新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2018.04.01
MITSUBISHI「エクリプス クロス」先取り試乗
●文:山本シンヤ ●写真:編集部ようやく正式発売されたエクリプス クロス。首を長くして待っていたファンも多いだろうが、このクラスは史上稀に見る超激戦区。半端な内容では見向きもされない厳しさもある。果たして待った甲斐はあったのか? 3月初旬にいち早くディーラー試乗を行えたので、そのファーストインプレッションをお届けしよう!

試乗車(G 4WD) 全長×全幅×全高(mm):4405×1805×1685 ●パワートレーン:1.5L直4DOHC(150PS/24.5kg・m) ●JC08モード燃費:14.0km/L
昨年のジュネーブショーで世界初公開されて以降、長いティザーを経て日本での正式発売がスタートした「エクリプス クロス」。登録車で言えば2013年に登場したアウトランダーPHEV以来のニューモデルかつ新生ミツビシ第一弾となるモデルなので、販売会社も非常に期待している一台だ。すでにプロトモデルはクローズドコース(舗装路と雪上路)で試乗済みだが、やはりリアルワールドでの印象が気になる。しかし、残念ながらプレス向けの公道試乗会は締め切りのタイミングで間に合わず、少々やきもきしていた。 そんなモヤモヤが続いていたところ、3月初旬に編集部より「ディーラーさんで市販車を試乗できそう」と連絡を受けた。プロトモデルはほぼ市販車に近いとはいえ、やはり正式に販売された車両を体験したい。早速、取材班と共に現地に急行することになったのだ。 お借りした車両は最も売れ筋である4WDの「G」で、ボディカラーは有料色のホワイトパール。個人的にはレッドダイヤモンドが好みだが、ホワイトパールはクリーンな印象が強く、これはこれでアリだ。Gプラスパッケージと、今回のGの一番の違いはオーディオ関連で、Gプラスパッケージはスマートフォン連携ディスプレイオーディオに対し、Gは2DINスペースが用意され、オプションのメモリーナビ(MMCS)を装着することができる。他メーカーだとナビシステムは、一方に偏ることが多いが、エクリプス クロスはユーザーの好みで選択できる上に、どちらを選択してもインパネの景観を損なわずにデザインされているのが嬉しいポイントだ。 撮影場所に行くまで、せっかくなのでリヤシートに座ってみた。クーペスタイルを採用しながらも緻密なパッケージングにより170cmの筆者が座っても、十分なヘッドクリアランスとロングスライドを活かせば、前席でドライバーが適正なシートポジションを設定しても、十分以上のレッグスペースが確保されている。試乗車は下ろしたてで走行距離もわずかのため足の動きに硬さがあったものの、カッチリしたボディの効果も相まって低速域からシッカリ動いているのが分かる。

2000回転前後から豊かなトルクを発生する1.5L直噴ターボと、変速機構を備えるCVTのマッチングは絶妙。手動でギヤを選ばずとも欲しいところで素直な加速フィールを体感できる。
交通量が少ない場所で運転席に座ることになった。今回は貴重な試乗車ということで、市街路中心の日常域での走りに特化したインプレッションとなるが、1.5Lターボはいい意味でターボらしくない自然な特性を持ち、2000rpmから最大トルク24・5kg・mを発揮するため非常に乗りやすい。トランスミッションはアクセル開度が少な目であれば、CVTのネガな部分はほとんど感じることはなく、むしろダイレクト感と滑らかさが光る。 ハンドリングは日常域では若干ステアリングは軽めに感じたが、鍛えたボディとストローク感の高いサスペンション、そして自然な制御のS‐AWCの相乗効果によりドライバーの操作にクルマが素直に反応してくれる。そのため、最低地上高175mmやアイポイントの高さを感じない安心感のある走りを実現している。 この辺りは速度域が異なるが、以前クローズドコースで走らせた時の印象とほぼ変わらない。ゆっくり走っていても直感的に「いいクルマ感」であることが感じられる久々の三菱車だ。これは目に見えない部分にランエボDNAが反映されている結果である。 もし、クロスオーバーSUVを検討しているならば、まずはエクリプス クロスに試乗してみてほしい。これまでミツビシは色々な問題が浮彫りになり、多くのファンをガッカリさせてしまったが、自動車メーカーであればいいクルマを提供することが一番の信頼関係回復に繋がると思う。 筆者はエクリプスクロスは、ミツビシ復活のきっかけになる、そんな一台だと思っている。
運転席に収まった印象は「意のままに」がぴったり。見晴らしもよく、グラスエリアも広々としているので、車体周辺の状況も掴みやすい。生真面目なインテリア意匠も好感が持てる。
1.5L直4直噴ターボは、最近のダウンサイジングターボらしく、全域でフラットな特性を持つ。必要にして十分だが、欧州仕様車に採用されている2.2Lディーゼルターボも気になるところだ。
売りの一つであるS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)の実力は、先日開催された北海道のプロトタイプ試乗会で体験済み。四輪を積極的に使う、ミツビシ自慢の車両運動統合制御技術は、エクリプス クロスにも受け継がれている。

3月1日に本社・ショールームで開催された発表会では、益子社長自らが登壇して、エクリプス クロスを披露。将来的にPHEVモデルの投入は予定していることを宣言するなど、エクリプス クロスがミツビシの中核モデルであることを改めて述べた。

長年ダカールラリーで活躍したラリードライバー増岡氏のトークイベントも開催し、エクリプス クロスの魅力をアピール。S‐AWCの有効性を伝えるシーンでは、舗装路を含めたあらゆる路面でコントロールがしやすくなる、と話していたのが印象的だった。
販売の最前線 で聞いた! エクリプス クロス最新事情
沼津三菱自動車販売 本社・沼津バイパス店 野崎 正治 店長
バックヤード裏に納車直前のエクリプス クロスがズラリと並ぶなか、時間をとっていただいてありがとうございました。
今回、静岡・沼津エリアを拠点とする、沼津三菱自動車販売の本社・沼津パイパス店に協力していただいた。試乗させてもらった車両は3月9日に到着したばかりの下ろしたての新車。取材日の前日は試乗車が届いた初の週末ということで、多くの購入希望者が来店したそうだ。「現車を早く見たい、試乗したい、という希望は、本当に多くいただいてました。ようやく乗っていただいた方の感想も『1.5Lターボなのにパワフル』とか『加速がスムーズ』など概ね高評価でした。久々の新型ということで期待していましたが、予想以上の反響をいただきましたね」と店長の野崎氏。ミツビシ久々のニューモデル、どうやら好スタートを切ったようだ。●取材協力沼津三菱自動車販売本社・沼津バイパス店所在地:静岡県沼津市松長913TEL055-967-2133http://numazu-mitsubishi.co.jp
提供元:月刊自家用車