「ファントム」は、BMWが設立したロールス・ロイス・モーター・カーズによって2003年に発売された世界でもトップクラスのラグジュアリーカーです。その歴史は古く、1929年にロールス・ロイス社によって製造されたのが最初とされています。その後、1998年にBMWがロールス・ロイスを買収し、2003年に新たなファントムが製造、販売されました。エクステリアは「ファントム」の代名詞ともいわれる、パルテノン神殿をモチーフとした大型フロントグリルを採用しているのが特徴です。さらに、「スピリット・オブ・エクスタシー」と呼ばれる天女をモチーフとしたマスコットがボンネット前方に配置されています。また、後部座席へのアクセスを容易にするために、ドアには観音開き式のコーチドアが採用されました。標準のボディサイズは全長5835mm×全幅1990mm×全高1655mmと、リムジンを彷彿させるようなロングボディです。販売当初は1グレードのみの設定で単一のボディを使用していましたが、後部座席の空間拡張と快適装備のアップグレードを目的として、ロングホイールベースモデルを追加しています。さらに、2007年にはオープンカー仕様となる「ファントム・ドロップヘッド・クーペ」、2008年には2ドアクーペ仕様の「ファントム・クーペ」が新設定され、最終的には4種類のグレードがラインナップされました。エンジンは6.7L V型12気筒が搭載されており、最高出力460psを誇るハイパワーエンジンは、2018年のフルモデルチェンジまで長きにわたり継承されていきます。パワートレインに関しては、販売当初は6速ATを採用していましたが、2012年に8速ATへ変更となりました。これにより、従来と比較して燃費は10%向上し、CO2排出量の低減にも成功しています。エクステリアとインテリアに関しては、ロールス・ロイス社時代からの伝統である「ロールス・ロイス・ビスポーク・コレクティブ」によって自分だけのファントムに仕上げることが可能です。これは、ロールス・ロイスのスタッフが自らオーナーへのもとへヒアリングに行き、趣味嗜好を把握。その上で、デザイナーやエンジニア、職人のインスピレーションを総動員し、数年の年月をかけて世界に1台だけの車両を完成させるというものでした。最終モデルには、ベース車両となる「ベースグレード」、ベースグレードよりホイールベースが250mm延長されている「EWB(エクステンディッドホイールベース)」の2種類をラインナップしています。さらに、ベースとなる車体を選択して、インテリアなど細かい部分はオーナーが自由にカスタマイズできるという独自のスタイルが採用されました。※記載の文章は、2021年7月時点の情報です。