ハイブリッド車は燃費性能の高さが特徴ですが、運転のコツを知っていないと、その性能を最大限に発揮させられません。
この記事では、ハイブリッド車の特性を活かすエコドライブの方法や、燃費に影響を与える要素について解説します。
ハイブリッド車のメリットとデメリットも紹介しているため、運転方法でお悩みの方は参考にしてください。
ハイブリッド車の特性を理解することが上達の第一歩
ハイブリッド車は燃費性能に優れていることが特徴ですが、燃費に悪影響な環境であったりハイブリッド機能を活かせない運転方法だったりすると、その高い燃費性能を発揮できない恐れがあります。
ハイブリッド車の運転のコツを押さえるには、まずハイブリッドシステムの特性を理解して、より効率の良い運転を行うことが重要です。
効率的な運転方法といってもとても簡単なもので、今までガソリン車に乗っていたドライバーでも容易に習得できます。
ハイブリッド車の燃費性能について
ハイブリッド車には、ガソリンで動くエンジンのほかに電力で動くモーターも搭載していることが特徴です。ハイブリッドシステムの種類によって、モーターの役割は異なりますが、エンジンの負担を軽減させられることは共通しています。
エンジンの負担を軽減させられるということは、ガソリンの消費を軽減させられることに影響し、結果的に低燃費を実現しています。
なお、プラグインハイブリッド車を除くハイブリッド車は、外部充電はできず、車が動くことによって生まれるエネルギーを使って電力の充電を行っています。
車を所有しているうえで燃料代は維持費に大きく関係してくるため、車の購入時にも低燃費のモデルを選ぶ人は多く、ハイブリッド車は市場でも需要の高い車です。
ハイブリッド車のエコドライブの方法
せっかく燃費性能の高い車を運転するなら、ハイブリッド車の良さを活かせる運転方法を身につけたいと多くの方が考えるでしょう。
エコドライブを実現させるには、車間距離を適度にとり、急な操作を控えて走行するのがポイントです。また、ハイブリッド車に搭載されているエコジャッジ機能は、楽しみながらエコドライブを身に付けられます。
ここからは、ハイブリッド車のエコドライブの方法について紹介します。
車の始動時や信号待ちから車を発進させるときには、急にアクセルを踏み込むのではなく、穏やかな発進を行うことがエコドライブの基本です。
車が最もガソリンを消費するのは、停止している状態から車を動かす発進時です。最もエネルギーを必要とする発進時に、ゆっくりと車を動かすことでモーターを使った発進ができます。モーターの稼働にはガソリンを消耗しないため、燃料の消費を抑えることにつながります。
ゆっくり発進は、エコドライブだけでなく安全運転の面でも良く、例えば「車は動いていない」と判断した子どもの飛び出しにも対応できるでしょう。
発進時にはジワーっとアクセルペダルを踏み込むように意識することが重要です。
発進からアクセルを踏み込み、目標速度に達したらアクセルペダルから足を離してモーター走行をすることでも燃料の消費を抑えられます。
ハイブリッド車のなかには、時速30km程度までならモーターで加速できるモデルもあります。このようなハイブリッド車なら徐々に加速をして、モーターをフルに活用しましょう。
エコドライブを意識するうえで、「オーバーシュート」という目標速度を超えてしまうことは、ガソリンの無駄使いになってしまいます。目標速度に達した時点でアクセルペダルから一度足を離し、モーターを使った走行に切り替えることでエコな走行が実現できます。
減速時には早めにアクセルから足を離して、駆動用バッテリーの充電を行うことがエコドライブを実現させるコツのひとつです。
ハイブリッド車には「回生ブレーキ」という機能があります。ガソリン車ではブレーキを踏んだときに発生する熱を大気中に捨てていますが、ハイブリッド車の場合はこのエネルギーを使って駆動用バッテリーの充電を行います。
回生ブレーキを活用し、効率的に充電を行うには早めのアクセルオフが重要です。常に車間距離を適度に保ち、先の信号や一時停止を早めに確認しておくことで、回生ブレーキの機会を多く得られるでしょう。
上り坂をなるべくエネルギーを消耗せずに走るには、坂の手前で助走して、勢いで上りきることがコツです。
理由は自転車での坂道を思い浮かべると良いでしょう。上り坂の途中で自転車を漕いで坂道を登りきるのと、助走をつけて上りきるのでは助走をつけて登るほうがラクに漕げることが分かります。
車も同じように、上り坂の途中でアクセルペダルを踏み込むと、より多くのエネルギーを消耗してしまいます。坂道の手前で加速し、坂道に差し掛かってからはスピードが落ちてしまう前にアクセルを踏むことがポイントです。
前方車両や歩行者・自転車などに気を付けながら、上り坂では助走をつけて走行してみましょう。
ハイブリッド車にはドライバーの運転がどのくらいエコだったか採点してくれる機能があり、楽しみながらエコな運転を身に付けられます。
