新車試乗レポート
更新日:2019.05.23 / 掲載日:2019.03.05

【SUV最前線1】HONDA ヴェゼルツーリング 待望のターボモデルが追加!

●文/川島茂夫 ●写真/澤田和久

コンパクトSUVのベストセラー、ヴェゼルに最新ターボユニットを搭載する「ツーリング」が追加。となると、やはり気になるのは走りだろう。その実力はファンの期待に応えてくれるものなのだろうか?

●主要諸元(ツーリング Honda SENSING)●全長×全幅×全高(mm):4340×1790×1605 ●ホイールベース(mm):2610 ●車両重量(kg):1310 ●パワーユニット:1496cc直4DOHCターボ(172PS/22.4kg・m) ●JC08モード燃費:17.6km/L ●燃料タンク容量(L):50[レギュラー] ●最小回転半径(m):5.5 ●最低地上高(mm):170

icon HONDA ヴェゼル ツーリング

●発売日:2019年1月31日
●価格:290万3040円
●販売店:ホンダカーズ店
●問い合わせ先:電話:0120-112010

従来のヴェゼル像を覆す圧倒的な動力性能が魅力

フィットのハードウェアをベースに開発されたヴェゼル。スペシャリティ志向を狙った流麗なスタイリングを持ちつつも、広々としたスペースとユーティリティの高さを併せ持つことで、ファミリー&レジャーを狙った実用性に優れることが特徴だ。2013年12月のデビューから5年以上が経過しているが、効果的な商品改良を加えることで、コンパクトSUVの主力モデルとして、今なお堅調なセールスを記録し続けている。

今回投入されたツーリングは、ヴェゼルの最上位モデルに相当するグレードだ。搭載エンジンは、ステップワゴンやCR‐Vにも採用されている1.5Lターボ。さらにツーリング専用に強化された車体や防音設計、足回りなど、注がれた内容はかなり手がかかったものばかりで、単なるグレードの追加というよりも「ヴェゼル ツーリング」という名の上級モデルが投入されたと考えてもいいだろう。

ヴェゼルの魅力であるキャビンユーティリティ面は、従来モデルと同じ。専用の加飾&シートにより車格感は高まっているが、上級仕様のZ系グレードと大きな違いは感じない。だが、試乗すると、その走りは従来のヴェゼルとは明らかに違うことが分かる。

1.5Lターボがもたらす動力性能の変化は劇的と言ってもいい。ターボのトルク増は日常域での余力も増加させるが、何よりも中高速域で大きな効果を発揮する。従来の1.5L・NA車やハイブリッド車では、高速走行時に負荷がかかるシーンで物足りなさを感じることもあったが、ツーリングは勾配が続く高速道路でもアクセルを多少踏み増しする程度で、力強く加速してくれる。80km/h巡航時のおおよそのエンジン回転数は1500回転。それが加速に移行すると2000回転弱でダウンシフトが行われ、そこからは速度上昇と連携するように、穏やかに回転を上昇させる。最新ターボ車らしい、力感と小気味よいドライブフィールを上手に両立している。また、巡航ギヤ(回転数)維持に固執しない特性は、スポーティモデルとしての性格の強さでもある。ターボ車らしい伸びやかな加速感や、速度を上げていくと回転レンジを高めていく感覚は、ドライバーにエンジンを適度に回していく、爽快さや心地よさを感じさせてくれるはずだ。

ヴェゼルの最終進化モデルが誕生!

2013年12月 ガソリンNA車とハイブリッド車 2つのパワートレーンを選択可能

導入時のパワートレーンは1.5L・NA車とi-DCDハイブリッド車の2本立て。ホンダ・ハイブリッド車としては初となるスタンバイ式4WD(リアルタイムAWD)搭載車も設定されていた。

2015年4月 快適装備を強化する 一部改良を実施

4WD車の設定が拡大されたほか、FF車のリヤサス側にも振幅感応型ダンパーを採用するなど走りの質感も強化。遮熱/UVカットガラスの標準化や内装機能の改良も施された。

2016年2月 スポーティなRSを追加設定 ホンダセンシングも採用

  • 専用エアロ&アルミやパフォーマンスダンパー、可変ステアリングギヤレシオを採用した、スポーティグレードRSを設定。装備も「ホンダセンシング」を中心に大幅強化が図られた。

