輸入車
更新日:2026.10.06 / 掲載日:2026.10.06
EVの実用性はここまで進化!ロングドライブを支える航続距離と充電性能

電気自動車でロングドライブはできない。そう考えるのは早計である。たしかに以前はそうだったが、状況は変わりつつあるのだ。

ついにここまで来たか、である。アウディが昨年発売した「A6 e-tron」の一部仕様は、1回の充電で走れる距離がなんと872km。そしてBMWの最新電気自動車「iX3」の航続距離はなんと最長906km。とにかく長いのだ。
もちろんこの数値は実走行ではなく、WLTCモード計測によるカタログ記載値。しかし一部の小型車を除けば、1回の充電で走れる距離はどんどん増える傾向にある。電気自動車の不安として語られることが多い航続距離問題は、徐々に解消されつつあるのだ。筆者は片道400km弱となる東京~名古屋間の電気自動車移動をすることもあるが、航続距離が長いタイプの電気自動車であれば不都合はまったく感じない。十分に現実的といえる性能だ。

かつてに比べると電気自動車での長距離移動は格段にストレスがなくなったが、それは単に航続距離だけの進化ではない。公共の急速充電器を使う際の充電速度が上がりつつあるのも追い風だ。
理由はふたつある。充電器側と車両側だ。充電器側でいえば、機材更新により高出力充電器が増えた。かつては急速充電器といっても出力50kWが一般的だったが、今では90kWや150kWという超高速タイプも都市周辺の高速道路では一般的となりつつあるのだ。
車両側がそれに対応していれば、150kW充電器を使うことで50kW充電器の倍以上(状況さえ整えば理論的には3倍)の充電速度を得ることが可能。すると「充電に時間がかかる」という感覚はかなり緩和される。
もうひとつは車両側の進化。充電速度は、単純に充電器側の容量だけでなく、車両側の受け入れ状況にも左右される。出力の大きな充電器を接続しても、車両の能力以上には電気を受けられないのだ。小型車では「最大50kW対応」というものもあるが、中型車以上は「90kW対応」や「150kW対応」という車種が一般的になりつつある。
すなわち高性能な充電器に車両側の高い受け入れ能力が重なることで高速充電が可能となる、そして高速充電可能な車両が増えている、と覚えておけばいいだろう。
航続距離が長くなったうえで、充電速度も速まったから電気自動車での長距離移動も現実味を帯びてきた。
その際に長い航続距離がもたらすのは、精神的余裕だ。筆者は「バッテリーが半分になったら充電しよう」くらいの気持ちだとストレスなく長距離移動できると考えているが、今ではそれをたやすく実現できる。
オススメは、トイレ休憩などの短い時間でも充電すること。90kWを超える充電速度なら15分でも航続距離はけっこう増える。事前に充電器の容量を調べ、充電速度の速い場所を選んで充電するのがコツだ。
注意すべきは一般道。高速道路と違って大容量の充電器に巡り合える確率が低いからだ。そこはまだハードルがあると言わざるを得ない。
航続距離の実際
カタログ値と実電費には差がある

実際に走ってみるとカタログ値どおりの燃費/電費に届かないというのは、エンジン車でも電気自動車でも同じこと。おおよその感覚だが、カタログに記載されている「一充電走行距離」の7割くらいが安心して走れる目安だ。ちなみに高速道路で燃費がよくなるエンジン車と違い、電気自動車は速度が低いほど航続距離が伸びる。
季節で航続距離はどれくらい変わる?

暑いときも寒いときもバッテリーの効率は低下し、加えて暑い日や寒い日の空調の負担も航続距離に影響を与える。特に暖房は電力使用量が大きく、あるメーカーの低速走行を想定した検証によると、外気温25度でエアコンオフに対し、20度でエアコン作動時は15%、外気温0度では30%ほど航続距離が減少するという試算もある。
充電インフラの最新情報

超急速EV充電器が登場
かつては50kW程度が一般的だった公共の急速充電器だが、昨今は90kWが増えている。なかには150kWやそれ以上というタイプも。CHAdeMO(チャデモ)と呼ぶ日本の規格は、すでに350kWまで対応したものが存在。次世代規格は最大900kWまで対応する計画という。

街中に増える充電スポット
街中では、道路脇に急速充電器を設置している場所も登場している。パーキングメーターのような感覚で路上にクルマをとめて、充電するというわけだ。市役所など公共施設や民間の駐車場などに急速充電器を設置する場所も増えている。それらを上手に活用するといい。

立地や出力に応じた時間課金へ移行
これまで公共充電器による充電料金は基本的に「時間課金」で横並びだった。しかし昨今では充電した電力量に応じての課金や、立地による料金差をつけている充電器やプランも登場。「どこで充電しても同じ」とはいえないのだ。電力量に応じた課金は公平性が高いともいえる。
最新の電気自動車は航続距離の問題を解決?

航続距離の拡大と急速充電性能の向上。このふたつが電気自動車による航続距離の問題を解決しつつある。300km程度の移動なら、ロングレンジを誇る最新の電気自動車ならまったく気にならないというのが正直なところ。
文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、e-Mobility Power、NEXCO ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2026年11月号「このタイミングだからこそ知りたい本当の話【電気自動車ってどうなんですか?】」記事の内容です)