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パーツ取付・交換
更新日:2020.07.15 / 掲載日:2020.07.15

サーモスタットの役割とは?寿命や交換方法について解説

サーモスタットの役割とは?寿命や交換方法について解説

「エアコンからあたたかい風が出ない」「メーターの警告灯が点灯している」といった症状は、サーモスタットの故障が原因かもしれません。

サーモスタットは、車のエンジンがオーバーヒートしないように温度調整をおこなう大切な部品です。万が一、サーモスタットが故障してしまうと、エンジンが故障して重大なトラブルにつながりかねません。

そこでこの記事では、サーモスタットの役割や仕組み、寿命や故障時の症状、交換方法について解説します。

サーモスタットってどういう部品?

車のエンジンには、オーバーヒートを防ぐために「冷却水(クーラント)」や「ラジエーター」といった部品が取り付けられています。
しかし、エンジンの温度を適温に保つには、冷却水の温度を調整しなくてはなりません。
その水温を制御してオーバーヒートを防ぐ役割を担っているのが「サーモスタット」です。

ここからは、サーモスタットの役割や仕組み、原理について解説していきます。

サーモスタットの役割とは

サーモスタットはエンジンを循環する冷却水の温度を検知して、エンジンの状態に合わせて適宜ラジエーターへ冷却水を送り、その水温を調整する役割を担っています。
エンジンが高温になりすぎてしまうと、オーバーヒートを起こして走行不能になるだけではなく、最悪の場合エンジン自体の故障につながる恐れがあります。サーモスタットは、そのようなトラブルを防ぐ大切な部品です。

サーモスタットは、エンジンが高温になりすぎるのに一役買っている部品ですが、実はエンジン始動時に暖機を早める役割も担っています。エンジン始動時はエンジンの温度が低いため、金属が固く、摩擦によるキズが付きやすい状態にあります。そのため、エンジンの暖機は非常に重要になります。
熱くなったエンジンの冷却に使われた冷却水は温度が高い状態にありますが、ラジエーターを通ることで再び冷やされます。しかし、エンジン始動時に冷却水をラジエーター内部で循環させてしまうと、エンジンの暖機に時間がかかってしまい、非常に効率が悪くなってしまいます。
そこで効率良く暖機をおこなうために、サーモスタットが冷却水の道順を決めて適宜ラジエーターへ送り、水温を調整しているのです。

サーモスタットの仕組み

車に利用されているサーモスタットは、温度変化によって開閉する仕組みのバルブ式構造が多く、冷却水の温度に合わせて開閉することで、冷却水の通る道を調整しています。
冷却水が常温のときは、バルブはバネの力で閉じられています。エンジン始動後にエンジンの温度が高くなり冷却水の温度も上がってくると、バルブが少しずつ開き、ラジエーターへ冷却水を循環させるようになります。
そして、冷却水がエンジンの温度を保つために適した水温になると、再びバルブが閉じていく仕組みになっているのです。
このように、サーモスタットはエンジンの温度を管理し、効率良くエンジンの暖機・冷却をおこなっています。

サーモスタットの原理

サーモスタットは温度変化による膨張と収縮によって作動しています。金属の性質を利用したもの、蝋の性質を利用したもの、電気回路を利用したものがありますが、車用のサーモスタットには蝋が多く使われています。
車に利用されているサーモスタットではバネ部分の内部に蝋が使われており、これが温度調整をおこなうために重要な働きをします。蝋は、温度の上昇によって固体から液体に変化し、固体から液体になる際に物質が膨張する性質があります。これを利用したものが、車用のサーモスタットです。
例えば、サーモスタットが高温になるとバネの内部にある蝋が溶けて物質が膨張し、バネを押し上げてバルブが開きます。すると、冷却水がエンジン内の順路を循環するようになるのです。そして、エンジンが十分に冷却できて温度が下がれば、サーモスタット内部にある蝋が固体に戻り、収縮することによってバルブが閉じます。

サーモスタットの寿命について

サーモスタットの寿命について

サーモスタットは他の部品と同様に寿命があります。そのため、適切な交換時期を過ぎてしまうと正常に温度調整がおこなえず、最悪の場合にはエンジンの故障につながってしまいます。
そこで、サーモスタットにはどのくらいの寿命があるのか、故障時にはどのような症状が発生してしまうのかを解説していきます。

