車選びの際にハイブリッドモデルかエンジンモデルか、どちらを選ぶべきかお悩みの方も多いでしょう。

ハイブリッドモデルは燃費が高くお得だというイメージが定着していますが、使用状況や環境によっては、必ずしもハイブリッド車がお得になるとは限りません。満足できる車選びを実現するには、世間の人気だけで判断せず自分に合ったタイプを選ぶことが重要です。

この記事では、ハイブリッド車とガソリン車のメリット・デメリットをそれぞれ詳しく解説します。

ハイブリッド車かガソリン車を選ぶ前に知っておきたいポイント

ハイブリッド車とガソリン車の違いやそれぞれの特徴をよく知らないまま購入してしまうと、「思っていたのと違った…」と、ギャップを感じ後悔してしまうおそれがあります。

満足な車選びを実現するには、メリットとデメリットをよく確認して、自分に合う車を選ぶことが重要です。

この記事を最後まで読むことで、ハイブリッド車とガソリン車のそれぞれの特徴を知り、どちらを選べば良いのか判断できるでしょう。項目ごとに違いを解説しているため、参考にしてください。

ハイブリッド車とガソリン車の違い

ハイブリッド車とガソリン車の違い
ハイブリッド車の特徴としてよく燃費性能があげられますが、ガソリン車との違いはそれだけではありません。アクセルを踏み込んだときの走行性能や静粛性、次の車に乗り換えるために今まで乗ってきた車を売ったときのリセールバリューなども異なります。

まずは、ハイブリッド車とガソリン車のそれぞれの違いについて、項目ごとに解説します。

ハイブリッド車とガソリン車の仕組み

ガソリン車はエンジンのみを搭載しているのに対し、ハイブリッド車はエンジンに加えてモーターも搭載しています。

エンジンとモーターの役割分担は、ハイブリッドシステムの種類によって異なります。例えば、エンジンだと燃料を多く消耗する停止状態から車を動かす動きをサポートするものや、エンジンは発電だけに使用し、走行はモーターが担うものなどがあります。

ハイブリッド車のバッテリーの残量が少なくなれば、エンジン駆動もできるためEV車のような電池切れの心配もありません。

このようにハイブリッド車とガソリン車は、駆動方式に大きな違いがあります。

車両販売価格にも大きな違いがある

車両販売価格にも大きな違いがある
同じ車種・グレードであっても、車両価格に数十万円の差額があります。50万円以上の差額が出る車種もあり、オプションの選択やローンの審査にも影響を与えるでしょう。

「ガソリン車なら予算内だけどハイブリッド車を選ぶと予算をオーバーしてしまう」というようなシチュエーションになると、グレードを下げたり、車種かハイブリッドシステムのどちらかを諦めたりする必要があります。

とくに新車で購入する場合は、新車注文時にしか搭載できるチャンスのないメーカーオプションも選べるため、優先順位をつけて車を選ぶことが重要です。

減税措置の有無

国は環境性能の高い自動車の普及と促進を目的に、ハイブリッド車にはあらゆる減税措置が設けられています。エコカー減税や環境性能割では、環境性能の高さに応じて減税率を設定しており、長期間乗っていても重税の対象にはなりません。

一方でガソリン車の場合は、条件を満たしていればエコカー減税の対象になりますが、燃費基準が厳しく、減税される車は限られています。長年乗り続けると重税の対象になり、自動車税は約15%、自動車重量税は約20%も税額が高くなります。

車の使用頻度に関わらず、所有すると決まったら税金は納める必要があります。そのため、維持費に大きな影響を与えるでしょう。

燃費性能による燃料代の違い

燃費性能による燃料代の違い
燃費性能の違いから、月々の燃料代にも差が生じます。

例えば、フリード(グレード:AIR)で比較してみると、ハイブリッド車の燃費は25.6km/Lであるのに対し、ガソリン車は16.5km/Lです。

年間走行距離が8,000kmとすると1年間でかかる燃料代はハイブリッド車で49,665円、ガソリン車は79,860円になり、30,195円の差額があります。1ヵ月あたりの差額を算出すると2,516円です。

もちろん走行環境や運転の仕方によっても実燃費は異なるため、実際にこれだけの差額が生じるかはドライバー次第ですが、ハイブリッド車の方が月々の燃料代は抑えられるでしょう。

