新車試乗レポート
更新日:2019.05.24 / 掲載日:2018.12.28
2019モデルとなったホンダ新型NSXを試乗インプレッション!
3モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」という独自の電動化技術を搭載した、スーパースポーツモデルNSXの2019モデルが登場。来年5月発売が予定されている市販モデルを試乗して、その進化を探った。
●文:山本シンヤ ●写真:奥隅圭之
HONDA NSX[マイナーチェンジ]
●発売日(最新改良):’16年8月25日(’19年5月予定)
●価格:2370万円
●販売店:NSX PERFORMANCE DEALER
●問い合わせ先:0120-112010
主要諸元(NSX)
●全長×全幅×全高(mm):4490×1940×1215●ホイールベース(mm):2630●車両重量(kg):1800●駆動方式:4WD●パワートレーン:3492ccV6DOHCターボ(507PS/56.1kg・m)+モーター(前:27kW×2+後:35kW/前:73N・m×2+後:148N・m)●トランスミッション:9速AT●JC08モード燃費(km/L):12.4●燃料タンク容量(L):59[プレミアム]●最小回転半径(m):5.9
フットワーク系と制御系を中心に改良
2016年に登場した2代目NSX。全てが刷新されスポーツハイブリッドSH‐AWDと言う新たな武器を導入。NSXの車名の意味は「新しいスポーツカーの経験」であり、筆者は従来の枠に囚われないホンダの挑戦を高く評価していたものの、シンプルで軽量がウリだった初代とのギャップが大きく、一部で正当な評価を得られなかったのも事実である。
そんなNSXが2019モデルにアップデートされた。内外装の変更はごく僅かだが中身は全面的に見直されている。その目的はドライバーとクルマの一体感や操作に対するクルマの動きの連続性、つまり「ドライビングプレジャー」の引き上げである。
試乗ステージはサーキットではなく一般道。試乗前はその違いが分かるか不安だったが、交差点一つ曲がるだけで違いは歴然であった。
従来モデル(2016モデル)は街乗り/クルージング領域ではスーパースポーツを感じさせない穏やかさを持つ一方で、スポーツ走行時では複雑な制御がドライバーの操作とリンクせず、予期せぬ動きにドキッとするような二面性があった。2019モデルは全域で一貫性のあるスポーツカーらしさと機械に血が通ったような懐の深い乗り味に深化している。
街乗り/クルージング領域では若干硬めになっているが、まるでバネ下重量が軽くなったような軽やかな足さばきと必要な情報は伝え、不快な振動は素早く収束するフットワークはショックアブソーバーのチューニングやタイヤの変更に加えて、各部の剛性アップが効いているようだ。ワインディングでも、2019モデルはいい意味で制御を感じさせない自然なフィーリング。その結果、クルマの状況もより掴みやすくなっており、安心感とクルマとの一体感も高まっているのだ。
NSXは4つの走行モードが選択可能だが、2019モデルは走りの方向性が一貫した上で、走行条件に合ったベストな味付けになっている。初代モデルで例えるなら、クワイエットモードはノーマル、スポーツ/スポーツ+モードはタイプS、そしてトラックモードはタイプSZEROが一台に凝縮されているイメージと言ったらいいか!?
このように走りの部分の変更は納得だが、顎擦りを防ぐリフトアップ機構がない事や、電動格納式ドアミラーや安全支援システムがない事などの装備面の乏しさが気になってしまう。気軽に使えるスーパースポーツだからこそ、ソフト面の充実もさらに煮詰めて欲しいところだ。
従来モデルではシルバーだったフロントグリルをボディと同じカラーに変更し、よりワイド&ローのスタイリングを印象づけている。
ドライビングに集中できるよう機能的にレイアウトされたインパネ。センターコンソールの中央にはインテグレーテッド・ダイナミクス・システムを配置。
ドライビングシーンに応じて、走行特性を選択できる「インテグレーテッド・ダイナミクス・システム」の各モードにも最適化が施された。
オプション設定のカーボンファイバーインテリアスポーツパッケージの一部だった、アルミ製スポーツペダル&フットレストが標準装備となった。
新色のシートカラーに上質感を高めたインディゴ(写真)を追加している。運転席はドライビングポジション・メモリー付き。
3基のモーターとV6ツインターボエンジンを組み合わせた独自のシステムは、合計で最高出力581PS、最大トルク65.9kg・mを発生。
初代NSXに採用されていたイモラオレンジ・パールをモチーフとし、現在の塗装技術を活用して生まれたサーマルオレンジ・パールをボディーカラーに追加。
専用のアルミホイールはペインテッド、切削、ポリッシュから選択できる。タイヤはコンチネンタル・スポーツコンタクト6を履く。
サスペンションの設定を見直し、フロントスタビライザー、リヤスタビライザー、リヤコントロールブッシュなどの剛性をアップさせた。