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更新日:2023.03.23 / 掲載日:2023.03.23

これから注目!?車内を静かに快適にする「調音施工」とは

 「調音施工」。まだ耳慣れないこのサービスが広がりを見せ始めている。調音施工とは、走行騒音の大半を占めるロードノイズとエンジンルームからの透過音(ピュアEVの場合はラゲッジルームからの透過音)を低減しながら耳に届く様々な音をバランス良く調和させ、快適な車内環境を創る「走行音静粛化プログラム」として、フォーカル・オーディオ・ジャパンが開始したサービスである。

ピンポイントで透過音を調整する新たな走行音静粛化プログラム

調音施工に使用される調音シート。
調音施工に使用される調音シート。

 走行音を静粛化させるサービスというと、「デッドニング」を思い浮かべる読者も多いだろう。しかし、調音施工はコンセプトにおいても、箇所においても、デッドニングとは異なるサービスである。

 基本的にデッドニングはオーディオの再生音を向上することを目的に開発されたサービスだ。ただ、床や天井、ドアなど車室内に広範囲に遮音材を施工するため費用が高額になりがちで、オーディオマニア向けサービスとして普及してきた。

 それに対し、調音施工は「走行音の静粛化」を主目的としており、オーディオメーカーのビーウィズが調音施工専用部材として開発した「BEWITHADVANS調音シート」を使用し、ホイールハウス周辺とバルクヘッド周辺(ピュアEVの場合はバルクヘッドに代えてラゲッジルーム内など)に施工箇所を絞り、走行時の主な騒音源であるロードノイズとエンジンルームからの透過音をピンポイントで調整することで、車両への負担(重量アップ)を最小限に抑えながら走行騒音を低減する。施工費用も8万円台~とデッドニングに比べて安価になっている。

特徴1 最小のコスト、最大の効果

 調音施工は、従来の「デッドニング」とは違います。必ず施工させていただく箇所はホイールハウス周辺のみで、さらにご希望に応じてエンジンルーム(エンジン車)またはラゲッジルーム(ピュアEV)周辺をオプション施工します。内装を剥がしたり、フロアやドアに遮音材をびっしり貼りつけるような非効率作業は過去のもの。最小のコストで最大の効果を狙います。

特徴2 音の専門メーカーが開発

 ハイエンドカーオーディオの専門メーカーとして世界的な評価を得る日本のBEWITH が20年以上にわたり培ってきた音への知見を注ぎ込み、材料(調音シート)から施工法に至るすべてをトータルで開発。スペックを超えて人の感覚に働きかける静けさの“質”を追求し、施工いただいたお客様からは「長時間のドライブでも疲労感が少ない」とのご評価を頂戴しています。

コロナ特需が終わった現在でもスピーカー販売は堅調に推移

主力商品の1つである「PLUG & PLAY elite」。
主力商品の1つである「PLUG & PLAY elite」。

 フォーカル・オーディオ・ジャパンが調音施工を開始したのは2019年からである。もともとはフランスのオーディオブランド「FOCAL(フォーカル)」のカ―オーディオ製品の日本総輸入販売元として事業展開しており、17年6月にはBtoC事業を強化するべく、デモカーを常設してフォーカルのカーオーディオ製品を気軽に試聴・装着できる専門店「フォーカル プラグ&プレイストア本店」を千葉県木更津市にオープン。その後フランチャイズ展開を開始し、茨城、千葉、愛知、大阪などに7店舗を展開しており、今年も新規出店を予定している。

 フォーカル プラグ&プレイストアの看板商品は「PLUG&PLAY speakers」だ。純正装着スピーカーとの換装を前提に、車種専用設計で音の良さと高度なインストレーション性の両立を目指して開発したスピーカーキットで、その中でも上級スピーカーユニットと高精度アルミダイキャスト製ブラケットを採用したハイグレードな日本限定モデル「PLUG&PLAY elite」が主力商品となっている。

 同社によると、「コロナ禍でマイカーを利用する機会が増えたユーザーの間で車内環境の改善意識が高まった」ことからPLUG&PLAY speakersの需要は以前にも増して高まっており、コロナ初期に起きた「スピーカー特需」が終わった今でも成長を続けているという。

静粛化など調音施工の魅力が動画で伝わり一躍話題に!