エンジン音などの静粛性

モーター走行のできるハイブリッド車は、エンジン音がせず静粛性に優れています。早朝や深夜の住宅街のような静かな場所でも走行音を気にせずに走れることが特徴です。

しかし、エンジン音がしないことによって、風をきる音やロードノイズが気になってしまう方もいます。ガソリン車でも同じようにロードノイズや風切り音は発生していますが、エンジン音によって感じにくくなっているのです。

また、ハイブリッド車の場合は静かすぎて、周囲の歩行者や自転車が車の存在に気付いにくいという欠点もあります。

車の静粛性は運転中、常に感じるポイントであるため、ストレスのないものを選ぶことが重要です。

不具合が生じた際の修理費用

ハイブリッド車はエンジンとモーターの2つの動力を持っている分、構造が複雑であり、搭載している部品の数もガソリン車に比べて多いです。そのため、不具合が生じた際の修理・交換費用はハイブリッド車のほうが高額になる傾向があります。

なかでも、ハイブリッド車に搭載されている「駆動用バッテリー」は、交換が必要となるとバッテリー本体だけでも数十万円の費用がかかります。耐久性は高く造られており、保証も備わっているケースが多いですが、バッテリーがダメになると高い出費になるため注意が必要です。

なお、エアコンフィルターやエンジンオイルのような、どちらにも備わっている部品は交換費用に大きな違いはありません。

リセールバリューにも差がある

リセールバリューにも差がある
中古車市場でもハイブリッド車は需要が高いため、ガソリン車よりもリセールバリューが高いことが特徴です。

新しい車に乗り換えるとき、それまで乗っていた車は売却する方が大半です。このときの車の売値は年式や走行距離のほかに市場価値も影響します。長年乗っていた車も、ガソリン車よりハイブリッド車のほうが価値が残っているでしょう。

リセールバリューの高い車だと、売却金額を次の車の頭金に充てることも十分可能です。乗り潰すつもりはなく、車の価値が高いうちに新しい車に乗り換えたいと考えている方は、リセールバリューを意識した車選びがおすすめです。

走行性能の違いは好みによる

モーターを積んでいることによる車両重量の違いや、モーターによるアシストの有無などによって走行性能の特徴にも違いがあります。

ハイブリッド車はモーターを搭載していることで、回転を始めてすぐに最大トルクを発揮します。パワーに余力を持った力強い走りがハイブリッド車の特徴です。

一方でガソリン車は、車両重量の軽さを活かした軽快な走りが魅力です。

好みによって分かれるため優劣をつけられませんが、軽快な走りを楽しみたいならガソリン車、パワフルな発進・加速を重視するのであればハイブリッド車が向いています。

新車販売台数はハイブリッド車のほうが上回っている

一昔前までは、まだまだ少数派だったハイブリッド車も、年々販売台数を伸ばしています。この背景には、ガソリン代の高騰や政府による減税措置、国民の環境問題への意識の高まりなどが考えられるでしょう。

実際に、一般社団法人日本自動車会議所の調査によると、2024年の乗用車の新車販売台数のうち6割近くはハイブリッド車という結果が出ています。

これは、ガソリン車とハイブリッド車どちらのタイプも販売している車種でも、ハイブリッド車を選ぶ人が増えてきたことを表しています。

今よりも車両価格が高く、ガソリン代が安かった頃に比べて、車両価格の差額を取り戻しやすくなったことが、ハイブリッド車の普及の要因です。

ハイブリッド車とガソリン車では、どちらがお得ですか?
維持費が抑えられるのはハイブリッド車で、購入時の初期費用を抑えられるのはガソリン車です。車両価格の差は50万円前後する車種が多く、車の使用頻度が少ない方だと浮かせられる燃料代も減ってしまうため、差額を取り戻すまでに時間がかかってしまうでしょう。車の使用頻度が高い方にとっては、ハイブリッド車がお得になります。
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ハイブリッド車のメリット・デメリット

ハイブリッド車のメリット・デメリット
ハイブリッド車は環境性能に優れていることから、国が普及と促進を目指している自動車ですが、万人にとって「ガソリン車よりも良い」というわけではありません。