  • 衝突軽減ブレーキ止まりだった安全装備は、ACCや車線維持支援機能を備えるホンダセンシングに刷新。安全の部分においてクラスをリードする存在になった。

2018年2月 内外装の意匠変更を含む ビッグマイナーチェンジを実施

  • フロントバンパー&グリルの形状変更を含むフェイスリフトを実施。ハイブリッドユニットやAWDの特性が改良され走行性能も向上した。ホンダセンシングも全グレード標準装備化。

  • インテリア意匠の改良と快適&利便装備の強化に加えて、ボディ制振材の見直しが図られ、走行時の静粛性が高まったことも見逃せないトピックス。

2019年1月 1.5L・VTECターボを 搭載するツーリングを追加設定

  • CR-Vなどに設定される1.5Lターボを搭載する「ツーリング」を新規設定。剛性を高めた専用ボディやアジャイルハンドリングアシストの採用など、上位モデル相当の設計も見所だ。

  • 1.5L直噴ターボは172PS/22.4kg・mを発揮。燃費性能も17.6km/L(JC08モード燃費)と、動力性能と省燃費性能を高い次元で両立している。巧みなCVT制御も見逃せない強みだ。

  • ターボに注目が集まるが、フロント周りの剛性を高めた専用ボディが採用されるなど、コストをかけた改良が施されていることも見逃せない。

  • 減衰の効いた硬めのサスチューンを採用するため高速域で安定感はクラストップレベル。高速道路でも良質の走りを披露してくれる。

  • 1.5L直4ターボは最新のターボらしく、NAユニットと遜色ないリニアな出力特性を発揮する。レギュラーガソリン仕様なのも嬉しい。

  • ターボ車らしい伸びやかな力感はツーリングならでは強み。長距離運転の際は、ホンダセンシングの優れた運転支援機能もありがたい。

やや硬めな乗り心地だが走りの質感は1ランク上だ

フットワーク面もスポーティさを優先。高速安定性を第一に、減衰を利かせて荷重変動を抑え込むサスチューンを採用する。ヴェゼルシリーズの中では最も路面当たりを強く感じる乗り心地だが、不要な揺れ返しや車軸周りの揺らぐような動きが巧みに抑えられている。低中速時の荒れた路面では突き上げが目立つが、速度が高まるにつれてしなやかさが増す。乗り味の質感は、従来車より1ランクアップしている。

RSに比べると軽快感は減少しているが、ツーリングだけに採用されたアジャイルハンドリングアシストの効果もあって操舵追従性にも優れる。姿勢変化を待たずして、狙った走行ラインに容易に乗せることができる。シャシーのポテンシャルの違いを感じると共に、緩みも揺らぎもない的確な操縦性は、RSと対照的である。

「タイプR」ほどではないにしても、6/7代目アコードに設定されていた「ユーロR」にも似たキャラは、従来のヴェゼルの走りに物足りなさを感じていたユーザーには朗報だろう。個人的にはもう少し乗り心地を高めたサスチューンのほうが好ましく思えるが、それでもこのツーリング&スポーツ性能の高さは、抗い難い魅力を持つことは間違いない。

  • クーペグラフィックを意識したスタイリング。

  • 全幅は1790mmとクラス最大級だが、全長とホイールベースは、このクラスとしては平均サイズ。

  • ブラックヘッドライトガーニッシュやリップバンパーなどツーリング専用意匠を採用するなどで、従来モデルと差別化。

  • 2018年のマイナーチェンジで内装質感は向上している。

  • ツーリングはインシュレーターを増量することで静粛性向上も図られた。

  • アンダー部にロワガーニッシュを配置するほか、マフラーも左右2本出しタイプを採用。スポーティさの演出も巧みだ。

  • 通常時でもラゲッジの奥行きは十分。後席格納もダイブダウン式を採用するなど、ユーティリティの面でも同クラスのライバルをリード。

提供元:月刊自家用車

【その1】ヴェゼルvsライバルモデル徹底比較 コンパクトSUV頂上決戦 ベストバイはこれだ!

