新車試乗レポート
更新日:2020.11.06 / 掲載日:2020.11.06
TOYOTA「ヤリスクロス」 横浜~群馬 400kmロングドライブ
注目を集めるコンパクトSUVの中でも、とくにホットな存在がこの夏に発売されたヤリスクロス。クラスを超えた走りと先進の安全性能、そして実用性の高さが人気の秘密だが、ロングドライブ適性はいかほどか? 横浜~群馬をHEVモデルで旅して確かめてみた。
サイズ感も走りも実用性も、さらに燃費性能まで優等生だ!

●重力式コンクリート型の草木ダムは利根川水系渡良瀬川にある。完成は昭和52年3月。堤高140m、堤頂長405m。常用放流設備のオリフィスゲートなどが見える。
休日のドライブをシミュレートしたようなコース設定で走りや居心地、燃費等を「実」で計ろう、というのが今回の旅の趣旨。標準的な試乗取材同様の撮影等はあるものの、クルマ使いの姿勢は物見遊山。家族や仲間とのドライブで少し遠くへ出かけてみた、という状況である。今回は横浜・みなとみらいを起点に、群馬県みどり市にある草木ダムを目指し、横浜・中華街をゴールとした。
ヤリスクロスの全長は4.2m弱、最小回転半径は5.3m。最低地上高は170mmで、スキッドプレート様のエアダムで前端部の地上高も確保。今回のルートではダート等の悪路はないのだが、狭い路地でUターンしてとか時として厳しいオーダーも。山際に貼り付くような狭い駐車場だったり、入り口段差が大きかったりと、道も周辺施設も必ずしも整った状況ではなかった。ワイドトレッドにベタベタの地上高のスポーツカーなら諦めるような場所もあるわけで、4WD仕様でなくてもヤリスクロスのサイズと地上高設定が実に有り難い。山間の集落で軽トラが重宝されるのも納得できる。
もちろん、高速を長々と走っての山間。一芸名人的な軽トラでは足りないものが大きすぎる。居心地等も含めて多用途性は重要。
山岳路は素直なハンドリングに小柄な車体で楽々。3人乗車でのパワーフィールはコントロール感覚では1名乗車とあまり変わらない。この辺りは負荷が大きくない割に変動が頻繁な状況とハイブリッドとの相性による効果も大きいのだろう。高速では車体揺動に軽量小型車らしい忙しさが若干感じられ、重質な落ち着きには欠けるが、安心感はサイズ以上。エンジン回転は高まりやすいがトルクの余裕も十分である。高速長距離も余裕でこなせる。
キャビンは大型レジャー用具となると厳しいものの4名乗車の日帰りドライブなら手荷物を積んで、道の駅等でお土産を買うくらいなら余裕十分である。上級2BOX車並みと考えれば理解しやすい。
さて気になる実燃費の結果だが、総合燃費は26.50km/L。惜しくもWLTCモードを約1km/L下回ったが、店探しや渋滞、撮影等々を考慮するなら実質WLTC超えと言っていいはずだ。燃費傾向では高速の伸びが今ひとつだが、SA立ち寄り等で細かく刻んでの走行なので、これもWLTC相当と考えていい。省燃費優先なら30km/L超えも狙えそうだが、快適かつ楽しくドライブしてこそのヤリスクロス。「らしく」使って最高レベルの省燃費を示す実践力には感心させられた。

●出発地点は横浜・みなとみらい。大人3人と撮影機材などを積載。後席の居住性も十分だった。
●北関東道は一部区間で渋滞した。ヘッドアップディスプレイのおかげで速度維持もしやすい。
●レトロ自販機好きのスタッフの提案で丸美屋自販機コーナーを訪問。予想以上の賑わい!
●朝8時に出発して、ゴールは18時過ぎ。走行距離約400km。10時間超の長旅となった。
●文/川島茂夫
●写真/月刊自家用車編集部