車両価格が高い分、後悔しないためにもメリットだけでなくデメリットにも目を通しておくことが重要です。

ここからは、ハイブリッド車のメリットとデメリットについて紹介します。

メリット①維持費が抑えられる

ハイブリッド車は低燃費であることから、ガソリン代の節約ができることが魅力です。ガソリン車からハイブリッド車に乗り換えたユーザーのなかには、「最後にガソリンスタンドに行ったのがいつだったか忘れるくらいに燃費が良い」と感じる方もいます。

さらにハイブリッド車は、環境性能が高いことから減税措置の対象であり、自動車税や自動車重量税の税金が抑えられることもポイントです。具体的な税額・減税額は車種やグレード、環境性能の高さによって異なりますが、数万円の節税ができます。

車の使用頻度が高く、1ヵ月に数回ガソリンスタンドに足を運んでいるような方は、ハイブリッド車を選ぶことで維持費を大きく下げられるでしょう。

メリット②静粛性に優れている

ハイブリッド車はガソリン車に比べてエンジンの稼働率が低いため、静粛性に優れていることが魅力です。エンジン音を気にせずに運転でき、早朝や深夜の住宅街など、静かな場所でも気兼ねなく走れます。

また、車内の快適性にも影響があり、3列シートを構える大型ミニバンのような車内空間の広い車だとエンジン音で音楽が聴きにくかったり、ドライバーと同乗者で会話がしにくかったりします。

しかし、モーター走行できるハイブリッド車の場合はエンジン音を気にせずに音楽や会話を楽しめるでしょう。ハイブリッド車はモーター走行ならではの静粛性が強みのひとつです。

デメリット①車両購入価格が高め

ハイブリッド車は維持費が抑えられる一方で、車両価格が高く購入段階の初期費用が高額になってしまいます。

車を購入する際、大半の方は予算を立てて車選びを行いますが、ハイブリッド車を選ぶことで上位グレードを選べなかったり、付けたいオプションを断念したりする可能性もあるでしょう。

さらにハイブリッド車とガソリン車では、車種によっては50万円以上の差額が出る車もあり、ローン審査に通る・通らないの問題も出てきます。ハイブリッド車の購入時には予算に余裕を持たせておくことが必要です。

このようなことから、車両価格の高さはハイブリッド車の大きなデメリットだといえるでしょう。

デメリット②修理費用が高くついてしまう

ハイブリッド車はエンジンに加えてモーターも搭載していることから構造が複雑であり、修理・交換費用が高額になってしまうことが注意点です。

とくにモーター走行を行うには、より多量な電気エネルギーを消耗しますが、そのエネルギーを蓄えて放電している駆動用バッテリーは、交換するとなると中古の軽自動車1台買えてしまうほどの出費になります。

エンジンオイルやエアコンフィルターなど、ガソリン車と変わらない部品は交換費用に差はありません。しかし、パーツが増えると必然的にメンテナンス箇所も増えてしまうことから、もし不具合があったとき、ハイブリッド車は出費が多くなってしまうでしょう。

ハイブリッド車を買わないほうが良い人の特徴は?
ハイブリッド車はエンジンが苦手とする停止と発進を繰り返す動きをカバーすることで、高い燃費性能を誇っています。そのため、そもそも停止・発進が少ない場所をメインに走行する方だと、ハイブリッドシステムの恩恵を感じにくいでしょう。
高速道路での走行が多い方や、信号・一時停止の少ない地域にお住まいの方は、場合によってはハイブリッド車にこだわる必要はないでしょう。

ガソリン車のメリット・デメリット

ガソリン車は車両価格がハイブリッド車よりも安く、「なるべく初期費用を抑えて車を購入したい」と考えている方に適しています。さらに、何か不具合があった際の修理・交換費用もハイブリッド車より費用が抑えられることがガソリン車ならではの魅力です。

しかし、燃料代の高騰が続いている近年では、長距離を走れば走るほど維持費が高くついてしまうことにも気を付けなければいけません。

ここからは、ガソリン車のメリット・デメリットについて紹介します。

メリット①初期費用が安く済む

ハイブリッド車とガソリン車では同じグレードでも数十万円の価格差があり、車両価格の安いガソリン車は初期費用が抑えられることが魅力です。車両価格が抑えられると、予算次第でグレードをもうワンランクアップさせたり、オプションを多く付けられたりします。

