中古車購入
更新日:2018.12.02 / 掲載日:2014.12.26
中古車購入未来予想図
現在新車市場では、エコカーがもはやブームではなくなり、すっかりスタンダードとなっている。燃料電池車がついに市販化され、クリーンディーゼルはハイブリッドにつづけとばかりに車種数を増やしている状況だ。また、「ぶつからないクルマ」こと自動ブレーキも、いつの間にやら国産全メーカーが設定するなど、その普及を広めている───。
一般的に新車の影響はだいたい2~3年後に中古車市場に伝わってくるものだが、その影響も含め、自動車業界の時流を長いスパンで見た時に中古車の未来予想図はどうなっているのか。この先の中古車購入策について考えてみようではないか。
次の増税はいつ実施されるのか? そして中古車はいつが買い時なのか!?
中古車の達人が大予言!
自動車評論家 清水草一
自動車評論家 清水草一
あらゆるクルマ媒体で活躍を続けるベテラン自動車評論家。本道は自動車でありながら、数年前から経済書を読みあさり、現在では「永福町の経済評論家」を自負するほどに。
ありがたい増税延期も中古車には関係なし?
実を言うと中古車の購入に関しては、世の中の流れとか、経済情勢のようなものは、それほど大きな関係はない。
たとえば、14年4月から、消費税率が8%になった。それによって全体消費はずいぶん冷え込んだし、中古車の売れ行きにもブレーキがかかった。
しかし、それじゃ実際に4月以降に中古車を買った人が損をしたのか?というと、それはない。お店としては、消費税が上がったぶんを商品に上乗せしたいわけだが、バカ正直にそれをやったら売れなくなる。消費増税で売れ行きが鈍ったことで、逆に相場がわずかに下がった面もあるだろう。つまり、4月以降に買った人は、もしかしたら得をしたのかもしれない。
15年10月に予定されていた消費税10%へのアップは、17年4月に延期される。消費者としてはありがたい話だ。黒田パズーカ第2弾もじわじわと効き目を表して、今後2年半で景気は間違いなく持ち直していくだろう。平均給与もじわじわ上がり、「クルマ、買い替えようか?」という機運も盛り上がっていく。
しかし、景気が良くなって需要が増加すれば、物の値段が上がるのは当然の理。中古車相場もやや上向きになるはずだ。
それじゃ、今後は買い控えるべきなのか?と言うと、それも違う。なぜって、経済がこのまま成長を続けたら、永遠に買い時は遠のいてしまうから!
つまり、中古車というものは、欲しい時が買い時なのだ。世の中に惑わされず、自分が欲しければ買う!それが最も正しいのである。
トヨタの真打ち 燃料電池はこの先どうなるか?
トヨタ MIRAI(ミライ)
723万6000円
世界で初めて市販されることになったセダンタイプの燃料電池車。FCスタックや高圧水素タンクなどで構成する燃料電池技術とハイブリッド技術を融合した「TFCS(トヨタフューエルセルシステム)」を採用し、水素を燃料にしてモーターで駆動する。
FCV(燃料電池車)の一長一短
未来のクルマのメリットとは?