サーモスタットの寿命や交換時期について

サーモスタットの寿命は、使用開始から10年、あるいは走行距離がおよそ10万kmに達した時点といわれています。これは車の使用環境によって異なり、商用車や荷物を多く積載するトラックなどの場合はエンジンの温度が上昇しやすいので、サーモスタットの寿命は短くなる傾向があります。
車検時に毎回サーモスタットを交換する必要はありませんが、一つの目安として、タイミングベルトの交換時期と合わせて交換するのが良いでしょう。タイミングベルトの交換時期にサーモスタットの交換を怠ってしまうと、エンジンの故障につながる可能性があるので注意してください。

ただし、サーモスタットが故障していなかったとしても、経年劣化によって温度調整する性能は徐々に落ちてきます。エンジンを始動させてから水温がなかなか適温に達しない場合は寿命が近いかもしれないので、ディーラーや修理業者に相談してみましょう。

サーモスタットの故障時の症状

サーモスタットが故障してしまうと、下記3つの症状が発生する可能性があります。

メーターの水温計の警告灯が点灯している

サーモスタットが故障すると、メーター内にある水温計の警告灯が点灯する場合があります。水温計はエンジンの図る指標なので、警告灯が点灯していたらサーモスタットの故障も一因として考えられます。

エンジンがオーバーヒートを起こす

サーモスタットが故障すると、エンジンがオーバーヒートを起こすことがあります。これは、サーモスタットのバネが閉じたままになると発生してしまう症状です。
オーバーヒートはエンジンの破損につながる危険な状態です。エンジンが故障すると車の修理費が高額になるだけではなく、最悪の場合には炎上や爆発といった事故につながりかねないので、早めに点検・整備をおこないましょう。

エンジンがオーバークールを起こす

サーモスタットのバネが開いたままになってしまうと低温の冷却水が循環し続けるため、エンジンが温まらない「オーバークール」という症状を起こします。オーバークール自体はエンジンの大きな故障にはつながりませんが、コンピューターがエンジンの温度が低いと判断し、燃料を濃く噴射するため燃費が悪くなってしまいます。

エンジン始動後になかなか温まらないときは、エンジンの温度調整ができず、冷却水がラジエーターを循環している可能性があります。
上記のような症状が見られた場合は、サーモスタットの故障を疑い、ディーラーなどに相談しましょう。

サーモスタットが寿命かどうかを判断する方法

サーモスタットが故障したときの症状が把握できたら、次はサーモスタットの寿命の判断方法を確認しておきましょう。
水温計の温度に異常があったからといって、必ずしもサーモスタットが故障しているわけではありません。
冷却水が不足している可能性もあるため、まずは規定量が入っているかどうかをチェックしましょう。
リザーバータンクの破損によって冷却水が漏れているかもしれないので、リザーバータンクの残量を確認します。冷却水が規定量入っていれば、冷却水の量に問題はありません。

また、エンジンがなかなか温まらないオーバークールの際は、エアコンの効きが悪くなることがあります。
オーバークールが疑われるときには、エアコンの温度設定を最高に設定して、温風がきちんと出るかチェックしてみましょう。

温かい風が出てこない場合、ボンネットを開けてエンジンルーム内のラジエーターホースをチェックする必要があります。
チェックする際は、ラジエーターホースを実際に触って熱くなっているかを確認してください。
正常であればラジエーターホースはかなり熱くなっていますが、オーバークールが発生している場合は、ホースを触っても握れるような温度になっているでしょう。

ただし、エンジンルームには高温になっている配管や部品があります。チェックする際には、それらに直接触れないように注意しておこないましょう。

サーモスタットの交換方法

サーモスタットの交換方法

サーモスタットに異常が生じたときにそのまま走行してしまうと、エンジンなどの重要な部品の故障につながりかねません。
異常があればサーモスタットを交換しなくてはいけませんが、「自分で交換できるの?」「交換にいくらかかるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そういった方に向けて、サーモスタットの交換方法や費用、応急処置の方法について解説していきます。

