新車試乗レポート
更新日:2022.05.04 / 掲載日:2022.05.04

ホンダ・新型シビックe:HEV先行試乗!

7月に発売がアナウンスされている、新開発ハイブリッドシステムを搭載する新型シビックe:HEV。正式発表の前に、クローズドコースでの試乗機会に恵まれ、いち早くその走りを体感できた。詳細スペックは明かされなかったが、完成度の高い上質ツアラーとしての魅力に溢れていた。

●文:川島茂夫 ●写真:本田技研工業(株)

走り“爽快!”ハイブリッドシステムが大進化!

より洗練されたe:HEV
走りの質もクラス随一だ

 ファストバッククーペ風のキャビン後半デザインに精悍なフロントマスク。さぞかしスポーティな走りなのだろうと思ってしまうが、実際は大人っぽい落ち着きを感じさせるものだった。
 注目のポイントのひとつは、やはり完全新開発のe:HEVだ。実用燃費向上も狙いだが、実質的先代となるインサイトに対して動力性能の向上とドライバビリティの改善が印象的だった。一般的に電動駆動は速度が高まるほど動力性能が低下する傾向にあるが、新e:HEVは高速での加速やコントロールの落ち込みが少ない。逆に低速域での蹴り出し感は抑えめで、瞬発力よりも加速感の繋がりを優先した特性だ。速度域や加速強度の影響を受けにくい良質なコントロール性を示す。電動感の誇張よりも質感重視と言えよう。
 チェックできたのは120㎞/hまでであり、試乗コースはほとんど勾配路のため、巡行時のエンジン直動のドライバビリティの詳細は不明だが、アクセル踏み込み量に対する直動解除のタイミングは他のe:HEVと大きく変わっていない。シリーズ制御領域の性能向上が主と考えていい。
 良質なコントロール性はハンドリングにも当てはまる。最近のホンダ車に共通するのだが、前後輪のグリップバランスを保持しながら確実かつ穏やかにラインに乗っていく。加減速にも緩やかに反応し、ライン変化と回頭が一致しているのでコントロールも容易。操作量や修正に身構える必要などまったくない。操舵の切れ味とか路面に貼り付くような操縦感覚を求めれば少々ルーズな印象を受けるかもしれないが、余計な緊張を強いずにハイアベレージもこなせる正統派の「良いアシ」である。
 乗り心地はタイヤサイズ(235/40R18)を考えれば細かな凹凸の処理も十分にしなやかだ。揺れ返し等の挙動も抑えられているので据わりも良好。エンジン騒音とロードノイズも少なく、音質面でも比較的耳当たりがいい。少なくとも今回の試乗コースを走った限りでは、快適性もこのクラスの最上位レベルにある。
 先代あるいはインサイトに対して走りの質感あるいは車格感でクラス上の印象を覚えた。また、世代的に異なる印象も。シビックにスポーツコンパクトのイメージを求めるユーザーなら違和感を覚える可能性も高いが、日本向けにリサイズしたアコードと思えばしっくりくる。最新のホンダ車らしさを備えた良質なツーリングカーであり、刺激よりも長距離用途に於ける走りの質にこだわるダウンサイザーには見逃せない一車だ。

距離と時間を重ねるほどに そのよさが感じられるタイプだ

 正式発表前の試乗のため、詳細なスペックなどは明かされなかったがパワーフィールもハンドリングも癖がなく馴染みやすい。今回の試乗状況で評価する限り、ドライバーのストレスを最小限にする特性であり、速度や距離を感じさせない「とてもいいクルマ」だった。マニア好みとは言い難いが、快適な長距離ツアラーとして完成度が高い。

水平基調のシンプルなインパネデザインはガソリンモデルと同様。e:HEV専用のフルグラフィックメーターとエレクトリックギアセレクターを備える。
ガソリンモデルとのフロント周辺の違いは、グリルがグロスブラック仕上げとなったほか、Hマークもブルーに。
ブラックアウトされたリヤバンパーガーニッシュの形状が異なっているのがガソリンモデルとの違い。スポーティな仕上げだ。
e:HEVのエンブレムがリヤゲート右下に装着される。フロントと同様、リヤのHマークもブルータイプになっている。
シフトはボタンタイプのセレクターで行う。脇にはドライブモードスイッチも装備されており、4つのモードを切り替えられる。
インパネ中央のディスプレイオーディオには、クルマのエネルギーの流れを映し出すことが可能。エコ走行をサポートする。
10.2インチ高精細フルカラー液晶パネル。左側はパワーメーターとなっており、加速や減速などの状況を瞬時に把握できる。

新e:HEVの見どころ

新開発2ℓ直噴エンジン採用!
 発電機(エンジン)と駆動用バッテリーの電力供給でモーターを駆動するシリーズ式を基本に高速巡航専用のエンジン直動機構を備えているのが特徴。直動機構作動中はパラレル式として稼働するのでシリーズ/パラレル切替式とも言える。基本構成は従来のe:HEVと変わっていないが、強タンブル流吸気や大量クールドEGR等により高熱効率稼働域を大幅拡大した新型直噴エンジンの導入により発電の高効率化と供給電力量を増加。また、モーターやPCU等の電動系も強化され、幅広い走行域での動力性能と燃費の向上が図られている。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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