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2023年05月15日 15:34スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

1987年、二代目スズキ・アルトのスポーツグレードとして誕生したのがCA72V(四駆はCC72V)型・初代アルトワークス。搭載されるF5Aエンジンは1気筒当たり4バルブの3気筒DOHC・インタークーラーターボ・電子制御式フューエルインジェクション…とこれらの肩書きは今となってはどれも当たり前のものとなってしまった感がありますが当時としては革新的で、僅か550㏄の排気量から64馬力を発生。現在も続く軽自動車の64馬力規制は、このエンジンをベンチマークとして設定されたものでした。このような高性能モデルが出てくれば、速さを競わせたくなるのが人の性というもの。発売から間もなく当時1000㏄(過給機付きエンジンは係数×1.4)以下の車両で争われた全日本ラリー・Aクラスに投入されたワークスは選手権を掻き回す大活躍を見せ、88年には坂 昭彦/中谷 篤のコンビがそれまで最強を誇ったリッタークラス乗用車のK10マーチを下し年間チャンピオンに輝きます。
しかし、これは後に続くワークス伝説の序章に過ぎませんでした。

1988年9月、ベースのアルトのフルモデルチェンジと共にワークスも誕生からたった1年半程で二代目に進化します。”C系ワークス”の通称で親しまれるこの二代目はベースモデルとは異なる意匠の丸目フェイスが与えられ、先代よりも明確な外観上の差別化が図られたのが特徴。シングルカムターボのマイルドモデルやATモデルもラインナップに加わり大衆向けにパイを広げ、CMキャラクターにはポパイとオリーブを据える等先代と比べよりキャッチーな販売戦略が敷かれました。キャッチコピーは『めかしたスポーツギア。』。搭載エンジンはF5Bに変更、ツインカムターボのスペックは最高出力こそ自主規制の関係で先代から据え置きですが最大トルクは僅かに増加。型式は二駆モデルがCL11V、四駆モデルがCM11Vとなっており、型式からシングルカム・ツインカムを見分けることはできません。

1990年には軽規格の刷新を受けビッグマイナーチェンジを実施、CN/CP21Sがデビューします。搭載エンジンは排気量を660㏄に拡大したF6Aに変更され、最大トルクは8㎏f超えの8.7kgfを達成。翌年には軽自動車ながらトップグレードに四輪ディスクブレーキを採用する等、着実に走りに磨きをかけていきました。
CM11Vは89年から、CP21Sは90年からの全日本ラリーを戦い、”天才”粟津原豊のドライブで89年~91年の3年連続でAクラスチャンピオンを独占するほどの強さを見せつけます。しかしその一方でダイハツのL210S ミラX4やスバルのKK4 ヴィヴィオRX-Rといった軽規格の強力なライバルも多く登場し競争は激化、ワークスの優位性も次第に失われつつありました。

そんな中スズキが世に送り出したのが今も尚伝説的な存在として語り継がれる競技ベースのスペシャルモデル、アルトワークス”R”でした。車体はアンダーコートの省略等装備の簡素化による軽量化が図られ、エンジンはRHB31ハイフロータービンで武装。スロットルも標準モデル比で大口径のものが奢られ、それらに併せECUもリセッティングが施されます。組み合わされるトランスミッションも専用のクロスレシオが与えられ、当時の軽自動車としては異次元の動力性能を実現しました。これらのチューニングメニューは全て改造範囲が非常に狭かった当時の全日本ラリーの車両規定に対応するためのもの。正に走るためだけに生み出されたマシンと言っても過言ではないでしょう。与えられた型式はCM22V。これは非ワークスのアルトバンの四駆モデルと共通のもので、ワークスR もバン扱いの4ナンバー登録でした。

