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更新日:2019.05.17 / 掲載日:2019.05.17

GRスープラがついに日本で発売! 「直6」、「FR」で歴代のDNAを受け継ぐ

文と写真:内田俊一

 トヨタ自動車はかねてからレース活動などで公開していたスープラを発売した。価格は490万円から。

BMWと共同開発だが、2つのチームに分かれて

 新型スープラは、TOYOTA GAZOO Racingが展開するスポーツカーシリーズ「GR」初となるグローバルモデルだ。この新型スープラは、BMWとの包括提携による初の商品であり、マグナ・シュタイヤー社グラーツ工場(オーストリア)で生産。トヨタ自動車元町工場を経由し、日本のユーザーに届けられる。
 17年ぶりの復活となる5代目新型スープラのパワートレインは、1978年の初代スープラ(セリカXX)以降、どの世代でも直列6気筒エンジン、FRいう点は共通しており、新型でもこの2つは継承された。加えて今回は、「ホイールベース」、「トレッド」、「重心高」の3つの基本要素にこだわり、ピュアスポーツカーにふさわしいハンドリング性能を実現したという。
 搭載されるエンジンは3L直列6気筒ターボエンジンと、スポーティドライブを気軽に楽しむことができる2L直列4気筒ターボエンジンがあり、6気筒の出力は340馬力、最大トルクは51kgm。4気筒は258馬力、40.8kgmと197馬力、32.6kgmの2つのバリエーションがラインアップされた。
 なお、3月から開始した注文予約では、3Lターボの予約数が予想をはるかに上まわったことから、受付ができない状態が続いていた。しかし本日より、受注が再開された。
 BMWとの共同開発についてGRスープラ開発責任者の多田哲也氏は、「基本的なディメンジョンや諸元を決めた後は、スープラチームとZ4チームに分かれ、デザインのスタジオも全部分けて開発しました」と明かす。
 テストドライバーはヘルフィ・ダーネンス氏で、彼がスープラのテストを全て引き受けた。多田氏によると、「サスペンションも、エンジンも、トランスミッションも、ボディ剛性の配分みたいなところまですべて見ています。彼はトヨタのテストドライバーだった成瀬さんの最後の日本人以外の弟子です。彼がそのすべてのテイストを決めていったというのが、このクルマのDNAが過去から続いている(BMWとは違う)いちばんのポイントだと思います」と語った。

Supra is back

 新型スープラの発表に際し、GAZOO Racing Companyプレジデント友山茂樹氏は、冒頭、「かっこ悪いと思う方も、かっこいいと思う方も、だんだん目が慣れてきたという方も、これからはぜひ街で走るGRスープラを見て、その躍動感を間近に感じて頂きたい」とコメント。そして、「きっと皆様の心のなかで、今まで忘れかけていた何かが蘇ってくるはずです」という。
 “Supra is back”の背景には、今は亡きトヨタのマスタードライバー成瀬氏と、その全てを引き継いだ現在のマスタードライバー、モリゾウこと社長の豊田氏の熱いストーリーがあった。「ドイツメーカーを見てみろ、開発中の新型車でニュルブルクリンク24時間レースを走っている。それに比べて、トヨタがここで勝負できるクルマは、中古のスープラしかない」。その言葉が忘れられなかった豊田氏は、いつかスープラを復活させることを決意したというのだ。
 成瀬氏の死から9年目の2018年10月、「モリゾウ」としてニュルブルクリンクで自ら新型スープラの最終テストを行なった豊田氏には万感の想いがあったという。このニュルでのテスト走行を機に、レースフィールドへの「Supra is back」が本格的に始動。既に、ナスカーでは第2戦で初優勝を飾ると、第3戦ではラスベガスで連続優勝を飾るなど好調な滑り出しであるとのことだ。
 また来月、TOYOTA GAZOO Racingの原点である世界最大の草レース、ニュルブルクリンク24時間耐久レースにGRスープラで参戦する。友山氏は、「今から12年前、モータースポーツは、人を鍛え、クルマを鍛えることから、もっといいクルマづくりの基盤にしようと、現在の社長の豊田と有志の社員達が、中古のアルテッツァでニュル24に参戦しました。会社の反対を押し切って始めた活動でしたので、チーム名に“トヨタ”と付けられず、GAZOOと名乗りました。それが、TOYOTA GAZOO Racingの出発点であり、トヨタが作ったトヨタの壁をぶち壊す、という我々の戦いの始まりだったのです」と振り返る。そして、「今回のGRスープラのニュルへの参戦は、GRの新たな戦いの狼煙が上がることを意味しています」ともいい、「TOYOTA GAZOO Racingは、単なるマニュファクチャラーではなく、レーシングカンパニーです。世界中のレースで、その存在感を示すことがGRブランドの根底にあるという宿命を、GRスープラは背負うことになるわけです」とコメントした。