一番のメリットは環境性能が高いこと。ガソリンを使用せず、走行時の排出ガスもなし。さらにEVと違い水素の充填時間は短く(3分程度)、約650kmも走れるという。デメリットは、水素を補充するための水素ステーションが少ないこと(現在全国で41カ所が開設予定)。そして、高価なことも普及の障害となる。車両価格は723万6000円で、エコカー減税やグリーン税制、補助金などをすべて使用してもやっと500万円を切るくらいとなる。
ハイブリッドの時を振り返って考える
トヨタが満を持して登場させたミライは、次世代エコカーとして世界中のメーカーで開発が進められている燃料電池車だ。その注目度は非常に高いが、このクルマを中古で買えるのはいつ頃になるのだろうか。
ハイブリッドカーの時を振り返ってみると、97年にデビューした初代プリウスは、注目を集めたものの販売好調とはいかなかった。実際に売れ始めたのは商品力を高めた2代目。その後、国内ベストセラーとなった3代目の登場は09年で、普及までに約12年もかかっている。
ではミライが12年後に普及しているかというと、それも疑問が残る。FCVにとって普及の大きな障害となるのが充填装置の存在。これが全国に充実しなければ、ハイブリッドカーのように栄華を極めるのは難しいのである。価格の面を考えても、FCVの中古が現実的な価格で流通するのは、20年以上先の”未来”と予想されるが、はたして。
新世代パワートレインの現状
ハイブリッドカー 現在の日本市場における販売状況◎
欧州ではクリーンディーゼルが君臨しており、正直日本のハイブリッドカーがガラパゴス化している現状は否めない。とはいえ、トヨタが地道に商品力を向上させ続けてきたことで、日本ではすっかりエコカーの本命に。いまや軽を除いて全メーカーがハイブリッドカーをラインナップする状態で、新車販売首位争いもプリウス、アクア、フィット(ハイブリッド)らがトップ3を独占している状態だ。
EV(電気自動車) 現在の日本市場における販売状況△
日産が総力を挙げて普及に努めたEVだったが、やはりインフラの整備に手間取ったことで販売は進まず、現在も充電設備は足りていない状態。まだガソリンエンジンを捨ててEVに移行できるユーザーは多くなかったようだ。日本での市販EV第一号車となったi-MiEVを投入した三菱も、現在はより現実な方向性ということでPHEVに舵を切った。今後、より魅力的なEVが登場しないかぎり厳しい状況がつづく。
ミニバン SUV コンパクト 軽自動車 発表!! 人気ジャンルの注目銘柄
現在高い人気を誇る4大ジャンルにおいて、今後注目を集めるのはいったいどのクルマか?現在の中古車市場やモデルチェンジの時期なども考慮にいれながら、未来の各ジャンルをしょって立つ人気モデルを予測していこう。
広い室内スペースと3列シートが魅力 ミニバン
中古車市場概況
日産 セレナ
中心相場:122万~234万円
10年から販売されている現行モデルは、12年の一部改良で「Sハイブリッド」が追加されて新車販売台数を増加させている。それらは15年夏以降に一気に中古車として流通してくると予想される。
トヨタ 先代ヴォクシー
トヨタ アルファード
今後の新車モデルチェンジ予想
※写真は現行型
※写真はイメージ
未来を見据えた注目車!
トヨタ エスクァイア
オンもオフもOKのオールラウンダー SUV
中古車市場概況
日産 先代エクストレイル
中心相場:115万~316万円
7年もの長きに渡って販売された先代(2代目)モデルだが、09年以前のモデルであれば150万円以下の価格で手頃な物件を探せる状態だ。クリーンディーゼル搭載車は流通量が少なく相場も高め。
トヨタ 先代ハリアー
トヨタ ランドクルーザープラド
今後の新車モデルチェンジ予想
※写真はイメージ
※写真はイメージ
未来を見据えた注目車!
マツダ CX-3
※写真は発売予定モデル
SUVのトップランナーはエクストレイルからCX-5へと変わってきたが、扱いやすくお手頃なCX-3の登場で、その勢力図は再度塗り替えられる。市場への影響は数年後か。
扱いやすいサイズとちょうどいいバランス コンパクト
中古車市場概況
ホンダ フィット
中心相場:103万~152万円
さすがの人気モデルは、流通台数が多いものの相場も高め。新車とあまり変わらないがだいたい20万円程度安い価格で狙える。ちなみに先代モデルの相場は60万~137万円。およそ40万円安い。
トヨタ ヴィッツ
日産 ノート
今後の新車モデルチェンジ予想
※写真は現行型
※写真は現行型
未来を見据えた注目車!