1992年の6月に発売されたワークスRはすぐさま全日本ラリーに実戦投入され、前半戦の遅れを取り戻すには至らないものの早くも戦闘力の高さを発揮。デビュー三戦目にして初勝利を挙げます。本格的なフルシーズン参戦となる翌93年からは有力ライバルと鎬を削りながらも粟津原豊が二連覇を果たし、92年にミラX4-Rに攫われたタイトルの雪辱を果たしました。
迎える95年。前年の暮れにアルト及びワークスのフルモデルチェンジが実施されましたが、デビュー時点では競技ベースバージョンのラインナップが無かった為競技では依然としてCM22Vが主力として運用されます。先代からキープコンセプトで進化した三代目ワークスは先代同様型式の頭文字から”H系ワークス”の通称で呼ばれますが、ツインカムモデルのみアルミブロックの新エンジン『K6A』に刷新されたことからシングルカムはHA/HB11S、ツインカムはHA/HB21Sと型式で見分けが付くようになりました。

H系にワークスRが追加されたのは95年5月。ツインカム・四駆のHB21Sをベースとし、タービンやスロットルのサイズアップ等先代同等のメニューの他にカムプロフィールの変更や大容量インジェクター、コア増しインタークーラー等先代以上にハードなチューニングが施されますが、中でも強烈なのは鍛造ピストンの導入。64馬力の自主規制値でそのまま乗るにはまず不要な装備ですが、これは純正では想定されていないハイブースト・大出力に対応するためのもの。他の装備に関してもそうですが、ようは「レギュレーションで交換が禁止されている部品は最初からオーバースペックな強化品にしてしまおう」という考え方です。現在では真意で市販車の性能が競技車両の性能を直接左右するようなレギュレーションが少なくなった為こういったモデルも少なくなりましたが、かつてはあらゆるメーカーがこのようなレギュレーションに最適化したインチキとも言えるスペシャルモデルを市販していた時代がありました。

先代R同様、H系ワークスRもまた発売から間を置かず実戦投入。結果新ワークスRはこの年2勝を挙げ、CM22Vを使用した前半戦のポイントと合わせ粟津原の三年連続チャンピオン獲得を支えます。
96年は榊雅広駆るスバル・ヴィヴィオRX-RAにタイトルを奪取されますが、97・98年とHB21Sを駆る粟津原がまたも連覇。しかし98年途中から投入されたダイハツの最終兵器、M112S ストーリアX4の存在によってワークスの優位性はまたも覆されます。このストーリア、基本設計は同社のミラとほぼ共通の簡素で軽量な車体を持ちながらも軽規格に縛られない車格を持つ所謂リッターカーなのですが、その四駆モデルの車体に軽用エンジンの排気量を僅かに拡大した713㏄ターボエンジンを搭載したのがX4。この713㏄というなんとも中途半端な排気量は、ターボ係数1.4を掛けた時に1リッター以内にギリギリ収まる排気量でした。つまりは車体もエンジンも軽規格の領分を超えた限界を与えられながらもAクラスに参戦可能な、全日本ラリーで他社の軽を潰す為だけに生み出されたインチキで歪な”Aクラススペシャル”マシンだったのです。

そんな不利な状況の中迎えた三連覇の掛かる99年。粟津原は開幕戦のみHB21Sを使い、第二戦からは前年の暮れに発売された4代目アルトワークスにマシンをスイッチします。
軽規格の改定に合わせて発売された通称”新規格ワークス”は、先代に比べ車格が拡大されながらも重量増は最低限に抑えられ、エンジンにはVVTや電子制御スロットルといった革新的技術を導入。やや扱い易くマイルドになり先代までのパンチの効いた過激さは損なわれましたが、ポテンシャルは着実に向上しています。ただし、この代からワークスRのようなスパルタンな競技ベースバージョンは消滅してしまいました。型式はF6AシングルカムがHA12S、K6AツインカムがHA22Sで、フロアパンが二駆/四駆共通となったことから駆動方式による型式の差異は無くなっています。