とくに新車購入の場合、メーカーオプションが選べますが、これは生産過程のなかでしか搭載できないオプションであり、後付けができません。そのため、「付けたいオプションがあったけれど、ハイブリッド車を選ぶために断念した…」というケースも少なくはないでしょう。

メーカーオプションを選ぶか、ハイブリッドシステムを選ぶかの2択を迫られたとき、金額によっては贅沢にメーカーオプションを選べることがガソリン車のメリットです。

メリット②選択肢が豊富

近年ではハイブリッド車の数も多くなってきましたが、歴史はまだ浅く、とくに中古車の場合はガソリン車のほうが選択肢が広いことが大きな魅力です。

車の購入時には限られた予算のなかで車を選ばなければいけませんが、選択肢が広いほうがより自分好みの車を見つけられるでしょう。

さらに、「エンジンモデルのない車種」よりも「ハイブリッドモデルのない車種」のほうが多く、ハイブリッド車に条件を絞ってしまうと選択肢が限られてしまいます。

ガソリン車であれば、予算内でより多くの選択肢の中から自分に合った車を選ぶことが可能です。

デメリット①燃費性能は劣る

ガソリン車でも車両重量を軽くすることで燃費向上を実現しているモデルもありますが、それでもモーターを備えたハイブリッドシステムには適いません。

ガソリン代は年々高くなっており、維持費に大きな影響を与えています。とくに通勤や通学など日常的に足として車を使用している方や、長距離のドライブが多い年間走行距離が長い方は、燃料代だけで多額の出費です。

ミニバンタイプの車は実燃費が1桁も珍しくなく、10km/L程度としましょう。1年間の走行距離が8,000kmだとすると、1年で燃料に132,000円も支払っている計算になります。(1L=165円で計算)

車の使用頻度が高い方にとって、燃費が悪いのは痛手となるでしょう。

デメリット②減税措置の対象外

ハイブリッド車の場合は環境性能に応じてさまざまな減税措置が受けられますが、ガソリン車の場合は対象外です。なかにはエコカー減税のようなガソリン車も対象に含まれるものもありますが、燃費基準が厳しく減税措置を受けられるモデルは限られています。

さらに年式が古くなると13年、18年のタイミングで重税される税金もあり、長く乗り続けると税金が高くなってしまうことも注意しなくてはいけません。

税金による家計の圧迫に気を付けなければいけないこともガソリン車のデメリットです。

ハイブリッド車のデメリットは何ですか?
ハイブリッド車のデメリットは、購入費用が高くついたり、修理時の費用が高額になってしまったりすることです。
近年ガソリン代は高騰しており、日常的に車を使用する方にとって燃料代は維持費に大きく影響しますが、日頃車を使用しない方にとっては浮かせられる費用も少額になってしまい、車両価格差もなかなか取り戻せません。
また、ガソリン車よりも構造が複雑である分、不具合があったときに修理費用が高くなってしまうことにも注意が必要です。

自分の条件に合った車を選ぶことが重要!

自分の条件に合った車を選ぶことが重要!
例えば、購入時の初期費用を抑えることを重視したいのか、それとも初期費用よりも維持費を抑えることを重視したいのかによっても、どちらのタイプが合っているか変わってきます。

自分に合った車を選ぶポイントは、欲しい車の条件を明確にしておくことです。

条件を決めずに車選びを始めてしまうと、気になる車が複数見つかったときに、どれが良いか分からなくなってしまい、決定するまでの時間が長くなります。

ざっくりとした希望のなかで車選びを行うのも楽しみ方のひとつですが、後悔しないためにもある程度の条件は具体的に決めておくことが重要です。

まとめ

①ハイブリッド車とガソリン車は駆動方式の違いによって、燃費性能や走行性能、静粛性などさまざまな違いがある
②2024年の乗用車新車販売台数はハイブリッド車が6割近くを占めており、徐々にハイブリッド車の普及が進んでいる
③ハイブリッド車は維持費が抑えられるが、車両価格が高く初期費用を抑えたい方には適していない
④ガソリン車は初期費用を抑えられるが、受けられる減税措置が少なく維持費を抑えたい方には適していない
⑤日常的に車を使用している方にはハイブリッド車がおすすめ

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