新車試乗レポート
更新日:2022.03.26 / 掲載日:2022.03.24

MAZDA ロードスター『進化劇的!』公道試乗

路面に吸いつく安定感で異次元の走り!

デビューから早や7年目を迎えた、4代目ND型ロードスター。
ライトウェイトオープン2シーターとして世界中のファンに愛されているが、
そんな人気モデルがこのほど走りの質を大きく向上させる改良を行った。
注目のシステム『KPC』とは? その効果は想像以上だった!

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

効果絶大! 新制御「KPC(Kinematic Posture Control)」システム搭載

MAZDA ロードスター

●発売日(最新改良):’15年5月20日(’21年12月16日)
●価格帯:262万3500〜392万2600円
●販売店:マツダ全店
●問い合わせ先:0120-386919(マツダコールセンター)

MAZDA ロードスター 990S(6MT)【特別仕様車】
●車両本体価格:289万3000円
●ボディカラー:ディープクリスタルブルーマイカ

主要諸元(990S(6MT)〈特別仕様車〉)
●全長×全幅×全高(㎜):3915×1735×1235●ホイールベース(㎜):2310●車両重量(㎏):990●パワートレーン:エンジン1496㏄直列4気筒DOHC(132PS/15.5㎏・m)●トランスミッション:6MT●WℓTCモード燃費(㎞/ℓ):16.8●燃料タンク(ℓ):40(プレミアム)●サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式●ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク、後/ディスク●タイヤサイズ:195/50R16

主要装備(990S(6MT)〈特別仕様車〉)
RAYS社製鍛造16インチアルミホイール、Brembo社製大径ベンチレーテッドディスク&Brembo社製対向4ピストンキャリパー(フロントブレーキ)、990S専用セッティング(ダンパー、コイルスプリング、電動パワーステアリング、エンジン制御)、ダークブルー幌、専用エアコンルーバーベゼル、専用フロアマット

ロードスターの楽しみを
KPCがさらに広げる


 マツダの唱える「人馬一体」も多様化が進んでいるようだ。以前はカテゴリーやクラスを問わずに操舵追従や姿勢変化等々の特性を幾分かマニア視線で見ていた感もあったが、最近は穏やかさや往なしの要素を使い分けてきた。SUVの基本用途に向けたCX‐5の変化が象徴的だが、使う人や状況によって最適が変わるのは当然だ。ならば「人馬一体」の象徴的存在となるロードスターはどうか。その回答が今回の改良である。

 目玉商品はKPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)。直訳すると運動学的姿勢制御となるが、コーナリング中の内後輪のリフト量を内後輪に軽制動を与えて減少させるというもの。GVC同様に追加ハードウェアなしでできるのがミソである。

 幌/RF問わずに全車に導入されたが、その効能が最も効いていたのが特別仕様車として追加された990S。サイドエアバッグやフレーム補強の廃止等で軽量化したモデルだが、足回りのセッティングも専用。このサスチューン、KPC前提の設定と考えていい。

 KPCは制御機構ではDSC(横滑り防止装置)に組み込まれ、DSCをオフにするとKPCの制御もカットされ、素のフットワークになる。この状態の990Sのコーナリングは加減速や路面のうねりの影響で鼻先が内外に動く。外前輪の接地荷重の変化がヨー運動に影響する。ところがDSCオンでKPCが介入すると、驚くほどヨーの動きが安定。また、オフ状態ではヒョコつき気味の対角方向のピッチ変化も安定。対角ロール量も減る。それでいてS系に特有のしなやかさも維持される。
従来のサスセッティングを踏襲しているSで同様に走らせるとKPC切替の変化は減少するが、短所の改善を実感。最もハードなサスのRSではさらに減少。4輪の接地安定を第一にしたセッティングのRSで効果が少ないのは納得。RSにとってKPCは多少の安定性改善程度である。

 KPCの効果で990Sはスポーツカーにしては深いサスストロークを使いながら方向安定に優れたハンドリングを示す。KPCオフで素のフットワークに戻せば初代ロードスターを彷彿させる荷重移動と軽快さにライトウェイトスポーツを実感。日常もツーリングも気負いなく使える運転感覚とじゃじゃ馬馴らし的に乗りこなす妙味をKPCがうまく切り分ける。サーキットまではKPC(DSC)オン、サーキットに入ったらオフでドラテクを堪能、そんな使い方も似合いだ。ライトウェイトスポーツの楽しみが一層深まった。

全長4mを切るコンパクトボディながら、グラマラスな抑揚を表現。ロードスターはやはりオープンの状態が良く似合う。
最軽量モデルのSグレードをベースにしたシンプルなコックピット。マツダコネクトナビの設定もされていない。
シートもレザーではなく軽量なファブリック仕様だ。座り心地やサポート性にマツダならではのこだわりが感じられる。
スポーティなイメージを高めるダークブルーの幌。特別仕様車のネイビートップにも同じ幌が採用されている。
RAYS製鍛造アルミに加え、前ブレーキにはBrembo製を採用。足回りのセッティングも専用だ。
エンジン自体には手は加えられていないが、吹き上がりなどの過渡特性が専用チューニングされている。

KPCでコーナリング中の車体姿勢が理想的に!

 コーナリング時に内後輪に僅かな制動を掛けて姿勢の安定化を図るシステム。回頭挙動に影響するほどではなく、あくまでも姿勢と接地荷重の安定を主目的にする。試乗印象では内後輪のリフト抑制よりも外前輪の接地荷重安定が効いていた。回頭追従性を向上するGVCとともに乗り心地と操安の両立で期待できる点に注目だ。

「モデルによって、かなり異なる走りのテイスト!」

 新型ロードスターの走りはライトウェイトスポーツ、タウン&ツーリング、ハードスポーツの三極構成。試乗車に当てはめれば990Sはライトウェイトスポーツ志向の筆頭。タウン&ツーリングは動力性能も快適性も優れるRFのVS。限界を究めるならビルシュタインサスのRSとなる。どのモデルもこれら3つの走りをこなせるが、そのバランスポイントが異なる。従来車以上に走りの志向に合わせて選択できるのは新型の大きな魅力である。

RF VS テラコッタセレクション(6AT)

●車両本体価格:382万5800円 ●ボディカラー:プラチナクォーツメタリック

特別仕様車「ネイビートップ」も登場!

 Sレザーパッケージがベース。ダークブルー幌とブラックレザー内装を組み合わせた特別仕様車だ。販売期間は2022年5月末まで。(車両本体価格:319万1100〜330万6600円)

RAYS製鍛造アルミに加え、前ブレーキにはBrembo製を採用。足回りのセッティングも専用だ。
エンジン自体には手は加えられていないが、吹き上がりなどの過渡特性が専用チューニングされている。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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