エコジャッジは、「エコな発進」「安定した走行」「エコな停車」の3つの判断基準によって採点されており、運転終了時に100点満点で画面上に表示されます。
車種によっては、点数だけでなく、採点結果の内容やメッセージの表示もあり、より楽しめるでしょう。
運転する度にエコジャッジの採点結果をみていると、高得点が取れたり点数が低かったりするため、ゲーム感覚でエコな運転を習得できます。
また、駆動バッテリーの充電が無くなってしまうと、自動的にエンジン走行が行われることからも、普段から回生ブレーキで駆動バッテリーの充電ができる走り方(車間距離に余裕をもって早めにアクセルオフ)をしておくことが重要です。
ハイブリッド車の燃費に影響を与えるもの
いくらハイブリッド車の性能が良くても、使用環境や運転方法が燃費に悪影響を与えてしまう状態だと、望むような燃費の良さは得られません。
車の良い状態を保つことは、燃費性能を最大限に発揮させることのほかにも、安全なカーライフを送るうえでも重要なポイントです。
ここからは、ハイブリッド車の燃費に影響を与えるものについて紹介します。
タイヤの空気圧が不足していると、燃費性能は落ちてしまいます。
タイヤの空気圧が低下すると、タイヤの接地面が増えてしまい、抵抗が大きくなることが燃費性能が落ちてしまう原因です。自転車の乗るときにも、タイヤの空気圧が抜けていると漕ぐのが辛く感じるのと同じ原理です。
タイヤの空気圧には適正量があり、少な過ぎても多過ぎても良い影響を与えません。
タイヤの空気圧を測るエアゲージは、ガソリンスタンドやカー用品店で無料で貸し出している店舗が多くあります。月に1度のペースや、遠出をする前のタイミングで定期的に空気圧の調整を行うようにしましょう。
車内に使わない荷物を積みっぱなしにしていることは、車の燃費に悪影響を与えてしまいます。
車両重量が増えると、それだけ車を動かすのにより多くのエネルギーを必要とします。人間でも両手に沢山の荷物を抱えて走るのと、何も持たずに走るのでは疲れ具合が大きく異なることを車に当てはめると分かりやすいでしょう。
一般社団法人省エネルギーセンターの実験によると、110kg車両重量が増えると燃費は3.4%悪化してしまうデータもあります。
タープやクーラーボックスのような、大きな荷物は積み降ろしも大変な分、そのままにしておきたい気持ちも理解できますが、燃費を意識するなら不要な荷物の積みっぱなしは避けておくことが重要です。
ハイブリッド車の場合は、冷房機能の使用時だけでなく暖房機能の使用時にも燃料を消費するため、使い過ぎには注意が必要です。
ガソリン車の場合、暖房機能の使用時にはエンジンで熱された冷却水の熱を利用して温風を車内に送っているため、暖房の使用によって燃費が悪くなることはありません。
しかし、モーターで動いている車で暖房機能を使用する場合は、稼働していなかったエンジンを暖房機能のために作動させる必要があり、結果的に燃費が悪くなってしまいます。
車内の快適性を保つためにも、冷房・暖房共に我慢し過ぎるのはいけませんが、無駄遣いはしないように気を付けましょう。
ハイブリッド車の恩恵は高速道路では受けにくい
停止と発進を繰り返し、燃料を多く消耗する市街地などでは、ハイブリッド車の燃費の良さを実感しやすいです。しかし、高速道路のような停止・発進の機会が少ないような走行環境では、ハイブリッド車とガソリン車の燃費の差を感じにくいでしょう。
ガソリンを最も消耗する動きは、停止している状態から車を発進させる動きです。そのため、信号待ちや一時停止の多い場所では、ハイブリッド車のモーターを使った発進がとても活きてきます。
しかし、エンジンも稼働する高速走行を行う高速道路での走行や、信号の少ない地方での走行環境であれば、ハイブリッド車ならではの恩恵を感じにくい方も多いでしょう。
ハイブリッド車の魅力は燃費が良いことだけではありませんが、ハイブリッド車の魅力を感じにくい走行環境にある方は、注意が必要です。
環境問題に配慮した車は、政府が普及と促進を目標にしており、今後もさらに増えていくでしょう。特に現在ガソリンモデルしか無い車種も、モデルチェンジのタイミングでハイブリッドモデルが導入されていく可能性が高いです。
しかし、ハイブリッド車にもデメリットが無いわけではないため、購入前にはよく検討しましょう。
ハイブリッド車のメリット
ハイブリッド車は燃費性能に優れているだけでなく、減税措置が受けられたり静粛性に優れていたりすることも魅力としてあげられます。
また、車両価格はガソリン車よりも高いものの、リセールバリューも高いため、トータルコストを考えるとお得になる可能性が高い点もポイントです。
ここからは、ハイブリッド車ならではのメリットについて、詳しく解説します。
ハイブリッド車には電力で動くモーターを搭載していることから、エンジンの負担を軽減し、ガソリン車よりも優れた燃費性能をもっていることが魅力です。