ホンダ フィット
※写真はイメージ
アクアが登場しても食い下がったフィットが、今後もコンパクトカーの主役であり続けると予想される。ただし次期型へのモデルチェンジはまだ5年以上先と思われる。
ラインナップが多く低コストも嬉しい 軽自動車
中古車市場概況
ダイハツ ムーヴ
中心相場:58万~120万円
10年末にフルモデルチェンジされており、現在の相場は新車から平均50万円落ちとかなりお買い得な状態。ただし、12年末に大型マイチェンが行なわれ、その前後で外観イメージが異なっている。
スズキ ワゴンR
ダイハツ タント
今後の新車モデルチェンジ予想
ホンダが出す新型Nと待望のスポーツモデル
続々と新型モデルを投入しているホンダのNシリーズ。これまで登場したモデルはどれもはずしてないだけに、次の新型モデルも期待される。一方、クルマ好きの注目は、待望の新型軽スポーツ・S660の登場に集まっている。
※写真はイメージ
※写真はコンセプトモデル
未来を見据えた注目車!
スズキ ワゴンR
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データはGoo-net12月調べ
クルマ業界の気になる話題01 いつ買える? 自動ブレーキシステム搭載車リスト
エコカー同様、現在の新車業界ですっかり定番となりつつあるのが「ぶつからないクルマ」。現在、自動ブレーキシステムはどんなクルマに搭載されていて、いつ頃から中古車市場に出回り始めるのだろうか。
多くの車種で採用される現代自動車必須の装備
自動ブレーキの障害物を検知するセンサーには左記3種類があり、製造コスト(=価格)は高い順にA→B→Cとなっている。Aのレーダー式は悪天候や遠距離にも強く、Bのカメラ式は対象物との距離や大きさを判別できるので人間の認識も可能。Cのレーザー式は低コストながら夜間でも使える。
TOYOTA[トヨタ]
ミリ波レーダーを基本にしており、かなり遠方の障害物まで検知できる
トヨタが採用するシステムは「プリクラッシュセーフティシステム」と呼ばれ、モノラル(単眼)カメラと、至近距離用と遠距離用のミリ波レーダーで前方を認識する。
自動ブレーキシステム搭載車
ランドクルーザー、マークX、SAI、クラウン、クラウンマジェスタ、プリウス、プリウスα、ヴェルファイア、ハリアー、カムリ ほか
NISSAN[日産]
エマージェンシーブレーキは13年12月にエクストレイルで初搭載された
フロントカメラが前方の車両や歩行者を検知する「エマージェンシーブレーキ」のほか、レーダーを用いた「インテリジェントブレーキアシスト」も設定されている。
自動ブレーキシステム搭載車
スカイラインクロスオーバー、フーガ、シーマ、スカイライン、エルグランド、ノート、セレナ、エクストレイル
HONDA[ホンダ]
CMBSは改良され、以前は行なわれなかった自動停止も実行可能に
レーダーを用いた追突被害軽減ブレーキ「CMBS」を03年から投入しているが、現在は小型車を中心に進化型の「シティアクティブブレーキシステム」も展開している。
自動ブレーキシステム搭載車
アコードハイブリッド、オデッセイ、ステップワゴン、ストリーム、グレイス、フィット、N-BOX、N-ONE、N-WGN、ヴェゼル
MITSUBISHI[三菱]
レーダーセンサーは左右に首をふり、ワイドレンジにも対応している
自動ブレーキ「FCM」は、カメラユニットを用いた車線逸脱警報システム「LDW」やレーダークルーズコントロールシステム「ACC」とセットで「e-Assist(イーアシスト)」と呼ばれる。前方を検知するのは、正確に距離を測定し夜間や霧の時でも確実に物体を認識するミリ波レーダー。
自動ブレーキシステム搭載車
アウトランダーPHEV、アウトランダー
SUBARU[スバル]
進化を続ける「アイサイト」はレガシィの90%に装着されているという
クルマを停止させて衝突を回避する機能まで付いたのは「アイサイト」が最初。約10万円という値付けでヒットした。ステレオカメラを用いており、歩行者も検知する。
自動ブレーキシステム搭載車
