったサイズを使うリスク
テンパータイヤのサイズが合っていない場合、以下のようなトラブルが生じることがあります。
・車体の傾きやふらつきが起きる
・ABSや横滑り防止装置の誤作動が発生する
・ホイールハウス内で干渉するなど車体へ悪影響を与える
・万一の事故時に保険が適用されないケースもある
こうしたリスクを避けるためにも、テンパータイヤは車種に合ったサイズを選ぶことが大前提です。安易に「使えそうだから」と選ぶのではなく、必ず適合確認しましょう。
7. テンパータイヤのことならグーネットピットにご相談ください
テンパータイヤは、パンクやバーストといった緊急時に備えるための大切な装備です。慌てず対応できるよう、基本的な知識や正しい使い方、サイズ選びのポイント、安全に使うための注意点をあらかじめ把握しておくことが重要です。
近年は、テンパータイヤが標準装備されていない車種も増えており、自分で準備しておく必要があるケースも見られます。
グーネットピットでは、テンパータイヤの購入や交換に対応した整備工場を簡単に検索できます。取り付けの可否確認や日常点検などもプロに相談できるため、安心して任せられます。
いざというときに困らないよう、早めに対応可能な整備工場をチェックしておきましょう。