新車試乗レポート
更新日:2019.04.25 / 掲載日:2019.03.26

MITSUBISHI デリカD:5公道試乗インプレッション

●文/山本シンヤ ●写真/澤田和久

これまでにオンロードやオフロードのクローズドコースに加え、降雪地での特設コース試乗でその高い実力を見せつけてきた新型デリカD:5だが、いよいよ今回は公道でのテストドライブが叶った。リアルワールドで発揮するその真価をレポート!

見た目以上に大変身! 走りの実力も大幅向上

MITSUBISHI デリカD:5 P
●車両本体価格:421万6320円●ボディカラー:スターリングシルバーメタリック/アイガーグレーメタリック

●主要諸元(デリカD:5 P・8人乗り)
●全長×全幅×全高(mm):4800×1795×1875 ●ホイールベース(mm):2850 ●車両重量(kg):1960 ●パワーユニット:2267cc直4DOHCディーゼルターボ(145PS/38.7kg・m)●JC08モード燃費(km/L):13.6 ●WLTCモード燃費(km/L):平均12.6 ●燃料タンク容量(L):64[軽油]●最小回転半径(m):5.6 ●最低地上高(mm):185

  • 三菱の最新デザインテーマ、ダイナミックシールドを採用することで力強さと華やかさを両立したフロントマスク。

  • 一方、リヤ回りはテールランプの意匠変更が中心。ギア感の強い従来型のイメージを残している。

迷わず新型を選ぶべき! 全面刷新で別物に変身

 すでに筆者は量産車に近いプロトタイプにクローズドコース(舗装路と雪上路)で試乗済み。その実力は非常に高いと確信しているが、やはり最終結論はリアルワールドで判断したい。と言うことで、今回はナンバー付きの量産モデルで、静岡県御殿場市近郊の一般道~高速道路~ワインディングでチェックを行なってきた。
 改めて日の光の下で見るエクステリア。大きく印象が変わり、華がプラスされたフロントマスクは随分見慣れてきたためなのか(!?)、スンナリと受け入れられる。「シンプルでこっちの方が良い」と思っていた旧型が物足りなく感じてしまうから不思議だ。ただ、個人的にはノーマルよりもエアロパーツ装着のアーバンギアのほうが全体的なバランスはいいと思う。
 一方のインテリア。こちらはもう旧型には戻れない。水平基調の洗練されたデザインはソフトパッド仕上げや10・1インチの大型タッチスクリーンモニター(OP)、電子パーキングブレーキの採用などで質感が大幅レベルアップしているのはもちろん、各種スイッチ類が適正な場所にレイアウトされたことで操作性も格段に良くなっている。シートアレンジの変更はないが、操作性/使い勝手は良い。
 2・2Lディーゼルターボはフリクション低減や燃焼室変更、次世代インジェクター採用など中身を大刷新。6速ATからワイドかつクロスレシオ化された8速ATとの組み合わせになる。
 その印象はクローズドコースと変わらず「本当に同じエンジン?」と疑いたくなるくらいの差だ。アクセル操作に素早く反応するスロットル、数値以上に感じる力強さ、そして大きく改善された静粛性と振動改善など最新のクリーンディーゼルにふさわしい出来だ。
 ただ、定速走行ではほかのノイズとミックスされて気にならなかったが、低速で勾配を登るような際に2000~2500rpmくらいでコモリ音が目立つこと。また高速道路で加速時に必要以上にシフトダウンをしてしまうのが気になった。後者は素早く加速体勢に入りたい気持ちは分かるが、もう少しディーゼルのトルクを信じてあげてもいいと思う。
 フットワークは軽めの操舵力で穏やかな特性だが応答は正確。ハンドリングも無駄な動きが減ったのとロールスピードがシッカリコントロールされており重心が大きく下げられたような安心感だ。
 タイトなコーナーの多いワインディングも走ってみたが、見た目に似合わず(!?)、無駄な動きを抑えた一体感のあるハンドリング。ロールオーバーを考慮してやや引き締められているものの、足がよく動いて路面からの入力を効率的に吸収。カドの丸いスッキリシットリした乗り味で動的質感も高い。
 パッケージ上、高速道路では横風に影響を受けやすいのは事実だが、ノーマルよりもアーバンギアのほうが若干直進安定性はいいように感じた。恐らくエアロパーツが効いているのだと思う。
 ただ、個人的にはデリカD:5には未採用のS‐AWCを活用し、曲げる方向ではなく直進性を上げる方向の制御(=ヨーモーメントを抑える)を行なってもいいのではないかと考えている。
 結論、クローズドコースでの印象と変わらず、新型を選ばない理由がない。それくらい全方位でレベルアップしている。これは単なる改良ではなく全面刷新だと思う。

従来型で定評のある悪路走破性をさらにブラッシュアップ!

諸元だけ見ると最低地上高やアプローチアングルは従来型と比べて悪い方向に変更されているが、実用上の差は全く感じない。むしろ、8速AT化されたことによる駆動力の高さやAWD制御の進化で、より楽に安心して走れると思う。

エアロパーツがキマる!ミニバンファンは必見だ

MITSUBISHI デリカD:5 アーバンギア Gパワーパッケージ
●車両本体価格:420万7680円●ボディカラー:ウォームホワイトパール

  • 電動化されたパワステは操舵フィーリングも良好。中立域での据わりもよく、よく動くようになったサスペンションが走りの質感も大きく高めている。

  • アーバンギアに装着される前後バンパーやサイドスカートなどのエアロパーツは見た目の良さはもちろん、実際の走行でその効果を体感できた。

個性際立つデリカD:5 2タイプを比較

デリカD:5(左) デリカD:5 アーバンギア(右)

icon デリカD:5

フロント回りでは、横基調にハニカムパターンを配した巨大なメッキグリルが個性を主張し、縦型ヘッドランプが睨みを利かせる。さらにスキッドガード風パネルを備えたアンダーバンパーがオフロードカーらしさを演出。サイドやリヤ回りの下部は走破性を重視した造形になっているため、やや腰高な印象だ。一方、リヤ回りも意匠変更は行われているが従来型を彷彿させるデザインだ。

  • 新型に搭載されるエンジンは2.3Lのクリーンディーゼルターボのみ。尿素SCRを使用した排ガス浄化システムを新たに採用する。

  • ウッド調パネルやリアルステッチが施されたソフトパッドを各所に装備するなど高級車と言っていい上質さだ。アーバンギアはブラック内装のみ。

シートアレンジこそ従来型と同様だが、質感の高いシート表皮を採用。前席シートは完全新設計だ。写真のベージュ色は標準車のみ設定。

icon デリカD:5 アーバン ギア

ワイルドさを前面に打ち出したデリカD:5標準車に対し、フロントグリルを繊細な横基調のバーで構成するなど、都会的なスマートさをアピールするのがアーバンギアだ。エアロデザインのアンダーバンパーは前後ともに標準車より低い位置に配置。また、標準車と印象を大きく変えているのがサイドスカートの存在だ。専用デザインの18インチホイールとともにグンと重心の低さを感じさせる。

主要諸元&装備

提供元:月刊自家用車

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