新車試乗レポート
更新日:2021.01.04 / 掲載日:2021.01.01
TOYOTA GRヤリス 公道試乗レポート
トヨタが約20年ぶりに世に送り出す本格4WDスポーツということで、世界中のクルマ好きから注目を集めているGRヤリス。WRC参戦で培われたノウハウが傾注された走りをいち早くリアルワールドで確かめてみた。
基本情報

●発売日:2020年9月4日 ●車両本体価格 GRヤリスRS(CVT):265万円 GRヤリスRC(6MT):330万円 GRヤリスRZ(6MT):396万円 GRヤリスRZハイパフォーマンス(6MT):456万円 ●問い合わせ先:0800-700-700(トヨタ自動車お客様相談センター)
GRヤリスRZハイパフォーマンス(4WD) 主要諸元●全長×全幅×全高(mm):3995×1805×1455 ●ホイールベース(mm):2560 ●車両重量(kg):1280 ●エンジン:1618cc直3ターボ(272PS/37.7kg・m) ●トランスミッション:6MT ●サスペンション(前/後):ストラット式コイルスプリング/ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング) ●ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク) ●最小回転半径(m):5.3 ●燃料タンク(L):50<プレミアム> ●燃料消費率(WLTCモード:km/L):13.6 ●タイヤサイズ:225/40ZR18
乗ればわかるスゴさ! スポーツモデルの理想形
トヨタの精鋭集団GRカンパニーが開発・生産を行なうスポーツ戦略車「GRヤリス」。ついにその量産モデルを公道で試乗できた。
すでにサーキットやクローズドコースで驚異的な運動性能を確認しているが、一般道でも強靭な車体に驚く。サスペンションは動き始めから綺麗にストロークするので、硬めではあるが快適だ。
トルセンLSDやBBS製鍛造ホイール+ミシュランPS4Sを装着するRZハイパフォーマンスは、コンパクトクラスを忘れさせるドッシリとした抜群のスタビリティ。一般道ではアンダー知らずのハンドリングに加えて、凹凸のアタリの優しさやシットリとした足さばきも素晴らしい。
一方、オープンデフでエンケイ製鋳造アルミホイール+ダンロップSPスポーツMAXX装着のRZはバネ下の重さを若干感じるが、RZハイパフォーマンスよりもクルマの動きはむしろ素直。一般道ユースがメインなら、RZのほうが気負いなく乗れるはずだ。
1・6Lターボは発進時に僅かに排気量の小ささを実感するが、そこから先はフレキシブルな特性でどこから踏んでもレスポンスよく十分なパワーを発揮する。6速MTのフィールは優しいタッチながらカチッとしており、シフト操作がとにかく楽しくなる。
RSは唯一のFF。1・5L+CVTの組み合わせだが、軽さを活かしたキビキビしたクルマの動きとプレミアム領域に踏み込んだ動的質感の高い乗り味に驚く。これは単なる廉価版モデルではない。
細かい所を見ると、ディスプレイオーディオと安全支援システムのカメラのレイアウトの問題で前方視界がイマイチな点や音・振動などがトヨタ車にしては賑やかな事など気になる所はいくつかあるが、正直そんな事はどうでもいいくらい魅力たっぷり。トヨタの「もっといいクルマづくり」を具現化した一台なのは間違いない。
エクステリア

ワイドに張り出したフェンダー回りの造形が精悍。3ドアハッチバックのボディもGRヤリス専用だ。
パワーユニット

専用ユニット1.6L直3ターボは272PS/37.7kg・mのハイパワーを絞り出す。
タイヤ&ホイール

最上級グレードはBBS製鍛造ホイールとミシュランPS4Sを履く。バネ下重量を軽減。
コックピット&インテリア

ベースとなるヤリスのインテリアを基本にしつつ、ブラックカラーで引き締められたスポーティな室内。シンプルながら質の良さも感じさせる。
6速マニュアルトランスミッション&ドライブモードセレクト

シフトフィーリングも秀逸な6MT。ドライブモードセレクトスイッチも装備する。
フロント&リヤシート
ラゲッジユーティリティ

後席は6:4分割可倒式。2名乗車ならグランドタイヤ4本と工具類等も搭載可能だ。
ホールド性に優れたスポーツタイプシート。最上級グレードは合成皮革+スエード表皮だ。
4WDメカニズム<GR-FOUR>解説

GR-FOURの機構は軽量シンプルな電子制御多板クラッチ式のハイレスポンスカップリング式。減速比を上手に使うことで後輪の駆動配分を高めている。3つのドライブモード(ノーマル 60:40、スポーツ 30:70、トラック 50:50)を用意。曲げるための駆動力制御も積極的に行なう。