エンジン始動が「やっとこ」です。スターター（セル）モーター作動時の電圧変化を、劣化したバッテリー、ブースター取付時、新品取付後で比較。スバル：フォレスター｜車検・点検・修理のグーネットピット

別件整備でお預かりのスバル：フォレスター。始動時のクランキングが遅く、エンジンのかかりが悪いです。お客様に報告すると「確かに悪いかも・・」と。原因はバッテリーの劣化です。
私の経験になりますが、電圧がシッカリ（劣化や充電不足）してないバッテリーで、スターターを無理ヤリに何回か作動させ、マグネットＳＷを焼損させた経験があります。なぜそうなるのか？は、中学生の課題、Ｗ＝Ｖ×Ａです。対象とするアクチェーター（抵抗）Ｗを動かすには、電圧と電流を乗じた値が同じになる必要があります。その事から、電圧値が低いと電流が高く必要になる・・イメージができるかと。電流がガンガン流れると、電気接点が熱を持って焼けるんですね。
本題に戻り、サーキットテスターを使い、バッテリーターミナルの＋－間の電圧を測定。スターター（セル）モーターでクランキング始動時の、劣化バッテリー、ブースター（通称：当てバッテリー）取付時、新品時とを比較です。
劣化したバッテリーでは、５V台まで下がり（持ってかれて）ました。
その一連の状況はこちら↓↓

自動車の一般的なバッテリーは１２Vです。１セルが２Vで、６つ直列に繋がって１２Vです。正常だと12.5V以上。ドライブレコーダーの駐車監視機能で、車両バッテリーを使う場合、12.1Vや11.9Vになったら録画停止に設定できます。が、あまりギリギリまで電気を使うと始動が厳しくなる場合が最近ありましたので注意です。
余談で補足になります。電装の専門家からは、電圧のみの判断はあくまで簡易的測定との事。オルタネーター・チャージの場合など、電流値も測定しないと正確な診断は出来ない（一部の輸入車は特に）と言われています。確かに、自動車修理の際に、テスターで１２Vは来てても、アクチェーターが作動せず、ハーネスやコネクタ不良（腐食や損傷）で、電流値が不足している・・などなど、電気は奥が深いです。
本題の、通称：当てバッテリー（ポータブルパワーソース）で、補助電気を並列に繋ぎます。バッテリーが悪すぎる場合、当てた電気がバッテリーに持ってかれて、スターターが回らない場合も稀に。その場合、アースをエンジンに直接取ったりすると、若干良くなったりします。
この場合で９V台。クランキングスピードは悪く感じません。

新品のバッテリーに取替。
同じ条件で測定すると１０Ｖ台で留まってました。当然ですがサスガ新品。
クランクキングも軽やかです。

この測定データは、気温やエンジン水温、スターターモーターの状態、などなど、お車によっても変わってきますので、同じ車両の同じ程度の条件って参考値です。バッテリーの性能ランク（型式の一番前の数値）でも変わります。

余談で、
劣化したバッテリーが原因と思われる故障事例で、診断にハマったＥＣＵ焼け。
アイドリングが下がらなくなったと修理でお預かり。バッテリーが完全にダメになっており、何度もブースターで当てて始動させ、使ってた車両との事でした。診断機でデーターモニタすると、ＥＣＵはアイドリング（ＩＳＣＶのデューティー比）を下げろ、と、指示してますが、全く下がらない症状で、原因はＥＣＵの基盤が少し焼けてました。頭では下げろと思ってますが、指示は出せていない。ジレンマな故障です。
絶対に起こる訳ではありません、が、ゼロではない壊れ方。バッテリーは電気の流れの中で、クッションの役割も担います。ピッっと過電が～で、起きたと予想される案件でした。