24台限定車も登場

 さて、このニュルブルクリンク24時間レース参戦記念として、“マット・ストームグレーメタリック”のGRスープラを24台限定販売で発売される。マットカラーはトヨタ初だ。複雑な塗装工程が必要なことから数が限られ、抽選となる。
 本日から約1ヶ月間、専用Webページにて申込みを受付し、レースの決勝が行われる6月22日(土)、23日(日)のレース期間中に、24台の当選者を決定。レースの模様は、TOYOTA GAZOO Racingのウェブサイトで視聴でき、抽選の模様もレース中継の中で行なわれる。

モータースポーツに積極参戦。コネクティッドで安全性への取り組みも

2019トヨタスープラMASCAR Xfinity Series Race Car

 モータースポーツに関して、まず挙げられるのはアメリカのナスカーだ。ハットリ・レーシング・エンタープライズチーム代表の服部茂章氏は、「ナスカーはアメリカのモータースポーツのなかでも、長くやらないと認めてもらえないところがたくさんあります。狭い世界で、どちらかというと日本でいう相撲みたいなもの。アメリカのモータースポーツの国技みたいなもので、そこでやっていくにはじっくり腰を据えてやっていかないと難しいのです」と紹介。服部氏はこれまでトラックシリーズに参戦し、多くの勝利を収めてきている。そこにプラスし2019年からはカムリに代わり、スープラでナスカーエクスフィニティ・シリーズへ参戦し優勝を重ねている。

GRスープラSUPER GTコンセプト

 また、2020年からは日本でもSUPER GTでも復活。TOYOTA GAZOO Racingアンバサダーの脇坂寿一氏は、「アメリカのモータースポーツでもたくさん勝っていますので、かなりのプレッシャーがありますね。しかしスープラという名前はモータースポーツの世界で復活するというのはものすごく盛り上がっていますので、2020年シリーズはしっかり戦いたい」とその意気込みを語った。
 もうひとつ、TOYOTA GAZOO Racingは、前述の通りeモータースポーツに本格参戦する。脇坂さんはこのレースについて、「eモータースポーツをゲームの世界だと思うのはやめてほしいのです。彼らの戦いを間近で見ると、グローブをはめてリアルのレーシングドライバーと同じ感覚で戦っていいます。戦い終わった後は汗だくなのです」と紹介。
 FIAGTチャンピオンシップマニュファクチャラーシリーズ2018チャンピオンの川上奏氏は、「心拍数は150から180くらいまで上がるようです」といい、その点について脇坂氏も、「我々レーシングドライバーはコーナー入る時にGがかかるので息を止めます。そしてコーナーの立ち上がりで呼吸を再開するので、心拍がそのくらい上がってしまいます。それと全く同じような状態になるのです。本当にスポーツです」と述べる。
 大塚氏はこの取り組みについて、「GRスープラ発売を機にワンメイクレースを立ち上げ、eモータースポーツに本気で取り組みます」。その狙いは、「GRはクルマが好き、モータースポーツが好きという方はもとより、新しくモータースポーツやスポーツカーに興味を持ってもらえる方を増やしていきたい。そういった人たちにはeモータースポーツは手軽に参入してもらえますし、FIA公認になるくらいすごくリアルなので、うってつけではないかと思っています」とした。さらに、「データも取ることができるので、将来のクルマの開発にもつなげていけるのではないかと思っています」とのことだった。
 GRとコネクティッドの両方を見る立場にある友山氏は、「クルマの楽しさを追求する、クルマの持っている楽しさをマキシマムにするということと、クルマが持っているネガティブな面、例えば環境問題や交通事故などをミニマムにする、最終的にはゼロにするという表裏一体の活動が非常に重要です。そういう意味でGRはクルマのハードを鍛え、コネクティッドがクルマのソフトを鍛えます。最新のレーシングカーは最先端のコネクティッドカーでもあります。クルマから様々なデータが上がってきて、それを基により安全に走れるようにクルマを改善していく活動が今もすでに起きています」と話す。
 具体的には、「レーシングドライバーやラリードライバーの操作とその時のクルマの挙動をデータとして取得し解析。いわゆるタイヤのグリップが失われた極限状態、決して速いからグリップが失われるわけではなく、突然凍結路が出てきたらタイヤのグリップは失われることもあります。そういった時でもきちんと安全に止まれる、もしくは安全に障害物を避けられるようなクルマを開発していく上では、モータースポーツやスポーツカーの開発というのはコネクティッドによって大きく貢献することができるということです」とこの取り組みに期待を寄せた。