自分で交換する場合

サーモスタットはエンジンルーム内部にある部品なので、交換は難しいと思われる方は多いでしょう。
たしかに、エンジンの温度を調整するための重要な部品なので、細心の注意が必要です。しかし、手順さえしっかりと守れば、ディーラーや専門業者に依頼せずとも自分でサーモスタットを交換できます。

以下にサーモスタットを交換する手順を説明していきます。

冷却水を抜く

サーモスタットは冷却水が通るラジエーターやリザーバータンクとつながっているので、冷却水をこぼさないためにも、車種によっては冷却水を抜いておく必要があります。
そのため、作業前にはエンジンが冷えていることをしっかりと確認したうえで冷却水を抜いてください。

ラジエーターホースを取り外す

次に、ラジエーターホースを取り外します。ラジエーターの上側から伸びるアッパーホース、下側から伸びるロワホースがあるので、装着されているホースを確認して取り外しましょう。

新しいサーモスタットに交換する

ラジエーターホースが外せたらパッキンも含めてサーモスタットを取り外し、新しいものに交換していきます。
新しいサーモスタットを取り付けボルトを締め込んでいく際は、すべてのボルトを均一に締め付けるように締めていきましょう。
サーモスタットの上部には、エア抜きするための「ジグルバルブ」があるので、必ず上を向くように取り付けることがポイントです。

冷却水を入れる

新しいサーモスタットの取り付けができたら、リザーバータンクの上部からいっぱい近くになるまで冷却水を入れましょう。このとき漏斗などがあると、こぼさず入れることができます。

減った冷却水を補充する

冷却水を入れたら、ラジエーターキャップを開けてしばらくアイドリング運転をおこないます。すると、リザーバータンクからホースを通ってラジエーターに冷却水が流れるため、リザーバータンクの水位が下がります。リザーバータンクから冷却水が減った分だけまた補充して、冷却水をいっぱいにしましょう。

ラジエーターのエア抜きをする

余計な空気が入り込んでいる場合があるため、冷却水の補充が完了したら冷却水の気泡をしっかりと抜いていきます。
ラジエーターのキャップを開けたままアイドリングをおこない、大きな気泡が出なくなれば完了です。
これらの手順で交換をおこなったら、冷却水が規定量入っているか、漏れなどがないかを再確認します。ラジエーターキャップをしっかりと締めたら作業完了です。

サーモスタット交換にかかる費用

サーモスタット自体はホームセンターやカー用品店で購入できる場合もあります。自分の車に適合するサーモスタットかどうかは、必ず事前に確認しておきましょう。
なお、交換にかかる費用として部品代は本体が2,000円~3,000円程度、パッキンは500円前後、冷却水は2,000円~4,000円前後となり、合計4,500円~7,500円程度となるのが一般的です。また、ディーラーや整備工場に交換を依頼した場合は車種によっても異なりますが、工賃として5,000円前後がかかるため部品代とあわせて1万2,000円前後になるでしょう。
自分で交換する場合は、部品代だけで済むので工賃の節約ができます。しかし、サーモスタットはきちんと取り付けないとエンジンの故障にもつながりかねない部品ですので、交換方法はしっかりと守るようにしましょう。自分での交換に不安を感じるようであれば、無理をせずディーラーや整備工場に依頼することをおすすめします。

応急処置の方法

冬場、オーバークールによって車内の温度が上がらないときには、ラジエーターの1/3ほどを段ボールで覆うことで応急処置が可能です。そうすることによって走行中に前方からの風を受けづらくなり、冷却水が冷えにくくなるので、放熱を抑えて水温を高く保てます。
しかし、この方法はあくまでもその場しのぎの応急処置ですので、異常が続くようであれば早めに点検やメンテナンスをおこないましょう。

まとめ

この記事では、サーモスタットの役割や仕組み、寿命や故障時の症状、交換方法について解説しました。

サーモスタットは、車のエンジンの温度を適温に保つために必要不可欠な部品です。万が一、サーモスタットが故障してしまうとエンジンが高温になり、エンジンの破損につながりかねません。
ですから、サーモスタットの寿命といわれる10年が経ったときか走行距離が10万kmに近くなったとき、警告灯が点灯したときには、必ず点検や交換をおこなうようにしてください。また、普段から水温計をチェックするなどして、最悪の事態を防ぎましょう。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
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