フォレスターは、、XVハイブリッド、XV、WRX S4、レガシィアウトバック、レガシィB4、レヴォーグ、インプレッサG4、インプレッサスポーツ、エクシーガ
MAZDA[マツダ]
SCBSとSBSの連携によって低~高速域でも衝突被害の軽減が可能に
「スマートシティブレーキサポート」は赤外線レーザーセンサーにより低速域で作動し、「スマートブレーキサポート」はミリ波レーダーで中・高速域をカバーする。
自動ブレーキシステム搭載車
CX-5、アクセラスポーツ、アクセラセダン、アテンザセダン、アテンザワゴン、デミオ
SUZUKI[スズキ]
単に追突事故の被害を経験するだけでなく誤発進抑制機能も備えている
低速域で作動するスズキの「レーダーブレーキサポート」は、その名のとおり赤外線を使用したレーザーレーダーを搭載しており、前方車両や障害物を検知する。
自動ブレーキシステム搭載車
ワゴンR、ワゴンRスティングレー、スペーシア、スペーシアカスタム、ハスラー、ソリオ、ソリオバンディット
DAIHATSU[ダイハツ]
自動ブレーキだけでなく、誤発進抑制、先行車発進お知らせ機能もあり
赤外線レーダーを用いる「スマートアシスト」は、レーダー光の反射光から距離や相対速度を把握して、低速域で作動するシステム。約5万円という低価格が魅力。
自動ブレーキシステム搭載車
ムーヴ、ムーヴカスタム、タント、タントカスタム、ミライース、ウェイク
あと数年待てば台数が増えるのは確実!
新車では年々自動ブレーキの装着率は高まっているが、新車時のオプションの価格は中古車の相場にほとんど影響がないため、中古車ユーザーはその恩恵を無条件で受けられることになる。そしてあと1~2年も経てば、自動ブレーキ装着車の中古物件も増えていることだろう。
クルマ業界の気になる話題02 今新車で売れてるクリーンディーゼル。では、中古車はどうだ?
クリーンディーゼルエンジンを搭載した新型デミオが2014年度の日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、6年前に登場したクリーンディーゼルは、いまや新車でスタンダードになりつつある。中古車の現状はどうだろうか?
欧州ほどではないが知名度は大きく高まった
いまや「ディーゼル」と聞いて嫌悪感を抱く人はそれほど多くないのではないだろうか。パワフルで低燃費、排気もクリーンで燃料代も安いといいことづくめ。さすがに欧州のようにディーゼルがガソリンエンジンのシェアを脅かすほどではないが、着実に人気を高めてきている。
では、そんなクリーンディーゼルエンジン搭載車は、中古で気軽に買えるのかというと、実はまだ時期尚早である。新車でクリーンディーゼルの普及を進めた左記のモデルを見ても、流通台数は決して多いとはいえず、相場もまだこなれていない。
その一番の理由は、日本でクリーンディーゼルをラインナップしているメーカーが3社(マツダ、日産、三菱)しかないからだ。トヨタとホンダは、日本における最も現実的なエコカーとしてハイブリッドを選んでいる。ほぼマツダだけでトヨタとホンダには勝てず、今後もディーゼルは一定の層にのみ人気を獲得し続けると予想される。そういう意味では(ニッチな存在として)オーナーになる喜びは大きいのだが。
人気モデルの中古車動向
日産 エクストレイル
中古車市場動向
先代エクストレイル自体は相当売れたが、当初MTしかなかったこともありディーゼルの新車販売は極小。中古の流通量も全国で100台に満たない。
マツダ CX-5
中古車市場動向
流通する物件のうち、約半数がディーゼル搭載車。しかし総数が300台にも満たないため少ない。12年のデビューだけに、今後の増加が期待される。
マツダ アテンザ
中心相場:240万~280万円
まだまだ中古は少ない!
マツダの中核を担うミドルサイズセダン&ワゴン。どちらのボディタイプもガソリン&ディーゼルを設定。
中古車市場動向
やはり12年末にデビューしたばかりで、市場流通物件自体がすくない。ディーゼル搭載車に関しては、セダンとワゴン合わせても50台に満たない。
HISTORY そもそもクリーンディーゼルとは?