 調音施工については、従来はテスラなどのEVがメインとなっていた。EVは排気音がないので静粛性が非常に高い一方、ロードノイズなど走行に起因する騒音が耳障りになりやすいため、走行音を静粛化させる調音施工はうってつけのサービスとなったのだ。

 調音施工が一躍話題となったのは、昨年2月に自動車ジャーナリストの五味やすたか氏がYouTubeで公開した「【Eカラ号】オデッセイをより静かに快適にしたい!! 調音施工に挑戦!!」だ。ホンダ・オデッセイに調音施工(基本プログラム)を行い、その効果と施工費用(約9万円)を公開したところ、オデッセイユーザーからの問い合わせが急増し、施工依頼が一気に増えた。

 その後はスバル・レヴォーグやマツダ・CX‐5、三菱・アウトランダーなど様々な車種からの依頼が増え、特にファミリーカーユーザーからの依頼が目に付くようになった。それまでは取り扱い製品の関係で輸入車がメインで、国産車ユーザーは限られていたが、動画を機に様々な車種でメリットのあるサービスであることが伝わったため、ユーザー層が広がったのだ。

 調音施工は文字通り、車内の音を整える効果を発揮するため、車内の快適性向上に対するニーズが高まっている現在、車内で会話しやすくなるなどファミリーユースに適したサービスとなっている。また、調音によりオーディオの性能をより引き出すことができるため、オーディオのカスタマイズの一環としても有効だ。例えば、「スピーカーユニットやサブウーファーの装着」は費用面で奥さんから反対される場合があるが、調音施工なら比較的安価で効果も納得できることが、ファミリー層の需要獲得につながっている。とはいえ、車内の全ての音を調整できるわけではないことや、デッドニングとの違いなどを丁寧に説明する必要があることも確かである。

調音施工はさらに広がるサービス「施工店認証制度」も開始

 同社の売上の柱はスピーカーユニットなどのオーディオ関連製品であり、調音施工の占める割合は2割程度だったが、昨年は6割を超えた。オーディオ関連製品の販売も伸びているが、それ以上に調音施工の新規ユーザーの増加が売上を大きく押し上げた。また、20年には入庫車の9割以上が輸入車だったが、現在は調音施工の増加により6割以上が国産車となっている。

 前記の通り調音施工はEVとファミリーカーユーザーが主流になっているが、スポーツカーやハイパフォーマンスカーにもオススメだという。というのも、スポーティーな車種のユーザーにはエンジン音やエキゾーストサウンドを楽しみたいという根強いニーズがある。調音施工を行うとこうした音がよりクリアに聞こえるようになるため、今後はサウンドチューニングの一環として提案することで、さらなる新規ユーザーの増加が見込めると考えている。

 今後の需要の拡大を見込み、調音施工の「施工店認証制度」を昨年11月に開始した。調音施工は19年に直営のフォーカル プラグ&プレイ本店の限定サービスとして展開を開始し、その後、加盟店7店舗を「施工認証店」として取り扱いを拡大した。調音施工は正しい施工のために専門的な施工技術や車両構造への理解が必要なサービスのため、これまではフォーカルプラグ&プレイストアのみに限定して展開してきたが、需要の増加に供給が追い付かず、予約が集中する時期には施工まで数カ月待ちの状態になっていた。

 そこで、施工店認証制度を開始して、調音施工を正しく施工できる新たなショップを幅広く育成・整備することでサービスネットワークを拡充し、よりスムーズにサービス提供できる態勢を構築する。

 なお、今年は主力製品であるスピーカーの拡販策として、コストパフォーマンスの高さがウリのPLUG&PLAY speakersの新製品をリリースすることに加え、ビーウィズブランドのハイエンドモデルなどの魅力を体感できる環境(フォーカル プラグ&プレイストア)で積極的にアピールし、車内で音楽をより楽しむためのカスタマイズとして提案していく意向だ。

出典:アフターマーケット 2023年 2月号

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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