新車試乗レポート
更新日:2022.03.22 / 掲載日:2021.10.04

新型ランドクルーザー試乗レポート


買うべきはガソリン車か?
それともディーゼル車か?
14年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型ランドクルーザー。オフロードでこそ真価を発揮するのは間違いないが、新たにディーゼルターボ車が設定されることもあって、オンロードの走りも気になるだろう。今回はガソリン/ディーゼルの違いを中心に実力を見極めてみよう。

●本文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

人気爆発、新型の実力に迫る!

その本質はオフローダー
オンロードで強く実感

 ランドクルーザーをSUVと呼ぶのは抵抗がある。やはりクロカンあるいはオフローダーと呼ぶべきだろう。悪路に対応した乗用車ではなく、悪路踏破のために開発されたクルマ。道なき道を走破できるタフな性能に注目が集まるのは至極当然のことだろう。

 しかし、現代に生きる「最新」のランクルとしては、乗用車としての適性向上が大きな柱のひとつなるのは間違いない。

 実際、モノコックフレームを採用する乗用車型車体のSUVと新型(300型)を比較すると、ラダーフレーム/リヤリンクリジッドアクスルサス/大径タイヤのオフローダー特有の設計を強く意識してしまう。頑丈大容量のリヤアクスル周りは重量も嵩むだろうし、衝撃をいなすためのブッシュの逃げも相応に必要だ。そのためどうしても後車軸周りの揺動感は大きめで乗り味には独特な味を感じてしまう。特に段差通過などで起こるドタブルとした揺れは、乗用車とは明らかに違うと再確認できるほどだ。

 ただし、従来型(200型)と比べると揺れ幅は少なく収束も良くなっている。高精度かつ高剛性の味を求める向きにはあまり適さないが、車軸周りの緩さと収まりのバランスの良さは不快ではない。むしろ乗り心地においては鷹揚な印象にもなり、オフローダーの頂点モデルに相応の悠々とした味わいを楽しめる。

 重量とサイズを感じさせる乗り味ともいえるが、操縦感覚は意外とキレがいい。思った以上に操舵応答遅れは少なめでラインに乗せることも容易。むしろ車体サイズからすれば初期反応が鋭すぎる感も受けるが、揺れ返しもなく変位量的に抑えが利いているので方向性やラインコントロールは落ち着いている。従来型よりもオンロード志向のユーザーには馴染みやすいかもしれない。

パワートレーン強化は
最大のアドバンテージ

 走行性能面で大きな変化を感じるのはパワートレーン関連だ。エンジン、ミッションともに新規開発だから当然でもあるのだが、ガソリン/ディーゼルともに新世代エンジンにふさわしいパワー特性とエンジンフィールを示す。

 今風のダウンサイジングターボらしく低回転から太いトルクを発生することに加え、より緻密な変速制御を可能とした10速ATの採用もあって、市街地などの巡航走行では1500回転前後を維持する変速設定。発進時や踏み増し時の初期トルクの立ち上げ感は少々誇張気味にも感じるが、アクセル踏み込み量の少ない領域でのコントロール性もなかなか良好。踏み込んだ際のタイムラグも少なく、パワートレーン系の緩衝で起こるトルク変動も抑えられている。10速ATは回転変化少なく変速し、変速時の駆動力変化も小さい。言い方を換えるなら、従来のオフローダーのような難点をあまり感じられない。

 安全&運転支援機能もトヨタ・セーフティセンスを全車に標準装備するが、採用される機能はグレードにより異なる。機能装備の品揃えには不満はないが、LDA(車線逸脱抑制)にちょっと違和感を感じた。VX以上に装備されるLTA(同一車線維持支援システム)もLTA作動時以外はLDAが機能するのだが、車線内復帰支援が片輪ブレーキ制御型を採用している。パワステに油圧式を用いているためか操舵補正に少々癖を感じてしまうのだが、これもまたオフロード向けのタフネス重視の設計ゆえと言える。

 キャビンは上級ワゴン相当。都市部では扱いにくい車体サイズを考えるとスペース効率は低めだが、本格オフローダーとしてはとても寛げる室内であり、インテリアの加飾や設えも高級の演出感を抑え気味にしているので馴染みがいい。GX以外のガソリン車には、居心地がいいとは言えないが大人が座れるだけのサードシートも備わっている。多彩なレジャー用途に対応できる贅沢な機能も健在だ。

 ランクルはどう進化したかと問われれば”正常進化”の一言になる。ハイブリッドは採用していないにしても、新型のパワートレーンは動力性能と実用燃費の両立点を一気に引き上げているし、実践志向の従来型オーナーが求める改良に応えた結果でもあるのだろう。

 今回はオンロードのみの試乗であるため、ランクルの本質の進化ぶりを知ることはできなかったが、それでもクロカン/オフローダーの正道を狙ったフルモデルチェンジであることを直感することができた。

ZX【ガソリンターボ車】

全域で豊かなトルクを実感
アクセル応答性も優秀で扱いやすい

 最新ターボを搭載したとはいえV8からV6に変更され、さらに排気量も減少。従来型の大排気量車ならではの乗り味がどう変わったのかが見どころだったが、乗ればすぐに14年という進化ぶりを実感することができる。