ハイブリッドシステムにも種類があり、エンジンの働きをサポートするものから、走行のほとんどの動きをモーターで賄えるものまで様々です。どのタイプにも共通して言えることは、ガソリンエンジンの1馬力で動くガソリン車より低燃費であり、ガソリンの消費が抑えられるぶん環境性能にも長けています。
車の使用頻度が高い人にとって、燃料代は維持費に直結するポイントでもあることから、ハイブリッド車の高い燃費性能は大きな魅力だといえるでしょう。
ハイブリッド車を選ぶことで、自動車税や自動車重量税などの税金面で減税措置が受けられるメリットがあります。
ハイブリッド車はガソリンの使用が少なく、その分排出ガスの量も抑えられています。国はこうした環境問題に配慮した車の普及と促進を目的として、ガソリン車には無い減税措置を設けているのです。
減税額に関しては、環境性能達成度によっても異なりますが、同じ車種でガソリン車とハイブリッド車を比べた場合、税金だけで数万円の差が生じるでしょう。
都度支払わなくてはならない税金で減税措置が受けられるのは、維持費にも大きく影響します。これもハイブリッド車ならではの魅力です。
モーター走行のできるハイブリッド車は、静粛性が高いこともメリットとしてあげられます。
エンジン音に比べて、モーター音はとても静かです。低速走行時などのモーターだけで走っている状態なら、早朝や深夜の住宅地の走行にも近所迷惑を心配せずに走行できます。
また、車内でもエンジン音を気にせず過ごせるため、ミニバンなど3列シートの車でも声が聞き取りやすく会話もより弾むでしょう。動画や音楽を視聴しているときにも快適です。
ハイブリッド車はガソリン車よりも需要が高く、下取りや買取りに出したときにも安定した査定額が期待できます。
残価率とは、新車価格に対して何パーセントの価値が残っているかを表したものです。残価率には市場の需要の高さなどが影響しており、常に変動しています。ガソリン車とハイブリッド車では、同じ車種・年式でも残価率が異なり、より需要の高いハイブリッド車の方が年式が古くなっても値崩れを起こしにくいです。
これは、ハイブリッド車のもつ燃費性能の高さや、年式が古くなっても増税の対象にならない減税措置があることが要因でしょう。
リセールバリューの高さは、お得に車を乗りたい人にとって重要なポイントです。
ハイブリッド車のデメリット
メリットの多いハイブリッド車ですが、決してデメリットがないというわけではありません。ドライバーによっては、ガソリン車との差額分以上のお得を感じられなかったり、モーター走行ならではの音の小ささが逆に不便に感じてしまったりもするでしょう。
ここからは、ハイブリッド車のデメリットについて解説します。
ハイブリッド車は維持費は抑えられますが、車購入時の初期費用はガソリン車よりも数万~数十万円高くなってしまいます。同じ車種であっても、ガソリン車にするかハイブリッド車にするかの違いだけで大きな金額差が出てしまうため、初期費用をなるべく抑えたいと考えている方にとってデメリットとなってしまうでしょう。
また、予算内で車を購入する際に、ハイブリッド車を選ぶことによって付けたかったオプションが付けられなくなってしまうという事態も起こる可能性があります。特に新車でメーカーオプションを悩んでいる場合は、後付けができないため慎重に検討することが重要です。
モーター走行によって走行音が小さいことはメリットである一方、周囲に車の存在を気付いてもらえないことがデメリットにもなります。
普段外を歩いたり自転車に乗ったりしていると、背後からでも車の走行音で「車が来た」と感じ取れますが、ハイブリッド車の場合は音が小さいがゆえに気付いてもらえないケースがあります。
見通しの良い場所ならそれでも問題ないかもしれませんが、住宅街などお互いに見通しの悪い場所だと思わぬ事故につながりかねません。現在では低速走行時にわざと音を発する機能を搭載した車種もあるため、走行音が気になる方は事前に確認しておきましょう。
バッテリー上がりはバッテリーに大きな負荷をかけてしまうため、なるべくバッテリー上がりを起こさないよう注意が必要です。1週間に1度の頻度を目安に、1時間程度車を走らせることでバッテリー上がりの防止になります。
異常を感じたらメンテナンスをして良い状態を保つことが重要
定期的なメンテナンスは、車の良い状態を保つうえでとても重要です。これはガソリン車にもハイブリッド車にも共通していることですが、ハイブリッド車はガソリン車よりも構造が複雑であるため、異常を感じたら自分で点検しようとせず、早めにプロにみてもらうのがおすすめです。
特にハイブリッド車には高圧な電流が流れる駆動用バッテリーを搭載しており、これを扱うには専門の知識をもったプロでないといけません。
車の内部に異常があったときには、警告灯が点灯したり、異音・異臭があったりします。重大なトラブルに発展するまで異常に気付けない箇所もあるため、定期的な点検は必ず受けましょう。