コンパクトSUVは、各メーカーのご自慢モデルが揃う激戦カテゴリー。今回、ヴェゼルに魅力的なツーリングが設定されたことで、その勢力図は変わるのだろうか? 代表的な5モデルを比較することで、最新事情を確認してみたい。

CHECK.01 エクステリア&パッケージ

大きな差が出るのは高さ 立体駐車場のユーザーは要注目

 全幅はエクリプス クロスが1.8mを僅かに超えてしまうが、他車も1.7m後半級。全長はいずれも4.5mを切っている。縦横サイズの比較では明確な差があるとまではいえず、最小回転半径の違いもごく僅か。後方視界に難があるC-HRを除いた4車は、ほぼ互角の取り回し性能を持っている。

 一方、リアルワールドで差が出てくるのは高さの部分。ヴェゼルとエクリプス クロスの全高は1.6mを超えてしまうが、他の3車は1.55m前後に収まり、機械式立体駐車場の全高規制にも配慮している。運転席からの視界も大きな差があり、XVはドラポジや目線の高さが最も乗用車に近い。逆に高めでSUVらしく見晴らしが良好なのはエクリプス クロスだ。

icon HONDA ヴェゼル

●価格帯: 207万5000 ~290万3040円

全長:4330~4340mm
全幅:1770~1790mm
全高:1605mm
ホイールベース:2610mm
最低地上高:170~185mm
車両重量:1270~1390kg
最小回転半径:5.3~5.5m

クーペ風味を巧みに加えた バランスの良いスタイリング

ハードウェアはフィット譲りだが、スタイリングは完全にヴェゼル専用。リヤエンドにかけて絞り込まれるクーペグラフィックを意識したルーフラインは、ヴェゼルのアイデンティティの一つ。まとまりのよいスタイリングだ。

icon TOYOTA C-HR

●価格帯: 229万 ~292万9200円

全長:4360mm
全幅:1795mm
全高:1550~1565mm
ホイールベース:2640mm
最低地上高:140~155mm
車両重量:1400~1470kg
最小回転半径:5.2m

スタイル最優先の設計 新感覚のスペシャリティカー

プリウスベースのSUVだが、リヤエンドにかけてなだらかに落ち込むルーフラインが生み出すスタイリングはSUVというよりもクーペに限りなく近い。スポーティな雰囲気を主張するデザインは人気を集める大きな理由になっている。

icon MITSUBISHI エクリプス クロス

●価格帯: 253万9080 ~310万7160円

全長:4405mm
全幅:1805mm
全高:1685mm
ホイールベース:2670mm
最低地上高:175mm
車両重量:1460~1550kg
最小回転半径:5.4m

実用面もしっかり考慮した パッケージの妙が光る

クーペライクなシルエットや狭いグラスエリアのおかげでスタイル優先と思われがちだが、その本質は正統派クロスオーバーSUV。高めのアイポイントや小回り性能の良さなど、実用面も考慮した設計も見所の一つだ。

icon SUBARU スバルXV

●価格帯: 213万8400 ~282万9600円

全長:4465mm
全幅:1800mm
全高:1550mm
ホイールベース:2670mm
最低地上高:200mm
車両重量:1410~1550kg
最小回転半径:5.4m

スタイリングは 乗用モデルに限りなく近い

インプレッサスポーツがベースとなるだけに、ライバル勢の中では最も乗用車に近いパッケージだ。リヤピラーにも小窓を配した6ライトウインドウの採用など、開放感や見晴らしも考慮した設計が与えられている。

icon MAZDA CX-3

●価格帯: 212万7600 ~306万2080円

全長:4275mm
全幅:1765mm
全高:1550mm
ホイールベース:2570mm
最低地上高:160mm
車両重量:1250~1340kg
最小回転半径:5.3m

実用面もしっかり考慮した パッケージの妙が光る

クーペライクなシルエットや狭いグラスエリアのおかげでスタイル優先と思われがちだが、その本質は正統派クロスオーバーSUV。高めのアイポイントや小回り性能の良さなど、実用面も考慮した設計も見所の一つだ。

CHECK.02 走り&ドライバビリティ

スポーティな走りを重視するなら ヴェゼル&エクリプス クロスが やや優位

 いずれも走り自慢が揃っているが、そのキャラを大まかに分けるとXVはウェルバランス志向、その他はスポーティ志向が強い。最もスポーティな走りを楽しめるのはヴェゼルツーリング、そして僅差でエクリプス クロスになるが、両車の差は主にフットワーク特性の差。この2台は秀出た存在だ。加速性能や高速域の余力感を重視すると、ヴェゼルツーリング、エクリプス クロス、C-HRのターボ車勢がやや優位だ。

 一方、ラフロード適性まで考慮すると、エクリプス クロスとXVが優位。ヴェゼルはツーリングに4WD車の設定はないが、他グレードの4WD車ならば、相応にこなしてくれる。

icon HONDA ヴェゼル

  • ツーリングの登場で 走りも互角以上の存在に

    ツーリングに搭載される最新ターボの余力感は、他のライバルに対して大きなアドバンテージ。高速域の安定性と操安性も突出している。悪路向けではないが、長距離ツーリングには最適な1台だ。

