新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2018.02.28

新型「アウトランダーPHEV」先取りチェック&テスト

2013年の発売で注目を集めたプラグインハイブリッドSUVがアウトランダーPHEVだ。これまでの5年間で各部に手が加えられ、その性能と走りを磨き込んできたが、このほど根幹システムも含めた大幅なリファインが行われることが判明。その改良を施したプロトタイプをいち早くテストする機会に恵まれた!
●文/山本シンヤ

※掲載写真はジュネーブショー出展車です。

 三菱ラインナップの中で最新技術を結集させたフラッグシップがアウトランダーPHEV。2013年の発売以降、プラグインハイブリッドSUVの先駆者として世界の注目を集めている。登場以降も進化を続けているが、3月に開催されるジュネーブショーで2019モデルを発表。このモデルはアウトランダーPHEV史上最大のマイナーチェンジとなる。
 まずPHEVシステムが大きくアップグレード。エンジンは2.0Lから2.4Lアトキンソンサイクルに変更。静粛性を上げるために吸排気系にも手が入っている。
 ジェネレーターの最高出力は10%アップ、駆動用バッテリーはバッテリー容量15%、バッテリー出力10%アップ、そしてリヤモーターは最高出力+10kWと全面的に見直しが行なわれた。これによりEV領域の拡大と共にEV最高速度も135km/hにアップ。また、新たに走行モードに「スノー」と「スポーツ」も追加。これらの変更はすべてモータードライブの走りの良さを際立たせるものだ。
 パワートレーンの進化に合わせてシャシー側も手が加えられた。ボディは構造用接着剤の追加、サスペンションのサイズアップ。ステアリングのギヤ比変更を実施。モータードライブにマッチしたより滑らかな走りを目指している。
 今回は新型の試作車と現行車の乗り比べだったが……申し訳ないが現行車が格下に感じてしまうほどの差だった。静粛性において、発電時に唸るエンジンに興ざめしていた現行車に対し、新型はそれほど気にならないレベル。アクセルを踏むとより今まで以上にレスポンスがよく、まるでクルマが軽くなったかのような錯覚に陥るが、逆に足の動きはしなやかさと動的質感がアップしているのでより大人な乗り味に仕上がっている。
 また、コーナリング時の駆動力制御もより緻密になっており、同じ速度で進入した際に、現行車よりも明らかにライントレース性が上がっていた。
 試しに走行モードの切り替えを試してみたところ、スノーモードはすべてが穏やかで安定方向。一方のスポーツモードは本来舗装路用のモードだが、低μ路ではパワートレーンはよりダイレクトに、駆動制御はより曲がろうとするため、じゃじゃ馬的な走りができてなかなか面白かった。
 余談だが、自動車評論家の中には「モード切り替えは不要では?」という意見もあったそうだ。しかし、スイッチ一つで車の性格をガラッと変えることはモーター駆動でしかできないこと。電動車の特徴や面白さ、発展性などをユーザーにもっとアピールするためには、僕はアリだと思っている。欲を言えば、より背の低いクルマがベースだともっと分かりやすいだろう。

全体的によりすっきりとした印象に変身。LEDヘッドランプやLEDフォグランプベゼル、ラジエーターグリル、前後スキッドプレートのデザインが変更されている。そのほか、新デザインのアルミホイールやリヤスポイラーも追加。

icon 【注目メカニズムPOINT】根幹となるPHEVシステムが 大幅にグレードアップしている!

 一番はPHEVシステムの刷新だ。エンジンは2.4Lアトキンソンサイクルに変更、ジェネレーター、駆動用バッテリー、リヤモーターの出力アップにより、EVドライブ/モータードライブの走行領域を拡大。また、電動化パワートレーンの多様性をアピールするために走行モードにスノーとスポーツを追加。フットワーク系は構造用接着剤によるボディ剛性アップやサスペンションやステアリングの改良により、動的質感もレベルアップ。

icon

  • 2.4L新エンジン採用でさらに低燃費&快適
    新型ではエンジン排気量を2.0Lから2.4Lにアップ。このことにより、エネルギー効率の良い低回転域を多用することが可能になる。現行車の泣き所でもあった発電時の静粛性を高めながら効率の良い発電を行えるのがポイントだ。

  • 車速にリンクしたエンジン挙動を実現
    アクセル開度とエンジン回転の変化をより自然にマッチさせたのが新型。これにより、シリーズ走行時もモータードライブの気持ち良さをより味わえるようになった。

  • スノーとスポーツの2つの新走行モード
    走行モードを切り替えると、前後の駆動配分だけでなく、モーターのレスポンスまで前後独立して制御。S-AWCのポテンシャルをさらに引き出した走りが可能になる。

自動車研究家、山本シンヤはココが気に入った!

理想の電動化モデルが魅力を大幅にアップ!
 アウトランダーPHEVは、個人的に現時点での理想の電動化モデルだと思っているが、一般の人にその魅力がシッカリと伝わっていなかった。そういう意味ではPHEVシステムの刷新でパフォーマンスアップのみならず、モータードライブの走りの良さをより引き立たせるアイデアが多数盛り込まれたのは嬉しいポイント。また、従来モデルは価格を考えると内外装の質感が足りない部分もあったが、その部分にもシッカリと手が入っている。


提供元:月刊自家用車


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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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