トルクに優れる環境対応型エンジン
空気を圧縮したシリンダー内に燃料(軽油)を直接噴出して爆発・燃焼させる構造のエンジンのこと。かつて環境に悪いとされ絶滅しかけたが、技術開発が進み、2008年にクリーンディーゼルとして復活した。力強いトルク感や低燃費性能、CO2排出量の少なさなどが特徴。
1. 全盛期(旧ディーゼル)
環境問題が騒がれる以前はSUVで流行
トラックやバスなどの大型商用車を中心にディーゼルエンジンは普及し、70年代のオイルショックを受けて乗用車への導入も広がった。その後も90年代までは、排出ガスによる環境悪化が指摘されながらも、SUVなどビッグトルクが必要な数多くのモデルにはディーゼルが搭載されていた。
2. 黎明期
約10年の雌伏を経て復活の狼煙をあげる
99年に東京都の石原都知事(当時)が、ディーゼル車が大気汚染の元凶だと発言したことに端を発し、各地で厳しい法規制が敷かれることに。しかし2008年、日産はこの法規制にいち早く対応し、当時のエクストレイル(先代型)にクリーンディーゼルエンジンを搭載したモデルを追加する。
3. 過渡期
セダンやワゴンミニバンにも波及
スカイアクティブ技術で「低燃費」イメージを強く印象づけていたマツダが、12年に新型SUVのCX-5にクリーンディーゼルエンジンを搭載し、その知名度を広めた。つづいて同年末には新型アテンザにもクリーンディーゼルエンジンが搭載され、SUV以外にもその採用が広がった。
4. 成熟期
デミオにも採用され認知度をさらに高める
14年にコンパクトカーとしては初めてマツダのデミオがクリーンディーゼルエンジンを搭載。同年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得して、その認知度と普及をさらに広めた。クリーンディーゼルエンジン搭載車の販売台数も7万台を超え、今後のさらなるモデル展開が期待されている。
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データはGoo-net12月調べ
クルマ業界の気になる話題03 ~次のメインストリームとは!?~ 軽自動車はどこへ行く?
燃費スペシャルとして復権【乗用型】
スズキ アルト
かつて軽のスタンダードであった低全高タイプのハッチバックモデル。80年代までは主流で3ドアやスポーツモデルなど、そのバリエーションも多岐にわたっていた。その後ハイトワゴンに王者の座を奪われるも、11年に燃費性能を高めたミライースとアルトシリーズのアルトエコが誕生。余分なものを排除した究極のエコカーとして、低燃費と低価格を武器に販売を増やす。中古市場でも14年から台数が増えている。
軽量化と効率化で燃費を追求!
ボディの軽量化やエンジンの効率化により徹底的に低燃費性能の向上が図られ、メーター周辺にはエコドライブをアシストする機能なども採用されている
現代軽のスタンダード【ハイトワゴン型】
スズキ ワゴンR
93年にワゴンRが登場すると、それまで「小さなクルマ」と思われていた軽がユーザーから見直されることになる。対抗したダイハツが95年にムーヴを投入したことをはじめ、90年代後半には多くのハイトワゴン軽が登場し、機能の充実化や低燃費化など、その完成度を高めてきた。現代軽のスタンダードとなったハイトワゴンだが中古でのニーズはより多く、ワゴンRとムーヴの天下となっている。
新車種の登場はいまだ止まず!
