輸入車
更新日:2026.10.07 / 掲載日:2026.10.07
最新EVが続々採用!「800Vシステム」がもたらす3つのメリットとは

進化が著しい電気自動車の世界。2026年に日本に導入された輸入電気自動車は、業界最先端のテクノロジーを採用し、航続距離や充電時間を大幅に改善している。

電気自動車が普及するにつれ、課題も見えるようになってきた。
ユーザーにとって不満の最大のものは、充電時間の長さだろう。遠出するときは急速充電スポットに立ち寄るが、充電には時間がかかる。低出力の充電器だと30分つないでも少しだけしか電気をためることができない。そこで150kWクラスの充電器が登場したが、第1世代の電気自動車は対応できなかった。
第2世代の電気自動車は一気に高性能化に向かい、車載バッテリーの大容量化にも拍車がかかっている。航続距離を伸ばすためにはバッテリー電圧を高出力化し、効率改善にも取り組む必要があると判断し、350kWの充電規格が誕生した。こうなってくると400Vの電圧システムでは受電の限界が見えてくる。
壁を乗り越えるために生み出されたのが800Vの電気システム(アーキテクチャ)だ。400Vアーキテクチャの2倍の800Vなら、より高い電圧で受電できるため給電にかかる時間を短縮できる。

つまり400Vより充電時間を大幅に短縮できるのが800V高電圧化のメリットである。同システムを搭載するボルボのES90は、350kWの急速充電器で10分間だけ充電すれば300㎞の航続距離を追加できる実力を手に入れた。
高電圧化によって同じエネルギーを伝送するために必要な電流量を減らすことが可能だ。これは配線ケーブルの発熱防止に効果的だし、ケーブル類のサイズを細くしたり重量を低減することにもつながる。同じ仕組みによりモーターも同じ出力を維持したままで小型・軽量化できるし、冷却系の負担も軽減する。
800V高電圧化は、400Vシステムに比べて電気システムがより効率的だ。このシステムを生かせる電力密度と効率に優れた高性能な駆動用モーターを開発し、バッテリーマネージメントのソフトウェアとハードウェアを組み合わせれば、EVの充電能力は飛躍的に向上するし、航続距離だって伸ばせる。またパッケージング面でのメリットも大きい。
このように800Vシステムにはメリットが多いが、現在の主流が400Vということもあり、コスト高になるデメリットもある。そのため800Vシステムは、一部の高性能EVだけのものと思われていたが、一気にトレンドへと駆け上がってきた。アウディやBMW、メルセデス・ベンツなどのドイツ勢に続きボルボが舵を切っている。アジア勢もヒョンデや起亜、BYD、日本勢までもが本命と位置づけた。
テスラも採用に踏み切り、ゼネラルモーターズやリヴィアンも将来のEVは800V対応にすると発表している。コストの壁はあるが、800Vシステムを採用するEVは増え続けていくだろう。
PROFILE:片岡英明 自動車専門誌の編集者を経て、自動車ジャーナリストに転身。クラシックカーから最新のスポーツカーまで幅広く執筆を手がけている。早くから自身の生活にも電気自動車を取り入れたオーソリティ。
「800Vシステム」導入でEVはどう変化する?

800V化で得られる3つのメリット
1.15分〜20分程度で80%SOCまで回復、充電のタイムロスを大幅に低減
2.車体の軽量化と電費向上で実航続距離が伸びる
3.連続した走行でも安定したパフォーマンスを発揮
バッテリーや駆動モーターなど、EVのシステムを作動させる電気の電圧を一般的に使っている400Vから2倍の800Vに高めたのが800Vアーキテクチャだ。最大の特徴は、400Vの超急速充電器にも対応し、充電時間を大幅に短縮できることである。わずか10分ほどで300㎞以上も走行できるエネルギーを充電することが可能だ。また、システムの軽量化と電費の向上によって航続距離も伸ばすことができる。連続走行やハードな走り方でも安定したパフォーマンスを発揮できるのも強みのひとつだ。


【ボルボ ES90】240kWの超急速充電を体験!

106kWhの駆動用バッテリーを搭載するボルボのES90。5mの全長と約2.5トンの重量を持つ大型車だが、最新アーキテクチャの採用により、一充電走行距離は720㎞(WLTC)と優秀。試乗では240kWの超急速充電を試したが、約10分で30kWh近く、距離にすれば100㎞走行可能な電力を充電することができた。

【メルセデス・ベンツ CLA】2速トランスミッション搭載で高速域での電費を改善

メルセデス・ベンツCLAはマイルドHVに加え、2速ギア採用のEVを送り出した。モーターは低回転からパワーとトルクを発生するから、ギアは1段だけあれば事足りる。だが、これを2速に増やし、新たに加えた1速ギアで鋭い発進加速に磨きをかけたのだ。そして2速ギアでは高速走行時の電費の改善を図っている。

文●片岡英明 写真●ユニット・コンパス、BMW ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2026年11月号「このタイミングだからこそ知りたい本当の話【電気自動車ってどうなんですか?】」記事の内容です)