  • モーターアシストを効果的に用いるハイブリッド車も、1.5L車とは思えない力強さがあるが、ツーリングとの差は明白。

icon TOYOTA C-HR

  • 1.2L直噴ターボはスペックこそ平凡だが、軽快な吹き上がりに加えて、アクセル操作に俊敏に応えるリニアな特性を持つ。

  • SUVらしさは希薄だが スペシャリティ感は上々

    軽快なハンドリングはトップレベルの出来。伸びやかなパワーフィールのターボに加え、クラス最高燃費のハイブリッドも選べることも魅力。低い最低地上高や4WDの設定に注意する必要はあるが、走り重視なら有力な選択肢だ。

icon MITSUBISHI エクリプス クロス

  • バランスの良い走りを楽しめる 路面状況を問わない万能選手

    S-AWCを採用する4WD車は、オン&ラフロードの操縦性に優れ、スポーティとSUVの踏破性を高水準で両立している。乗り心地に多少ラフな部分もあるが、走りは軽快で、実用性とのバランスもいい。

  • 1.5Lターボは、このクラスとしては平均的なスペックだが、巧みなCVT制御が組み合わされることで、俊敏な走りを楽しませてくれる。

icon SUBARU スバルXV

  • バランスの良い走り味 走り優先ならe-BOXERがベスト

    200mmの最低地上高により見た目によらずラフロード走破性も良好。日常用途にも馴染みのいい乗り心地や扱いやすさが見所だ。パワーユニットは3タイプ選べるが、走りを重視するならばe-BOXER車を積極的に選びたい。

  • e-BOXERは、モーターによる電動アシスト制御が加わるスバル独自のハイブリッド。燃費よりも動力性能の向上を主目的としている。

icon MAZDA CX-3

  • ディーゼルターボ車は 余力感と燃費はトップレベル

    ハンドリングもパワーフィールも操り心地の良さがポイント。パワートレーンもこのクラスでは余裕のある設定。特にディーゼルターボ車は余力感と燃費で他を圧倒する。高速長距離が多いユーザーには魅力的だ。

  • 1.8Lディーゼルターボは最新仕様。以前の1.5Lユニットに比べると馬力が高まったほか、燃費&環境性能も大きく向上している。

CHECK.03 キャビン&ラゲッジ

見た目以上に差がある重要ポイント

 キャビン&ラゲッジを見比べれば、各車の違いは明白。大まかに分けるとヴェゼルとエクリプス クロス、XVはファミリー&レジャーユースを狙った設計が与えられており、後席スペースや居心地の良さ、ラゲッジの使いやすさ、アレンジパターンなど、快適性やユーティリティ面も考慮されている。

 一方、C-HRとCX-3はスタイル優先もあって、明らかに前席優先の設計。そのため後席とラゲッジは手狭な印象が否めず、ユーテリィティ面も見劣りしてしまう。

icon HONDA ヴェゼル

  • インパネはオーソドックスなレイアウト。シートの着座位置も高めで周辺視界も優秀だ。収まりのよいシートはヴェゼルの強みだが、最新型でもその美点は健在だ。

  • 荷室開口部は左右の間口も広めで、荷室床面との段差もほとんどない。荷物の積み込みを強く意識した設計。

icon TOYOTA C-HR

  • 手が触れる部分に上質なパネルやソフトパッドを配するなど、内装の仕立てや質感はクラストップレベルだが、後席はグラスエリアも狭く、窮屈な印象が強い。

  • ラゲッジは広めの2BOX車レベルといったところ。奥行きもそれなりで、大きな荷物を積むには少々厳しい。

icon MITSUBISHI エクリプス クロス

  • 頭上空間に余裕があるとまではいえないが、後席にスライド機構を備えるなど、相応の居住性能を持つ。内装の仕立て&質感もクラス平均は超えている。

  • デザイン優先の設計思想もあり、ラゲッジの使い勝手はライバル勢に劣る。積載目的で選ぶのは少々苦しい。

icon SUBARU スバルXV

  • 新世代スバル車は内装質感の向上も特徴。XVもその恩恵をしっかりと受けている。後席の設計もゆとり十分で、開口部も広々。フル乗車も楽にこなしてくれる。実用面も優秀だ。

