新車試乗レポート
更新日:2022.02.05 / 掲載日:2022.02.05

古くて新しいモーガンの世界【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●モーガン、石井昌道

 自動車テクノロジー最前線というタイトルからすると、クラシカルな雰囲気が濃厚なモーガンを取り上げるのはいささかミスマッチな気もする。なにしろ、いまでも車体構造に木材を使っているのだ。ただし、さすがに現代ではフレームそのものが木というわけではなく、スチール製フレームもしくは接着アルミプラットフォームと、ボディスキンの間をとりもつ骨組みやフェンダー周りなどに使われている。

古き佳き伝統を感じたイギリス・ウスターシャー州のモーガン本社工場

 2018年にイギリス・ウスターシャー州マルヴァーンのモーガン本社に併設された工場に見学にいったが、古き佳き伝統的なイギリスそのものだった。建屋は煉瓦造りの平屋でマルヴァーンの丘にそって連なっている。内部に足を踏み入れるとタイムスリップしたかのようだ。オートメーション化されたラインなどはなく、すべてを手造りされている。

 目をひくのはやはり木材工房。フェンダー周りの木材は何枚かを重ね合わせて木工ボンドで接着されているが、ピタリと合わせる治具などもあった。木材はプロ野球用のバットなどにも用いられるアッシュ。モーガンでは伝統的に使用しているが、軽くてフレキシブル、それでいて衝撃にも強く、耐久性も高いという優れた素材なのだ。木材工房では木工用を始めとした電動工具で有名な日本のMakitaが採用されており、あちこちにポスターが貼ってある。また、トヨタ生産方式の“カンバン=Kanban”が採用されていたのもちょっとした驚きだった。

97%が新しくなったPLUS FOUR

モーガン PLUS FOUR

 そんなモーガンだが、じつは最新モデルは驚くべき進化を遂げている。2020年に発売された新型Plus Fourは、70年以上もの長きに渡って変わることなく生産されてきた従来モデルから97%のコンポーネントが新しくなった。先にPlus Sixで採用された新世代の接着アルミプラットフォームを採用し、エンジンはBMW製2.0Lターボ。新型ではATも用意されるが、これもBMWで採用されるZF製8ATだ。もちろんアッシュ木材も使われている。

 従来のモーガン車は、走らせるのに少し身構える必要があった。クラシックカーを新車で乗るといった雰囲気なのだ。これまで、有名なスリーホイラーや1936年から使われているプラットフォーム(クラシックシリーズ)の4/4、Plus 4、ロードスターなどに試乗したことがある。

 スリーホイラーは1909年創業のモーガンで、初期に礎を築いたモデル。前2輪、後1輪の3輪車で、1900年初頭のイギリスでは4輪に比べて税制で有利だったため、流行っていたそうだ。現在のスリーホイラーは2011年に復活させたもので、ハーレーダビットソン用の2.0L Vツインエンジンをフロントに搭載し、ベルトでリアを駆動する。600kg弱の車両重量で129Nmのトルクは十分以上で、滑りやすい路面では簡単にホイールスピンする。コーナリングはさぞスリリングかと思いきや、アンダーステア気味にセットされていて、意外なほど安心感が高い。

モーガン PLUS FOUR

 クラシックシリーズは4/4、プラス4、ロードスターの順に、エンジンパワーが増加し、シャシー側もトレッドが拡がったりタイヤが太くなったりとスープアップされる。素のモデルといえる4/4は古い設計にたいして無理がなくバランスがいいのだが、スープアップされるごとにアンバランスになっていくといった感覚。また、ロードスターのV6エンジンは圧倒的にパワフルで蛮勇なジョンブル魂をもつドライバーに好かれそうだが、フライホイールが重くて回転落ちが悪く、それを見越して上手くシフトチェンジをこなさないとスムーズに走らせられないなんていう苦労もあった。

 それに比べると新型プラス4は夢のようにスムーズで運転しやすい。BMWのサルーンなどと同じだから当たり前だが、エンジンやミッションには何の癖もなくてスイスイと走れてしまう。ATで普通に走らせると1500rpm程度で事足りるのでものたりないほどだ。シャシーも驚くほど洗練されていて、乗り心地もハンドリングも現代的になっていた。

 じつはモーガンは2019年に投資会社から資金が注入され、生まれ変わっている最中だ。スリーホイラーに4/4、Plus4、ロードスターといった旧世代のモデルはすでに新規オーダーは終了していて、現在は新世代のPlus FourとPlus Sixのみ受注を受け付けている。旧世代モデル達の、運転にコツがいるけれど、それを習得したときの喜びは何者にも代えがたいといったノスタルジーな良さが、もう味わえなくなるのはちょっぴり残念。さらに、あのマルヴァーンの工場内部も近代化しているのだろう。とはいえ、新世代のモデルもクラシカルな雰囲気は濃厚に受け継ぎながら、付き合いやすくなったのだから歓迎すべきことであり、自動車テクノロジー最前線に相応しい出来事でもある。いずれ、詳しい試乗インプレッションをお届けするつもりだ。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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