ブレずに進化を続けるワゴンRとムーヴを追い落とさんがため、ホンダのN-WGNや日産デイズが同クラスに参入した。近年では低燃費性能や上質感の高さで争っている
広さを武器とした次期王者【スーパーハイトワゴン型】
ダイハツ タント
ワゴンRとムーヴがしのぎを削っていた03年に、同社のムーヴよりキャビンスペースを広くとった「ハイトワゴン」として登場したのがタントだった。その後、スズキのスペーシア(パレット)やホンダのN-BOXも登場し、現在新車ではタントとN-BOXが総合トップ争いを繰り広げている。中古市場でもタントは常に人気が高く、N-BOXも流通台数さえ揃ってくればすぐに人気車の仲間入りすると思われる。
上級車をしのぐゆとりが魅力
ピラーを立てて上方向に箱型ボディを広げたことで、乗員の頭まわりのスペースを尋常じゃないほど広くした。スライドドアの採用などでその魅力はさらに高められている
軽をリードする新機軸モデルたち
スズキ ハスラー
遊び心満載の外観と走り
ハイトワゴンをベースに、バンパーガーニッシュなどSUVのデザイン要素を採用したクロスオーバー軽。180mmの最低地上高を確保して高い悪路走破性能も備えている。
ダイハツ ウェイク
未来のクルマを見て考える 3年乗るか、5年乗るかで中古車のカネとリスクはどう変わる?
特集の総括として、ここでは、クルマを長く乗るか早く乗り換えるかによって、どんなメリットとデメリットが生まれるのかを中古車研究家が考察。多種多様なクルマが次々に生まれてくる現在、クルマは早く乗り買い替えたほうが得なのか!?
金銭的なことだけでなく時間的なことを考えて
もしもあなたが登録済み未使用車を買うなら、あるいは逆に旧車的なモノを買うなら、3年ではなく5年は乗ったほうが何かと安上がりなはずだ。
「クルマは買っても売っても損をする」と言ったのは故・徳大寺有恒巨匠だが、まさにクルマの買い替えは何かと金がかかる。ならば、しばらくの間は大した故障リスクなどない登録済み未使用車や、リスキーな部分は既にあらかた修理済みの旧車系は、買い替えスパンを長めにとったほうが結果として安上がりになることが多い。
しかし一般的な中古車、すなわち走行3万~5万kmぐらいの中古車は、「買い替えスパンを長めにとったほうがオトク」とは言い難い部分もある。
その理由はまず第一に「ちょうど最初の”故障のヤマ”が来るタイミングだから」ということだ。新車が納車直後に壊れるのは非常に希で、基本的に数年間は大過なく過ごせるものだ。しかし使っていれば何かと劣化してくるのは必然で、そのうちあちこちの部品が交換タイミングを迎える。それがだいたい走行5万kmから8万kmといったあたりなのだ。
つまり一般的な年式・距離の中古車は、必ずではないが、乗っているうちにあちこちの部品がちょうど交換タイミングを迎えるのだ。その交換作業を5年間続けるよりは、3年ほどでスパッと次に行くほうがリスクも低く、そして全体として安上がりになる可能性は高い。
3年ほどで乗り換えたいもう一つの理由は「期間損失リスク」だ。ご承知のとおり昨今のクルマは日進月歩のペースで進化している。ハンドリングも昔と比べれば異次元であり、クリーンディーゼルなどの魅力的な技術も日々一般化してきている。そういった新しい技術を体感しないまま古いクルマに乗り続けるのは非常にもったいないではないか。あなたの人生にとっての大きな機会損失である。それを回避する意味でも、できれば3年程度で買い替えるのが望ましいと、わたしは考えているのだ。
クルマ好きなら! 今後乗っておくべきモデル
マツダ CX-5
デビュー時その8割がクリーンディーゼル搭載車だったミドルサイズのクロスオーバーSUV。中古市場で価格がこなれてくるのは15年以降か。
ダイハツ ウェイク
同社のタントより広い室内スペースを持つスーパーハイトワゴン。CMもインパクトがあったが、販売台数でもタント超えを果たすか注目が集まる。
スバル レヴォーグ
レガシィの実質後継車、久々の本命ワゴンモデルとして14年6月に登場。デビュー半年ということで、中古車はまだ市場ではほとんど見かけられない。
TEXT/伊達軍曹
約20年間の取材経験において数百の中古車を見立ててきた中古車研究家。自動車専門誌から一般誌まで幅広い執筆活動を展開している。