  • 広々キャビンに比べるとラゲッジはハッチバック車レベル。普段使いでは十分だが、大荷物を積む際は工夫が必要。

icon MAZDA CX-3

  • ドライバー優先のキャビン空間。ソフトパッドなどが上手に配置されるインパネ周りの上質感はクラストップレベルだ。一方、後席まわりはサイズ的に手狭感は否めない。

  • デザイン優先の設計思想もあり、ラゲッジの使い勝手はライバル勢に劣る。積載目的で選ぶのは少々苦しい。

CHECK.04 安全&運転支援機能

基本は標準設定だが、機能は違いあり

 各車とも機能系の利便装備は充実しているが、その一方で運転支援機能は各車ごとに違いがある。特に注目したいのはACCと車線維持支援。ACCは5車とも設定されているが、C-HRとXVは前車追従停止までサポートする全車速型、他は30km/h以上までの高速型だ。車線維持支援もエクリプス クロスとCX-3が逸脱警報止まりに対して、他はステアリング制御まで行うLKAを採用。さらにヴェゼルとXVは、走行時のライン制御機能まで対応している。

  • ホンダセンシングには、強力な運転支援機能が備わっているが、ステアリング制御付きのLKAは、ロングドライブで重宝する機能。

  • XVに装着されるアイサイトはバージョン3。ACCは0km/h~約100km/hの車速域で先行車に追従が可能。渋滞路でも優秀だ。

最終結論 万能ぶりが強化されたヴェゼルが一歩リード

 激戦カテゴリーにふさわしく、5車とも実力モデルだが、2つの適性で見てみたい。

 まずレジャーワゴンとして選ぶならば、ラフロード適性やユーティリティは欠かせない要件であり、この点ではエクリプス クロスとXV、ヴェゼルのバランスがいい。

 一方、オンロード性能を重視するならC-HRの割り切りのよさは好ましいが、走りの総合力まで含めるならば、ツーリングが投入されたヴェゼルが最も魅力的。クラス唯一のディーゼルターボを選べるCX-3も気になるが、車格感と実用面はヴェゼルの方が一枚上手だ。

 万能=一番優秀とはならないが、ヴェゼルが秀出た存在であることは間違いないだろう。

提供元:月刊自家用車

【その2】ホンダ同門対決 実はガチライバルなのかも? ヴェゼルツーリングvsCR-V

ヴェゼルツーリングとCR-V。その価格を見比べると、実はあまり差がないことに気づいてしまう。となると、どちらが美味しいクルマなのか? が気になってしまう。選ぶべきSUVはどちらなのだろうか?

価格 1.5Lターボ車同士で比較すると価格差はわずか

  • ●ヴェゼル ツーリング/CR-V装備比較

    CR-VはEXとEX・Masterpieceの2グレード体制。ヴェゼルツーリングとCR-Vの5人乗り仕様を比べてみると、サンルーフや本革シートが標準装備となる上級仕様のEX・Masterpieceとの差は大きいが、EXとヴェゼルツーリングとの価格と装備の差は少ないことが分かる。

icon ヴェゼルツーリング ナビを付けると 価格差はさらに縮まる

ヴェゼルツーリングの価格は290万3040円。ただこれはナビレス仕様の価格であり、約19万円の純正OPナビを装着すると、実質価格は300万円を大きく超えてしまう。また快適装備の多くもOP設定。これも痛い部分だ。

icon CR-V 実は純正ナビは標準装着 買い得感はすこぶる良好

最も安いEX・FF車の5人乗り仕様の価格は323万280円。本革シートなどは選べないが、ホンダセンシングや純正ナビは標準装着。ボディサイズの大きさが気になるユーザーもいるだろうが、これで十分と感じるユーザーも多いはずだ。

CR-Vのガソリン車との価格差は30万円強

車格を考えると意外だが、同等装備で比べると、ヴェゼルツーリングとCR-Vとの価格差は10万円程度になってしまう。つまり、身内にも強力なライバルが存在するともいえるのだ。

だが与えられたキャラクターを見比べると、2車には大きな違いがあることが見えてくる。

まず注目すべきは走りだ。搭載エンジンは同じ1.5Lターボだが、CR-V用のスペックは190PS/24.5kgmになる。ヴェゼルツーリング172PS/22.4kgmに対して、最高出力で18PS、最大トルクでは2.1kg・mほど上回ることになるが、CR-VはFF車の2列シート車でも車重は160kg以上重くなる。それを考慮すれば、相対的な動力性能の余裕はヴェゼルツーリングの方が上だ。