粟津原はこの新規格ワークスを駆りストーリアX4と死闘を繰り広げ、不利な状況ながら4勝を挙げ99年の王座を獲得。三度目の三連覇を果たします。
しかし、翌2000年からは熟成の進んだストーリアX4が本領発揮。小野寺清之と平塚忠博の二人のダイハツワークスドライバーによって2005年までの全日本ラリーAクラス・四輪駆動部門は完全に支配され、アルトワークスの王朝は遂に崩壊してしまいました。
また、新規格ワークスは歴代モデル程の人気を維持することができず、販売不振によって2000年12月にカタログ落ちしてしまいます。以降2世代に渡ってアルトにはスポーツモデル不在の冬の時代が続きました…が、2015年12月、実に15年の時を経てワークスが復活します。
8代目、HA36S型アルトをベースとしたこの新生ワークスは基本構成こそ先立って発売されていたアルトターボRSと大きく変わりませんが、専用セッティングのECUが与えられ最大トルクが向上、トランスミッションも専用のクロスレシオが組まれました。そして発売当時の最大のトピックは、ターボRSには設定されなかったMTモデルがラインナップされたこと。

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

スポーツモデルですらセミオートマチックが主流になりつつある昨今に於いてMTモデルを世に送り出したことが大きなセールスポイントであったことは、「いま、マニュアルに乗る。」というCMのキャッチコピーからも窺い知ることができます。
内装にはSR-7タイプのレカロ製セミバケットシートが奢られ、乗り手をその気にさせる雰囲気は充分。
走りに関しては歴代のワークスよりも低速からフラットトルクを発生し非常に扱い易くなりました。また、四駆モデルでも700㎏台前半・二駆モデルでは700㎏を切る車重は今時の軽としてはかなり軽量で、MTモデルの重量に至っては先代のHA22Sよりも軽量な程です。
全域で扱い易い特性故にかつてのワークスのような強烈な刺激には欠けるかもしれませんが、実際の動力性能は歴代に勝るとも劣らないと言えるでしょう。
全日本ラリーから軽自動車が有利なクラスが無くなってしまったために競技に於いて目立った戦績の無い新生ワークスですが、多くの人が待ち望んだ久々のワークスが市場に快く受け入れられたのは言うまでもありません。

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

安価な入門用スポーツモデルとして人気を博したHA36ワークスはアフターパーツにも恵まれ、スポーツ走行を嗜むユーザーも少なくありませんでした。脈々と受け継がれてきた走りの血統は確かにそこに息づいています。
現行の9代目アルトでまたしてもワークスはラインナップから消えてしまいましたが、それでも新たなワークス誕生を望む声が止むことはありません。いつか新たなワークスが軽ボーイズレーサーの頂点の地位に返り咲くのを、多くの人が夢見ているのです。

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

こちらのワークス、納車整備前の時点でテインの車高調やKCテクニカのECU・ラテラルロッド・マフラー等がインストールされていました。前のオーナーさんもなかなかの物好きだったようですが、今回は更に追加でアフターパーツ取り付けのご依頼を承りました。

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

取り付けるのはテイクオフさんから発売されている”ローポジくん”なるパーツ。純正レカロのポジションを下げるためのシートフレームで、強度証明も付属する車検対応品です。
これを運転席・助手席両方に取り付けます。

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

取り外した純正フレーム(左)とローポジくん(右)の比較。半分以下の厚みしかないのがお分かりでしょうか?公称値によれば50㎜ほどダウンするそうです。

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

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運転席のみローポジくんを取り付けて撮影した比較写真。目に見えて高さが違うのが分かります。
ヒップポイントが下がることによって重心が下がる他車の挙動がよりダイレクトに感じられるようになりますが、最大のメリットはやはり乗り手を”その気”にさせる低いアイポイントでしょう。

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

今回は同時にステアリングポジションを下げるスペーサーも取り付けました。
見掛け上は僅かな変化に見えますが、純正で前傾気味のステアリングが垂直に近付くことによってステアリング上部の距離が体と近くなり、主にスポーツ走行でメリットが生まれます。

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

スズキ アルトワークス 納車整備・アフターパーツ取付

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この他、ブレーキパッドの摩擦材が裏板から剥離しかけていたので交換させて頂きました。使用したのは曙のK4パッド。スポーツパッド…とまでは行きませんが軽専用開発で純正より効きが良く、鳴きやダストも抑えられたバランスの取れたパッドです。

対象車両情報

初年度登録年月平成28年メーカー・ブランドスズキ
車種アルトワークスグレードベースグレード
型式DBA-HA36S

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