古いスポーツカーを大事にしていこう

会場には歴代スープラも展示された

 さらに「GRヘリテージパーツプロジェクト」も同時に発表された。これは、70/80スープラのパーツ復刻活動で、「今回は具体的な部品名までをお答えできませんが、少しでもオーナーのご期待に応えられるよう努力します」と友山氏は述べる。なお、その友山氏自身も80スープラのオーナーだ。
 TOYOTA GAZOO Racingエクゼクティブバイスプレジデントの大塚友美氏も、「現在様々な部署の意見を聞きながらパーツの選定中です。かなり前に生産が終わっていますので、作るために必要な型が捨てられていたり、ひとつずつ作るのにコストもかかったりしてしまいます。従って社内からはなぜそんな非効率なことをやるのかという声もありました。しかしGRがやらなくて誰がやるのか、プレジデントからもトヨタの壁を破れということもいわれていますので実現できました」。と話す
 その友山氏も、「錆びた型を一生懸命直すなど考えられないような難しさがあります。そういった非効率のことをやらない会社なので、すごい反対がたしかにありました。しかし、スープラが出てきてからは社内の雰囲気が大きく変わり、応援団ができたり、やろうという声が大きくなり、盛り上がっています。オーナーとメーカーが一緒になって古いスポーツカーを大事にしていこうという活動になっていくと素晴らしいと思っています」と述べた。

「Supra is back to JAPANフェス」を19日まで開催

左から順に司会者の今井優杏氏、脇坂寿一氏、友山茂樹氏、大塚友美氏、多田哲也氏、服部茂章氏、川上奏氏

 最後に友山氏は、「次の100年も、クルマを徹底的に面白くする、TOYOTA GAZOO Racingの挑戦は、まだ道半ばですが、お客様の笑顔のために、自動車産業の未来のために、心ときめくクルマづくりに拘り続けて行きたいと思います」と結んだ。
 今回の発表を機にメガウェブでは「Supra is back to JAPANフェス」を19日まで開催。開発者トークショーや同乗試乗会などが開催。また、ワイルドスピードコーナーやトミカコーナーなども設置される。
 同時にサテライト会場として代官山TSUTAYAでも開催。6月2日までスープラのスケールモデルやカラーサンプル、スケッチボードなどここでしか見られないグッズが展示されている。


トヨタ スープラ RZ(8AT)

全長×全幅×全高 4380×1865×1290mm
ホイールベース 2470mm
トレッド前/後 1595/1590mm
車両重量 1520kg
エンジン 直列6気筒ターボ
総排気量 2997cc
最高出力 340ps/5000rpm
最大トルク 51kgm/1600-4500rpm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前/後 255/35ZR19/275/35ZR19

販売価格 490万円-690万円(全グレード)




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グーネットマガジン編集部

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