さらにフットワークも異なる。ヴェゼルツーリングには強化されたシャシーも含めて、スポーツ&ツーリングを意識した設定が与えられているのだが、CR-Vは走行速度全域での扱いやすさを考慮した設定が与えられている。サスチューンも重い車重と高い重心を抑えるに相応の硬さを備えており、重質さと据わりのいい乗り心地が車格感を高めている。CR-Vにもヴェゼルツーリングと同じくアジャイルハンドリングアシストを採用するが、ヴェゼルツーリングのような殊更な切れ味は感じられない。安心感重視の味付けだ。

キャビン&ラゲッジの余裕も車格の差が雄弁に出てしまう。CR-Vはひと回り大きい設計で、前席/後席とも快適な空間を満喫できる。床面地上高はヴェゼルより高くなるが、2列シート車は奥行きも幅も余裕があり、ラゲッジも十分な容量だ。

余裕ある動力性能を活かしたスポーティなヴェゼルツーリングに対して、CR-Vは走りも実用性も高いレベルで纏められたウェルバランス型なのである。

パッケージ比較

icon ヴェゼルツーリング

ホイールベースはそれほどの差はないが、横から見るとCピラー周りに余裕がなく、CR-Vとのサイズの違いは明らか。

●主要諸元(ツーリング Honda SENSING)●全長×全幅×全高(mm):4340×1790×1605 ●ホイールベース(mm):2610 ●車両重量(kg):1310 ●最小回転半径(m):5.5 ●最低地上高(mm):170

  • 現行型はシート素材などが改良されたこともあり質感は高まっているが、CR-Vと比べると見劣りはしてしまう。車格の差は正直だ。

  • CR-Vとの違いはここでも明白。だがラゲッジスペースはクラス最大級であり、ユーティリティ面にも優れる。使い勝手は負けてない。

  • コンパクトSUV随一の広々キャビンを持つヴェゼルだが、ミドルSUVのCR-Vとの差は歴然。

  • ただ、これで十分というユーザーも多いはず。

icon CR-V

CR-Vのボデイサイズは、全長4605mm×全幅1855mm×全高1680mm。ホイールベース2660mmとヴェゼルよりかなり大きいサイズだ。

●主要諸元(EX 5名乗り FF)●全長×全幅×全高(mm):4605×1855×1680 ●ホイールベース(mm):2660 ●車両重量(kg):1520 ●最小回転半径(m):5.5 ●最低地上高(mm):200

  • 中央にナビモニターを配するオーソドックスなレイアウト。木目調素材やブラックパネル、ソフトパッドなど、上質感の演出も巧みだ。

  • 格納時の床面は完全にフラット。広さも幅も申し分ない。シート格納はサードシート/セカンドシート共にフラット対応する。

  • 3列シート車を選べることも特徴。キャビンスペースにも余裕があり、乗り降りもスムーズ。

  • サードシートもしっかりとした造りだ。

走り

icon ヴェゼルツーリング 高速道路で楽しく走れる スポーティな走りが真骨頂

 別項でも述べたように「ユーロR」とでも評したいスポーツ&ツーリング志向の走行性能。一般用途には硬すぎる乗り心地だが、高速や山岳路での安定性や加速切れもよく、ホットハッチ派の新たな選択肢としてもオススメだ。

icon CR-V 悠々とした上質な走り味は ミドルSUVの中でも光る存在

 良質な走りである。1.6t前後の車重に1.5Lターボの組み合わせでも無理してパワーを引き上げた印象はない。据わりのいいハンドリングや揺れ返しなく重質な乗り心地もあって、同クラスSUVでも走りの車格感が高い。

ズバリ!オススメはどっち?

スポーティな走り重視なら ヴェゼルツーリングにワンチャンあり

 ファントゥドライブや高速ツーリング性能など、走りの趣味性を求めてこそ、ヴェゼルツーリングに投資する価値がある。癖がないのでマニアックとも言い難いのだが、実用性も求めるスポーティカー好き向けだ。これに対してCR-Vは、SUVの王道を突き詰めたモデル。全モデルに4WDが設定され、最低地上高は余裕の210mm。つまり、両車はクルマに求める魅力や適応用途が異なるのだ。SUVならではの性能や機能、適応用途で選べば、当然CR-Vが上になる。

ツーリングの登場で ヴェゼル選びは どう変わる?

 燃費のハイブリッド、パワーのツーリングと特徴は異なるが、パワートレーン設定ではハイブリッドと同格と考えていい。ただしグレード設定ではシャシー周りの強化などの大幅改良が加えられたRSの上位モデルである。一方でヴェゼル本来のコンセプトでは4WDの選択が可能なハイブリッド車が最上位と考えるべきだ。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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