中古車購入[2016.08.19 UP]

今明かされる中古車燃費の真実

工業製品であるクルマは、経年劣化で性能や機能が劣化してしまう。では、最近なにかと話題の燃費性能はどうか。今回は実際に3つの比較テストを敢行し、その実情をチェックした。

この記事の目次

気になる疑問 中古車の燃費性能は劣化しないのか?
カタログ燃費と実燃費はどうしてこうも違うのか?

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燃費・維持費

現代自動車の最重要性能燃費の真実を明らかにする
20年くらい前まで、クルマは最高速度や最高出力といった性能が主な評価対象だった。それがいまや、軽やコンパクトカーはもとより、スーパーカーにまで燃費性能が求められる時代となっている。
では、中古車の燃費はどうか。はたしてボディや内装同様、燃費性能も劣化してしまうのか。今回は、車種、年式といった条件ごとに、中古車(古いモデル)と新車とを比較する3つの燃費テストを実施した。いま中古車燃費の真実がわかる!

気になる疑問 中古車の燃費性能は劣化しないのか?

気になる疑問 中古車の燃費性能は劣化しないのか?

最新燃費ランキングトップ10(新車)

1位 トヨタ プリウス 40.8km/L
2位 トヨタ アクア 37.0km/L
2位 スズキ アルトマツダ キャロル) 37.0km/L
4位 ホンダ フィットハイブリッド 36.4km/L
5位 スズキ アルトラパン 35.6km/L

6位 ダイハツ ミライース
(トヨタ ピクシスエポック、スバル プレオプラス)
35.2km/L
7位 ホンダ グレイス 34.4km/L
8位 ホンダ シャトル 34.0km/L
9位 トヨタ カローラフィールダー/アクシオ 33.8km/L
10位 スズキ ワゴンR(マツダ フレア) 33.0km/L

カタログ燃費で比べたかぎり、最新モデルはすでに30km/Lを下回っているとトップテンにすら入ることができない。さらに各車とも、マイナーチェンジ時には0.1km/L単位で数値を向上させており、この争いに終わりは見えない状況だ(燃費数値はJC08モード)

カタログ燃費と実燃費はどうしてこうも違うのか?

燃費性能の追求は激化し、ついにはカタログ燃費と実燃費との乖離問題も取りざたされるようになった。そういやカタログ燃費ってすごく優秀だけど、どうしてこうなった?

開発陣は努力をしてるだけ問題は計測方法にあり!

清水氏の愛車であるフェラーリ458は5km/Lを切る極悪燃費車。だが年間10日くらいしか乗らないため、燃費はそれほど気にならないらしい 清水氏の愛車であるフェラーリ458は5km/Lを切る極悪燃費車。だが年間10日くらいしか乗らないため、燃費はそれほど気にならないらしい

TEXT/清水草一
1962年東京生まれ。中古車、新車問わずこれまで40台以上ものクルマを購入してきたベテラン自動車評論家。自動車専門誌から一般誌までさまざまな雑誌で連載を持っている。首都高研究家、交通ジャーナリストとしても活躍中。

欧米と比べて優しい日本における燃費基準
なぜカタログ燃費と実燃費はこんなに違うのか?
それは単純に言って、「テストでいい点を取ろうとして、全員が努力するから」だ。
日本における燃費基準は、欧米と同様、シャシーダイナモというローラーの上で計測される。JC08モードの場合でスタートから終了まで20分くらいだが、その間、ここで時速何kmまで加速して減速して次に・・・と、細かい内容が決まっていて、その通りに走る(下記参照)。
その「時速何kmまで何秒間で加速して」という細かい基準(走行モード)が、日米欧でそれぞれ違う。日本は欧米に比べると全体に低速だ。最高速だと日本は80km/hまで、アメリカが96km/hまで、欧州が120km/hまで。
このあたりでまず多少差が付くが、日米欧どの地域でも、メーカー側はなんとかいい数値を出すように最大限の努力をするのは同じ。それぞれの走行モードに合わせて一番低燃費が出るようにエンジンをセッティングして、燃費走行のF1ドライバーみたいな凄腕に運転させて、極限の低燃費を出すわけだ。しかしテスト問題に対して最大限頑張るのは当たり前で、いい数字が出たからってメーカーを非難するには当たらないよね?
つまり、問題はテストの内容にあるってこと。
テストの内容に関しては、欧州が一番条件的に厳しくて実燃費に近い値になるはずだが、実際にはアメリカのほうがさらに実燃費に近い。プリウスの一グレードで比較するなら、日本のJC08モードで37.2km/L、欧州で32.5km/L、アメリカで22.8km/Lになる。

