新車試乗レポート
更新日:2019.05.22 / 掲載日:2018.08.23

【試乗レポート・三菱 アウトランダーPHEV2019年モデル】新型の走りをいち早く体験!

文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝

 アウトランダーPHEVがこの夏、エボリューション(進化)を遂げる。

 使い勝手に優れ、ピープルムーバーとしての資質を持つSUVボディに、電動化技術であるプラグイン・ハイブリッドシステムを組み合わせたアウトランダーPHEV。登場したのは2013年のことで、これまでに全世界で15万台を販売、三菱によれば「世界でもっとも売れているプラグイン・ハイブリッドSUV」だそうだ。もっともこれにはライバルの数が少ないことも勘案に入れなければいけないが、三菱の先見性が高かったことに間違いはない。2015年の商品改良で「ダイナミックシールド」を取り入れたそのデザインは、いま見てもなかなか魅力的だ。

2018年8月30日に発表された 「2019年モデル」と表現されている新型アウトランダーPHEV。発売から5年の間に蓄積されたユーザーからの要望をフィードバックし、さらに「EVらしさ」を高めるというのが開発のねらいであり、それを「PHEVシステムの進化」、「S-AWCの進化」、「クオリティとユーティリティの向上」という形で実現している。

エクステリアもわずかながら変更された

 エクステリアにも若干の手直しが入った。新型ヘッドランプなどの採用によりフロントマスクがリファインされ、リヤスポイラーを追加、リヤバンパーとホイールのデザインも変更されている。全体の印象は従来型のそれを踏襲しながら、より先進性と上質さを高めるようなデザインワークだ。
 インテリアも大きな変更はないものの、パワーメーターの表示がよりグラフィティカルかつパワートレーンの状態がわかりやすいものに変更され、フロントシートのサイドサポート性を向上、後席用エアコン吹き出し口追加などといった、使い勝手を高める細やかな気配りが光る。

主要部品の約90%を変更したパワートレーン

 機械的な変更点としては、エンジン排気量を2Lから2.4Lへと拡大し、駆動用バッテリーの容量(+15%)と出力(+10%)をアップしたのがトピックとなる。今回の改良によって、パワートレーンは主要構成部品の約90%が変更を受けているという。アウトランダーPHEVのモデルライフにおいて最大規模となる改良だ。
 さらに、ボディ組み立てに使われる構造用接着剤の塗布範囲を広げることでボディ剛性を強化、サスペンションシステムとステアリングまわりにもメスが入った。また、三菱自慢の車両運動統合制御システム「S-AWC」にも、新ドライブモードとして「SPORT」と「SNOW」が追加されている。

走りの進化をサーキット走行で体験

 試乗の舞台となったのは、千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイというサーキット。試乗車がプロトタイプだったという都合もあるが、クローズドコースという環境を生かして、新型の走行性能について存分に体験してもらいたいという趣旨だ。比較対象として2017年モデルが用意されており、新型と乗り比べることができたのは嬉しい配慮だった。
 もともとアウトランダーPHEVは乗り心地がよく、スムーズな走りが印象的で、とくに2015年の改良で静粛性も大幅にレベルアップし、全方位に魅力的なクルマに仕上がっていた。ガソリン車に比べれば車重は当然重いものの、峠道のようなコーナーが連続するシーンでも安心して走れるSUVだったと記憶している。
 コースインした当初は時折強い雨が降るあいにくの空模様だったが、おかげでより低い速度域でクルマの挙動を確かめることができた

 SUVでありながら、車体の重さを感じさせず前へ前へとクルマを加速させる力強さは相変わらず好印象。ただし、2017年モデルでは、強めのブレーキングからハンドルを切り込んでいくシチュエーションが象徴的だが、想定していたよりもタイヤひとつ分外側にはらむようなケースが時折見られた。もちろん、SUVというキャラクターからも、クルマ全体の評価を落とすほどの話ではない。
 それに対して乗り換えた新型では、より正確にねらったラインを走らせることができる。これは、ボディ剛性が高められたことにより、ステアリング操作に対して正確にクルマが反応してくれる証拠だ。また、そこからの再加速時にも、路面にタイヤから伝わる力が逃げにくく、アクセルを踏み込んだ期待どおりに速度が乗っていく。その印象は新しく追加された「スポーツモード」ではより顕著で、後ろ足で蹴るような加速は、運転を楽しみたいタイプのドライバーにとっては非常に気持ちいいと感じられるはず。

車両制御技術はトップレベル

 それにしても、アウトランダーPHEVに搭載されているS-AWCの制御技術は見事だ。ドライバー側に対して不自然さ、いかにも制御しているといった顔を見せずに、重量級のSUVをつねに安定した姿勢に制御してくれる。サーキット走行を行ったあとのタイヤを見ても、四輪とも綺麗な状態が保たれているのがその証拠だ。絶対的な重さはさておき、重量配分や重心高といったメカニズムの基礎が理に叶っていることも、アウトランダーPHEVが2018年現在のレベルで見ても優れたドライバビリティを備えていることの秘訣なのだろう。

 今回体験した変化は、なにもサーキット走行のような極端なシチュエーションでなくても感じられることで、従来型のオーナーであれば、「運転しやすい」、「クルマの上質さが高まった」といった感想を持つはず。そしてそれは、たくさんのひとや荷物を載せて、遠くへ行くことの多いSUVにとっては大きな意味を持つ。正確なハンドリングはドライバーの負担を減らし、安定した走りはもちろん安全運転に直結するからだ。
 改良の本題である、大幅改良を受けたPHEVシステムの評価を下すには、今回の試乗会はシチュエーションが限定的で時間も短かったのが残念ではあったが、もうすぐ公道でのテストも行える予定。PHEVシステムの仕上がり具合や一般道での印象については、そちらのレポートを楽しみにしてもらいたい。



三菱 アウトランダー PHEV(CVT)


全長×全幅×全高 4695×1800×1710mm
ホイールベース 2670mm
車両重量 1890kg
エンジン最高出力 128ps/4500rpm
エンジン最大トルク 20.3kgm/4500rpm
モーター最高出力 前/後 82ps/95ps
モーター最大トルク 前/後 14kgm/19.9kgm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 225/55R18



販売価格 393万9840円~509万40円(全グレード)



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グーネットマガジン編集部

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