 最新ターボエンジンの最大トルク発生回転数の下限は2000回転だが、その下のトルクも豊か。巡航回転数も1500回転前後で巡航ギヤ維持のドライバビリティも良好。フラットなトルク特性を持つこともあって、高速域でもなかなか俊足だ。また、巡航時はもちろん全開加速時でも威圧感あるエンジン音はない。わずかに横G領域から明確なロール感を示すこともあるが、ロールの最大量は少なく、方向安定性も良好。車軸周りの揺動感に後リジッドアクスルサスを意識させられるが、サス周り全体の動きのバランスはいい。
コーナーなど横Gがかかるシーンではラダーフレーム車特有の緩さを感じることもあるが、直進安定性は良好。2トンを超える車重とは思えぬほどパワフルな走りを披露してくれる。

ZX【ディーゼルターボ車】

基本的な乗り味は共通だが
パワーフィールはガソリン車よりマイルド

 ディーゼルターボ車は新型から新たにラインナップに加わったが、プラドとは異なる新開発のV6の3.3ℓ仕様が搭載されることで性能面でも注目が集まる存在だ。

 乗り心地などは基本的にガソリン車と同系統だが、パワーフィールはガソリン車より穏やかな印象。急加速時のエンジン音も多少目立つが、全域において扱いやすく、力感はガソリン車に負けていない。振動騒音の少なさもディーゼル車ではトップレベルといえるだろう。ディーゼルモデルは燃費が気になるヘビーユーザー向けモデルだが、ランクルの車格にも負けない相応なゆとりと質を感じることができた。

GR SPORT【ガソリンターボ車】

サスの味付けは完全に別物
オンロードでもその違いは明らか

 GRスポーツらしい専用サスチューンでスポーツ性を高めたモデルだが、ローダウンサスもロープロタイヤも採用せずに、悪路対応力を維持したままオンロード性能を向上していることに驚いた。

 標準車に対して引き締められたサスとE-KDSSにより小さなストロークで負荷を抑えるが、突っ張るような硬さはない。また車軸周りの揺動感も少なくなり、標準系よりオフローダー感覚も減少している。段差乗り越えの突き上げが多少強くなるものの、高速長距離用途の適性は新型のラインナップでは最も優れている。
専用スタビなどで標準車と異なるサスチューンを採用。やや固めな味付けにより、オンロードでも違いを実感することができる。高速長距離適性はこちらの方が明らかに上だ。
Gスポーツに採用されたE-KDSSは、路面や前後輪の駆動状況に応じて、前後のスタビライザーを電子制御する先進技術。オフロードのみならず、オンロードでの走行安定性向上にも貢献する。

エクステリア

標準ボディ車のラジエーターグリルは格子型形状を採用。エンジンフードには前方視認性を高めるため凹みが付けられている。
キャビン床面が高めに配置されることもあって、ボディ両サイドには乗降性向上のために固定タイプのサイドステップが備わる。
ベルトラインはやや高めに配置され、前後バンパーの下側はいなす造形とするなど、オフロード走行を意識した工夫も特徴の一つ。
ZXはガソリン/ディーゼル車共に、スーパークロームメタリック塗装で加飾された専用20インチアルミホイールを採用。

GR SPORT

GR SPORTはラジエーターグリルやホイールアーチモール、バンパー形状が異なる専用スタイリングを採用する。

インテリア

パネルや内装素材の質感は十分高いが、車格の割りには加飾は控えめな印象。操作性に富んだキャビン設計を貫くなど、本質はあくまでも実用車であることは明白だ。
視認性に優れるオプティトロンメーターを採用。ZXのメーターは中央に7インチカラー液晶ディスプレイが配置される上級タイプを装着する。
標準装着の車載ITはディスプレイオーディオ(9インチ)になるが、メーカーOPで12.3インチディスプレイを備えるT-Connectナビゲーションを選択可能。
スイッチ中央部に指紋センサーを搭載した指紋認証スタートスイッチをトヨタ車として初採用。セキュリティ面も強化されている。
後席左右に11.6インチモニターが配置されるリヤシートエンターテイメントシステムは、上位グレードのOP装備として設定される。
フロアコンソールのドライバー側には、ドライブモードセレクターなどの駆動切り替えスイッチが集中的に配置される。
前席上部にはサンルーフの操作スイッチやSOSコールスイッチが配置されるコンソールユニットが配置される。

まとめ&グレード選び

全方位に進化してもその本質は
やはり本格オフローダー

 ちょっと路地に入ったりすると前後左右のクリアランスが気になる。あるいは整備されてない多くの林道でも大きすぎる。車体サイズからしても一般性に欠く。トップレベルの悪路踏破性にしても同様である。この普通に考えれば不自由しかない多くの要素は、ランクルだから許されるもので、踏破性と生存性、耐久性を求めるユーザー向けのモデルである本質の部分は新型になってもまったく変わっていない。

 売れセンのプレミアムSUVの価値感で見れば、新型に魅力を感じないユーザーも少なからずいるだろうが、オフロードを走る機会が多いユーザーにとっても、オンロード性能が高まった新型は、替えの効かない存在になるだろう。

 グレード選びに関しては、ガソリン/ディーゼルというパワートレーンの違いとGRスポーツ/標準車の選びわけが大きなポイント。機能優先で費用対効果を重視するならば、運転支援のLTAが装備されないことは気になるものの、ガソリンのAXはかなり魅力的だ。なおパワートレーンはどちらも最新設計らしく優れたパフォーマンスを発揮するが、価格面も考慮するとガソリン車が有利に思える。
オススメグレードは?【AX】
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ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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