というのはアメリカは、「マイナス7度という低温下でエアコンをオンにして走行する」といった、すごく燃費的に厳しい条件を前提にした補正値を掛けるから。実際にテストで出た点数に対して、「フツーの人はこんなに取れません!」ということで、0.7で掛け算した数字が市街地燃費くらいと思えばいい。実際にはもうちょっと複雑な計算式だけど、まあだいたいそんな感じである。
実は日本のカタログ燃費も、0.7を掛けると割合実燃費に近くなる。単純な話、日本もアメリカのような補正値を導入すれば、マトモな数字になるわけだ。
ただしアメリカでは、燃費はメーカーの申告制。ウソをつきたければつけないことはないが、ウソをついてその燃費が出ないと必ず訴訟になり、巨額の賠償金を取られて評判もガタ落ちになる。だからメーカー側は、逆に実際より辛い燃費数値を申告する傾向にある。訴訟社会のアメリカならではだ。
実は2018年度中に、カタログ燃費は国際基準(WLTP)に移行することが決まっている。つまり、日本の大甘なカタログ燃費も数年以内に変わるはず。それまではカタログ燃費に0.7を掛けて目安にするしかないだろう。

カタログ燃費の定義

10・15モードとは?
2011年まで日本で主に使用されていた燃費の測定方法。「○秒間アイドリング状態、○秒間○km/hまで加速、○秒で減速して停止」といった複数の走行パターンを、シャシーダイナモ(ローラーの上にタイヤを載せて走行する台)の上で計測した数値。市街地走行をイメージした10パターンのモードと、郊外走行をイメージした15のパターンのモードを組み合わせて同名称となった。

JC08モードとは?
現在新車のカタログに掲載されている燃費数値で、10・15モード燃費値があまりに現実(実燃費)とかけ離れているという声を反映し、2011年4月から採用された燃費の測定方法。変更期の数年間は、カタログに10・15モードと併記されることも多かった。より実際の走行パターンに近い数値とすべく、測定条件も厳しいものとなっており、10・15モードよりおよそ1割ほど数値が落ちる。

ブームの先駆け役と現役燃費王者とのハイブリッド対決

Stage01ステージ01 テスト車 トヨタ 新旧プリウス

今回の燃費テストコース

【一般道】
埼玉県ふじみ野市→群馬県前橋市(約90km)

【高速道】
関越道・前橋インター→同・三芳スマートインター(約80km)

【合計】約170km

並んで走るとデザインの変化が見てとれる。先々代型も今見れば現行型よりおとなしい 並んで走るとデザインの変化が見てとれる。先々代型も今見れば現行型よりおとなしい

10年の差が感じられたモーターの加速性能
まず最初にテストしたのは、新車でも中古車でも人気のプリウス。中古車は先々代型の2代目モデルを用意した。年式は古いが、トヨタが開発費を相当かけたと言われる、当時から世界トップクラスの燃費性能をもつモデルだ。
ハイブリッドカーということで電池に余裕がある時はモーターのみでEVモード走行をする。現行型はバッテリーが進化しており、この領域が多く燃費にも差がでると予想されたが、それは加速時の力強さにあらわれた。高速走行時も、現行型は気がつけばスピードが出ている感覚で、いつモーターのアシストが始まったのかわかりにくい味付けとなっている。一方、先々代型は、年式から考えれば妥当な話だが、走行中にエンジンがかかる際の振動が大きく、運転していて驚かされたこともあった。
乗り心地は現行型のほうが優秀だが、旧型もフワフワとした独特の浮遊感を維持している。走行は10万km以下ということで、足まわりに劣化はそれほど感じられなかった。

先々代型プリウス(H16年式)
先々代型プリウス(H16年式) 中古車相場:40万〜80万円 中古車相場:40万〜80万円 走行距離7万7000km

セダンでデビューしたプリウスはこの2代目からハッチバックとなる。当時は斬新だった5ドアハッチバックスタイルや近未来風のインテリアも、現在では地味な印象に。同車がベストセラーとなったのは次の3代目モデル以降だが、それなりに売れた型なので流通台数は少なくない。

SPEC(S)

全長×全幅×全高 4445×1725×1490mm
車両重量 1250kg
パワーユニット 1.5L直列4気筒エンジン+モーター
エンジン最高出力 77ps(57kW)
駆動方式 2WD
10・15モード燃費 35.5km/L

現行型プリウス(新車)
現行型プリウス(新車) 新車価格:242万9018〜339万4145円 新車価格:242万9018〜339万4145円

常に販売トップ争いに名を連ねるベストセラーモデルにして、燃費性能の現役王者でもある。現行型は2015年12月にフルモデルチェンジ。燃費性能にも貢献する独創的なスタイリングを採用し、着座位置が低いのも特徴だ。プリウスとしては初めて4WDモデルも設定されている。

現行型プリウス(新車)

SPEC(Sツーリングセレクション)

全長×全幅×全高 4540×1760×1470mm
車両重量 1370kg
パワーユニット 1.8L直列4気筒エンジン+モーター
エンジン最高出力 98ps(72kW)
駆動方式 2WD
JC08モード燃費 37.2km/L

走行結果

一般道で差をつけ、高速はほぼ同じ。10年前の旧型が完全勝利
現役王者が大勝するかと思いきや、ストップ&ゴーの多い一般道では先々代型が1km/L以上の差をつけて勝利。高速でほぼ同数値に。両車ともかなり優秀だが、先々代型の低燃費さに驚かされる結果に。

※すべての価格は参考価格です。
※中古車市場データはGoo-net2016年7月調べ。

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